日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(143)「雑説、韓愈」に於ける「連言の否定」(Ⅲ)。

2019-01-26 09:36:46 | 訓読
―「昨日の記事(142)」を書き直します。―
(01)
(a)
1  (1)~(Q&P)  A
 2 (2)  Q     A
  3(3)    P   A
 23(4)  Q&P   23&I
123(5)~(Q&P)&
       (Q&P)  14&I
12 (6)   ~P   35RAA
1  (7) Q→~P   26CP
(b)
1 (1)  Q→~P   A
 2(2)  Q& P   A
 2(3)  Q      2&E    
 2(4)     P   2&E
12(5)    ~P   13MPP
12(6)  P&~P   45&I
1 (7)~(Q& P)  26RAA
(02)
(c)
1  (1) Q→~P   A
 2 (2)    P   A
  3(3) Q      A
1 3(4)   ~P   13MPP
123(5) P&~P   24&I
12 (6)~Q      35RAA
1  (7) P→~Q   26CP
(d)
1  (1) P→~Q   A
 2 (2)    Q   A
  3(3) P      A
1 3(4)   ~Q   13MPP
123(5) Q&~Q   24&I
12 (6)~P      35RAA
1  (7) Q→~P   26CP
従って、
(01)(02)により、
(03)
① ~(Q& P)=Qであって、Pである。といふことはない。
②   Q→~P =Qであるならば、Pでない。
③   P→~Q =Pであるならば、Qでない。
に於いて、
①=②=③ であるが、このとき、
①=② を、「含意の定義」と言ひ、
  ②=③ を、 「対偶」と言ふ。
然るに、
(04)
1 (1)  P     A
 2(2)~(Q& P) A
 2(3)  Q→~P  2含意の定義
 2(4)  P→~Q  3対偶
12(5)    ~Q  14MPP
∴ (6)P,~(Q&P)├ ~Q
cf.
1 (1)     Pである。          仮定
 2(2)QであってPである。といふことはない。 仮定
 2(3)Qならば、Pでない。          2含意の定義
 2(4)Pならば、Qでない。          3対偶
12(5)     Qでない。          14前件肯定。
∴ (6)Pである。QであってPである。といふことはない。├ Qでない。 
従って、
(03)(04)により、
(05)
① Pである。QであってPである。といふことはない。├ Qでない。 
といふ「連式(sequent)」、すなはち、
① P,~(P&Q)├ ~Q
といふ「連式(sequent)」は、「妥当(valid)」である。
然るに、
(06)
~ = 不
& = 而
├ = 故
である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① P、不(Q而P)故 不Q。
といふ「連式」は、「妥当」である。
従って、
(07)により、
(08)
P=食馬(馬を養ふ)。
Q=知其能千里(其の能の千里なるを知る)。
であるとして、
① 食馬、不(知其能千里而食馬)。故、不知其能千里。
といふ「連式」は、「妥当」である。
然るに、
(09)
① 馬を養ふ者(食馬者) は、当然、
① 馬を養ふ(食馬)。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 食馬者、不(知其能千里而食馬)。故、不知其能千里。
といふ「連式」は、「妥当」である。
然るに、
(11)
也(断定) は、「・・・・・であるのだ」といふ「肯定」を「意味」する。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① 食馬者、不(知其能千里而食馬)也。故、不知其能千里也。
といふ「連式」は、「妥当」である。
然るに、
(13)
(ⅰ)
① 食(馬)者、不〔知(其能千里)而食〕也。
に於いて、
① 食( )⇒( )食
① 不〔 〕⇒〔 〕不
① 知( )⇒( )知
といふ「移動」を行ふと、
① 食(馬)者、不〔知(其能千里)而食〕也⇒
① (馬)食者、〔(其能千里)知而食〕不也=
① (馬を)食ふ者は、〔(其の能の千里なるを)知りて食は〕ざるなり=
① 馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知って養ふ。〕といふわけではないのだ。
(ⅱ)
① 不〔知(其能千里也)〕也。
① 不〔 〕⇒〔 〕不
① 知( )⇒( )知
といふ「移動」を行ふと、
① 不〔知(其能千里也)〕也⇒
① 〔(其能千里也)知〕不也=
① 〔(其の能の千里なるを)知ら〕ざるなり=
① 〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
従って、
(12)(13)により、
(14)
① 食(馬)者、不〔知(其能千里)而食〕也。故、不〔知(其能千里也)〕也。⇔
① (馬を)養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知って養ふ。〕といふわけではないのだ。故に、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
といふ「連式(漢文・訓読)」は、「妥当」である。
然るに、
(15)
① 馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知って養ふ。〕といふわけではないのだ。
