京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「お岩さん時間」

2016-09-30 11:08:56 | 時計修理

9月30日月末の友引金曜日。
いつものようにセイコーの修理品が届いて今月も終わり。
なぜか国産時計は月末になると奇跡的に修理完了して送られてくる。
代引き料金を払って時計の在庫は来月まで持ち越しになります。

「ロレックス貯金」という言葉があります。
ロレックスのユーザーは修理費用のために事前に貯金をするそうです。ちなみに写真のロレックスの文字盤交換なら10万円、ガラスが割れると水が入るので交換3万2千円、ゼンマイ交換3000円。
オシドリ交換1万4千円。分解掃除3万円などなど目の玉が飛び出す修理料金になります。
時計の部品は現金決済なのだ。ロレックス貯金なら10万円ほどがちょうどいい。

そのまま引き取りに来ないと店の負担になるので結果ババ抜きのような迷子の時計が市内を駆け巡る。
一度見積もり段階でお断りした全く同じロレックスが数か月後にきたこともある。
構造不況の京都なのだ。修理料金が10万円を超すと皆さんあきらめてしまいます。

写真はロンジン手巻き。難しい時計だ。
お客様に修理料金3万円!と告げると即座に帰っていきます。ユーザーの予算はせいぜい1万円だ。
1960年代の修理料金が基本になっているようです。

昨日持ち込まれたロンジンをテスターにかけて調べている間にやぶ蚊に刺された。
安い300円ほどのパウダー式の防虫スプレーをかけた直後に指を刺されました。やはり医薬品ムヒの防虫スプレーでないとだめらしい。700円オーバーは必要経費なのです。
京都のやぶ蚊は強い。
両手がふさがる仕事なので仕方なく無抵抗に刺される。次に眼の横を刺された。これが痛い!
大きく腫れあがったマブタは季節外れの「お岩さん」状態です。

夕方のチェロ練習時間になると今度は肘の裏側を刺される。死角になる場所なのでやぶ蚊にとってはうれしい2時間食べ放題時間なのだ。

ロンジンはヨロズ気をつけよ!
ウラブタを開ける際に密着度がメーカートップクラスなので傷をつけてしまう。みっともない傷をつけないようにオープナーは研いだものを使う。
また、修理後ウラブタを正確にリューズ穴の隙間に入るように締め付けないと巻き芯が折れる。
 ロンジンの特徴は針と針の間隔が狭い!時針を文字盤すれすれに押し込む。ここまで薄型の時計にしなくてもいいのになぁ~!とため息をつきたくなります。
お客の予算は少ないし、修理技術は高度な作業が必要だしキャンセルを喰らうたびに「うらめしや~!」とお岩さんになっていしまいます。

京都はサードチョイス。恨めしや~!
一番はないが2~3番手がしっかりそろっている町だと思う。

国内戦で「握り寿司」部門なら盛岡の三寿司が一番だ。岩手の水、あきたこまちのコメ、三陸の魚が見事にコラボしています。
「おでん」なら金沢・片町の赤玉、「焼肉」なら岡山表町3丁目、「焼鳥」なら東京上野、鳥でも「手羽先」だけなら名古屋コーチンの風来坊。
「餃子」なら浜松、「ラーメン」だけは京都の新福菜館と言いたいが私の一番は平戸のアゴ出汁ラーメン。肉まんは551の新大阪駅のふくよかなお姉さんがいる大阪だ。

負けない京都でダントツ一番なのがフレンチはじめ洋食でしょう。パンや洋食は激戦区どこに行ってもはずれがない。
 時計の修理は京都が一番!と言いたい。たぶん一番じゃないかと思う。
三条の「勝屋」、河原町高辻の「気持ち一番」の店タキダ、出町・鋸屋商店街の鋸屋時計店、千本「ミヤケ」さんなどなどずらりと腕のいい時計師の店があります。
仲間修理だけ専門にやっているお店もあるほど、時計を大切に使う街なのだ。
私は最後尾あたりをニコニコ走っている阪神タイガースのようなものか~?
せめて来期はAクラス入りを狙って頑張りましょうかね~。
明日一日は今宮神社の手作り市。
10時までにはやってこれると思います。では明日もよろしくお願いいたします。














コメント
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