たまには、まじめな話を

2010年03月22日 17時10分00秒 | B地点 おかか

 

 

このテリトリーのボス猫は、おむさんです。

この塀の上は、彼の「玉座」です。

彼はいつもここから、自分の「王国」を睥睨しているのです。
さて、冬の間、ほとんど姿を見せなかったよっちゃんですが、
最近また、この時間に、しばしば現れるようになりました。
「ナンバー2」を自認しているおかか先生は、時に、よっちゃんを威嚇します。
先生は、よっちゃんを、テリトリーの一員として容認しています。

しかし先生は、自分の「ナンバー2」の地位が脅かされるような振る舞いを、許さないのです。
この日も、おかか先生とよっちゃんの間に、緊迫した場面が、何度かありました。
結局、よっちゃんは、逃げていきました。
その後ろ姿をじっと見詰める、おかか先生。
先生は、ナンバー2の証しとして、マーキング(尿スプレー)をします。

先生は今、発情しています。(ちょっと可愛い、独特の鳴き方をします。行動範囲も拡がっています。)
先生の尿です。
自らの「男の香り」を確認します。
そして、よっちゃんが逃げ去った方向を、もう一度、睨み付けるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


春の憂い

2010年03月22日 16時26分00秒 | B地点 おむ

 

 

なんだか元気が出ないや
川岸に降りるのも面倒な気がする
ここから動きたくない
桜が咲き始めて三日め
ここからもよく見える
一分咲きってとこかな
とっても綺麗だけど
愉快に浮かれる気分じゃないよ
咲いた時は嬉しかったけど
今はなぜか悲しい
美しいものって、悲しみを誘うよね
今日は不思議な日だ
カモさん達が、やたらと岸に上がってくる
恋の季節だしね
楽しそうに走り回ってる
でも僕は、そんな気分じゃないんだ
「おむさん、どうしたんだろう?」
「今日はずっと、あそこにいるよ」
「体調でも悪いのかな……?」
「おかか先生に相談してみよう」
「それっ」
「ねえねえ、おかか先生」
「先生ってば」

「ん? どうした?」
「何? おむの奴が、ふさぎ込んでる?」
「う~ん」
「解るような気がするな」
「春の憂い、ってやつだろう」
やがて、日が暮れてきました。
けれど、おむさんは、塀の上から動きませんでした。

―― こういうことが、時々、あるのです。


※ほぼ実話