京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「被害者の時間」

2016-09-12 09:29:21 | 時計修理

9月12日先勝の月曜日。
今週末の連休にかけて市内各所で名月祭が開催されます。
そんなことで木曜日15日は本能寺で放生会の足洗に参加のため夕方4時で受付終了になります。誠に勝手ながらよろしくお願いします。
「工房を開いて10年たったんやから刑期終了や!ちょっとくらい付き合ってもいいんとちゃうか~!」ということでお誘いが増えました。
「生きとし生きるもんに慈しみを~!」と放生会にちなんで私も放し飼いされてきますよ~ん。

最近、ネット通販で事故が増えました。
ポケットウオッチをネットで購入。到着後ネジを巻きあげても2時間で止まる!販売元はひげゼンマイの不良というが地雷を踏んだのかな~!と相談が来ます。
「一円の得にもならない」無料相談!
まず輸送時の梱包がダメ!知識のないアマチュアがよくやらかす事故です。みんなが被害者になってしまいます。
私のパスティーシュ工房や修理専門工房が宅急便での受付を断っているのも同じ理由です。
輸送途中で壊れる。
まず天真が折れるか曲がります。30センチ上から落としただけで曲がることがある。テスターで計測するとすぐにわかります。
天真折れの場合文字盤を上、下ひっくり返してどちらか一方が異常値をさすのです。
写真はニューヘブン懐中時計。テンプは直接石で受けているので少しのショックで曲がるのです。
ゆうパックなどで時計を送る際にはエアクッションをぐるぐる巻きにして送っても不安が残ります。
また再修理になるとうんざりなのです。東京のお客様のところまで運んで手渡ししたこともあるほど懐中時計は丁重に扱われます。

以前 機械式掛け時計(ボンボン時計)が送られてきた際にフリコやネジ巻きなどそのままの状態でダンボールで送ってきた人がいた。
到着時にガラスは割れてガチャガチャ言っているし黙って送り返したことがある。
こちらの責任にされると大変なのだ。そんな事情で手渡しのみの修理預かりになります。
また一般のお客様からボンボン掛時計の修理受付は現在お断りしています。
仲間修理だけでいっぱいいっぱいなのだ。
「みんなが被害者なら怖くない!」
時計量販店の店舗管理をやらされていたころ店の従業員のみなさんの被害者意識にびっくりしたことがある。
「土日祝日は出勤だし夜は7時までの営業なので友達と遊べない!どうしてくれる!」とクレームを言ってくる。(とっとと別な仕事を探してはどうですか?)と言いたいところだが「バイヤーが辞めろといった!」と大騒ぎになる。
「阪神の藤波は二十歳前後の遊び盛りで夜間勤務、おまけに週一の休みですよね~?友達とは遊べないし調子が悪いときには大阪中のみんなから総攻撃を受ける仕事やで!それに比べると僕らの仕事は楽なもんやで~。」とごまかす。
「労多く益少なし!」
時計業界で働く人たちの被害者意識は結構高いものがある。
時計を販売価格の60%で現金仕入れ、それを2割引きで売るのが市場価格なのです。
人件費を多くとれないのが苦しい実情なのです。

30歳前後でこの職業から離れていく人たちが多い。この9月から年末にかけてぞろぞろと出てくるのが特徴です。9月のメーカーの新製品展示会が終わるころにバイヤーが先の見込みがないので辞めていく。
その10月には係長が辞める。12月のボーナスが出た後に販売員が辞める。この順序で売り場には誰もいなくなるのだ!
結果、12月商戦ではいつも素人が売り場に立つことになるのです。

「そうだ、京都に住もう。」永江朗著。
北海道出身の人が京都でセカンドハウスを持つ話です。
「日本に京都があってよかった。」のへんてこりんなコピーに騙されたようなひとだ。
河原町丸太町の古い京町屋の一軒家をリノベーションしたのはいいのだが今風の吹き抜け天井にやっちまった京都時間だ。
この内装なら冬は寒く零下まで下がる、夏は暑い湿度70%気温30度の夜に耐えましょ!
窓を開けると虫が飛んでくるのでエアコンは常時稼働。本の見開きから寒々とした空間の写真に絶望的な気分になります。
おまけに月10日ほどの利用ではほとんど空き家だ。カビなどの呼吸器疾患が気になる。また物騒で近所迷惑だ。

京都初心者が地雷を踏むパターンです。すぐに手放すのはいいが人が常時住めるまでの原状回復にまた費用かかるでしょう。

作者はライターのお仕事のようです。
60歳に近い年齢でやたらこの本では若者向けのお店を紹介している。京都に来るたびにほとんど外食では奥さんが可哀想でもある。
村上春樹氏の「ダンス・ダンス・ダンス」に出てくる主人公が言う「雪かきの仕事」を思い出します。
料理を一口たべるお仕事。
お店の紹介に「菊の井」「ささき」「神馬」「大市」などは出てきません。
せっかく西陣に行って昼食をとるのに「宮重」「鳥せい」「咲くや」にも行けない。やはり相当可哀想な仕事である。
人間一日3食しか食べられないのだからお店は選びたいね~?
今日は月曜日。一日この残暑の暑さに耐えて頑張りましょうかね~。お昼は冷やしうどんにしましょ!












コメント
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