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【県美展入選】「漁民のうた」 祝島のこだま まことさんから。

2017年09月17日 | お知らせ

上関町祝島のこだままことさんの山口県美術展覧会の出展についての文章を掲載します。
こだまさんからは、このブログに「祝島からのたより」として、今後、投稿してくれることになっています。
ご期待ください。(あ)

現在県立美術館で開催中の山口県美展において出品しました造形作品2点(個人作品一点、グループ作品一点)が入選となり10月1日まで展示されています。
ぜひお近くにお立ち寄りの際はご覧下さい。美術館の玄関前での展示ですので開館時間外でもご覧いただけます。

http://www.yma-web.jp/



 

 
画像に含まれている可能性があるもの:植物、木、屋外
 
 
 
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画像に含まれている可能性があるもの:花、屋外


今年春に開催した祝島アートフェスティバルで出会った元高校教員で美術家の田中先生から、県美展への出展のお誘いを受けたのが8月20日頃。
出展締め切りが9月1日だったので10日間という短い準備期間でしたが、沢山の方の参加で良い作品を創り出すことが出来ました。


「ストーリー」

応募式の展覧会に余り興味を持っていなかったが、田中先生が県立美術館の正面玄関前を押さえてあるというのでそこで制作してみたいと思った。
祝島アートフェスティバルでは体育館の天井から魚網を吊るした作品と、竹を割って曲線で描く作品の2点を制作した。その時その2つを合体させた作品のアイデアが頭の中にあったのでそのイメージを今回美術館で実験したいと思い立った。
まず円筒状の魚網がないか漁師のマーちゃんに尋ねたところ昔使っていたサヨリ網が倉庫にしまってあるというのでマーちゃんと取りに行った。


倉庫から引っ張り出し、全体の構図を見ようと網を広げてみたとき「漁民のうた」というテーマが降ってきた。
漁民は唄を歌う。漁に出る船の上で舟歌を歌う。貝を堀りワカメを集める磯で磯節をうたう。網を繰り上げる呼吸を合わすために唄を歌う。魯を漕ぐときホーランエーの声が海に響き渡る。漁民は唄を歌う。


漁民は日々海を見ている。変化していく自然環境を一番良く知っている。年々変わっていく海の生き物たちの事を一番良く知っている。海の声を一番多く聞いている。今、その漁民の声を聞くときなのだ。
中学を卒業してそのまま漁師になったマーちゃんが父親と使っていたというその網が美術館に置かれるということ自体に深いメッセージがある。
漁民の手で編まれ、時を経た漁具はそれ自体が芸術性を帯びている。


8月末はうちに沢山の人が来ていた。みんなで竹を切り、割り、鉈で削り、それを曲げて材料を作った。初めて作業に参加する人はいったいこれが何になるのか分からないという中で、蚊に刺されながら黙々と作業した。多くの人の手が加われば加わるほど作品は深みを増す。
制作の日が近づいたある日の早朝、船でサヨリ網と竹を柳井に送り、田中先生と先生の元生徒たちがトラックで美術館まで届けてくれた。
田中先生は定時制高校の元教師でその頃の教え子たちと毎年県美展に出品している。みんなこの制作を年に一度の行事として楽しみに準備しているようだった。そしてとても良いチームだ。僕は生徒ではないがこの一連の制作過程の中で昔、田中先生に教わっていたような錯覚を何度か感じた。


9月1日から3日の三日間、現地制作を行った。
県立美術館の正面玄関前に2つの造形作品が出現した。偶然2点とも海をテーマにしたものだった。
「漁民のうた」と「海の幸」


田中先生のチームの作品「海の幸」にも参加した。これは沢山の人が、様々な想いで共同制作した作品であるが、僕はこの作品制作に、行き場の無い海洋漂流ゴミたち、マイクロプラスチックたち、そして放射性物質たちを浄化する祈りを込め、そして海からそういうものを取り除き還元する装置を創り出す想いで参加した。
この作品は佳作賞を受賞した。
「漁民のうた」は見るものによって聞こえてくる歌が違う。それは舟歌なのか演歌なのかブルースか抵抗のロックなのか。
このようなものが山口県立美術館に置かれるのも良いではないか。


                2017、9、17嵐の日、祝島にて
                   こだままこと 拝



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