医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

禁煙外来あるのに、灰皿が見つかった市立病院

2014-07-30 06:26:23 | 医療と介護

読売新聞 2014年7月29日(火) 配信

 千葉県銚子市立病院は28日、保険適用による禁煙治療の条件の一つである敷地内禁煙に違反していたとして、診療報酬など約280万円を自主返還すると発表した。
 同病院は監督責任を問い、理事長と院長、事務長の3人をそれぞれ減給10分の1(1か月)の処分とした。処分日は6月30日。
 発表によると、自主返還の対象としたのは、事務長が灰皿を発見した2012年度から、同市議会議員協議会で議員から指摘を受けた今年6月2日までに禁煙外来を受診した83人187件分の診療報酬と薬代。返還分は処分を受けた理事長ら3人が個人負担する。

災害時の歯科医療強化で高知県と高知大、徳島大などが協定

2014-07-30 06:14:01 | 歯科
高知 新聞 2014年07月29日08時23分
平時から医科とも連携
 糖尿病やがん対策などで医科と歯科の連携を進めようと、高知県と高知県歯科医師会、医学部のある高知大学、歯学部のある徳島大学、歯科衛生士を養成する高知学園短期大学が28日、歯科保健医療に関する協定を結んだ。平常時での連携を南海トラフ地震対策にもつなげる計画。高知県によると、県外大学を交えた協定は全国でも珍しいという。


ラーメンの「旅路」

2014-07-29 07:12:42 | 創作欄
店前に掲げられていたラーメンの旗に似合わずその店は「旅路」という情緒的な店名であった。
マスターの船橋暁人は取手の老舗の和菓子屋の長男であったが、中学から地元ではなく東京の中高一貫教育の学校で学んだ。
だが、高校生になると東京の渋谷界隈や新宿でナンパに明け暮れるようになった。
このため大学へ進学することなく自堕落な生活を送り、挙げ句の果ては水商売の女と同棲した。
相手は新宿のキャバレーで働く女であった。
親には大学へ進学をしたと嘘をついていたのだ。
だが、その女が妊娠したことから、事態は思わぬ方向へ発展した。
女の兄だと名乗る男が、船橋暁人の実家に乗り込んできたのだ。
「俺はお宅の倅さんの大野達夫さんと同棲している小泉志津香の兄の達郎だが、妹ことで話をつけに来た」
和菓子屋には3人の客が来ていた。
船橋暁人の姉の亮子は心の動揺を抑えながら、「奥へどうぞ」と迎え入れた。
1階の居間には70歳の祖母が居てテレビを見ていたので、西日が差し込んでいた2階の座敷に男を案内した。
結局、船橋暁人は、姉にも説得され責任をとる形で小泉志津香と結婚した。
そして、東京の生活を切り上げ取手に戻ってきて「旅路」という店を始めたのだ。
妻の志津香は東京の生活に未練を残していた。
「茨城県は私の肌に合わないよ」志津香は愚痴をこぼしていた。
「そんなこと言うなよ。住めば都と言うじゃないか」暁人は懇願するように言った。
「私のことを、本当に愛しているなら、東京へ戻ってよ。私は取手が合わないのよ」志津香は不機嫌になるばかりであった。

責任ある人の幼稚なふるまいが通る社会

2014-07-28 23:18:27 | 阿部和弘主管の歯科医院経営クラブ
「公」が崩壊している
読売新聞の編集委員・芥川喜好さんの指摘に目がとまった。
環境大臣の失言、都議会議員暴言、県会議員の号泣。
実に無節操である。
再発防止に努めよう、というような当事者たちの申し合わせが形式的に行われ、3日も過ぎれば忘れ去られる。
だから不祥事は繰り返される。
問題はもっと根源的なところにあるだが、肝心なそのことが検証されていない。
芥川さんは、「都議会におけるあの差別的なおやじは、重大な人権問題であると同時に、「公」というものが崩壊してしまっている光景でもありました」と指摘している。
「やじに割乗りした者、知らぬふりを決め込んだ者、幕引きを急がせた者、いずれも公人意識のかけらすら感じられません」
子どもは大人の縮図といわれてもいるが、いじめの構図に似ている。
いじめは「幼さ」に起因しているが、不祥事議員に共通するのも、「幼さ」である。
「誰が言ったんだ」「早く名乗り出ろよ」「ぼくは知らないよ」というやりとりは、まさに子どもの間のもめごと。
8年前に読売新聞に寄稿した哲学者・鷲田清一さんの「現代おとな考」は、冒頭「わたしたちの生きているこの社会は成熟した社会なのか、それともただの幼稚な社会なのか」と提起した。
「責任ある人の幼稚なふるまいが通る社会は、皮肉にも成熟した社会なのかもしれない」と鷲田さんは言及している。
「現代の価値観に従って、多くの人は自分の権利と利益の追求だけで育ってきました。問題に率直に向き合い、あるいは他を思いやり、人にゆずり、時に自分の利を棚上げにするような潔さ、つまり大人の流儀を学んでこなかった。公人とはいうのは、一人一人の大人にとって、人ごとではないのです」
実は当方は今、産経新聞の記事をそのまま引用し、ブログに転載しただけで、訴えられて被告の身に置かれている。
ある人は、「100%、裁判に勝てる」と慰めてくれます。
原告側は本人ではなく、従業員のアルバイトの人が当方の自宅に電話をしてきました。
そして、「これ以上、僕たちをいじめないでください」と懇願したそうです。
当方は留守で、電話に出たのは家人です。
ブログの記事の削除要請を一度もせず、記事9か月後の「突然の訴訟」に対して「理不尽だ」と憤慨しています。
そして被告側には「どこに落ち度があったのか?」と反問しています。
結果として、ブログは閉鎖に追い込まれ、次のブログで裁判の経緯と心情を記載したら、前回の500万円の損害賠償訴訟とは別に今度の訴訟では1000万円の損害賠償を請求されています。
被告の立場で怒りは心頭に達しています。

