日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(487)分かりにくいが、極めて、重要な「仮定の解消(CP)」について(Ⅱ)。

2020-01-30 15:28:36 | 論理

(01)
①「風邪を引いた」ので、「会社を休む」。
と言へるのであれば、
②「風邪を引いた」ならば「会社を休む」。
といふことが、言へなければならない。
従って、
(01)により、
(02)
①「Pである」ので、「Qである」。
と言へるのであれば、
②「Pである」ならば「Qである」。
といふことが、言へなければならない。
従って、
(02)により、
(03)
①「Pである」ので、「Pである」。
と言へるのであれば、
②「Pである」ならば「Pである」。
といふことが、言へなければならない。
然るに、
(04)
29 P├ P
   1(1)P A
これ以上短い連式は証明できないし、またその証明は可能な最も短い証明である。
No shorter sequent than this can be proved, and its proof is the shortest possible proof.
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、44頁と、原文)
然るに、
(05)
「・・・・・という仮定が与えられるならば、・・・・・と正しく結論することができる」という煩雑な表現の略記法があれば好都合であろう。このためわたしは、論理学の文献のなかでしばしば、しかし誤解を招きやすい仕方で、断定記号(assertion-sign)、
 ├ 
を導入する。これは「故に」(therefore)と読むのが便利であろう。
(E.J.レモン、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学入門、16頁)
従って、
(04)(05)により、
(06)
① P├ P
といふ「連式(sequent)」は、
①「Pである」ので「Pである」。
といふ「意味」である。
然るに、
(07)
(ⅰ)
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
といふ「計算(calculus)」は、
① P├ P
②   ├ P→P
といふ「連式(sequents)」に、相当する。
然るに、
(08)
②   ├ P→P
といふ「連式」は、
②「Pである」ならば「Pである」。
といふ「意味」である。
従って、
(03)(07)(08)により、
(09)
(ⅰ)
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
といふ「計算」は、
①「Pである」ので、「Pである」。
と言へるのであれば、
②「Pである」ならば「Pである」。
といふことが、言へなければならない。
といふことを、示してゐる。
然るに、
(10)
(ⅱ)P→P├ ~P∨P
1  (1)    P→P   A
 2 (2) ~(~P∨P)  A
  3(3)   ~P     A
  3(4)   ~P∨P   3∨I
 23(5) ~(~P∨P)&
        (~P∨P)  24&I
 2 (6)  ~~P     35RAA
 2 (7)    P     6DN
12 (8)      P   17MPP
12 (9)   ~P∨P   8∨I
12 (ア) ~(~P∨P)&
        (~P∨P)  29&I
1  (イ)~~(~P∨P)  2アRAA
1  (ウ)   ~P∨P   イDN
(ⅲ)~P∨P├ P→P
1     (1) ~P∨ P   A
 2    (2)  P&~P   A
  3   (3) ~P      A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5) ~P& P   34&I
  3   (6)~(P&~P)  25RAA
   7  (7)     P   A
 2    (8)    ~P   A
 2 7  (9)  P&~P   78&I
   7  (ア)~(P&~P)  29RAA
1     (イ)~(P&~P)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~P   A
    ウエ(オ)  P&~P   エオ&I
1   ウエ(カ)~(P&~P)&
          (P&~P)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~P   7カRAA
1   ウ (ク)     P   キDN
1     (ケ)  P→ P   ウクCP
従って、
(10)により、
(11)
②  P→P
③ ~P∨P
に於いて、
②=③ である。
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
(ⅰ)
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
といふ「計算」は、「途中」を「省略」して、
1(1) P   A
 (2) P→P 11CP
 (3)~P∨P 2含意の定義
といふ風に、書くこと出来る。
然るに、
(13)
1(1) P   A
 (2) P→P 11CP
 (3)~P∨P 2含意の定義
といふ「計算」は、
① P├  P
②   ├  P→P(同一律
③  ├ ~P∨P(排中律
といふ「連式」に相当する。
然るに、
(14)
③  ├ ~P∨P(排中律
といふ「連式」は、
③ Pでないか、または、Pである
といふ、「意味」である。
然るに、
(15)
 (3)~P∨P
であるならば、
 (3)~真∨真 であるか、
 (〃)~偽∨偽 であるかの、いづれかである。
然るに、
(16)
 (3)~真∨真
 (〃)~偽∨偽
であれば、
 (3) 偽∨真
 (〃) 真∨偽
である。
然るに、
(17)
 (3) 偽∨
 (〃) ∨偽
は、「真理表(Truth table)」により、両方とも、「」である。
従って、
(14)~(17)により、
(18)
     ②  P→P すなはち、
   ③ ~P∨P は、
    ③ ~真∨真 であるか、あるいは、
    ③ ~偽∨偽 であるが、いづれにせよ、「真」である。
