風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

空が呼びかけるのは

2014年08月30日 17時00分15秒 | 詩集

 君と肩を並べて
 いっしょに歩く
 河原の土手の道
 夕暮れがそっと
 空の隅っこに沁みこんで
 夏みかん色の風が
 僕の心に沁みこんで

 繋いだ掌のぬくもりは
 ずっと忘れていたもの
 胸の隅っこに
 生きることの愛しさが
 あたたかく灯りはじめ
 そうして君の心にも
 なにかを灯してくれるのなら

 巡り合いはたぶん
 ほんの気まぐれな偶然
 風と風が交わるように
 出逢っただけ
 だけど僕には
 奇蹟としか思えなくて

 遠い夕陽が恋しくなる
 そんなふうに愛せたら
 空が呼びかけるのは
 ここへ帰っておいでと
 たったひとこと
 あの夕焼けへいつか君と
 羽ばたいてゆけるのなら

 一番星が輝いて
 いっしょに歩く
 河原の土手の道
 蛍の光が祝福のように
 飛び交っては消えて
 君の瞳が
 煌めいてはゆらいで




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自慢ばっかり(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第247話)

2014年08月27日 08時30分30秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』
  
 中国人の友人と食事をしながらテレビのニュースを観ていた。
 中央電視台(国営放送)のニュースは、中国の経済成長率は合理的な範囲であるだとか、建築資産は今年何十億元増えただとか、経済成長が依然として好調であるというプロパガンダを次から次へと流す。
「自慢ばっかり」
 中国人の友人はぽつりとつぶやいた。
「経済がいくらよくなっても、上の人たちばかり儲かって下の人は貧乏なままです」
 経済成長が続く中国では徐々に中間層が増えている。だが、大部分の人たちの賃金はなかなかあがらず、賃金の上昇幅よりも物価の上昇幅のほうが大きいためにむしろ生活が苦しくなる人のほうが多い。友人は貧しい農村の出身なのでとりわけそう感じるのだろう。
 日本でも景気が上向いたと「自慢ばっかり」のニュースがよく流れているようだけど、どれだけの人々の暮らしがよくなったのだろう?




(2013年7月27日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第247話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
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君の生まれた国と僕の生まれた国が戦争しませんように

