嗚咽

2010年03月02日 16時21分00秒 | B地点 おかか

 

 

「……おい、若造」

「先日再会したピアスちゃんのことだが」
「その後、容態はどうかね?」
「ええっ、そんなに悪いのかっ!?」
「そ、そうか」
「可哀想になあ……」
「せめて餌が食べられればいいんだが……」
「だめか……」
「……」
「う、ううっ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


寄り添う

2010年03月02日 14時40分00秒 | B地点 その他

 

 

退院した翌日の、ピアスちゃん。
気分がいいようだ。
エアコンに加えて、石油ストーブで暖房。

ピアスちゃんはストーブが大好きだ。
天然もののネコジャラシで、ちょっぴり遊んだ。
画面に写っている人物は、筆者の母である。

母も猫好きなので、ピアスちゃんとはすぐに仲良くなった。

(母は絵を描くのが趣味なので、ピアスちゃんをスケッチしているのだ。)
私事で恐縮だが ―― ごく最近、母が重篤な心臓病を患っていることが判明した。

突然死のリスクが高い。

いま筆者がこれを書いている瞬間にも、母は文字通り突然に、死ぬかもしれない。
手術にもリスクがあるので、母は悩んだ末、手術を受けないことに決めた。ちょうどピアスちゃんが入院していた間のことである。

統計的に言うと ―― 母は、50%の確率で二年以内に死ぬ。
死病を宣告された一人と一匹が、この日、この時、寄り添って過ごした。
戸外は、春は名のみの寒さであったが、暖かい室内には、恐れもおののきもなかった。

ささやかな幸福に満ちた時間が、静かに過ぎていった。
ピアスちゃんが普通に餌を食べることができたのは、この日の午前まで。

以後はもう、自力で栄養を摂ることはできなくなった。
 

(追記) ピアスちゃんの記事の一覧は、こちらでご覧になれます。→ 「三年後の九日間」