落ちなかったという落ち

2009年01月25日 17時01分00秒 | G地点 その他

 

カナちゃんである。まだ飼い猫にならず、ここにいる。
この日、カナちゃんは、小鳥を追って木に登り、
降りられなくなってしまった。
まあ、よくあることである。
読者もご存じの通り、猫は一般に、「登る」のは上手だが、「降りる」のは苦手である。
カナちゃんはまだ若いので、木登りや「木降り」の経験が浅いらしい。
時間はかかるが自力で降りるだろう、とボランティアさんはおっしゃる。
私もそう思った。
否、より積極的に、「自力で降りる(ことを学習する)べきである」と考えた。で、私も静観していた。
それにしても、なかなか降りられない。
哀れな声でニャーニャー鳴く。
こうなると助けたくなるのが人情というものである。
それに、まさか木の上で夜明かしさせるわけにもいかない。
ボランティアさんも私も、色々と骨折ってみたが、なにしろ足場が悪く、うまくいかない。
そこで、長い棒か板を持ってこようという話になったが、
結局、カナちゃんは自力で降りた。
後で調べてみたら、木の上にいたのは正味20分ほどであった。
降りてきたカナちゃんは、暫く興奮していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


宇宙の謎

2009年01月25日 15時07分00秒 | B地点 おかか

 

課長おむ耕作である。
出張で、木星に来ている。
探査船のデヴィッド・ボウマン船長との商談が目的である。
ところでボウマン船長は、宇宙空間の減圧のためか、体が多少、膨らんでしまっていた。

ぷっくり
耕作は、それを知らずに船長に会ったので、思わずこう口走ってしまった。
「膨満船長!」
「何だとーーーっ!?」

「わっ、すっ、すみませんっ!」
「……なんで漢字が判ったんだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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素でネタになる

2009年01月25日 14時52分00秒 | B地点 おかか

 

「おかか先生じゃありませんか」
「おう、カメラの若造か。どうした、元気がないようだな?」
「ええ、実は投稿するネタに困ってまして」

「ほほう?」
「よ~し、私がネタを提供してやろう。よく見ておけよ」

「うわあ、ありがとうございます!」
ころん
「先生、まさか、『寝た』っていうダジャレでは……」

「どきっ」
「そんなんじゃネタになりませんよ、先生」

「な、何だと?」
「ふん。私はもう帰る」

「あっ、すねた」

 

 

 

 

 

 

すねた→素ネタ、というダジャレだったらしい……

 

 

 

 

 

 

 

 

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いろいろと複雑

2009年01月24日 16時09分00秒 | B地点 おむ

 

「寒いねえ」
「顔がちょっと凶悪になっちゃうくらい、寒いねえ」
「早く春が来ませんかね、ねえ、おかか先生?」

「う~む」
「ねえ、カメラのお兄さん、なんとかならない?」
「んっ!? これはいいね!」
ぬくぬく うとうと

「……おむの奴、眠ってしまったよ」
ほこほこ すやすや

「……おむの奴、よく寝てるなあ」
「あ~あ、よく寝た!」

「お目覚めかい? いい夢を見たろう?」
「……まあ、素朴に、羨ましいなあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


慌てちゃったので

2009年01月23日 16時49分00秒 | B地点 おかか

 

いや~、今日はびっくりしたよ。
昼寝をしていた僕は、妙な気配で目が覚めたんだ。
ふと見ると、
タヌキだ!
「大変だ! おかか先生に知らせなきゃ!」
僕は先生のもとへと駆けつけた。
そしたら、そこにも白いタヌキが!
「誰がタヌキだ!」

「……あっ!? す、すみません」

 

 

 

 

 

 

本当にタヌキがおむさん達のテリトリーのすぐ近くまで来ていたのです。(この写真の原板は4コマ目のそれと同一。)

なお、「G地点」にいたタヌキはこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

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2009年01月21日 17時12分00秒 | B地点 おむ

 

世界はどんよりとした雲に覆われていて

カメラのお兄さんの膝の上に居ても
なんだか苦しい

差し迫った悩みがあるわけじゃないけど
重い気分から逃れることが
どうしてもできない
日が暮れて
川面に灯が映る

おかか先生の後ろ姿が
急に滲んでしまうのは

涙を抑えきれなかったせいなんだ
そういう時もあるんだよ
そういう日も多いんだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


