医科歯科通信  (医療から政治・生活・文化まで発信)



40年余の取材歴を踏まえ情報を発信

雑草は本当に強いのか?事のタイトルを入力してください(必須)

2015-01-13 22:38:53 | 社会問題・生活
★価値観を変えると人生も社会も変わる。
大学進学率は男女差がなくなりつつあるが、女生が十分に活躍できる社会や企業の仕組みとまではなっていない。
★「女性が活躍できる企業は強い」
「組織内の多様な力を生かせる企業は成長している」
★企業、組織のトップの価値観の変化が期待される。
日本の宗教団体で伸長が著しい組織があるとするなら、女性の活躍に負うところが大きいに違いない。
企業のみならず、政党も然り。
★雑草は本当に強いのか?
雑草におって踏まれても踏まれても立ち上がるという無駄なことにエネルギーを使うより、踏まれながら花を咲かせることの方かじっと合理的です。
立ち上がることに固執することなく、本当の目的を見失わないことこそが本当の雑草魂なのです。雑草の生き方は、もっと前向きな実践的です。
逆境に生きる雑草にとって、逆境は「耐えること」でも「克服すべきこと」でもありません。
それどころか、「逆境をプラスに利用する」というのが、雑草の生き方です。
静岡大学大学院農学研究科教授・稲垣栄洋さん













都内公立保育所 非正規が4割

2015-01-13 22:20:42 | 医療と介護

2015年1月13日(火) 21時35分掲載


都内公立保育園の非正規職員の年収(毎日新聞)
<都内公立保育所>非正規「4割」6割超年収130万円未満
 東京都内の公立保育園で働く職員は、非正規職員が4割を超すことが明星大の垣内国光教授(児童福祉論)の調査で分かった。非正規職員の6割超が年収130万円未満であることも判明。垣内教授は、保育の質的向上を目指すため、保育士らの待遇を改善するよう強調している。(毎日新聞)


第118回社会保障審議会介護給付費分科会資料

2015-01-13 14:45:57 | 医療と介護

平成27年1月9日(金)
14:00~17:00
ベルサール九段 ホール(3階)
東京都千代田区九段北1-8-10
○資料
• 議事次第(PDF:51KB)
• 社会保障審議会介護給付費分科会委員名簿(PDF:90KB)
• 資料1 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正の主な内容について(PDF:235KB)
• 資料2 平成27年度介護報酬改定に関する審議報告(案)(PDF:512KB)
• 諮問書(PDF:484KB)
• 報告(PDF:266KB)
○参考資料
• 参考資料1 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部改正について(参考資料)新旧対照条文(PDF:1,111KB)
• 参考資料2 齊藤秀樹委員提出資料(PDF:168KB)
• 参考資料3 村上委員提出資料(PDF:348KB)
○答申
• 答申(PDF:249KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000070801.html


第118回社会保障審議会介護給付費分科会資料

2015-01-13 14:45:57 | 医療と介護

平成27年1月9日(金)
14:00~17:00
ベルサール九段 ホール(3階)
東京都千代田区九段北1-8-10
○資料
• 議事次第(PDF:51KB)
• 社会保障審議会介護給付費分科会委員名簿(PDF:90KB)
• 資料1 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正の主な内容について(PDF:235KB)
• 資料2 平成27年度介護報酬改定に関する審議報告(案)(PDF:512KB)
• 諮問書(PDF:484KB)
• 報告(PDF:266KB)
○参考資料
• 参考資料1 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部改正について(参考資料)新旧対照条文(PDF:1,111KB)
• 参考資料2 齊藤秀樹委員提出資料(PDF:168KB)
• 参考資料3 村上委員提出資料(PDF:348KB)
○答申
• 答申(PDF:249KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000070801.html


腹腔鏡8人死亡、群馬大病院を立ち入り検査 厚労省など

2015-01-13 14:40:56 | 医療と介護

朝日新聞デジタル 1月13日(火)11時26分配信


 群馬大医学部付属病院(前橋市)の40代の男性医師が、院内の審査を経ずに腹腔(ふくくう)鏡を使った高難度の肝臓切除手術を重ね、術後100日以内に患者8人が死亡した問題で、厚生労働省と前橋市は13日午前、医療法に基づき同病院に立ち入り検査に入った。

