医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

日本人も信じ恐れる「イスラム国」の虚像と実像

2015-01-09 12:05:26 | 社会問題・生活
【2015年、中東情勢はどうなる?】

残酷な神のベールに包まれた真の素顔と目的は?
 

 ――酒井啓子・千葉大教授に聞く

イラクとシリアの国境地帯を制覇して「カリフ国」の樹立宣言を行い、勢力を拡大しながら政府と対峙するイスラム国。国際社会からは、得体の知れない存在と見られている。奴隷制を復活させ、残酷な刑罰を占領地域の住民に強いるなど、ニュースで報じられるその思想は過激で前近代的だ。戦闘員として現地へ渡ろうとする若者の存在が報じられてからは、遠く離れたかの国に対して、日本国内でも恐怖が募っている。いったいイスラム国とは何者で、報道されている姿は真実なのか。彼らの台頭によって、2015年の中東情勢はどう変わるのか。国際政治学者で中東研究の第一人者である酒井啓子・千葉大学法政経学部教授に、詳しく聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)
さかい・けいこ:1959年生まれ。中東研究者、国際政治学者。千葉大学法政経学部教授。東京大学卒業後、アジア経済研究所に勤務。24年間の同研究所在任中に、英国ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)で修士号取得。1986~89年、在イラク日本大使館に専門調査員として勤務。2005年より東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。2012年より現職。専攻はイラク政治史、現代中東政治。主な著書に『イラクとアメリカ』(岩波新書、アジア・太平洋賞大賞受賞)、『<中東>の考え方』(講談社現代新書)、『中東から世界が見える』(岩波ジュニア新書)など
中東情勢における最大の懸念勢力
得体の知れないイスラム国の正体
――今、日本でも話題になっている「イスラム国」ですが、多くの人は彼らに対して「得体の知れない過激派組織」という印象を持ち、怖い存在と捉えています。もともと中東地域は、近代以降における欧米の中東戦略との絡みのなかで、情勢が複雑化し、絶えず紛争が勃発してきた地域。イスラム国の台頭は、国際社会にも大きな波紋を広げています。ひとことで言って、どのような国なのでしょうか。
 正直な話、イスラム国の行動様式や組織の中身などについて、詳しい情報はまだ十分に出てきていません。重要なのは、イスラム国のような存在がなぜあれだけの力をつけて大きくなったのか、という背景について知ることです。
 イスラム国が生まれ、勢力を拡大した原因は大きく2つあります。1つはシリア内戦の影響、もう1つはイラク戦争の戦後復興の失敗です。
 イスラム国は2006年の段階で出現しましたが、もともとイラク戦争の戦後復興のやり方に反対する反政府勢力によって組織化されました。中心メンバーは、当時イラクにいた米軍の駐留政策や新政府の政策に不満を持つスンニ派(シーア派と並ぶイスラム教の二大宗派の1つで、主流派)の住民や、戦後にパージされてしまった旧体制派の人々。そうした人々の不満を吸収する形で、イラクのファルージャを中心に「イラクイスラム国」ができたのです。そのうち外国人の義勇兵なども参加し、彼らのいる地域はイラク国内の無法地帯のようになって、拡大して行きました。
 しかし、米国の掃討作戦に加えて、2008年頃から駐留米軍が新政府の政策に反対する人々を取り込む復興政策へと方針転換したこともあり、反対派が政府に協力的になった結果、一旦内戦状態は収まります。そのため、外国から入ってきた義勇兵などは居場所がなくなって追い出されてしまった。これが第一の原因です。
 イラクから追い出された人々は、2011年から始まった「アラブの春」の潮流の中で、隣国のシリアが政府軍と反政府軍との泥沼の内戦状態に陥ったことをきっかけに、息を吹き返しました。無法地帯となったシリアを拠点にして勢力を増し、再びイラクに舞い戻ってきたのです。第二の原因がこれです。
 なぜそうなったかと言うと、2008年以降、国民融和策をとってきたイラクに登場したマーリキー政権が権力集中を行ない、せっかく取りこんだスンニ派の人々を排斥するスタンスを、2011~2012年頃から強めたせいです。そのため、イスラム国の前身が生まれたファルージャ周辺において、昨年頃から反政府活動が再燃しました。この隙を狙って、かつてイスラム国を形成していた勢力が入り込んだのです。
 彼らは、今年6月にイラク第二の都市・モスルを制圧・奪取。この約3週間後、それまで使っていた「ISIS」(イラク・シリア・イスラム国)から「イスラム国」へと国名を変更し、現在のイラクとシリアの国境地帯にカリフ制国家を樹立すると宣言しました。現在、事実上彼らの支配下にある地域は、シリア北部のアレッポからイラク中部のディヤラあたりまでとなっています。
「イスラム国はアルカイダ系」
世間に広まっている誤解の裏側
――なるほど。そう言えば、イスラム国を形成する勢力は、もともとアルカイダと関係が深かったという話を聞きます。しかし、イスラム国の生い立ちを聞く限り、あまり接点がなさそうですね。どういう経緯でアルカイダと結びついたのですか。
 イスラム国はアルカイダ系だとよく言われますが、一概に言うことは難しい。アフガニスタンで活動していたアルカイダのグループと、アルカイダを名乗るそれ以外の人々とは、実は直接つながりがない場合が多く、実態がよくわからないのです。
