日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(789)三上章の「第一・第二名詞文」。

2020-12-27 13:59:57 | 「は」と「が」

(01)
① 犬は動物である(が、犬以外にも、動物はゐる)。
② 犬は最古の家畜である(が、犬以外に、最古の家畜はゐない)。
然るに、
(02)
A⊆B:集合Aは、集合Bの真部分集合である。
A=B:集合Aと、集合Bは等しい(2つの集合の要素が同じである)。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「集合」の「記号」を用ひるならば、
① 犬⊆動物
② 犬=最古の家畜
といふ、ことになる。
従って、
(04)
① 犬は動物である。
② 犬は最古の家畜である。
といふ「日本語」は、「文型」としては、両方とも、
① ABである。
② ABである。
であるものの、
① A⊆B
② A=B
といふ風に、「区別」出来る。
然るに、
(05)
{犬、猫、馬}
であるならば、
① 犬は動物である。
② 猫も動物である。
③ 馬も動物である。
然るに、
(06)
{犬、机、桜}
であるならば、
① 犬は動物である。
② 机は動物ではない。
③ 桜は植物である。
従って、
(06)により、
(07)
{犬、机、桜}
であれば、
① 何動物であるか。
と言へば、
① 犬動物である。
然るに、
(08)
{犬、机、桜}
であれば、
{犬}以外={机、桜}
は、動物ではない
従って、
(07)(08)により、
(09)
① 犬動物である
③ 犬以外は動物ではない
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(10)
② 動物は犬である。
③ 犬以外は動物ではない
に於いて、
②=③ は、「対偶(Contraposition)」である。
cf.
(ⅱ)
1  (1) ∀x(動x→犬x)  A
1  (2)    動a→犬a   1UE
 3 (3)      ~犬a   A
  4(4)    動a      A
1 4(5)       犬a   24MPP
134(6)   ~犬a&犬a   35&I
13 (7)   ~動a      46RAA
1  (8)   ~犬a→~動a  37CP
1  (9)∀x(~犬x→~動x) 8UI
(ⅲ)
1  (1)∀x(~犬x→~動x) A
1  (2)   ~犬a→~動a  1UE
 3 (3)        動a  A
  4(4)   ~犬a      A
1 4(5)       ~動a  24MPP
134(6)    動a&~動a  35&I
13 (7)  ~~犬a      46RAA
13 (8)    犬a      7DN
1  (9)    動a→犬a   38CP
1  (ア) ∀x(動x→犬x)  9UI
従って、
(09)(10)により、
(11)
① 犬動物である。
動物は犬である。
③ 犬以外は動物ではない
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(12)
{犬、桜}
であるならば、
① 動物犬であり、
② 植物犬である。
従って、
(11)(12)により、
(13)
{犬、桜}
であるならば、
① 動物犬である。
は動物である。
③ 動物以外(植物)は犬ではなく、桜である。
従って、
(13)により、
(14)
{犬、桜}を、{対象}とするならば、
① 動物犬である。
は動物である。
③ 動物以外(植物)は犬ではなく、桜である。
といふ「日本語」に、「不都合」は無い
然るに、
(15)
 どれ君の傘です?
 私幹事です。
 この犬昨夜吠えたのです。
 誰猫にえさをやっているのです。
これらのセンテンスには、「Ⅹは」が含まれてはいませんが、無題文と呼ぶわけにはいきません。語順をひっくり返すと「Ⅹは」が隠れていると見て、陰題文と呼ばれています。それに対して、「Ⅹは」が現れている方は、顕題文です。
このように、隠題文と表裏を成している顕題文つまり有題文を、三上は第二名詞文としています。第二名詞文は、第一名詞文、たとえば、
 犬は動物である。
のような名詞文(措定)と区別しなければなりません。「犬は動物である。」をひっくり返した「動物犬である」は、意味を成さないからです。
(山崎紀美子、日本語基礎講座、三上文法入門、2003年、56頁)
従って、
(14)(15)により、
(16)
「犬は動物である。」をひっくり返した、
「動物犬である」は、意味を成さない。
といふ言ふものの、
{犬、桜}を{対象}とする限り、
① 動物犬である。
は動物である。
③ 動物以外(植物)は犬ではなく、桜である。
といふ「日本語」に、「不都合」は無い
然るに、
(16)により、
(17)
第二名詞文は、第一名詞文、たとえば、
 犬は動物である。
のような名詞文(措定)と区別しなければなりません。
従って、
(01)(03)(16)(17)により、
(18)
三上章先生 が言ふ所の、
① 犬は動物である(第一名詞文)。
に於ける、
①「は」は、「⊆」に「相当」し、
② 犬は最古の家畜である(第二名詞文)。
に於ける、
②「は」は、「=」に「相当」する。
然るに、
(19)
「何動物であるか。」といふ「問ひ」に対しては、
「一言では、答へようが無い」が、
「何最古の家畜か。」といふ「問ひ」に対しては、
「犬最古の家畜である。」といふ風に、「答へること」が、出来る。
従って、
(18)(19)により、
(20)
②「=」に「相当」する「は」は、
②「」に「置き換へ」ることが、出来る。
然るに、
(21)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。 と直して初めて主辞賓辞が適用されるのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私理事長です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
従って、
(20)(21)により、
(22)
② 私=タゴール記念会の理事長。
② タゴール記念会の理事長=私。
といふ「等式」が、成立する。



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