 厚労省と市は、病院が昨年12月に公表した中間報告書と改善報告書を踏まえ、手術の状況や安全管理体制などを調べる。その後、厚労省は、検査結果を社会保障審議会医療分科会に報告し、同病院について、高度医療を提供して診療報酬が優遇される「特定機能病院」の承認取り消しも含めて検討する。

 同病院の調査によると、2010~14年に同医師が担当した腹腔鏡を使った肝臓切除手術を受けた肝臓がんなどの患者8人が、術後100日以内に敗血症などで死亡。高難度の手術に必要な院内の事前審査を受けておらず、保険適用外なのに一部は診療報酬を請求していた。同病院は、手術前後の検討が不十分なまま手術が繰り返された点など、組織的な問題があったことを記者会見で認めた。

 また、この医師が執刀した肝臓の開腹手術でも過去5年間で84人中10人が死亡していた。

【2015年、中東情勢はどうなる?】

2015-01-13 14:37:14 | 社会問題・生活

日本人も信じ恐れる「イスラム国」の虚像と実像
残酷な神のベールに包まれた真の素顔と目的は? 


 ――酒井啓子・千葉大教授に聞く

 イスラム主義というのは、そもそもそのように、現代にそぐわないイスラムのシステムをいかに現代に適応させて活性化させていくかを考えて生まれた思想なので、イスラム主義を政治に導入しようという発想の多くは過激派ではなく、穏健派の人たちのものです。反対に、イスラム国はそうした工夫の努力を最初から無視して、イスラムを狭く解釈して適用しようとしているのです。
 日本でもそうですが、冠婚葬祭は宗教的な思想・慣習が色濃く残る部分。イスラム国に限らず、冠婚葬祭に関わる民法の規定にイスラムの教えをなるべくそのまま残すという考え方は、イスラムを政治に導入していない他のイスラム教徒の国々であっても、普通にあります。
 一方で、世俗法をとっているトルコだけでなく、イスラム教徒の多い国でも、平気で飲酒を認める国は少なくありません。北アフリカや地中海諸国は、ワインの一大生産地でもあります。また、女性がスカーフを被らなければならないということを国として決めているのは、イランやサウジアラビアのように少数の国しかありません。イスラム教徒の多い国が全てイスラムを政治に導入しようと考えているわけではないし、イスラムが文化や生活に及ぼす影響も、国によって大きく異なっています。
 イスラム国のようにイスラム法の順守を厳格に主張するような人々は、現代風に解釈することによって規律がどんどん緩くなることに、危機感を感じている。だから、7世紀にできたコーランに書かれていることをそのままをやれば「間違いがない」という発想になります。つまり、手首を切り落とす刑などは「そう書いてあるから、そうしておけば無難だ」と思ってやっている。それが現代にマッチしているか否かの検証については、思考が停止しているのです。
イスラム世界における「奴隷」の
位置づけは現代人の認識と違う
――そういうことだったのですね。イスラム国は「奴隷制」の復活も唱えているようですが、これも同じ考え方によるものなのでしょうか。
 そうです。ただ、イスラム世界における奴隷の位置づけは、主人に隷属して重労働を課せられていた欧米の奴隷のそれとは、意味合いが違います。
 たとえば中世には、イスラム国家が捕虜にしたキリスト教徒を軍人として雇い入れることがよくありましたが、そうした人々も奴隷と呼ばれました。逆に彼らは、イスラム教徒に改宗すれば自由人になれた。そうした経緯を経て出世した奴隷も、たくさんいました。
 イスラムの歴史には「奴隷王朝」と呼ばれる国がいくつも出てきますが、これはイスラム帝国が拡大して行く過程で、奴隷の身分で帝国に参画し、後に自由人となって将軍にまで上り詰めた人が建国した王朝。だから、一口に奴隷制と言っても、日本人がすぐにイメージする悲惨なものばかりではありません。
 このように、イスラム世界でかつて存在した奴隷のイメージに近いのは、「移民」でしょう。たとえば、インドから欧州へ移民してきた家族が、最初はその国で国籍をとれなくても、二世、三世と代を重ねるなかで国籍を有するようになる、といったパターンですね。
 ただし、現在ではそうした奴隷制はイスラム世界でも廃止されています。ですから、今の世の中で「かつての奴隷制を復活させたい」とイスラム教徒の人々が考えているわけでは決してありません。7世紀のイスラム教では、「キリスト教徒の女性を、自由に妻や召使いにしてもよい」とされていましたが、今の世の中では当然人権問題になります。