歯科検診「協力事業所」 認定51社と報告

2014-07-28 13:27:21 | 歯科

愛媛新聞 2014年07月26日(土)

歯科検診の受診促進を目指す検討協議会  

働き盛り世代の歯科検診の受診率向上を目指す検討協議会が25日、愛媛県松山市北持田町の県中予地方局であった。従業員に検診や歯石除去を推奨する「愛顔(えがお)の健口(けんこう)協力事業所」に認定した企業が7月現在、51社に上ったと県が報告した。
 県歯科医師会や松山法人会と連携し、2013年度から取り組む「中予モデル」構築事業の一環。協力事業所の従業員は検診を2000円で受診できる。
 松山法人会は「長期的に見た場合、労働損失を防げるメリットを事業所に説明した」と報告。「従業員の口臭などを指摘するのは難しいが、制度を理由に検診を勧められるようになった」との声が聞かれたという。

文化としての女性像

2014-07-28 12:59:48 | 政治・社会・経済問題

――意識の底にあり、分からないでいる男女差別

日経 編集部から

 都議会での女性議員へのやじ問題で、ずっとひっかかっていることがありました。
やじられた直後に女性議員が浮かべた小さな笑みについてです。「苦笑いを浮かべた」
と報じたメディアもあります。ひと言で表現すればそうなのでしょうが、内心に強い
怒りを感じているにもかかわらず、その場は笑わざるを得なかった心境を思うと、も
う少し複雑な反応だったのではないかという気がしていました。

 彼女はなぜその場で笑わざるを得なかったのか、笑顔の裏で何を思っていたのか、
同じ境遇に置かれれば誰でも彼女のように反応するのか。そんな疑問に答え、なんと
なく感じていたことを明確な言葉にしてくれたのが、長野美穂さんの「都議会やじ差
別発言、アメリカだったら…」です。女性であり、異文化体験の豊富な長野さんだか
らこその分析を読んで、日本の男社会で育った自分の理解が至らないわけもよくわか
りました。
(日経 電子報道部長 小森敬介)

都議会やじ差別発言、アメリカだったら…
米国在住ジャーナリスト 長野美穂


 「都議会での例の問題発言について、アメリカではどう受け止められているか、長野さん、コメントしてくれませんか? 今なら明日の朝刊に間に合いますんで!」。
 LA時間の深夜、日本の某新聞社の記者さんから電話がかかってきた。
 今では日本国内外であまりにも有名になった都議会の例のシーン。最初にそれをCNNの報道で見た時、一番印象に残ったのは、塩村議員のとっさの反応と、それを受けての周囲の議員たちの反応だった。
 驚いてはっと顔を上げ、発言者の方向を見た彼女は、とっさに言葉に詰まった。そして、次の瞬間には表情がぎこちないほほ笑みに変わった。首を傾けながら「ふーっ」と息を吐き出し、ほほ笑みとも困惑とも取れる表情を浮かべてスピーチを続けようとする彼女。そして彼女を取りまいたのは周囲からの笑い声だった。
 見た瞬間、いやーな感じがわき上がってきた。昔、自分がセーラー服を着た中学生だった頃、身動き取れないほど混んだ朝の電車の中で、痴漢に遭って「やめてください」と小さく声を上げても、周囲の大人の男性たちが誰ひとりとして助けてくれなかった時の「あの感覚」が蘇ってきた。
 「キャリー」というホラー映画で、主人公のキャリーが天井から降ってきた豚の血を浴びせられるいじめ場面があるが、まるでそのシーンを見せられているような気もした。
 投げつけられた差別発言のひどさは当然ながら、侮辱を受けた女性議員が、我慢して無理にほほ笑んで「自衛」するしかなかったその場の空気。そこに日本社会の闇の深さが見えて、切なくて、胸が痛んだ。
 議長が差別発言にストップをかけるでもなく、彼女を擁護して「やめろよ」と立ち上がる男性議員がひとりもいない環境で、女性議員がサバイバルするために瞬間的に身につけるしかなかったあの「微笑」なのだと思うと何とも悔しくて切ない。
 小さい頃から常に気配りや女子力を要求され、嫌がらせは上手にやり過ごせ、と社会から刷り込まれて育った日本女性が、公の場で、腹の底からの本気の怒りを表現することをずっと許されないできた社会の無言の圧力。
 そして、その根の深い閉塞感。
 これは日本で生まれ育った女性なら、肌でいやっていうほどわかるから、よけいに、はらわたが煮えくりかえるわけだ。
■差別を受ける側が安心して怒れない理由
 「アメリカやイギリスの女性なら、あの場面で黙って我慢しない。激怒して当然だし、そうしてるはずだ。日本女性ももっと強くなって男勝りになって欲しい」という趣旨のコラムをネット上で読んだが、筆者の男性は、なぜ塩村議員があの場でとっさにほほ笑んで「自衛」するしか手がなかったのか、その理由がわかっていないのか? と歯がゆく思う。
 アメリカ人女性なら、恐らくあの場でスピーチを中断し、発言が飛んできた方向に向かって「今の発言は誰ですか? どういうつもりですか?」と追及するだろう。でも、それは、アメリカ人女性の個人個人が勇気があって強いからではない。
 アメリカ社会、特に議会などという公人ばかりが集まる場面では「差別発言はそれだけでアウト」という「建前」が徹底しているからだ。
 米国でも国政に携わる連邦議会の議員が連邦議会内で発言をする場合、その発言を理由に訴訟を起こされることはないという「議員特権」が与えられている。
 だから例え連邦議会内で連邦議員が鈴木議員と同じ発言をしたとしてもその議員が訴えられることはない。
 だが、セクハラ発言や差別発言は、言った瞬間に自らの政治生命をその場で終了させる自殺行為だということは、住民から票を入れてもらって現在の職につけた人間なら、当然知っているのが当たり前だ。
■男女平等の「建前」が公の場で徹底しているということの意味
 公の場では「男女平等」の「建前」が徹底しているアメリカ社会では、女性が侮辱されて本気で怒っていい時に、女性が「女子力」という名の「手加減」や「ほほ笑み」を周囲から要求される社会ではない。
 そういう社会で赤ちゃんの時から育ってきたアメリカ女性たちが、「結婚したらいいんじゃないか」というスカッド・ミサイルを撃ち込まれたら、その場で瞬間的に厳しく抗議できるのは、当たり前のことなのだ。
 女性が腹の底から本気の怒りを顔いっぱいに100%自由に表して理不尽な扱いに怒ることが「レディらしくない」と批判されることがなく、当然「正しいこと」と完全に容認されている社会だからこそ、アメリカ人女性は安心して怒ることができるのだ。
 アメリカでも昔、南部の黒人奴隷には白人の主人に怒る権利などなかった。理不尽な差別に怒りを表現したら、必ず仕返しされるか、下手したら半殺しにされるとわかっているから怒りを抑圧するしかなかった。
 つまり、自分の人権が完全に保証されている場だと肌で感じられなければ、人は安心して怒りを自由に表現することなどできないのだ。