然るに、
(19)
     ②  P→P すなはち、
   ③ ~P∨P は、
    ③ ~ であるか、あるいは、
    ③ ~ であるが、いづれにせよ、「」である。
といふことは、
②   ├  P→P(同一律)
③  ├ ~P∨P(排中律)
に於いて、 Pの「真偽」は、「未定」である。
といふことに、他ならない。
従って、
(06)(12)~(19)により、
(20)
① P├  P
②   ├  P→P(同一律)
③  ├ ~P∨P(排中律)
に於いて、
① Pの「真」は、「定」であって、
② Pの「真」は、「定」であって、
③ Pの「真」は、「定」である。
然るに、
(21)
(1) P   A
 (2) P→P 11CP
 (3)~P∨P 2含意の定義
といふ「計算」が、仮に、
1(1) P   A
(2) P→P 11CP
(3)~P∨P 2含意の定義
と書かれるとするならば、その場合は、
② Pの「」は、「定」であって、
③ Pの「」は、「定」である。
といふことを、示してゐる。
(22)
例へば、
(ⅲ)~P∨P├ P→P
1     (1) ~P∨ P   A
 2    (2)  P&~P   A
  3   (3) ~P      A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5) ~P& P   34&I
  3   (6)~(P&~P)  25RAA
   7  (7)     P   A
 2    (8)    ~P   A
 2 7  (9)  P&~P   78&I
   7  (ア)~(P&~P)  29RAA
1     (イ)~(P&~P)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~P   A
    ウエ(オ)  P&~P   エオ&I
1   ウエ(カ)~(P&~P)&
          (P&~P)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~P   7カRAA
1   ウ (ク)     P   キDN
1     (ケ)  P→ P   ウクCP
といふ「計算」に於ける、
1     (1)
 2    (2)
  3   (3)
 2    (4)
 23   (5)
  3   (6)
   7  (7)
 2    (8)
 2 7  (9)
   7  (ア)
1     (イ)
    ウ (ウ)
     エ(エ)
    ウエ(オ)
1   ウエ(カ)
1   ウ (キ)
1   ウ (ク)
1     (ケ)
といふ「部分」は、
1   ウエ(カ)
であれば、 (〃)の「行」では、
1     (1) ~P∨ P   A
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~P   A
といふ「3つ仮定」が「」である。といふことが、その時点に於いて、「確定」である。
といふことを、示してゐる。
従って、
(20)(21)(22)により、
(23)
(ⅰ)
① P├  P
②   ├  P→P(同一律)
③  ├ ~P∨P(排中律)
に於いて、
① Pの「真」は、「定」であって、「定」ではなく、逆に、
② Pの「真」は、「定」であって、「定」ではなく、同じく、
③ Pの「真」は、「定」であって、「定」ではないのであれば、
といふのであれば、
1(1) P   A
 (2) P→P 11CP
 (3)~P∨P 2含意の定義
といふ「計算」を、
 (1) P   A
(2) P→P 11CP
(3)~P∨P 2含意の定義
といふ風に、書くことは、出来ない。
然るに、
(24)
困難さの第二の理由には、自然演繹には「仮定の解消」(最初に仮定しておいて、あとでなかったことにする)という手続きがあり、それがなかなか理解しづらいことです。自然演繹は、「仮定の解消」のおかげで公理なしに演繹システムになり得ており、その意味で「仮定の解消」は自然演繹の本質だと言っても過言ではありません(小島寛之、証明と論理に強くなる、2017年、144頁)。
従って、
(23)(24)により、
(25)
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
といふ「計算」に於ける、「仮定の解消」とは、
① P├ P
②   ├ P→P(同一律)
に於いて、
① Pの「真」は、「定」であって、「定」ではなく、逆に、
② Pの「真」は、「定」であって、「定」ではないからである。
といふ風に、「説明」することが出来る。
従って、
(03)(25)により、
(26)
①「Pである」ので、「Pである」。
と言へるのであれば、
②「Pである」ならば「Pである」。
といふことが、言へなければならない
といふことと、
① P├ P
②   ├ P→P(同一律)
に於いて、
① Pの「真」は、「定」であって、「定」ではなく、逆に、
② Pの「真」は、「定」であって、「定」ではない。
といふことによって、
1(1)P   A
 (2)P→P 11CP
といふ「計算」に於ける、「仮定の解消」を、「説明」することが出来る。
然るに、
(27)
然形
(c)
「ば」に続いて「仮定条件」を表す。
然―「未だ然からず」、すなわち「まだそうなっていない」の意である。
然形
(a)「ば」「ども」に続いて「確定条件」を表す。
然―前の「未然」の反対で、「已に然り」、すなわち、「すでにそうなっている」の意である。
(中村菊一、基礎からわかる古典文法、1978年、23・24頁)
従って、
(26)(27)により、
(28)
①「Pである」ので、「Pである」。
と言へるのであれば、
②「Pである」ならば「Pである」。
といふことが、言へなければならない。
といふことは、「古文」で言ふと、
① Pな然形)ば、Pなり。
と言へるのであれば、
② Pな然形)ば、Pなり。
といふことが、言へなければならない。
といふことに、相当する。
従って、
(26)(27)(28)により、
(29)
① P├ P
②   ├ P→P(同一律)
といふ「連式」は、
① Pな然形)ば、Pなり。
② Pな然形)ば、Pなり。
といふ「日本語」に、相当する。



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