 イスラム国のように、イスラムを厳格に解釈して、その統治を暴力をもって住民に強要する集団は、近代以降においては後にも先にもないでしょう。
なぜ日本の若者までもが
彼らにシンパシーを感じるのか?
――そうした思想を強く持った人々がなぜあの地域に出て来たのでしょうか。
 イスラム国のような思想を持つ人たちは、もともと数としてはあまり多くありません。ただ、彼らの思想に魅力を感じる人々が少なからず出てきて、大きな勢力になってしまうことはあります。
 たとえば、シリア内戦でアサド政権と戦っているときに、イスラム国の原理主義的な思想に賛同して戦いに参加していた人は、少なかったと思います。逆に、彼らがアサド政権や米国と戦っていることを素晴らしいと思い、戦いに参加していた人は多いでしょう。
 というのは、シリア内戦でアサド政権がイスラム国だけではなくシリア国民を残虐に弾圧する映像を、欧州の人たちは国際ニュースなどでたくさん見ていました。そうすると、「悪い政権と健気に戦う反政府勢力は偉い」と考える人も出てくる。結果として、「おれも戦うぞ」と自らシリアの反政府勢力に参加する人たちもいたわけです。それらが「イスラム国」に流れた。
――日本でも最近、戦闘員としてイスラム国に参加しようとする若者が増えていると報じられ、波紋を呼びました。ただでさえ、中国・韓国との領土問題などもあり、今の日本は右傾化していると言われます。原理主義的な思想を持ち、悪と健気に戦うイスラム国の人々に、日本の若者がシンパシーを感じる風潮が強まっているのでしょうか。
 その傾向はあると思います。また右傾化に加えて、格差社会化が進む中で、「今の社会が不安だ」「この国はやはり何かおかしい」と不満を感じている若者が、今はたくさんいる。彼らから見てイスラム国の人たちは、いいか悪いかは別として、みな自分の信念に従ってバリバリ突き進んでいます。それがうらやましいと思う人たちは、日本のみならず世界中にいると思います。
 しかも、シリア政権のように虐殺を行う悪者を相手に戦うという建前があると、イスラム国の戦いが正しく思えてくる。そして、彼らが唱えるイスラムの理想も、「よくわからないけど、正しいに違いない」と思えてしまう。そういう自己満足に浸れるわけです。イスラム国は、インターネットで美しい映像を使って自分たちをPRするので、余計に憧れる若者も出て来るのでしょう。
「得体の知れない人たち」と警戒される一方で、イスラム国は一部の人たちが確実に魅力を感じる国なのだと思います。
「日本にいるよりずっといい」
そう思う若者だっているかもしれない
――それにしても、先進国において「戦闘員としてイスラム国に行こう」と思い立つ若者がいるのは何故なのか。なかなか理解できませんね。
 ニュースなどで見る限りでは、日本でも欧州でも、「実際にイスラム国が何をやっているのか」「何のために戦っているのか」をよく知らずに行く若者が多いようですね。そして、「残虐なシリア政府はけしからん」と参加してみたら、実はイスラム国自身が結構ひどいことをしていた。それがわかって抜けようとしても抜けられなくて困っている、という話は結構あるようです。もっとも欧州サイドが言っていることなので、本当に当事者たちが抜けたいと思っているのかは、よくわかりませんが。
――普通に考えれば、いずれ抜けたくなるような気もしますが……。
 私もそう思いますが、全てそうだとは言い切れませんよ。たとえば、北アフリカのチュニジアからイスラム国へ渡る人が最も多いと報道されていますが、アフリカは世界の中で相対的に貧しい地域です。べつに熱心なイスラム教徒でないけれども、職もない、お金もない、結婚もできないといった、将来に希望を見出せない人がイスラム国へ行くことも、多いのではないかと思います。
 そんな人たちが呼びかけに応じてイスラム国へ行ってみたら、夜露をしのげるし、三食食べられるし、わずかではあるものの給料をもらえるし、同じくイスラム国を理想と考えて参加した女性とも結婚できる。何より周囲にいるのが、皆自分の祖国に不満を持って来ている人たちであり、同じ理念に従って突き進んでいるので、連帯感があってとても温かい感じがする。
 こうした環境を、居心地がいいと感じる人は少なくないでしょう。日本のワーキングプアの若者が現地へ行って、「日本にいるよりずっといい」と感じることだって、あるかもしれない。躊躇する点があるとすれば、戦闘員として人殺しをしなくてはいけないことですが……。