 アルカイダを標榜するほとんどの人たちは、ネームバリューのあるアルカイダの「分派」を勝手に名乗っています。ただ一部には、以前アルカイダでウサマ・ビンラディンに次ぐナンバー2の幹部だったアイマン・ザワヒリに認められて分派を名乗った人たちもいる。イラクでイスラム国につながる反米武装活動を主導したヨルダン人のアブ・ムサブ・ザルカウィなども、その1人です。
 ザルカウィは、もともとアルカイダと関係がなかったのに、勝手に「アルカイダ」と名乗り始め、だいぶ後になってからザワヒリに、「メソポタミアのアルカイダと名乗ってもいい」というお墨付きをもらったようです。
 よって、関係があると言えばありますが、アルカイダとイスラム国に直接のつながりはありません。アフガニスタンの活動家がイラクに流れて、イスラム国を形成したわけでもありません。
――それは意外でした。「イスラム国はアルカイダ系だ」という思い込みが、彼らに対する恐怖を増幅しているフシもありますから。ところでイスラム国は、占領地域の拠点に省庁をつくったり、独自の警察部隊を持ったりと、足もとで国家としての体を本格的に整え始めていると聞きます。そもそも彼らの目指すところは何なのでしょうか。1つの国として独立し、国際舞台で影響力を行使したいのか、それともイラク・シリア地域で勢力を強めたいだけなのか。報道からは、彼らの目的がよくわかりません。
 イスラム国は今年6月のカリフ制樹立宣言のとき、指導者のアブ・バクル・アル=バグダディを「カリフ」とし、あらゆる場所のイスラム教徒のリーダーであると謳いました。
 つまり、彼らの言葉を額面通りに受け取れば、「カリフ国を築く」ことが目的です。カリフ制は、「預言者であるムハンマド(マホメット)の後継者たちがイスラム共同体の長たるべし」と考えるシステム。オスマン帝国が解体されるまで、スンニ派の諸国家で連綿と続けられてきた国家システムですが、イスラム国はそのシステムを現代に復活させようとしています。
「空き地」にできたコミュニティ
国家承認される可能性は到底ない
 なのでその意味では、何らかの国の体系をつくりたい気持ちはあるのでしょう。ただそれは、国際社会で言うところの国家とは次元が違う。これまでイスラム国の勢力があったところは、イラクであれシリアであれ、中央政府による統括ができておらず、行政が破綻状態にあった地域でした。つまり、「空き地」に勝手に陣取って、自分たちが好きな国づくりをやっているようなもの。
「国」という言葉がつくので誤解されがちですが、彼らがつくっているのは単なるコミュニティに過ぎません。歴史上の似たケースで言えば、太平天国のようなもの。そもそも彼ら自身にも、「まともな国家として国際社会に認められたい」などという気持ちはないと思いますよ。
――そうした状況は、公武二元体制の時代もあったものの、近世以降、原則として国家が統一されている状態が当たり前だった日本人にとって、実感がわきづらいですね。たとえば、そんな彼らが今後、大方の予想に反して、国際社会に認められるような国家体制を樹立することはあり得ますか。またあり得るとしたら、それにはどんな要件が必要でしょうか。
 まずないでしょうね。あり得るとすれば、アフガニスタンのタリバンのように、過激派勢力が政権を奪取するというパターンでしょうか。
 ただ、タリバンは初めから国政を目指していたし、政権を取った後は国家承認もされて、アフガニスタンのほぼ全地域を統治していました。また、彼らはもともとアフガニスタン生まれの組織なので、アフガニスタン人の組織が国家を統一して政権をつくり上げたという、正当性を持っていた。それでも、当時タリバン政権のアフガニスタンを承認したのは、パキスタンをはじめとする一部の近隣諸国だけでしたが。
 一方イスラム国は、ある勢力が国の主権を取るというパターンと違い、「空き地」に勝手に陣取っているだけの勢力です。もし彼らが国際社会に認められようとしたら、その前にまずイラクやシリアから正式に独立しなくてはならない。でも、シリアのアサド政権もイラク政府も、そんなことは絶対に認めないでしょう。そうなると、国境の設定自体も大変難しい。
 だから、現実的にあり得るとすれば、1つの国家の中の一地域に治外法権のマフィア国家のようなものができるというもの。住民がうっかりそこを通ってしまうと、高い通行税をとられたり、ひどい目に遭ったりする、という場所になるわけです。
 いずれにせよ、わけのわからない人たちが棲みついて、無法地帯をつくって、元から住んでいた住民が強制的に支配下に置かれているわけなので、現地人にとっては大きな恐怖でしょうね。
イスラム国について語られる
「残虐性」の誤解と誇張
――わかりました。恐怖と言えば、イスラム国について国際社会が抱く恐怖の原因の1つに、ニュースで報じられるような「残虐性」があります。たとえば、罪を犯した者の手首や足を罰として切断すること、女性の過度な抑圧が行われていることなどです。歴史的に中東地域には、欧米などの先進国と協調しながらやってきた人々がいる一方、こうした非常に前近代的な思想を持つ人々もいる。その思想的な背景には、何があるのでしょうか。
 実は、彼らの残虐性については誤解や誇張もあります。「カリフ国を築くべし」と考える人たちは他にもいますが、イスラム国が特徴的なことは、イスラム教が成立した7世紀当初の法体系や統治法をそのまま導入するという、極端に厳格な政策を採用していることです。
 つまり彼らは、罪を犯した者の刑罰のやり方も当時に則しているだけ。手首を切り落とすといった、現在から見れば残虐な刑罰は、当時いくらでもありました。同じ時代の日本にも、普通にあったでしょう。こうした7世紀の刑法が現代にそぐわないのは、誰でもわかることです。イスラムの国々では、時代の流れに応じてイスラム法学者らが刑罰の考え方を近代化させて行きました。
(つづく)



