今回は書斎です。
タイトル写真は、山本家住宅の見所のひとつである、植物の曲線を取り入れたアールヌーボー風ステンドグラスの出窓です。
部屋からと外側からの写真を並べています。
山本家のステンドグラスは、大阪の宇野澤ステンド硝子製作所が製作したようです。
※明治23年宇野澤辰雄がドイツ留学より帰国。帰国後東京でステンドグラス製作を開始。
明治39年宇野澤ステンド硝子工場設立。(宇野澤辰雄・辰雄養父宇野澤辰美・別府七郎・木内慎太郎)
大正5年木内慎太郎 大阪末吉通り4丁目に宇野澤組ステンドグラス工場大阪出張所を開業
【アール・ヌーボー】
19世紀末~20世紀初頭にかけて、ベルギーやフランスを中心にヨーロッパ各地に波及したデザイン様式。
植物の茎や蔓、炎、波を思わせる曲線の流れに特徴があり、建築・家具では、ビクトール・オルタ、ヴァン・デ・ヴェルデ、エクトール・ギマール、工芸ではエミール・ガレなどの作品がこの様式の典型とされ、スペインのアントニ・ガウディにもこの傾向との共通性が認められる。
1895年パリにできた美術店、アール・ヌーボーの名に由来しています。
蟇股の付いた大理石のマントルピースがあり、まるで部屋全体が応接室と同じようにエ芸作品の様になっています。
床の寄木細工は応接室とは、模様も木材も違っています。
高級銘木の欅(けやき)・楓(かえで)・楢(なら)を使用しています。
壁紙の模様は、複雑で綺麗な模様です。
天井の照明の中心飾りの漆喰装飾はこの書斎の物が一番複雑な模様で手が掛っているように思われます。
応接室同様、この部屋の調度品も葉アザミの模様をモチーフにしているようです。
もちろん、オンリーワンの特注オーダー品ですね。
机の上には、山本真蔵氏の感謝状等々が飾られています。
机の引き出し取っ手部分は高級銘木の黒柿です。
このキャビネットの側面の綺麗な板は楢(なら)材です。
小さな鏡も付いて細やかな細工が施されています。
扉を縦割りの木材で構成して曲線にスライド開閉するように細工されています。
この本棚も葉アザミ模様が入っています。この取っ手部分も高級銘木黒柿です。
隣のサンルームとの窓には、タンバリンを持って新体操をしているような、ステンドグラスがはめ込まれています。
書斎隣りのサンリームは、見学時は立ち入り禁止区間になっております。
綺麗なタイル貼りの部屋で、天井照明の漆喰での中心飾りも他の部屋とは異なっています。
協力:網干歴史ロマンの会・あぼしまちボランティアガイド
銘木関係:原匠江尻店長
※山本家住宅を見学された方はご存じのように、立ち入り禁止箇所からの写真が掲載されておりますが、山本家住宅を管理しております「網干歴史ロマンの会」の了解を得ております。
見学の際は調度品等を傷めるケースがありますので、赤い絨毯部分のみからの見学にご協力をお願い致します。
※山本家住宅は、第1、第3日曜日の10時00分~16時00分に公開中です。