――戦闘員が給料を貰えるということは、コミュニティの中にちゃんと貨幣経済のシステムがあるわけですね。
 あります。たとえばイスラム国は、制圧したモスルで最初に市の財源を全て押さえました。その財源を原資に、公務員にはそのまま給料を払い続けている。要は、イスラム国の言うことを聞いていれば、元からいた住人に危害は加えない、ちゃんと普通に生活させてやる、ということです。
 市の財源はだんだん減ってきますが、一方で彼らは周辺地域の石油資源を密売したり、誘拐した外国人ジャーナリストの身代金を要求したりと、闇経済によってやりくりしています。なので、到底国家とは呼べない状態ではあるものの、一応経済・財政の概念を持っているわけです。
闇経済が回る限りは存続できる
イスラム国が周辺に与える影響
――闇経済でやって行こうと思えば、できてしまう。不思議な気もしますね。それにしてもイスラム国は、今の状態でいつまで存続できるのでしょうか。
 案外長く存続するかもしれません。南米では国家経済と並行して、マフィア経済が無視できないほど大きな規模を占めていると言われます。それと同じことで、闇経済が回っている限りは、当面存続できる可能性があります。
 ただ、今の状態では、将来国家承認される可能性はまずないだろうし、イラクやシリアを乗っ取れる力もありません。「空き地」にできた家の中で、家族がハッピーに暮らすという状況は、長く続くかもしれませんが。
――よくわかりました。こうしてお話を聞くと、イスラム国は「中東紛争のあだ花」と言えそうです。そんななかで先進国は、イスラム国のような勢力も視野に入れながら、今後どういう中東政策を展開して行けばいいのでしょうか。米国も、イラク戦争後に新秩序の枠組みをつくることに苦戦し、むしろ国際社会における信頼や発言力を弱めてしまった観があります。
 解決策は、1つしかありません。イスラム国は、国の統治が行き届かない「空き地」で勢力を拡大しているわけなので、イラクやシリアの政府がきちんと地方にまで目が行き届く政治体制をつくることです。
 イラク政府は過去、反政府勢力の人々が国政に参加するチャンスを与え、一旦イスラム国を追い出すことに成功している。問題は、過去にそれができたのに今はできなくなったこと。イスラム国に制圧されている地域の人々に、「政府につくほうがもっとよいことがある」というメリットを、各政府がきちんと提示すべきです。
 イラクは現在の政府の正当性が国際社会で認められているので、米国も気兼ねなくバックアップすることができますが、問題はシリアです。「アサド政権は国民をいじめている独裁政府だ」と国際社会で認識されているため、今シリア国内で、イスラム国が「空き地」に入りこまないよう統治を徹底させようとすると、それはアサド政権を認めることにもつながりますから。
根深い中東紛争の「あだ花」か
米国や周辺国はどう動くべき?
 そうなると、これまで自由を求めてアサド政権に抵抗してきた反政府勢力が、逆にアサド政権に虐殺されることも起こりかねない。実は、周辺国のトルコやサウジアラビアが恐れていることも、それなのです。彼らはイスラム国を潰すのはいいけれど、アサド政権の追い風になることはしたくないわけです。
 これではまさに、マッチポンプ状態。米国がイスラム国を潰そうとする一方、周辺諸国がアサド政権を潰そうとしている複雑な現状では、より一層大きな「空き地」が出現し、そこにまた得体の知れない勢力が入り込むリスクもある。まずは、米国や周辺諸国がきちんと話し合い、「アサド政権を残すか、残さないか」「残すとしたら、空き地をつくらないように、どうやってまっとうな政権に生まれ変わらせるか」という合意を、つくらないといけません。
――お話を聞くにつけ、本当に複雑な状況ですね。中東地域は歴史的にずっと出口のない紛争を続けている印象があります。今後もこの状況は変わらないのでしょうか。
 中東地域は、以前と比べて質的には大きく変わってきています。中東問題の諸悪の根源は、やはりイスラエル・パレスチナ間のゴタゴタ。第二次世界大戦後にイスラエルが国をつくり、パレスチナ人を追い出して、難民問題が半世紀以上続いている影響は大きいです。
 さらに最近では、「アラブの春」の結果として独裁政権が崩壊し、その後国の統治がまともに行なわれない地域が出て来て、各地に「空き地」ができ、本来のパレスチナ問題とは全く関係のないところで、イスラム国のような過激派組織が台頭している。1つの紛争が次々に別の種類の紛争を呼び起こすような状態になっています。中東問題は、本当に根が深いのです。
(終)