■男性ボスから言われた言葉「一歩下がって歩かないで!」
 実際には男女差別が存在するアメリカ社会で、この「建前」である男女平等がどのぐらい「公」で徹底しているかを実感したことがある。
 日本から北ミシガンの人口6000人の小さな街に移り住み、その街の新聞社で記者として働きはじめた第一日目、エディターのボスのケンから「ミホ、一緒にランチに行こう」と誘われた。
 レストランまで歩く道のりで、ケンは私にこう言った。
 「ミホ、私の一歩後ろを歩くのはやめてくれないかな。これじゃ、私がとんでもない男女差別主義者に見えちゃうよ。頼むから私の横に並んで歩くか、むしろ、私の半歩先を歩いてよ。お願いだから」。
 そう言われるまで気づかなかったが、無意識のうちに、自分より年上で、目上であるボスのケンよりも半歩から一歩後ろを歩いていた。
 その違和感を瞬時のうちに察知し、即座に私に指摘したケン。
 ああ、これがアメリカ人の男性ボスと一緒に、米国のアメリカ企業で働くということなんだな、と私が最初に実感した瞬間だった。
 小さな田舎街の唯一の新聞社のエディターとなれば、多くの人から「識者」として扱われ、街は知人だらけというのがケンの立場だ。議員ではないが、ほぼ公人と同じだ。白人だらけの街で、アジア人の女性を後ろに従えるようにして歩いている自分が周囲からどう見られるか、彼は一瞬で判断し、自分に被害が及ぶ前に危機管理をしたのだった。
■職場で誕生日を祝っても決して年齢は聞かない
 そしてその同じ年の私の誕生日には、マネジング・エディターが「みなさん、今日はミホの誕生日です!」と言って、ニューズルームでケーキをサプライズで用意してくれていた。
 「ハッピーバースデー!」と何十人もの社員から次々お祝いの言葉を受ける中で、ただの一度も「で、いくつになったの?」と私に聞く男女はいなかった。年齢を聞くこと、特に女性の年齢を聞くことは、アメリカ企業では絶対にタブーだからだ。
 アメリカ企業に入社する場合、「年齢、性別、人種差別などを我が社は許さないが、これに同意するか」という契約書にサインするのが普通だけに、年齢を聞くことは下手したら年齢差別になってしまうという共通認識なのだ。
 その後、大都会であるロサンゼルスの米新聞社に入社しても、年齢や結婚しているかどうか、子供がいるかどうかを同僚や上司から直接聞かれたことはない。
 隣に座って何年も一緒に仕事をしている男性の年齢や年収を私は知らないし、向こうも私に絶対に聞かない。年齢に関しては、男性からだけではなく、女性のボスや女性記者から聞かれたことも一度もない。
 例外はたった一度だけ、別部署の同僚の中国系のアメリカ人女性と一緒にテニスコートでテニスをしている時に「ねえ、同じアジア人の女性同士だから聞いちゃうけど、ミホはいくつなの?」と尋ねられた時だ。彼女は中国で育ち、アメリカに両親と一緒に移民してきた人だった。
 それが十数年間の私のアメリカ生活で、アメリカ人からたった一度だけ年齢を聞かれた体験だった。
■無菌室に菌が侵入したらレッドフラッグが上がる
 新聞記者やエディターというのは、言葉でご飯を食べている人間たちだ。そのせいか、私は議論の下手なアメリカ人記者や、自己主張をしないエディターをまず見たことがない。相手を瞬時に刺すような鋭い毒舌や、時にはFワードが機関銃のように飛び交うのがニューズルームだ。
 そんな中でも、サッカーで相手の身体を掴んだりするのがルール違反なように、年齢はいくつか、結婚歴や離婚歴があるか、または太っているやせているなどの身体的特徴などに関して、同じ職場で働く者同士、コメントしたり、質問したりしないのが最低限のお約束なのだ。
 職場では個人のプライバシーに関することは、相手が開示しない限り、完全にオフリミットなのだ、とみんな無言のうちに見事に「建前」を共有している。
 それは個人が内心どんな偏見を持っていようと、公の場ではそれを口にしないことを意味する。差別発言を口にした瞬間、職を失う危険がある。終身雇用制が存在しないというのは、そういうことなのだ。
 だから、どの米国企業や議会の内部でも、日頃「結婚しないのか」や「産んだらどうか」などの発言がない場所で、アメリカ人女性は生活しているわけだ。
 少なくとも建前上はそうだ。
 そんな中で差別発言を投げつけられたら、無菌室の中に菌が入り込んできたようなものだ。発言を聞いたとたんに誰の脳のセンサーでもその菌の存在が即座に認識でき、レッドフラッグが上がる。
 そんな場合、米国議会なら周囲から「異議あり!」と差別発言に対して声が上がるはずだ。これも、米議員の正義感が、日本人議員より強いからではない。
 「差別発言を聞いて反論せずに沈黙していること」イコール「差別発言に賛成している」と判断される徹底したスピーチ文化の米社会だから、自分の政治生命を何としても守るために「私はこんな差別発言には反対だ」と有権者らに公に示し、議事録に記録してもらう必要があるのだ。