2014年08月23日 13時16分37秒 | 詩集
 
神よ 祝福あれ
スマートフォンの君の声がはしゃぐ
今度の夏休みはどこへ旅行しようって

神よ 祝福あれ
そろそろ行き先を決めないと
飛行機のチケットがなくなるわと息を弾ませる

神よ 祝福あれ
僕は長い放浪の旅の果て
いつしか君が生まれた国で暮らし始めた

神よ 祝福あれ
違いが多すぎて馴染むには時間がかかったけど
それでも僕はこの国の人たちといることを選んだ

神よ 祝福あれ
ありふれたなにげない出逢い
僕の第一印象はあまりよくなかったらしいが

神よ 祝福あれ
いつの間に君は僕に馴染んで
僕たちはふたりでいることを選んだ


神よ 祝福あれ
僕の生まれた国はもう二度と戦争をしないと
掟を定め 平和を守ってきたけど

神よ 祝福あれ
ふと気づけば 独裁者が現れ
理屈にならない理屈 欺瞞に満ちた正義を語り始めた

神よ 祝福あれ
僕の国はまた戦争を始めるという
平和を守る掟は時代遅れなのだと嘘をつく

神よ 祝福あれ
もしかしたら僕の国と君の国が
戦うことになるかもしれないと人々は噂する

神よ 祝福あれ
ニュースを見た君は不安そうに声をひそめ
わたしたちは離ればなれになるのと僕に訊く

神よ 祝福あれ
わたしたちはただふたりの暮らしを
平凡に過ごしたいだけなのにと


神よ 祝福あれ
大きな時代の流れには
ささやかな抵抗しかできない僕たちだから

神よ 祝福あれ
今はふたりの生活だけを
それだけを考えようと君を慰めるけど

神よ 祝福あれ
心の底では感じている
戦争への道は止められない
いやもうすでに始まっているのかもしれない

神よ 祝福あれ
僕は君のそばにいたい
手をつないで 冗談を言って 笑って はしゃいで

神よ 祝福あれ
だけど僕は愛について考えしまう
僕は君を不幸にしてしまうのだろうか

神よ 祝福あれ
僕が君を愛すると
君を傷つけてしまうことになるのだろうか


神よ 祝福あれ
僕は君のそばにいたい
いつまでも いつまでも いつまでも いつまでも

神よ 祝福あれ
僕は君に寄り添っていたい
深く 深く 深く 深く 愛したい

神よ 祝福あれ
やさしさをわけあって
おたがいの心を温め 生きてゆきたい

神よ 祝福あれ
僕たちの道は世界でたったひとつだけの道
いつまでも ともに歩いてゆきたい

神よ 祝福あれ
君の手を離さずにすみますように
神よ 祝福あれ
ずっと一緒にいられますように

神よ 祝福あれ
ふたりが幸せでありますように
神よ 祝福あれ
いつまでも とこしえに

神よ 祝福あれ
神よ 祝福あれ
God bless you
 
 
 
 
 
 
 
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中国・海南島旅行3 ~海鮮市場

2014年08月20日 00時20分26秒 | フォト日記

 

 海南島の海鮮市場へ行ってきた。
 海鮮物を買って、それを渡して調理してもらう。

 

 

 

 

 えびや貝やカニを売っている。品定めをして買う。


 

 こんなみみずを見るとやはり中国だなと思う。さすがにみみずは買えなかった。


 

 海鮮市場は非常に大きい。テーブルがいくつもある。早めにいったので客は少なかった。

 

 ゆでえびと貝の炒めを頼んだ。



 うに蒸し。おいしかった。


 海南島の写真は以上です。
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中国・海南島旅行2

2014年08月17日 14時39分55秒 | フォト日記
海南島旅行の続き。

「海角天涯」へ行った。
浜辺に大きな岩があるだけの海岸だが、その岩は清朝の頃、天文観測に使われていたそうだ。
なお、「海角天涯」は「世界の果て」という意味。中国のいちばん南だったことからそう呼ばれた。












下の写真は海南島の夜明け。とてもきれいな朝焼けだった。

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中国・海南島旅行1

2014年08月16日 20時55分32秒 | フォト日記

 中国のいちばん南にある海南島へ行ってきた。
 海南島は「中国のハワイ」と呼ばれる亜熱帯の島。

 


 

 海南島・三亜のビーチ。
 きれいな白浜だった。海はとてもきれいだ。

 

 大勢の観光客が海水浴していた。
 波打ち際で遊ぶ人がほとんどで、泳ぐ人はあまりいない。
 僕はすこしだけ海のなかへ入って遊んだ。気持ちよかった。


 


 

 
 

 ホテルのバイキングの案内板にはロシア語も書いてある。
 実際、ロシア人がけっこういた。
 ヨーロッパのリゾート地へ行くよりも海南島のほうが安いから人気なのだとか。
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砂糖入りのお茶のペットボトル(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第246話)

