キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

ホッチャレ

2006年10月15日 | 動物
この言葉が北海道以外で通用するのか否かは知らない。

聞いたことがない方のために「ホッチャレ」の意味を説明します。

それは、数年間、北の海を旅した後に故郷の川の遡上し、「産卵」という大事な役目を終えボロボロになったサケ、もしくはその死骸のこと。



ホッチャレが見られる川というのは、サケが自然産卵している川だけである。
河口付近にウライ(遡上してくるサケの捕獲罠)が設置されている川では、まず見られない光景だ。

この写真を見て、「気持ち悪い」とか「怖い」などと思う方も居るかも知れない。
しかし、この様な姿になったサケ(ホッチャレ)にも、まだ大事な役目がある。

ホッチャレは哺乳類や鳥類(特にオジロワシやオオワシ)の重要な餌となり、そして、河畔林はホッチャレの栄養素を取り入れ豊かに育つのだ。
河畔林が豊かであれば川魚も豊富で、また、その川の水が注ぐ海域の生物も豊富になる。
大昔は北海道中で当たり前の光景であったはずだが、河川改修、ダムの設置等による産卵場所の減少、水産資源の管理という名目でサケが河口でほとんど捕獲されている現状がある。



近年は魚道の整備や、ウライの撤去などでサケの自然産卵が可能になった河川も多くなった。
元々の自然のサイクルを取り戻した河川は、そのうち昆虫相も豊かになるに違いない。