■人種差別だらけの土地で、Fワードを暗記した日々
 女性差別も人種差別もそれだけで「公」ではアウトな行為だが、アメリカの土を踏んだとたん、私は自分の肌の色を理由に、差別発言を投げつけられるという経験を数限りなく味わってきた。ミシガンの田舎町で、すれ違いざまに集団で歩いている白人少年や白人男性たちから「チャイニーズ・ゴーホーム!」と叫ばれたことは何度もある。白人の友人と一緒にいる時は決して言われないが、ひとりだとこういう差別攻撃に遭った。それが現実だ。
 そんな時、どう対応するか。
 まず、初めて人種差別発言を投げつけられた時は、ショックで頭が真っ白になった。ものすごくひどいことを言われたことはわかる。すれ違いざまに予告なく爆弾を落とされた感じだ。でも、そのショックをすぐに「怒り」として表現できないのだ。発言者が笑いながら通り過ぎ、彼らが見えなくなった時、心の底から怒りがわき上がってくる。
 「あ、私、これ、怒っていいんだ」と遅まきながら脳が認識できるのもその時だ。
 時間差があるのだ。
 そうなると悔しくて眠れない。
 道で差別発言を何度か叫ばれるうちに、瞬時にしてやり返すにはどうしたらいいかを本気で考えた。
 同僚男性記者たちに相談すると「これを言え」と「相手を瞬殺できる破壊力満載のFワード」をいつくか教えてくれた。単なる「ファ××・ユー」では破壊力が足りないと、同僚たちはもっと長い複雑なフレーズ、特にデトロイトのゲットー出身の英語ネイティブが使うようなFワードのフレーズを教えてくれた。
 そう、ミシガン州はあのラッパーのエミネムを生んだ土地である。Fワードにも多彩な種類があり、エミネムの歌詞のように高度に韻を踏んだFワードは、こちらをガイジンだとバカにしている英語ネイティブの相手に、最大限の不意打ちとダメージを与えることができる。
 それを全てポストイットの紙に書き、車のダッシュボードに貼り、運転している間に何度も練習した。
 差別用語のミサイルが撃ち込まれたら、瞬時に考えずに口から出るように、異なる差別用語ごとに別のFワードをアレンジし、この言葉を言われたらコレ、あの言葉ならこっち、とパブロフの犬のように言えるように、脳神経に叩き込んだ。発音が悪くて相手に通じなかったら意味がない。徹底的に発音にも注意を払い、大きく口を開けて練習した。
 そんなある日、信号待ちで、Fワードを練習していたら、隣の車の運転席にいた知り合いの近所のお兄ちゃんが心底びっくりした顔をした。
 その瞬間、何やってるんだろう、私、と我に返った。自分がやっていることは「目には目を」のハムラビ法典手法で、自分の中に憎悪しか生まないことに気づき、一気に空しくなったのだ。
 
