キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

日高地方のアイヌキン採集

2006年10月20日 | オサムシ科
9月の第4週某日
日高方面の仕事の帰りにオサムシトラップを仕掛けました。
対象はアイヌキンオサの亜種、コルベキンとヒダカキン。

アイヌキンオサムシの個体数ピークは、山地に生息するものでは盛夏の頃、低地に生息するものは春と晩夏の消長パターンである。
まだ、ほんの少しでも活動している事を信じ、コルベキン用に約200個、ヒダカキン用に約30個を設置したのであった。



3週間後・・・



10月の第2週目の某日
まずはコルベキンのトラップ回収。
コルベキンは他の地域にはない独特の色彩で有名だ。鞘翅が濃紺になる個体が出現し、大型である。個人的には未採集もの。
現場に着くまでの道のりは、期待と緊張で非常にドキドキした。




コルベキンの主な生息地の環境はカシワ林。林床の笹は薄く、トラップは比較的仕掛けやすい場所である。
9月下旬からこれまでの気温は、概ね高めの推移しており、10月でも20度を越す日もあったくらいだ。まだまだ越冬はしていないだろう(多分・・・)


「いざ回収!」っと気合を入れてみたものの、トラップの上には分厚く落ち葉のフタがしてあった。10月は落葉の時期。虫が活動しているか否か以前の問題で、自分にとっては計算外の事であった。
それでも、少しの希望を持って、トラップの上の落ち葉をめくっていく。
センチコガネとシデムシ類が少数、良くて、クロナガオサとセダカオサが落ちている程度・・・。



半数くらい回収した頃であろうか?
なかば諦め掛けていた時、一筋のヒカリがトラップの底から見えたのであった!。



ピカーッ

うひょ~!遂に自己初コルベをゲットした。 ウルウル、感動。



再び、ピカーッ

「よっしゃ~!」誰もいない林内に響く声!
このトラップの中に落ちているキラキラを眺めるがとても好き
まさしくオサムシは歩く宝石。

この後、更に4回の「ピカーッ!」を体験。
お寒い季節だというのに、感動で気持ちは暖かくなってきた。



それでは採集結果をご覧下さい




コルベキンオサムシ[Procrustes kolbei kolbei]★★★



上記個体の斜め写真(コルベ1号)



(コルベ2号)



(コルベ3号)



(コルベ4号)



(コルベ5号)


コルベ6号はボロボロなので、割愛させていただきます








気を良くして、ヒダカキンのトラップ設置場所へ向かった。
こちらは沿岸から少し内陸に入り、標高は100m位の低山地。


環境的にはミズナラ、ハルニレ、シラカンバなどの普通の広葉樹林である。
林床は笹が繁っていてトラップの設置はしづらかった。

トラップ数も少ないので全く期待していなかったのだが・・・



ヒダカキンオサムシ[Procrustes kolbei hidakamontanus]★★★


ピカーッ!と1個体ゲットです。
コルベと違って青味は無く、トラップに落ちている時は黄緑っぽく見えるのである。
こんな感じで今回は、時期外れでしたが、まずまずの結果が得られたのである



既に10月も半ば。峠では雪の便りも聞こえてきた。
採集対象となる虫は数少ないが、山に入ればヒグマに遭遇する機会は多い。
現地でもクマの鳴き声を聞いたり、牧場内を走る子グマを見たりと、今年は多いなぁという印象だ。

全国的にクマの事故も増えているようなので、皆さんも十分お気をつけ下さい。


(ヒグマの古い爪痕です)