興浜(おきのはま)で候 

興(こう)ちゃんの手掘り郷土史

山本家住宅 (その7ステンドグラス・浴室)

2017年07月19日 | 山本家住宅

洋館部分の”応接室”・”書斎”と和室部分である”離れ和室”の動線上に水廻り関係の”お手洗い”・”浴室”・”洗面所”があります。
”お手洗い”を過ぎて天井を見上げると、おしやれな六角形のステンドグラスが現れます。
天窓(トツプライト)からの自然光を取り入れる構造となっています。
当時としては斬新なアイデアだったと思われます。
自然の光でぬくもりを感じる事が出来るようになっています。
この家を訪れたゲストの皆さんを驚かした事でしょう。
暗くなれば電球で明かりが点くようになっています。


(その5書斎)で山本家のステンドグラスは、大阪の宇野澤ステンド硝子製作所が製作したようです。と書きました。
この事については、ステンドグラスについて調べておられる方からも連絡が有りましたし、これから間違い無く明らかになる事でしょう。
再度説明を記載します。

※明治23年宇野澤辰雄がドイツ留学より帰国。帰国後東京でステンドグラス製作を開始。
  明治39年宇野澤ステンド硝子工場設立。(宇野澤辰雄・辰雄養父宇野澤辰美・別府七郎・木内慎太郎)
  大正5年木内慎太郎 大阪末吉通り4丁目に宇野澤組ステンドグラス工場大阪出張所を開業。
この木内慎太郎氏の作品でしょう。
舞子ホテル(旧日下部久太郎別邸)に山本家住宅と同時期に製作されたステンドグラスがあるので掲載しておきます。

          『舞子ホテルHP』より 

天窓(トツプライト)のステンドグラスがある廊下の横に浴室・脱衣場があります。
床と浴槽が大理石で造られています。
見あげて頂くと天井も素晴らしいつくりとなっています。

浴室の天井は、和風建築のシャンデリアとも呼ばれる唐傘天井(からかさてんじょう)という珍しい天井構造になっています。
唐傘天井は、古い旧家に今でも見ることが出来ますが、その技術を伝える人が少なく、新しく家を建てる際に取り入れることは殆どなくなってしまいました。昔も、庄屋・旅籠と言った、上層階級の人が住む家や、高級な旅館でしか取り入れられず、高い技術力が必要とされました。

中央の電球が付いたところから湯気を排出していました。
大理石でできた浴槽を良くご覧下さい。
現在は外で沸かした湯を循環させる構造に変更されていますが、当初は循環させる孔はあいておらず、使用人が外で湯を沸かして左側の扉から運び込んでいたそうです。温かい風呂になるまでは相当な時間がかかったそうです。

床は大理石・腰部分はタイル・壁の板は高野槇が使われています。

脱衣場より浴室の扉を閉めてご覧下さい。
扉の取手部分が黒く輝いています。ここにも高級銘木の黒柿が使われています。

浴室の扉のガラスと脱衣場の窓のガラスは「結霜ガラス」です。

天井をご覧ください。脱衣場の天井は、格天井になっています。

 

協力:網干歴史ロマンの会・あぼしまちボランティアガイド
    銘木関係:原匠江尻店長

参考文献:日本のステンドグラス宇野澤辰雄の世界(白楊社)

※山本家住宅を見学された方はご存じのように、立ち入り禁止箇所からの写真が掲載されておりますが、山本家住宅を管理しております「網干歴史ロマンの会」の了解を得ております。
見学の際は調度品等を傷めるケースがありますので、赤い絨毯部分のみからの見学にご協力をお願い致します。

※山本家住宅は、第1、第3日曜日の10時00分~16時00分に公開中です。



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