■白人のみの論説委員室で、人種差別発言が出る現実
 そんな中、アメリカ社会では、男女差別発言は決してしない人でも、人種差別発言と取れる言葉をふとした瞬間に発してしまう人も結構いることに、気づいた。
 特に同じ人種しかいない内輪空間ではその可能性が高まる。
 「うちの論説委員たちのエディトリアル・ミーティング、あれ、ひどいよ。もし黒人かアジア人がいたら、むっとするようなジョーク発言が出てくるんだもん。白人オンリーの場って本当にそうなんだよな」と社内デザイナーのSが飲み会の席でぼそっと言ったことがある。
 彼は編集部のエディトリアル・ミーティングのメンバーで、論説委員たちやトップ・エディターらが同席するその会のことを言っているのだ。
 このSも白人だ。だが、妻がタイ人なので、彼は白人以外の人種の人権には人一倍センシティブなのだ。
 その日の新聞の社説に何を載せるかを決めるのが、エディトリアル・ミーティングなのだが、密室の会議室の中での会話には、この場には白人しかいないからという安心感からか、普通だったらNGな人種ジョークが飛び交うこともあるとSは言う。
 ある程度規模の大きな新聞社の論説委員と言えば、アメリカ言論界のインテリたちだ。差別発言を自らの新聞に印刷して訴訟になるようなことはしないぐらいの頭脳センサーは備わっている。そんな集団でも、白人同士という仲間意識からの気の緩みか、差別発言と取られかねない発言が出てしまうという現状。
 つまり、どんな場でも差別発言が生まれる土壌はあり、偏見はどこにでもある、ということだ。密室での差別発言はなくならないだろう。
 問題は、そんな差別や偏見を公の場で口にした段階で、どれだけ重い社会的な罰がその発言者に自動的に下されるかにかかってくるし、そんな公の場が社会の中でどれだけ多くあるか、だ。
■「やられたのがコンディだったらブッシュも黙ってないだろ」
 ブッシュ政権時代に米国務長官だったコンドリーザ・ライス。
 シェリル・サンドバーグ的に言えば、アメリカで最も「リーン・イン」道を貫き、とことん出世し、高官の地位をゲットした女性のひとりだ。しかも白人ではなく黒人というマイノリティのハンディを背負って、出世しまくった女性だ。
 彼女のファンだという30代前半の記者のマイケルはこう言った。
 「ああ、あんなカミソリのように頭脳明晰な女性が次の大統領だったらかっこいいのにな。でもさ、コンディーは独身で子どもがいないから、大統領は無理かもしれないよね、実際。この国って何だかんだ言って、結婚して子供を持つ母であることが、女性リーダーに求められてるし。ハッピーなファミリー・イメージを演出しないと人格的に劣ってるみたいな。その点で保守的な国だよな。ま、次はヒラリーあたりで決まるんだろうけど。トンデモ発言が多い共和党のサラ・ペイリンがあれだけ男たちから支持を得たのも、結婚していて母だというカードを使えたからってのもあるし。独身ってだけで、下に見られて差別されかねないよな、女性は」。
 今回のやじを飛ばした鈴木議員が51歳。彼と同じ年代の50代のアメリカ人男性記者はこう言った。
 「もしも、コンドリーザ・ライスがあの都議会での発言を投げつけられていたら、もしかしたら、相手をパンチしてるかもね。それに彼女がそんなこと言われたら彼女のボスのブッシュが黙っていたと思う?」。
 確かに。特に、当時副大統領だったディック・チェイニーは、2006年にテキサスの荒野でハンティング中に、誤って他のハンターを撃ってしまったという経歴があるだけに、自分のスタッフの女性に差別発言をするような男性議員は、森の中で猟銃用ライフルで「うっかり誤射」してしまっていた可能性もあるかもしれない。
 
■彼がどんな父親に育てられたかそこが知りたいよ
 日本で働いた経験もあるこのアメリカ人男性記者はこうも言った。
 「私は53歳でこの鈴木議員とほぼ同じ年齢だけど、彼がどんな父親に育てられたのか知りたいよ。女性蔑視な発言や、母親を軽く見る発言を家庭の中で繰り返していた父親に育てられていたら、何の疑問もなく、父親をコピーするように、女性差別発言を口にするような男性に育つ可能性は高いと思うからね」。
 あなたにとって、日本女性とはどんなイメージですか?
 そんな質問を何人かのアメリカ人にしてみると、よく返ってくるのが「subservient」という言葉だ。「従順な」とか「受け身的で、相手に従う」という意味だ。
 女性の自立と友情と恋愛を『Sex and the City』でコミカルに描いた作家のキャンディス・ブシュネルさんに10年ほど前にインタビューしたとき、彼女に日本人女性のイメージを尋ねると、こう言った。
 「ぱっと思いつくのはふたつね。NYの五番街のブランド店でブランド物を買う消費者。そして、男性にsubservientというイメージ。正直、このふたつ以外の日本女性のイメージは私の中にないわね」。
 今回の都議会の事件に関して、私が話したアメリカ人男性たちは開口一番、「またか」と言った。
 「また日本人の男性政治家が女性蔑視発言で自爆か。言った本人は何が悪いのか全くわかってないのでは」。「コスモポリタン都市のはずの東京は、実のところは女性を二流市民として扱うような場所なんじゃないの?」という声も出た。
 ただ、今回の件が新しいのは、日本女性が「subservient」な存在だという海外での認識は、ひょっとしたら過去のものになるかもしれない、という希望だ。
 日本人女性だけでなく、多くの日本人男性もこの件に怒って「ノー」と声を上げているという報道が海外でもなされた。
 人々の「声」が政治のガソリンである「票」を実際に動かす民主主義の原則が機能するのかどうか。トウキョウは世界から見られている。
 東京の海外特派員協会で会見した塩村議員に対し「日本の恥を海外にさらす必要があるのか」と批判する意見もナンセンスだ。
 自国の庭でオリンピックという名の国際運動会を開くと宣言した瞬間から、世界に「開国する」と宣言し、黒船を東京湾に「どーぞ、ウチに来て下さい」と自ら招待したのと同じなのだ。
 オリンピックの開催都市で、公人が公人を公の場で差別する光景が世界に報道されなかったら、それは北朝鮮でオリンピックをするのとあまり変わりないってことだ。
 東京で何が起こっているか、世界で逐一報道されることは「恥」ではなく、むしろめちゃくちゃ健全なことなのだ。
長野美穂
 東京の出版社で雑誌編集記者として約9年間働いた後、渡米。ミシガン州の地元新聞社でインターン記者として働き、中絶問題の記事でミシガン・プレス・アソシエーションのフィーチャー記事賞を受賞。その後独立し、ネイティブ・アメリカンの取材などに没頭。ボストン大学を経て、イリノイ州のノースウェスタン大大学院でジャーナリズムを専攻。ミシガンでカヤック、キャンプ、クロスカントリー・スキー三昧するのが一番の楽しみ。現在は、カリフォルニア州ロサンゼルスの新聞社で記者を経て、フリーランスジャーナリストとして活動中。
[nikkei WOMAN Online2014年7月4日付記事を基に再構成]