2014年08月10日 08時00分15秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』

 中国ではじめてお茶のペットボトルを買ったとき、僕はひと口飲んで思わず噴き出してしまった。
 砂糖が入っていて妙に甘ったるい。まさかお茶に砂糖が入っているとは思わず、びっくりしてしまった。なんとも形容しがたい変な味で、とても飲めた代物ではなかった。
 中国でもサントリーがウーロン茶のペットボトルを売っているけど、日本と違って、普通のウーロン茶と砂糖入りの二種類ある。コンビニへ行くと「無糖」「低糖」と表示したウーロン茶が並んでいたりする。
 僕は「低糖」のウーロン茶があるとはつゆ知らず、間違えて「低糖」のウーロン茶を買ってしまったことがある。「低糖」なので甘さ控え目だけど、それでもやっぱり変な味だ。考えてみれば、紅茶には砂糖を入れて飲んだりするわけだから、緑茶やウーロン茶に砂糖入れてもおかしくはないのだけど、やっぱりウーロン茶は砂糖なしで飲みたい。だから、買う時はかならず表示を確かめるようにしている。
 ちなみに、中国のローカル飲料メーカーがサントリーのウーロン茶とよく似たのパッケージでウーロン茶のペットボトルを売っていて、時々、間違えて手に取りそうになる。ウーロン茶のペットボルトを買う時は、本物かどうかも確かめるようにもしている。
 わざわざお茶に砂糖を入れる必要もないのにと思ってしまうけど、中国人には「低糖」のほうが人気があるようだ。「無糖」のウーロン茶をごくごく飲んでいると、
「なんでそんな砂糖も入っていないまずいものを飲むの? 砂糖入りのほうがおいしいよ」
 と中国人の友人たちに何度も言われた。
「だって家でお茶を飲む時は砂糖をいれないだろ。それと同じだよ」
 僕はそう言うのだけど、
「家で飲む時はそうだけど、ペットボトルのお茶は砂糖が入っていないとおいしくないよ」
 とみんな言う。
 中国人の友人たちはどうも砂糖が入っていないお茶のペットボトルなんてあり得ないと思っているらしい。家で飲むお茶と店で売っている飲料としてのお茶は別物と思っているようだ。
 実をいえば、ウーロン茶は中国茶のなかではレベルは高くない。ウーロン茶は鉄観音の一種だけど、おいしい鉄観音は青い葉をしていて、飲むと若々しい味がする。ウーロン茶は品質のあまりよくない鉄観音の葉を何度も焙煎して味をなんとかごまかして飲めるようにしたものだ。コーヒーでいえば、くず豆を何度も炒って炭焼きコーヒーに仕立てたようなものだろう。
 中国人の友人たちが、日本人がおいしそうにウーロン茶を飲むのを不思議がるのは、味のよくないお茶なのにどうしてそんなものを飲むのだろうと思っているからかもしれない。中国にはおいしいお茶がいろいろあるわけだし。
 今住んでいる広州市内の近所のコンビニには伊藤園の「お~い お茶」シリーズが置いてあるので助かる(もちろん、砂糖は入っていない)。しょっちゅう買うわけではないけど、たまにペットボトルの日本茶が飲みたくなるから。



(2013年7月23日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第246話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/

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しまかぜ

2014年08月02日 08時00分15秒 | 詩集

 おこってないだなんてそんな
 やたらに意地を張らないで
 そろそろ機嫌直して ほら
 椰子の実ジュースを買ってあげる

 ほっぺをちょこっとふくらませて
 おちょぼ口をとがらせて
 おこった顔もかわいいんだけど
 笑顔の君はもっと素敵だよ

 珊瑚の島にふりそそぐ
 夏の光は恋をじらして
 「君が好き」ってささやいたら
 聞こえないふりして
 くるりと背を向ける

 とつぜん駆け出した
 素足の君を追いかけて
  しまかぜが吹く
   しまかぜが吹く
    しまかぜが吹く


 あどけない瞳をしてそんな
 じっと僕を見つめないで
 なんだか照れくさくなっちゃう
 だってあんまりかわいいから

 うずまき貝を君にあげる
 耳へあててごらん ほら
 青い潮騒が聞こえるだろう
 こころのふるさとの唄なんだよ

 珊瑚の海から寄せ返す
 透きとおる波は恋をゆらして
 「君が好き」って抱きしめたら
 胸をどんどん叩いて
 くるりと背を向ける

 とつぜん駆け出した
 素足の君を追いかけて
  しまかぜが吹く
   しまかぜが吹く
    しまかぜが吹く


 白い渚を駆け抜ける
 素足の君を追いかけて
  しまかぜが吹く
   しまかぜが吹く
    しまかぜが吹く
     しまかぜが吹く





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