医療保険改革、負担ずしり 骨子案明らかに 

2015-01-09 12:03:05 | 医療と介護

健保組合の保険料率、上限引き上げ盛る


朝日新聞 2015年1月8日(木) 配信

 厚生労働省が検討を進める医療保険制度改革の骨子案が7日、明らかになった。紹介状を持たず大病院を受診した場合の新たな負担金を2016年度に導入することや、75歳以上の保険料を軽減する特例の廃止といった負担増のメニューが並んだ。大企業の会社員が入る健康保険組合(健保組合)の保険料率の上限を上げることも盛り込んだ。
 9日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で内容を詰め、今月下旬に始まる予定の通常国会で関連法の改正案を出す。
 大病院を紹介状なしで受診する際の新たな負担金については、高度な医療を提供する「特定機能病院」やベッド数が500床以上の病院で負担を求めることとした。患者が集中する大病院の医師が重症患者の治療に専念しやすくする狙いだ。
 例えば初診の場合、いまは初診料2820円がかかるが、患者負担は所得や年齢によって、その1~3割で済む。これとは別に定額負担を求め、その負担額は「例えば5千円~1万円」との目安を示している。
 入院中の食事代にかかる自己負担額の見直しも盛り込んだ。いまは1食あたりの自己負担額は原則260円だが引き上げる方針だ。
 75歳以上の後期高齢者の医療保険料については、所得の低い人を対象にした負担軽減特例を、17年度から原則的に廃止する。特例措置の対象者の約865万人が負担増となる。一方、急に負担が増える人には「きめ細かな激変緩和措置を講ずる」としている。
 健保組合の保険料率上限は、16年度に12%から13%に引き上げる。健保組合は大企業中心で、加入者は約2900万人(約1400組合)いる。自営業者らが入る国民健康保険(国保)より、財政基盤は安定しているとされる。ただ高齢者医療制度への支援金・納付金の負担が重く、その額は健保組合の財政全体の約4割(総額3兆3155億円)に達する。約8割の健保組合が赤字となっている。
 保険料率は、3~12%の間で健保組合ごとの判断で決めることができる。保険料率を引き上げる組合が増え、全体の1割以上で保険料率が10%を超え、上限の12%に達している組合も少なくないという。これを新たに13%まで引き上げられるようにする。保険料は労使折半で、引き上げられればその会社に勤めている会社員の負担が増す。
 一方、高齢者医療への支援金などの負担が重い健保組合を対象にした財政支援も実施する方向だ。数百億円規模の支援金を拠出することを検討中だ。
 厚労省は当初、昨年11月に医療保険制度改革の試案を公表する予定だった。だが衆院選が実施される公算が大きくなり、与党議員が後期高齢者医療制度の軽減措置の廃止など負担増の見直しに反発した。これを受け、厚労省は試案の公表を延期し、内容を再検討していた。(小泉浩樹)

