―「記事(306)」を書き直します。―
(01)
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではありません。
に於いて、「日本語話者」の「直観」として、明らかに、
②=③ である。
然るに、
(02)
②(Pであって、Qでない。)
③(Qでなくて、Pである。)
に於いて、
②=③ である。
従って、
(02)により、
(03)
②(Pであって、Qでない。)といふことはない。
③(Qでなくて、Pである。)といふことはない。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(04)
②(Pであって、Qでない。)といふことはない。
③(Qでなくて、Pである。)といふことはない。
といふことは、
② Pであるならば、Qである。
③ Qでないならば、Pでない。
といふことに、他ならない。
従って、
(03)(04)により、
(05)
② Pであるならば、Qである。
③ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(06)
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
12 (4) Q 12MPP
123(5) ~Q&Q 34&I
1 3(6)~P 25RAA
1 (7)~Q→~P 36CP
(ⅱ)
1 (1)~Q→~P A
2 (2)~Q A
3(3) P A
12 (4) ~P 12MPP
123(5) P&~P 34&I
1 3(6) ~~Q 25RAA
1 3(7) Q 6DN
1 (8) P→ Q 37CP
従って、
(06)により、
(07)
② P→ Q=Pであるならば、Qである。
③ ~Q→~P=Qでないならば、Pでない。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(08)
命題「PならばQ」の真偽とその対偶「QでないならPでない」の真偽とは必ず一致する(すなわち真理値が等しい)。
(ウィキペディア改)
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
② Pであるならば、Qである。
③ Qでないならば、Pでない。
に於いて、
②と③ は、「対偶(Contraposition)」であって、それ故、必然的に、
②=③ である。
従って、
(09)により、
(10)
② 大野ならば、私です。
③ 私でないならば、大野ではありません。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(11)
② 大野ならば、私です。
③ 私でないならば、大野ではありません。
といふことは、
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではありません。
といふ、ことである。
従って、
(01)~(11)により、
(12)
② 大野は私です(大野ならば私である)。
③ 私以外は大野ではない(私でないならば大野ではない)。
といふ「対偶(Contraposition)」に於いて、
②=③ である。
といふ「直観」は、「論理的」にも、「正しい」。
従って、
(13)
② 大野は私です(大野ならば私である)。
③ 私以外は大野ではない(私でないならば大野ではない)。
に於いて、
②=③ であることは、「対偶(Contraposition)」として、
②=③ であるため、この「等式」を、「否定」することは、出来ない。
然るに、
(14)
(3) 未知と既知
この組み合わせは次のような場合に現われる。
私が大野です。
これは、「大野さんはどちらですか」というような問いに対する答えとして使われる。つまり文脈において、「大野」なる人物はすでに登場していて既知である。ところが、それが実際にどの人物なのか、その帰属する先が未知である。その未知の対象を「私」と表現して、それをガで承けた。それゆえこの形は、
大野は私です。
に置きかえてもほぼ同じ意味を表わすといえる(大野晋、日本語の文法を考える、1978年、34頁)。
従って、
(14)により、
(15)
① 私が大野です。
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(16)
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではない。
といふ「日本語」は、
② ∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)}
③ ∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)}
といふ「述語論理式」に、相当する。
(17)
② 私は大野であって、大野は私です。
③ 私は大野であって、私以外は大野ではない。
といふ「日本語」は、
② ∃x{私x&大野x& ∀y(大野y→x=y)}
③ ∃x{私x&大野x&~∃y(大野y&x≠y)}
といふ「述語論理式」に、相当する。
cf.
