獲得形質は遺伝しない。
それが生物学の常識と思っていましたが、必ずしもそうではないようです。
DNAの配列そのものに変化はなくても、環境変化の影響が子に伝わる現象もあるということ。
どんな資質かによっても、遺伝の比重が高いか、環境の比重が高いかは違うといいます。
例えば、身長は遺伝の占める割合が高く、親から子への遺伝率はおよそ70%。
知能についていうと、これはさまざまな因子があって、簡単には説明がつかない。
例えば地頭がいいとかよくないとか言われる知能。
これは身長と同じく、遺伝率が70%以上だそうです。
アタマが固いのは親譲りで・・・言い訳に使えそう。
一方で、読書や経験などで獲得する言語性知能は遺伝率が15%。
両親の知識がいくら豊富でも、子どもにそのまま伝わらない・・・これは直感的にわかりやすい。
音楽とか絵の才能などはどの程度なのでしょう?
親のストレスが子に伝わる。
そんな動物実験のデータもあり、ヒトの場合も環境要因で遺伝することがあるようです。
といっても、そのように遺伝する資質はだいたい一世代限り。
今のようなストレス社会が次世代にも引き継がれるとなるとちょっと心配。
一世代限りとはいえ、子が親になればまたその子どもにも引き継がれます。
どこかでその連鎖を断ち切らないと・・・なんて思った読書体験でした。