医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

データと情報の所有者、そのプログラムの操作者の独り勝?

2015-01-19 17:02:56 | 編集スクランブル
★「土地」に僕の文学のよりどころがあります。
「文学とは、社会の周縁に追いやられた存在や出来事に目を向けること」が作家・小野正嗣さんの信念だ。
「地方の衰退は僕自身の問題です。うそは書けないじゃないですか」
「持続は無理でも、瞬間ごとに人は助け合うものだと信じています」
「“大丈夫ですか?”って」
★「ドファララ門」山下洋輔著
「人が天賦の才能を持つとしても、それはいかなる条件のもとで開花するのか」
「親が特別の環境を整えれば、子供は能力をますます伸ばす」
本書がその証拠である。
松原隆一郎さん評
★「ザ・サークル」デイヴ・エーガーズ著(吉田恭子訳)
インターネットの恐怖。
「多数派による独裁」「世論の専制」「世論の専制」という悪夢。
見えない管理者の手で現実化する。
自分の中身が見えやすく透明になっていくほど、価値があがる社会。
交流、参加、共有、というフレンドリーな言葉を弄しつつ、結局は、データと情報の所有者、そのプログラムの操作者の独り勝ちとなる社会構造.
ネットは個人の自由をスタート地点とし、「デモクラシー」を標榜しつつ、「つながり」「シェア」しながら、実はモノポリズム(専制)に向かっている。
それが作者の警告だ。
ネットは社会の鏡。
鴻巣有季子さん評

「文化都市寧波」

2015-01-19 16:12:50 | 医療と介護
シリーズ「東アジアの海域に漕ぎ出す」全6巻

シリーズ名が示唆するのは、これが到達点ではなく出発点であるということだ。
読者をさらなる旅へ誘うこともまた書物の大きな役割だと思わせる。
地球大の視点から日中関係を見つめ直す
「文化都市寧波」
小島毅監修(東京大学出版会)三浦雅士さん評
寧波はや杭州の繁栄はイタリア・ルネサンスにはるかに先行していたこと。
ベニスの方が西洋の寧波なのだ。
シリーズを貫く考え方が、2005年に死去した経済史家フランクの提唱する世界史観の転換に期せずして呼応していると思えるからである。
フランクは、晩年にいたって大きく方向を転換した。
立論にあたってつねに参照してきたマルクス主義こそ、じつはもっとも西洋中心主義的で間違っていたという見方にたつようになったのである。
これまでの西洋流の世界史なあまりにもアジアを小さく見積もってきたということだ。
内容紹介
上海の南に位置する寧波(ニンポー).宋代において,交通の要,また文化・情報の発信源として東アジアの中心的存在であったこの港町には,圧倒的に多くの史料が残る.「記録」はなぜつくられ,残されてきたのか.その経緯に着目しながら,海域交流において寧波が果たしてきた役割を明らかにする.
内容紹介. 禅宗世界のトップにあった寧波・杭州の五つの寺院,「五山」.日本でも五山を指定するが,これが受け皿となり,禅をはじめとして,文学・書画・茶・庭園などさまざまな文化がもたらされる.東アジアをまたいでつながる五山文化の世界性に注目し ...


主要目次
プロローグ 「文化都市 寧波」という視点
第I部 書物がつくる文化
一 天一閣蔵書楼とは何か
二 寧波の郷土史料『四明叢書』
三 語り継がれる記憶と寧波の地方志
四 思想家の言葉はどのようにして書籍に定着したのか――王陽明を一例として
コラム 「中国のルソー」を育んだもの
第II部 知識人たちの記憶と記録
一 王朝をこえて――宋元交代期の碑刻の書き手たち
二 豊氏一族と重層する記憶
三 思想の記録/記録の思想――寧波の名族・万氏について
四 寧波という磁場と文学者たち
コラム 江戸文化と朱舜水
第III部 場と物が織りなす記憶と記録
一 石に刻まれた処方箋
二 墓地をめぐる記憶と風水文化
三 文化を支える経済のはなし
コラム 東銭湖墓群と史氏
コラム 寧波の英雄・張煌言