記述の理論(theory of descriptions)。
然るに、
(18)
「正確に(exactly)」に、「大野といふ唯一の人間がゐる。」といふ場合には、
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではない。
ではなく、
② 私は大野であって、大野は私です。
③ 私は大野であって、私以外は大野ではない。
とするのが、「正しい」。
然るに、
(19)
今、知りたいのは、
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではない。
といふ「日本語」は、「
② ∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)}
③ ∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)}
といふ「述語論理式」に、相当するか、否か、であるため、取り上げるべきは、
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではない。
であって、
② 私は大野であって、大野は私です。
③ 私は大野であって、私以外は大野ではない。
ではない。
然るに、
(20)
(ⅱ)
1 (1)∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)} A
2 (2) 私a& ∀y(大野y→a=y) A
2 (3) 私a 2&E
2 (4) ∀y(大野y→a=y) 2&E
2 (5) 大野b→a=b 4UE
2 (6) ~大野b∨a=b 5含意の定義
7 (7) 大野b&a≠b A
8 (8) ~大野b A
7 (9) 大野b 7&E
78 (ア) ~大野b&大野b 89&I
8 (イ) ~(大野b&a≠b) 7アRAA
ウ(ウ) a=b A
7 (エ) a≠b 7&I
7 ウ(オ) a=b&a≠b ウエ&I
ウ(カ) ~(大野b&a≠b) 7オRAA
2 (キ) ~(大野b&a≠b) 28イウカ∨E
2 (ク) ∀y~(大野y&a≠y) キUI
2 (ケ) ~∃y(大野y&a≠y) ク含意の定義
2 (コ) 私a&~∃y(大野y&a≠y) 3ケ&I
2 (サ)∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)} コEI
1 (シ)∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)} 12サEE
(ⅲ)
1 (1)∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)} A
2 (2) 私a&~∃y(大野y&a≠y) A
2 (3) 私a 2&E
2 (4) ~∃y(大野y&a≠y) 2&E
2 (5) ∀y~(大野y&a≠y) 4含意の定義
2 (6) ~(大野b&a≠b) 5UE
2 (7) ~大野b∨~(a≠b) 6ド・モルガンの法則
2 (8) ~大野b∨a=b 7DN
2 (9) 大野b→a=b 8含意の定義
2 (ア) ∀y(大野y→a=y) 9UI
2 (イ) 私a& ∀y(大野y→a=y) 3ア&I
2 (ウ)∃x{私x& ∀y(Fy→x=y)} イEI
1 (エ)∃x{私x& ∀y(Fy→x=y)} 12ウEE&
従って、
(20)により、
(21)
② ∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)}
③ ∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(21)により、
(22)
② あるxは私であり、すべてのyについて、yが大野であるならば、y(大野)はx(私)に等しい。
③ あるxは私であり、あるyが大野であって、そのy(大野)がx(私)と等しくない。といふことはない。
に於いて、
②=③ である。
従って、
(22)により、
(23)
② あるxは私であり、すべてのyについて、yが大野であるならば、y(大野)はx(私)に等しい。
③ あるxは私であり、あるyが大野であって、そのy(大野)がx(私)以外である。といふことはない。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(24)
② すべてのyについて、yが大野であるならば、y(大野)はx(私)に等しい。
③ あるyが大野であって、そのy(大野)がx(私)以外である。といふことはない。
といふことは、要するに、
② 大野は私である。
③ 私以外は大野ではない。
といふ、ことである。
従って、
(22)~(24)により、
(25)
② 大野は私である =∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)}。
③ 私以外は大野ではない=∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)}。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(26)
②「私」は「1人しかゐない」。
従って、
(27)
②「大野は私です。」といふ風に、「私(1人)」が、「本当のこと」を言ふのであれば、
③「私以外は大野ではない。」といふことに、ならざるを得ない。
従って、
(25)(26)(27)により、
(28)
わざわざ、
② 大野は私である =∃x{私x& ∀y(大野y→x=y)}。
③ 私以外は大野ではない=∃x{私x&~∃y(大野y&x≠y)}。
といふ「等式」を、「計算(Predicate calculation)」によって、「証明」しなくとも、
② 大野は私です。
③ 私以外は大野ではない。
に於いて、
②=③ である。
といふことは、固より、「当然」である。
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