新潟大、歯学部教授に年俸制導入へ

2014-07-28 12:30:26 | 大学関係
新潟日報2014年7月25日 21:01 配信
 新潟大は25日、2015年度から歯学部の全教授について、給与を業績などに応じて支給する年俸制を導入すると発表した。成果を重視した給与体系にし、研究活動の活性化と大学組織の強化を図るのが目的。新大人事課は「他学部やほかの役職にも広める方針」と説明する。文部科学省国立大学法人支援課では、国立大学法人の学部全体の教授に年俸制を導入するケースは「聞いたことがない」としている。

 新大によると、歯学部の教授は現在27人。業績の評価方法は未定だが、今後、新大の役員らで構成する「教員個人評価検討委員会」で検討を進める。研究や教育だけでなく社会貢献なども評価対象となる見込みだ。

 国立大学法人は国からの運営費交付金が減少傾向にあり、研究費やプロジェクト予算の獲得は他大学と競争になっている。このため、新大は競争力のある優秀な人材確保を目指し、大学組織や制度の改革を進めてきた。昨秋、国が「国立大学改革プラン」の中で示した年俸制も役員会を中心に検討してきた。

 歯学部長の前田健康(たけやす)教授は「教員のやる気を引き上げ、競争社会を生き残るために必要な手段。若手研究者登用のためには、弾力的な人事体系にすべきだ」と話す。

 新大人事課によると現在、教員の給与は国家公務員の給与水準に準じて決まっている。年功序列の色合いがあり、若い教員のポストが上がりにくいなどの課題もあるという。

 一方、新潟大学職員組合の粟生田忠雄・中央執行委員長は「(新制度の賛否は)今のところ何とも言えない。制度の全体像がまだ見えないので、今後の動きを注視したい」と話した。

これまでの“経済成長信仰”を疑問視

2014-07-28 06:43:16 | 阿部和弘主管の歯科医院経営クラブ
★日本の経済不況と広がる格差、世界を取り巻く環境破壊と資源の枯渇。
現在の社会の実情を見るにつけ、経済成長い至上の価値を置き、「利便性」や「富の増大」ばかりを追求する価値観が、限界を迎えていることは明らかだ。
★フランスの思想家・ジャック・アタリは、「市場が世界の唯一の法と化したと述べ、その行き先には、地球規模の新たな狂気と極度の富、貧困である」と警鐘を鳴らした。
今日の閉塞状況を生み出した根本の原因を指し示していると思う。
★他者への思いやりが失われ、他者と自分を差別・分断する考え方が人々の間に根付いてしまえば、人間性を破壊する社会が築かれてしまう。
★実際に、これまでの“経済成長信仰”を疑問視し、経済成長そのものを「生き方の問題」として捉える議論も生まれてきている。
★人間が真に人間らしく、幸福に暮らすための新たな指針が、真剣に模索されているのだ。
★自分が幸せでいれば、周囲の人も幸せにしようと思えるようになる。
「自分も相手を幸せにする」という姿勢は、社会をよりよく変革することにもつながるのではないでしょうか。
「好きな仕事をみつける」のではなく「自分の仕事が好きになる」ことができるかどうかが大切です。
まずは目の前の仕事に熱中して、情熱を持って全力で取り組んでほしい。
そこから、道は必ず開けます。(株)イー・ウーマン社長・佐々木かをりさん
★尖閣問題はフォークランドと重ねられるそうだ。
フォークランド紛争(戦争)によって、アルゼンチン兵649人、イギリス兵255人、島民3人が犠牲となる。
尖閣問題で紛争になったら「最悪」と思わざるをえない。
危ない安倍晋三首相に対しては「戦争ができる国にしてほしくない」と国民は願っている。








