全国で講演活動をつづけ、2012年3月18日には、宇部市渡辺翁記念館を満員にして、その後の、いのち・未来うべの基礎をつくった小出裕章さんが、最近の「北朝鮮キャンペーン」「核脅威プロパガンダ」に対して、原発・核研究者の立場から、冷静で具体的な反論を行っています。
もとは、崔勝久さんのブログ、OCHLOS(オクロス)に掲載されたものです。
http://oklos-che.blogspot.jp/2017/09/blog-post_8.html
小出さんの了解を得て、私たちの当ブログにも掲載させていただきます。
掲載承諾をいただいたメール、そして本文を掲載します。
(事務局 安藤)
小出裕章さんのメール
おはようございます。
ご無沙汰しておりました。
崔さんのブログの文章、読んでくださったようですね。
別の人からも崔さんのブログを読んだとメールが来ました。
知人のメールでの問い合わせに返信して書いた文章だったのですが、結構出回っているようですね。
安藤さんたちのブログにも載せて下さるとのこと、ご自由にお使いください。
崔さんのブログにある昔の文章も添付します。
朝鮮の核については、米空軍、北米航空宇宙防衛軍司令官ホーナー将軍が下のように言っています。
「米国が数千個の核兵器を持ちながら、北朝鮮に『君たちは恐ろしい人たちだ。核兵器を開発しようとしている』ということは難しい。」
バーナード・ラウンIPPNW(核戦争防止国際医師会議)前会長も言っています。
「核保有国が一貫して言ってきたことは『我々がしている通りではなく、我々が言う通りにせよ。我々は核兵器を持って良いが、君たちはいけない。」
私はすべての国のすべての核に明確に反対です。
そして、他人に核兵器を持ってはいけないと言うのであれば、自分も持ってはいけない。
誰かの核の傘に隠れてもいけない。
そんな簡単なことがどうしてわからないのか不思議です。
安倍さんたちの動きをみるとまったく呆れますし、きちんと報道しないマスコミも犯罪的です。
信州はすっかり秋になりました。
お元気でご活躍ください。
2017/9/9 小出 裕章
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核をどう見るか
小出 裕章
朝鮮民主主義人民共和国の核の件、皆さん冷静にならなければいけません。
朝鮮には熱出力で25メガワットのごく小さな原子炉しかありません。
京大原子炉実験所の原子炉は熱出力で5メガワットでした。
日本でも世界でも標準的な原子力発電所は100万キロワットです。
これは電気出力で、熱出力は300万キロワット、メガワット単位で示せば3000メガワットです。
つまり、朝鮮が持っている原子炉は、日本の原発の原子炉の100分の1以下という小さなものです。その原子炉を動かしてどれだけのプルトニウムができるかについては、昔計算して書いたことがあります。もう20年以上前のものですが添付します(注「核兵器に反対する物理学会の会準備会通信」第2号、1994年6月26日)
仮に朝鮮が原爆を作れたとしても、その数は知れています。
朝鮮戦争は1953年の休戦協定が結ばれただけで、未だに終戦していません。
その一方の当事国である米国は気に入らない国があれば、地球の裏側までも攻め込んで政権を転覆させる国であり、米国を相手に戦争中である国はハリネズミのようになるしかありません。俺は強いんだぞ、攻撃してくるならやっつけてやるぞと言うしかありません。
朝鮮が原爆を作ったということすら、私はいまだに懐疑的です。でも、マグニチュード6.1の地震をもし爆弾で引き起こすとすれば、通常の爆弾では無理です。本当に、先日の地震が自然のものではなく、人工的なものだとすれば、原爆だろうと思います。水爆を作るためには重水素が必要ですし、起爆剤としての原爆も必要です。そうした材料や技術を朝鮮が持っているとは、私は思いません。
ただ、問題は、そんなことではなく、朝鮮半島の分断を終わらせ、平和を回復することです。お互いに敵を威嚇することなどやってはいけません。朝鮮の分断に誰よりも責任のある日本は、まずそのためにこそ力を払うべきです。それなのに、米国の尻馬に乗り、「あらゆる選択肢がある」などと安倍さんは言うのですから気が狂っています。
また、本当に危機だというなら、日本国内の原発をまず停止すべきなのに、地下鉄をとめてみたり、迎撃ミサイルを配備してみたり、警戒警報を出して見たり、ひたすら危機を煽ることだけやっています。ひどい国ですし、ひどいマスコミだと思います。
注
文中で触れられている、「核兵器に反対する物理学会の会準備会通信」第2号、1994年6月26日)は、PDFファイルです。このブログに置けないため、下記に掲載しておきます。
ぜひ、ご参照ください。
いのち・未来うべ 事務局 安藤の個人ブログ
http://atta-an.seesaa.net/