東剛史 生涯で最高の払戻しをした

2015-01-13 14:28:57 | 創作欄
1986(昭61)年7月31日、全公営競技を通じて日本で初めてのナイターレースが大井競馬で開催された。
トゥインクルレースとして全国的に知名度をあげ、これまでは競馬に関心のなかった会社帰りのOLやサラリーマン、若者たちも競馬場に足を運ぶようになった。
東はモノレールを使うと仕事関係者に姿を見られるだろう考えと輪太郎とタクシーで大井競馬場へ向かった。
東の一人娘の美希がこの年の6月に結婚していた。
「私は父親らしい父親でなかったが、娘が嫁ぐと寂しいものだな」と東が車窓から夕日が沈んでいくのを眺めていた。
東の頭髪に白髪が目立ってきていた。
輪太郎の一人娘の紗江はまだ9歳であったので、東の心情は理解できなかった。
「東さんの娘さんですから、美人でしょうね」と輪太郎はロマンスグレーと形容されるような東の横顔を見つめた。
東は無言で微笑んで胸ポケットに手をあてた。
財布なの中に愛娘の成人式の時の写真が入っていたが、これまで誰にも見せたことがなかった。
東はこの日、生涯で最高の払戻しをした。
「こんなに大当たりをして、何か悪いことが起こらなければいいが・・・」東は珍しく否定的なことを言った。
東は強気で勝負感が冴える男であった。
競馬に同行して輪太郎は、これまで東から10万円もらったり、50万円をもらったこともあったが、この日は200万円をもらった。
「こんないいただいていいのですか?!」輪太郎は驚愕した。
「いいから、受け取ってくれ。しょせん競馬で得た金だ。喜びは分かち合うものだよ」
東は朗らかに笑った。
タクシーの右側座席に競馬場が用意した紙袋があり、2500万円余の札束が収まっていた。
2人は赤坂の高級ナイトクラブへ向かっていた。