落ちがなかったという落ち

2009年01月20日 16時30分00秒 | B地点 おむ

 

すやすや
「はッ!? 殺気!」
「そこだ!」

ズシャッ

オムイは剣を抜いて、
斬りつけた。

ザシューッ
「ぐはあーーーッ」
「オ、オチが無いぞ、オムイ……」

ガクッ
ぴらっ

「ふふ。オチはこの毛布の下に隠してあるのさ! ……あ、あれっ?」
「無い~っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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働く惑星

2009年01月19日 16時26分00秒 | B地点 おむ

 

 

 

※ ご注意 ※

以下は、『惑星ソラリス』のパロディです。いえ、パロディというほど立派なものではありませんが、ともかく、『惑星ソラリス』/『ソラリス』/『ソラリスの陽のもとに』の前半の核心となる設定の一部が、以下で用いられています。つまり、いわゆる「ネタバレ」です。映画および/または小説を未見/未読の方は、以下をご覧にならないよう、おすすめします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

課長おむ耕作である。
惑星ソラリスにたった一人で出張中なので、無聊をかこっている。
ところで、ソラリスの海は思考を現実化してしまう。
そこで耕作は、「串刺しにされた自分」や、
「胴長になった自分」などを現実化して、ヒマつぶしをしていた。
しかしやはり退屈なので、
腹心の部下、係長おかか豊作を思考してみた。

やがて、おかか豊作が現れた。

(直下につづく)

 

 

暫くは二人で楽しく過ごすことができたが、やはり退屈である。

そこで耕作は、「おかか豊作の顔がとんでもないことになる」と思考してみた。
その思考はたちどころに現実化された。

「あひゃっ!?」
「あーはっはっはーっ!」

「ひ、ひどいですよ、課長……」
「……す、すまん豊作」

「いえ、いいんです。どうせ私は複製ですから。それより課長、仕事をなさって下さい」
「おお、そうだな」

「そもそも、課長のここでの仕事って何ですか?」
「ソラリス映画の第三作を制作する企画があってね。その下調べだよ」

「ええっ!」
「課長、ソラリスは二つで充分ですよ」

「……やっぱり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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拈華微笑(後編)

2009年01月19日 15時50分00秒 | B地点 おむ

 

承前


先生は、そっぽを向いたまま、何も言わない

僕も、謝るべきだって、理屈では解っているのに、
意地を張ってしまって、何も言えない
でもとにかく、先生が帰って来てくれて嬉しかった
思わず顔がほころんだ
その瞬間、先生が振り向いたので、僕は慌てて、ヘンな顔をしてごまかした
けれど、先生には僕の笑顔を見られてしまっただろう
それでよかったと思うんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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拈華微笑(前編)

2009年01月19日 15時49分00秒 | B地点 おむ

 

僕は、おかか先生と、
ケンカをしてしまった
先生は、ぷいとどこかへ行ってしまった
先生がいなくなると、僕は不安になり、心配になった
どこへ行ったんだろう
先生が帰って来たら、謝ろう
やがて先生は帰って来た

謝らなくっちゃ……


つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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課長のイスでは不満です

2009年01月19日 15時44分00秒 | B地点 おむ

 

このパイプ・チェア。読者にはお馴染み、「課長のイス」である。
意外なことかもしれないが、おむさんがこの「課長のイス」に乗るのは、この日この時が初めてなのである。
「社長のイス」や「部長のイス」に比べて、これは小さすぎるのだ。
なんとか乗れたが……
お尻が、はみ出て……
ずるっと落ちてしまった。
おむさんには気の毒だが、この憮然とした表情がなんとも言えない。
おむさんは、乗ろうかどうしようか、しばらく考えていた。
が、黄色い毛布の中には、ほかほかのカイロが入っているので、やはり乗ることにしたようだ。
ひょい
どっこいしょ
ちょっと不満げ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


よくあることです

2009年01月18日 16時12分00秒 | B地点 おかか

 

「おかか先生、エネループカイロの準備ができましたよ」
「うむ、どうもありがとう。助かるよ」
「……?」
「おい、温かくならないぞ」

「また電池切れじゃないのかね?」

「変だな、充電したばかりですけど」

ひょい
カチッ
「スイッチが入ってなかったよ」

「ありゃ、失礼しました」