先週の4日(金)は会社から振替休暇をもらい、土日と合わせて3連休。
これは年に一度あるかどうかのビックチャンス!
家族の同意も得て、カミキリシーズンの貴重な3日間を
まるまる採集に当てることが出来ただけでも嬉しいのである。
とりあえずの目標は「未採集のカミキリを5種ゲット」すること。
札幌に留まっては結構キツイ目標なのだが、
高地性の種が生息する東大雪方面では決して不可能な目標ではない。
憧れの地、東大雪方面では、未採集のカミキリが多種生息している。
例えばエゾスミイロハナ、クビボソハナ、シララカハナ、キタクニハナ、アラメハナ、
カタキカタビロハナ、ヨコグロハナ、アオヒメスギ、ミドリヒラタ等々。
道内に生息するカミキリ240種弱のうち、
まだ160種チョットしか採集していないカミキリ中級レベル?の自分には夢のような採集地なのです。
しかも、北海道で生まれ育ち、道内各地を仕事場としている自分にとっても、
一度も足を踏み入れたことがないエリア。
いったいどんな場所なんだろうか・・・。ものすごく期待に胸が膨らむのでありました。
●7月4日(金)
AM4:30
ワクワクしすぎて早く目が覚める。
天気が悪そうだったのでゆっくり7:00起きの予定だったのだが・・・
いてもたってもいられず、出発の準備をして最新の十勝地方の天気予報を調べる。
4日「曇り時々雨 気温14~28℃ 湿度90%」
5日「くもり 気温16~28℃ 降水確率30%」
6日「曇り時々晴れ 気温18~28℃ 降水確率10%」
・・・前半は悪そうだが、後半に掛けて天気は回復しそうだ。
でも最近の天気予報は毎日大きく変更する不安定さ。
しかし、結果はどうなろうと遠征できるチャンスは今回しかないのだ。
AM5:30 いざ出陣!
AM6:00
むむっ!早速、小雨が降り出してきた・・・。
AM7:00
普通に雨降ってます・・・。
AM8:00
ワイパーを強くしても前が見えづらい土砂降り・・・。
AM9:00
十勝地方に入り雨が上がるが、ひたすら真っ直ぐな道で眠気が・・・
AM10:00
現地に近づくと再び小雨状態・・・
AM10:30
なんだかんだで、札幌を出て5時間、約250km走って目的地の一つの某ダム付近に到着。
今日は天気が良くないので、各林道の下見をすることとしよう。
まもなく見つけた薪置き場。
軽く様子を見てみると・・・。
ん?
おおっ!
シラホシヒゲナガコバネカミキリ[Molorchus minor]自己初
なななんと、いきなりの未採集種ゲット!
札幌以北に分布するカミキリで札幌市内でも珍しくないのだが、
自分には今まで縁がなかったカミキリの一つ。
主に夕方に活動するカミキリなので、曇っていたのが幸いしたか。
でも、これ1頭のみ。
これは♀で、想像していたより大きかった。
この時、「意外とイケルかもぉ~」なんて考えてしまったのが、後から考えると非常に甘かった・・・
目的地といってもとにかく広大なエリアである。
もたもたしていると日が暮れる。
下見なのでパッと見きりをつけ、すぐさま移動しないと時間が勿体無いのである。
各林道は比較的走りやすく、一般乗用車でも奥まで通行可能だった。
しかし、期待していた土場は無かった。
加えて、ツルアジサイ、ショウマ、エゾニュウなどのセリ科の花、
オニシモツケなどカミキリが集まりそうな花も見渡す限り何も無い・・・。
雨も降ったり止んだりで、捕虫網や叩き網は水滴を受けてただ重くなるだけ。
最悪の条件の中、本日唯一のツルアジサイの花で得られたのはミドリ、ツヤケシハナぐらい・・・。
他にはオオヨモギでケマダラを1頭見ただけだったかな?
現実は厳しい。
冒頭のシラホシヒゲナガコバネとの遭遇はただ単に運が良かっただけなのか・・・。
夕方まで、時間の許す限り各林道をチェックしたのだが、蒸し蒸ししている割には蟲蟲していないのだ。
今回の採集行に暗雲が立ち込める・・・。
PM5:00
峠の手前にぽつんと一軒ある喫茶店に入る。
周辺はルピナスが咲き乱れ、その中に廃線後のプラットホームがあるだけの不思議な空間。
山小屋風のお店に入ると、カウンターにはカミキリムシの標本箱があった。
何故か初めて来た感じがしない。
落ち着いた雰囲気の中で店のおばさんに虫採りに来ている事を話すと、
「最近は国有林の伐採をしていないので付近に土場が無いんだよねぇ」
と、なんともショックなお言葉。そして、
「今年は虫が少ない感じがするよ。昔は虫屋さんがたくさん来てくれたけど、最近は目っきり来なくなったねぇ。」
・・・
「隣町では伐採しているみたいだから土場があるかもしれないよ。」
!
この最後の一言が一筋の希望の光となったのは言うまでも無い。
ちなみにこのお店で夕食としてカレーを頂いたが、
本格的に作り込んだ野菜たっぷりのカレーは辛さ控え目、上品な味わいで美味しかったです。
PM6:00
そろそろ寝場所を決めようと、何気に入った場所で湿地を発見。
北海道の湿地にはお決まりの・・・
・・・がウジャウジャ居たのだが、他の種は見当たらない。
とりあえず陽が落ちるまで付近の枯木を叩いたりしていると、
複数のクチブトコメツキに混じって、ちょっと平べったい虫が落ちた。
おや?
ぬぬぬ!
もしや狙っていたナガクチキかも・・・
ラウスナガクチキ[Prothalpia rausuana]
(※採集後に撮影したものです。)
やっぱりそうだ!
国内では北海道と本州の高地に分布する珍しい種類で、
この個体は谷地坊主の間から生えるヤナギの衰弱部分から木から得られた。
本日の最後に良い虫に出会えて一安心
就寝までの間、ラジオを聴きながら採集品の整理をしていると、明日の天気予報が聞こえてくる。
「明日の上川地方は曇り(一時雷)、十勝地方は午前中晴れ・・・」とのこと。
これは山を越えて土場があるかもしれない隣町に移動するしかない。
加えて、ターゲットはシララカでもエゾスミイロでもなく、局地的に分布する珍なトラを狙ってみよう!
という訳で、山奥なのに夜間も18℃の蒸し暑さの中で車中泊しました。
寝苦しい・・・
つづく・・・