■医療保険制度改革骨子案の主な内容
・自営業者らが入る国民健康保険の運営を2018年度に市町村から都道府県に移行
・高齢者医療への支援金の分担方法を変更、大企業の健保組合の負担額を増やす
・健保組合などの保険料率の上限を16年度から13%に引き上げ
・入院時の食事代の自己負担引き上げ
・紹介状なしの大病院受診時に新たな負担金を求める
・75歳以上の後期高齢者の保険料軽減特例を17年度から原則廃止
・健康増進や予防の取り組みに対する保険料軽減などの奨励策導入
・患者の申し出による「混合診療」を16年度から実施

年収1075万円以上残業代ゼロ? 

2015-01-09 12:00:34 | 医療と介護
 
厚労省、新たな労働制度―健康確保措置も
共同通信社 2015年1月8日(木) 配信
 一定の要件を満たした労働者を残業代支払いといった労働時間規制の適用除外とする新しい制度について、厚生労働省が「年収1075万円以上」の人を対象とすることで調整していることが8日、分かった。同時に対象者への健康確保措置も盛り込む。厚労省は16日の労働政策審議会分科会で、労働基準法改正案の骨子を示す。
 新制度は政府が成長戦略に明記。今月に始まる通常国会で労働基準法の改正を目指し分科会で議論が続いていた。分科会は今月中に報告書をまとめる方針だが、「残業代ゼロ」「過労死を促進する」と批判する労働側委員の反発が予想される。
 政府は対象者を「年収1千万円以上、職務が明確で、高度な職業能力を持つ人」としてきた。厚労省は年収要件で政府方針を上回る額に設定、省令で定める方向だ。具体的な職種は調整中だが、厚労省は昨年11月、分科会に対象となり得る職種として「有価証券の売買業務」「製薬会社の営業職」などを例示した。
 新制度は企業に残業代の算定基準である労働時間管理の義務がなくなる。厚労省は対象者の健康に配慮するため、従来の労働時間とは別に在社時間などを企業に把握することを求めた上で、(1)年間104日の休日取得の義務付け(2)在社時間の上限規制(3)仕事を終え次に働くまで一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル規制」―のいずれかを導入企業に選択させる考え。医師による面接指導も義務化する。
 また、対象者本人の同意を要件とし、残業代がなくなることで対象者の賃金が減らないよう企業に配慮させる。
 新制度は「ホワイトカラー・エグゼンプション」とも呼ばれ、第1次安倍政権でも導入を目指したが、労働界や過労死遺族の強い反発を受け断念した経緯がある。
 骨子案には新制度のほか、従業員が年間数日間の年次有給休暇を取得するよう企業に義務付けることや、中小企業の労働者について時間外労働の割増賃金を引き上げるといった、働き過ぎ防止策も盛り込む。

市販品類似薬の保険適用除外加速

2015-01-09 11:58:19 | 医療と介護

次は湿布薬か


薬粧流通タイムズ社:WebMedicalニュース 2015年1月8日

・次回診療報酬改定、財務省主導の効率化

市販品類似薬の保険適用除外が加速される方向となっている。候補に挙がっているのは、解熱鎮痛薬、湿布、胃薬、抗アレルギー薬だ。最近の診療報酬改定では平成24年度に栄養補給目的のビタミン剤、26年度にはうがい薬のみの処方に対し技術料・薬剤料とも算定不可とする措置が取られた。26年度のうがい薬は中医協議論が大詰めを迎えようとしている中で政府決定として提示され実施となったが、そもそも財政制度審議会で議論されていたものであった。その財政制度審が27年度予算建議で「市販品類似薬の保険給付除外を加速化すべき」と提言している。実施されるとすれば28年度診療報酬改定となろう。