東剛史はただ者ではなかった

2015-01-13 01:05:49 | 創作欄
単勝人気と複勝人気に東はまず着目していた。
それほど多くはないが、人気が大きく動くことも見逃せない。
競馬ファンにとって競馬はレジャーである。
だが、競馬関係者とその周辺にいる人たちにとって、競馬は生活がかかっている。
競馬生産者、厩舎関係者、あるいは馬主でも競馬は単なるレジャーとは違う。
ところで競馬の専門記者やトラックマン、スポーツ新聞の予想担当記者たちは馬券を買っているのだろうか?
もしも毎レース馬券を買っていたら、1か月の給与は無くなってしまうだろう。
それほど予想は的中しないのだ。
競馬ファンたちが夢見るようないわゆる「馬券師」も存在しないだろう。
東は自らの勝負感を拠り所として、馬券を買っていた。
馬場へ出て来て思い思いに走って行く返し馬たちを鋭い目で追っていた。
東は人気薄であるが、3枠5番の馬に目をとめた。
枠の1-3、2-3、3-5をそれぞれ5000円おさえた。
結果は2-3と来て1万2350円の配当となり、61万7500円を東は払い戻した。
やはり東はただ者ではなかった。
輪太郎は、2-7、2-6、2-8をそれぞれ500円買っていたので馬券は外れた。
次のレースは固くおさまり、輪太郎は1000円を6500円にした。
東はそのレースを見送っていた。
「競馬全レースを買わないことだ。見ることも必要」東はあくまで冷静であった。
麻雀ではどのような良い手でも降りるべき時は降りる。
東はそのことに徹していた。
結局、東はその日、270万円余を手にしてタクシーで銀座へ向かった。
「美味しいステーキを食べに行こう」
ステーキを食べてから輪太郎はクラブにも誘われた。
元タカラジェンヌたちのいる店であった。
彼女たちの歌の声量に輪太郎は圧倒された。
誰もマイクを使わないでピアノやビオラ、フルートなどの楽器に合わせて歌っていたのだ。

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返し馬とは? 競馬用語。
本馬場に入った競走馬がレース直前に行うウオーミング-アップ。

東剛史の勝負感

2015-01-13 00:06:21 | 創作欄
利根輪太郎は、取手駅から常磐線快速電車に乗って我孫子駅で千代田線に乗り換え新松戸駅から武蔵野線で府中本町へ向かった。
輪太郎は中山競馬場へたまに通ったが、府中競馬場は5年ほど行っていない。
新宿で働いていたころ同僚の競馬好きの峯田勝治に誘われて府中競馬場へ行ったことが思い出された。
峯田は「なぜ、こんな馬から馬券が買えるのか」と輪太郎が訝るような人気薄の馬を買っていた。
「俺はへそ曲がりだからな」と峯田は言っていた。
また、峯田の大学時代の友人の富田孝蔵は2年間、馬券を買わずに競馬を研究してから、馬券を買いだした。
それで儲けて300万円の外車の中古を買ったのである。
それでピタリと競馬から足を洗ったのだ。
「富田のような奴は、面白くもないな」峯田は冷笑したが、輪太郎は富田がどのような研究をしたのかが知りたくなった。
その峯田が東名の高速道路で事故死したのは、翌年の2月で彼は京都へ向かっていたのだ。
輪太郎はトキノミノル記念像の前で、東剛史と街合わせしていた。
東は英国製の濃紺のスーツ姿で、風格を漂わせていた。
元自衛官であったので背筋もピントしていた。
猫背の輪太郎は真似るようにしたいと思ったほど凛とした姿であった。
「パドックで馬を見るかい?」と東が微笑んだ。
「馬を見ても、分かりません」輪太郎の率直な思いであった。
「では、馬券を買いに行こう」と東は大股に歩きだした。
大きなレースがない土曜日の競馬場であったが、それでも場内は人手溢れていた。
輪太郎がまず驚いたのは、東が5000円単位か1万円単位で馬券を買うことであった。
安月給のサラリーマンの輪太郎は500円単位であった。
東は競馬の専門新聞を持たない。
輪太郎は専門新聞「勝馬」を見て予想をした。
東はオッズを見ていた。
つまり人気値を確認し、あとは勝負感であった。
その勝負感は麻雀やバカラ賭博などで培われた。
多くの修羅場を潜ってきた東には特異の勝負感が働いた。
常に競馬場には10万円を持参し、勝負をしていた。