「志」を持つ生き方 に共通 目の前の現実に挑んでいるという点

2014-07-28 03:24:35 | 阿部和弘主管の歯科医院経営クラブ
★人を導く対話は難しいと嘆く書生にファウストは答える。
「心から出てこなくては、人の心に届かない」
ゲーテ「ファウスト」(池内紀訳)
★心の奥底に宿した思いの深さは、本人が気づかずとも、自然と振る舞いににじみ出るもの。
自分が燃えてこそ、人の心に希望の火をともすことができる。
★本道から離れて枝葉末節に走れば、活力を失う。
★目標からの逆算―これが成功の秘訣。
今すべきことは何か?
★その人と出あわなかったら、自分の一生が、まるで違ってしまったのではないか、と思われることがずいぶんある。
その人と出会ったからこそ、いま幸福を得られた、ということもある。劇作家・高見澤潤子さん(小林秀雄の妹)
★「青春は暦の上の年齢ではない。心のありようだ」佐治敬三サントリー社長は不遇時代の建築家・安藤忠雄さんを励ました。
★青年は、望みが大きすぎるくらいで、ちょうどいい。
この人生で実現できるのは、自分の考えの何分の一かだ。初めから望みが小さいようでは、何もできないで終わる。
★社会全体が閉塞感に覆われる現代、若者が夢や希望を語りにくくなった。
こうした時代状況だからこそ、「志」を持つ生き方が期待される。
★クラーク博士の「青年よ、大志を抱け!」
当初「2年はかかる」といわれた札幌農学校をわずか8か月の日本滞在中に成し遂げた。
博士の情熱は、2期生だった新渡戸稲造、内村鑑三らに受け継がれた。
★博士は帰国後も、59歳で生涯を閉じるまで大学設立事業や鉱山事業に挑み続けた。
「人に心や志がなければ、人といっても人ではない」クラーク
★時代を動かすほどの大いなる変革の源泉には、必ず人を動かす「志」がある。
逆に、どんな美しい理想も深い理念も、体現する人がいなければむなしい。
「思想を継ぐ」ことが「闘争を継ぐ」ことだ。
★10度目の挑戦で教員試験に合格した人もいる。
「挑戦の心、あきらめない心を、自分の振る舞いで示していくことが本当の人間教育だ」と生徒と向き合っているそうだ。
★「どん底からの逆転劇」「もっと大きな自分へ」「今いる場所で悔いなく」「悩みは成長の第一歩」「励まして人は変わる」「悩みこそ希望の光」
「高貴なる人生とは、自ら「山」をつくり、自ら乗り越え、幾つ越えたかを楽しみにしていける生き方なのである」
★若者たちの転機に共通するは、外からの力=「外発」ではなく、生命の内側から促す「内発」の力によって、自身を動かし、目の前の現実に挑んでいるという点だ。
★「誰かのために」「世界のために」という志から燃え上がった願いは、必ず想像以上の形となって叶っていくものだ。
★「札幌以北では咲かない」との定説を覆し、ソメイヨシノ8000本を咲かせた佐々木忠さん。
夢や理想を抱き地域に貢献したいと10年以上を費やし、失敗を繰返しながらも工夫に工夫を重ね、常識を覆したのである。









人間には人生に意味を与えたいという「根本意志」がある

2014-07-28 01:40:07 | 阿部和弘主管の歯科医院経営クラブ
★本物になろうと志す人には、どんなものからも学ぼうとする求道心、謙虚さがある。
★最も美しい音楽は、生命からほとばしる慈愛と真実と勇気に満ちた人間の声の中にある。思想家・エマソン
★子どもを本好きにするには、「読み聞かせ」が有効。
★私たちの存在基盤は生身の人間でしかないのですから、「本籍」は普通の市民社会に置くべきです。
ネットは、生身の人間同士の関係を補強し、補完するための道具として使うことです。神戸女学院名誉教授・内田樹(たつる)さん
★華々しく報道される大事件も、時が経過すれば収縮していくが、むしろ人々が気付きさえしない精神世界の緩やかな動きは、歴史を創りゆく力として、堂々と真価をあらわしていく。
★「人生には意味があり」、人間には人生に意味を与えたいという「根本意志」がある。
「人生はどのような状況に追い込まれても常に意味実現の可能性を有している」
「どれほど困難な運命に見舞われようとも、それに対する態度によって、そこから意味や価値を見出すことができる」
このような人生に意味の発見を可能にするのは「自分中心の自分、つまりが我欲的な中心」を消去する「コペルニクス的転回」である。
評論家・宇波彰さん
★西田幾多郎には、「世界の自己形成的焦点」という考え方がある。
「われわれの行為は、たとえどれほどささいなことであっても、それがすべて世界とつながっている」ということだ。
「フランクとの<対話>」の著者・大阪府立大学名誉教授・山田邦男さん











事実を認めず、誤魔化してきた日本

2014-07-27 15:03:14 | 政治・社会・経済問題
★本質、実態を誤魔化す。
現実を曖昧にし、事実を覆い隠す。
原発事故以来、こんな事象が起こっていると東京電力は弁明するが・・・
事象=事故のことなのだ。
★事故が起きた場合、その国に破滅的な打撃を与える危険があることを福島原発事故は明らかにした。
★過酷事故がどれだけ脅威であるかを、チェルノブイリの原発事故は、世界に認識させた。
★放射線物質の大量放出は、周辺地域に耐えがたい被害を与え、回復不可能な痕跡を残した。
★1954年(昭和29年)、原子力予算の成立を契機に、政治家や専門家は核エネルギーのもパワーのとりこになり、その開発こそが先進国の仲間入りであり、戦後日本の復興には不可欠であると考えるようになった。
★商業用原発の導入、拡大が進められた1960年代、70年代は、原発の新設それ自体が目的となる。
★さらに原子炉の建造をめぐって電力会社、企業グループ、マスコミまでの利権構造が確立し、1990年代半ば過ぎまで、原発の増設はまさに直線的に伸びてきた。
(昨日、テレビでアメリカ側から日本人の本質を検証した番組を見た。
日本人は、日露戦争以来、少しも戦術が変わっていなかった。
日本語に精通し、日本人を分析した。
太平洋戦争では、日本人が遺した日記や捕虜から、情報を得たアメリカ。
武器より精神を重んじた日本軍は時代遅れで無知であったのだ。
そして事実を認めず、誤魔化してきた。
★全滅=玉砕
★撤退=転戦
厳密には黒船の脅威にさらされた江戸幕府に似た日本軍部であったのだ。