財務省、財政制度審議会は市販品類似薬の保険適用除外を言い続けてきている。26年度診療報酬改定でのうがい薬のみの処方の算定不可は、その財務省の言い分が取り入れられたことの典型例と言える。
昨年の診療報酬改定では、厚生労働省は改定対象とすべき具体的項目に関する検討をほぼ40回に及ぶ中医協総会で行ってきた。それが近年の診療報酬改定に臨む厚労省の進め方となっている。中には診療側あるいは支払側が納得できないとする項目もあり、そうしたものは2度あるいは3度と議論を重ね合意点を見出す。つまり、問題となりそうな課題は早めに中医協の議題にあげ、議論を繰り返す方式をとっているのである。
しかし、うがい薬のみの処方の保険適用除外は、それまでの中医協での検討項目にあげられることはなく、診療報酬改定率を決定する財務省と厚労省との折衝の中で浮上し、2013年末の12月20日の改定率決定と合わせて後発医薬品の価格設定の見直しとともに記載されたものであった。中医協議論とは別のところで決定されたのである。そして財政制度審議会はそれより前、11月29日にまとめた平成26年度予算に関する建議の中で、市販品類似薬の保険適用除外を求めていた。

今回、平成27年度予算に関する建議では、その保険適用除外を求めるトーンが一段と上がった。市販品類似薬について公平性の観点から保険給付の対象から除外する取組みを「加速化すべき」という。その候補は、解熱鎮痛薬、うがい薬、湿布、ビタミン剤、胃薬、抗アレルギー薬で、前回26年度予算に関する建議と同じ項目だ。かつて候補にあがっていた漢方製剤はない。民主党政権下で行われた事業仕分けの中で大きな議論となったが、日本東洋医学会など臨床医による大きな反対運動もあって対象から除外された。

うがい薬とビタミン剤はすでに取り組みが行われており、それ以外のものが今後の取り組みの対象になるとみられるが、ビタミン剤、うがい薬というこれまでの流れから、次のターゲットも本格的な治療薬である解熱鎮痛薬や胃薬、抗アレルギー薬ではなく、湿布薬があがってくるのではないかと想像される。その後に、解熱鎮痛薬などが議論の対象になってこよう。

湿布薬が次のターゲットになるにしても、実際には次回平成28年度診療報酬改定時となる。ただ、「加速化すべき」というその意図が反映されることになれば、次回改定時にも湿布薬だけでは済まない可能性もある。また、前回のように改定率決定の政府内折衝で決定されることになると、最終的には中医協に諮られるとしてもその発言力は限定的なものとなる。

解熱鎮痛薬や胃薬、抗アレルギー薬という本格的な治療薬が保険適用除外のターゲットになる場合、診療の現場でそれらの対象となる患者が来ても医師は処方できないという問題が生ずるが、財務省は対案として処方する場合は市販品と同じ価格にする考えを持っている。市販品類似薬の薬価は同一成分を含む市販品よりも安く、しかも健康保険では多くても3割の負担で済む形になっている。このことは市販品を買う場合と医療機関で処方してもらう場合とで公平性に欠けるというのが財務省の考え方である。

資料1:財政制度審議会建議(22ページに市販品類似薬)(財務省)
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia261225/index.htm
資料2:平成26年10月8日財政制度審財政制度分科会資料・社会保障(1)(26ページに市販品類似薬候補)(財務省)
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia261008/01.pdf
資料3:平成26年度診療報酬改定(平成25年12月25日中医協資料、12月20日政府決定)(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000033409.pdf

日の出を見た

2015-01-09 08:51:43 | 雑記・断片・映像
 深夜までCSテレビを毎日観ているので、段々起きるのが遅くなる。
ザ・シネマ、ムービープラス、FOXムービープレミアム、チャンネルNECOなど。
家人がパートの仕事へバイクをで向う音を聞き起き出す。
何時もより1時間遅い散歩へ。
散歩から戻り、カメラと双眼鏡を持ち再び散歩へ。
久しぶりに日の出を見た。
それから、富士山がどのように見えるのかを確かめに行く。
友人の新町の墓地へも行く。
そこからも富士山を見た。
利根川のゴルフ場へも行く。
風がとても強く「寒いですね」と散歩ですれ違う人が声をかけた。
ジョギングする人は声のかけようもない。

○塔婆鳴る 友の墓前の 余寒かな







午前8時20分帰宅。