といふのであれば、
①「知る・知らない」の「主語」は、
①「馬を養ふ者」である。
従って、
(14)(15)により、
(16)
① 食(馬)者、不〔知(其能千里)而食〕也。故、不〔知(其能千里也)〕也。⇔
① (馬を)養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知って養ふ。〕といふわけではないのだ。故に、馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
といふ「連式(漢文・訓読)」は、「妥当」である。
然るに、
(17)
① (馬を)養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知って養ふ。〕といふわけではないのだ。故に、馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
といふ「連式(訓読)」が、「妥当」である。以上、当然、
② (馬を)養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ずに養ふのだ。故に、馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
といふ「連式(訓読)」も、「妥当」である、はずである。
然るに、
(17)により、
(18)
① 故に、馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
② 故に、馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
といふ風に、「結論が等しい」といふのであれば、
① (馬を)養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知って養ふ。〕といふわけではないのだ。
② (馬を)養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ずに養ふのだ。
といふ「前提」は、「同じ意味」であるに、違ひない。
然るに、
(19)
① 馬を養ふ者は、其の馬の能力が千里であることを知って養ふ。といふわけではない。
といふのであれば、
② 馬を養ふ者は、其の馬の能力が千里であることを知らずに、養ふ。
といふことになるし、
② 馬を養ふ者は、其の馬の能力が千里であることを知らずに、養ふ。
といふのであれば、
① 馬を養ふ者は、其の馬の能力が千里であることを知って養ふ。といふわけではない。
といふ、ことになる。
従って、
(19)(20)により、
(21)
① 故に、馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
② 故に、馬を養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ないのだ。
といふ風に、「結論等しい」が故に、
① (馬を)養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知って養ふ。〕といふわけではないのだ。
② (馬を)養ふ者は、〔(其の馬の能力が千里であることを)知ら〕ずに養ふのだ。
といふ「前提」は、「同じ意味」になる。
cf
1 (1)  P     A
 2(2)~(Q& P) A
 2(3)  Q→~P  2含意の定義
 2(4)  P→~Q  3対偶
12(5)    ~Q  14MPP
12(6)  P&~Q  15&I
∴ (7)P,~(P&Q)├ P&~Q
  (〃)食馬者、不(知其能千里&食馬)。故、食馬者&不(知其能千里)。
  (〃)食馬者、不(知其能千里&食馬)。故に、馬を食ふ者は、其の能の千里なるを知らず。
  (〃)食馬者、不(知其能千里&食馬)。故に、馬を養ふ者は、其の能の千里なるを知らずに養ふのだ。
然るに、
(22)
② 食(馬)者、不〔知(其能千里)〕而食也。
に於いて、
② 食( )⇒( )食
② 不〔 〕⇒〔 〕不
② 知( )⇒( )知
といふ「移動」を行ふと、
② 食(馬)者、不〔知(其能千里)〕而食也⇒
② (馬)食者、〔(其能千里)知〕不而食也=
② (馬を)食ふ者は、〔(其の能の千里なるを)知ら〕ずして食ふなり=
② 馬を養ふ者は、(其の馬の能力が千里であることを知ら)ずに養ふ。のだ。
(13)(21)(22)により、
(23)
① 食(馬)者、不〔知(其能千里)而食〕也。⇔(馬を)食ふ者は、〔(其の能の千里なるを)知りて食は〕ざるなり。
② 食(馬)者、不〔知(其能千里)〕而食也。⇔(馬を)食ふ者は、〔(其の能の千里なるを)知ら〕ずして食ふなり。
といふ「二つの、漢文訓読」は、「書き下し文」は違ってゐても、「意味」としては、「同じ」である。
然るに、
(24)
◆ 不 其能千里 而食 也 この句は、別に、
「不 其能千里 而食  也」と返り点をつけて「その能の千里なるを知らずして食ふなり。」(=その能力が千里もあるのを知らずに養っている。)と訓読することができる(赤塚忠・遠藤哲夫、漢文の基礎、1973、156頁)。
従って、
(23)(24)により、
(25)
① 食(馬)者、不〔知(其能千里)而食〕也。
② 食(馬)者、不〔知(其能千里)〕而食也。
といふ「漢文」に対する、
① 不 其能千里 而食 也。
② 不 其能千里 而食  也。
といふ「二つの、返り点」は、「意味としては同じである。」といふ、ことからすれば、「どちらでも良い」。


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