杉子が出会った男

2014-07-27 13:08:59 | 創作欄
ある大きな家の前の空き地には、やわらかな春の光に包まれ、薄紅色の牡丹と色とりどりのパンジーが咲き乱れていた。
萌える緑が命の色で輝いていた。
利根川の土手の下の道端、男女の中学生がタンポポの花を摘んでいた。
女の子が一輪を抜いた。
そして2人で息を吹きかけると綿毛が夕日に中に舞った。
2人が微笑みながら歓声をあげた。
その姿が絵のなかの光景にも想われて杉子には羨ましかった。
杉子も恋する人を欲していた。
モノほしそうな目をしている杉子は、縁日の日に太師どおりの酒屋の前で男から声をかけられた。
男は取手競輪場に来た遊び人の男であった。
「俺、時々取手に来るだけど、おネイさん取手の人だろう?」
目にケンがある男であったが、笑顔になると優しく映じる男であった。
杉子は警戒心を解いた。
「おネイさん、お腹空いてないかい。そこのラーメン屋でおごるよ」
杉子は微笑んでうなづいた。
濃紺の褪せたラーメンの旗が夕日になびいていた。
店内には競輪帰りの客が数人いて、コップの日本酒やビールを飲んでいた。
ラーメン、餃子、野菜炒めなどがつまみである。
17歳の杉子を連れた30代の男に視線が集中した。
店のアスターの18歳のフィリピン人の嫁さんが「何にしますか?」と注文をとりに来た。
「まずは、ビールだな。それからニラレバ、餃子、ラーメン」
男はフィリピン人の嫁さんに色目をおくりながら「ハーフだね。どこの国なの?」と聞く。
「お父さんはスペインね」水を置きながらフィリピン人の嫁さんは笑顔となった。
マスターは2年前に54代の妻をがんで亡くし、58歳の昨年、フィリピンに渡り業者の斡旋でフィリピン人の嫁さんを迎え入れていた。
杉子は男から勧められるままに生まれて始めてラーメンを食べながらビールを飲んだ。
そして心地よい酔いを味わった。
ゴルフ好きのマスターは常連客とゴルフに夢中になっていて、フィリピン人の妻が客の男の一人に色目を送っていることに気づきていなかった。


「熟年高齢者」に変更? 75歳以上、甘利氏明かす

2014-07-26 12:04:22 | 医療と介護
共同通信社 2014年7月25日(金) 配信

 甘利明経済再生担当相は24日、東京都内での講演で、医療制度で使われている75歳以上を指す「後期高齢者」という名称を「熟年高齢者」に変更することを田村憲久厚生労働相と相談していると明らかにした。65歳から74歳までの「前期高齢者」は「若年高齢者」とする案を検討しているとした。
 2008年度から75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度が始まったが、当時は後期高齢者との呼び方に「お年寄りへの差別を感じる」などと批判が相次いだ。甘利氏は社会保障制度改革の話題に関連し「後期高齢者という呼び名が悪い。高齢者の社会保障を変えていく」と述べた。

製薬業界に信用回復求める 臨床研究問題で厚労相

2014-07-26 12:03:17 | 厚生労働省

共同通信社 2014年7月25日(金) 配信

 製薬会社による臨床研究への不適切関与が相次いだ問題で、田村憲久厚生労働相は24日、日本製薬工業協会の多田正世(ただ・まさよ)会長を呼び「自浄作用を発揮し、信用を取り戻していただきたい」と対応を要請した。
 業界のガイドラインに従い、企業から医療関係者に提供した資金の公開が始まっているが、閲覧希望者に来社を求める企業が出るなど後ろ向きの姿勢に批判がある。多田会長は「(利用しにくいとの)印象は理解できる」と話し、早期に対応を統一する考えを示した。
 また多田会長は、臨床研究に必要な統計の専門家が少なく、医師らが製薬企業の知識を頼る構造が問題の一因とみて、人材育成に協力する考えも示した。

放射線治療で誤照射 東海大病院で7人に健康被害

2014-07-26 11:56:34 | 医療と介護

神奈川新聞 2014年7月25日(金) 配信

 東海大学医学部付属病院(伊勢原市下糟屋、猪口貞樹病院長)で、子宮がん患者への放射線治療の際に、誤って患部からずれた位置に放射線を照射していた問題で、同病院は24日、誤照射を受けた患者100人のうち7人に健康被害が認められ、現在も2人が治療中と発表した。
 学外の3学会でつくる合同調査委員会が報告書をまとめた。それによると、誤照射は2007年7月から13年11月までにかけ、子宮頸(けい)がんや子宮体がんの治療を受けた30~80代の女性100人に対して行われた。うち7人がこの影響とみられる皮膚壊死(潰瘍)や尿道狭窄を発症。5人は完治したが、2人が今も治療中で、いずれも命に別条はないという。
 この治療では子宮内などに外径3~4ミリの金属管を挿入し、ワイヤで放射線装置の放射性物質(線源)を管内の端に移動させ、がんに照射するが、その位置がいずれも約3センチ手前にずれていた。
 誤照射が起きた背景として病院側は、「前任者の異動に伴う引き継ぎが不十分だったことや、正確なマニュアルがなかったこと、英文の説明書の和訳に不整合があるなど複合的」とした。
 調査委は日本放射線腫瘍学会、日本放射線技術学会、日本医学物理学会が合同で組織。報告書は同日までに、平塚保健福祉事務所や関東信越厚生局などに提出された。