風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

砂糖入りのお茶のペットボトル(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第246話)

2014年08月10日 08時00分15秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』

 中国ではじめてお茶のペットボトルを買ったとき、僕はひと口飲んで思わず噴き出してしまった。
 砂糖が入っていて妙に甘ったるい。まさかお茶に砂糖が入っているとは思わず、びっくりしてしまった。なんとも形容しがたい変な味で、とても飲めた代物ではなかった。
 中国でもサントリーがウーロン茶のペットボトルを売っているけど、日本と違って、普通のウーロン茶と砂糖入りの二種類ある。コンビニへ行くと「無糖」「低糖」と表示したウーロン茶が並んでいたりする。
 僕は「低糖」のウーロン茶があるとはつゆ知らず、間違えて「低糖」のウーロン茶を買ってしまったことがある。「低糖」なので甘さ控え目だけど、それでもやっぱり変な味だ。考えてみれば、紅茶には砂糖を入れて飲んだりするわけだから、緑茶やウーロン茶に砂糖入れてもおかしくはないのだけど、やっぱりウーロン茶は砂糖なしで飲みたい。だから、買う時はかならず表示を確かめるようにしている。
 ちなみに、中国のローカル飲料メーカーがサントリーのウーロン茶とよく似たのパッケージでウーロン茶のペットボトルを売っていて、時々、間違えて手に取りそうになる。ウーロン茶のペットボルトを買う時は、本物かどうかも確かめるようにもしている。
 わざわざお茶に砂糖を入れる必要もないのにと思ってしまうけど、中国人には「低糖」のほうが人気があるようだ。「無糖」のウーロン茶をごくごく飲んでいると、
「なんでそんな砂糖も入っていないまずいものを飲むの? 砂糖入りのほうがおいしいよ」
 と中国人の友人たちに何度も言われた。
「だって家でお茶を飲む時は砂糖をいれないだろ。それと同じだよ」
 僕はそう言うのだけど、
「家で飲む時はそうだけど、ペットボトルのお茶は砂糖が入っていないとおいしくないよ」
 とみんな言う。
 中国人の友人たちはどうも砂糖が入っていないお茶のペットボトルなんてあり得ないと思っているらしい。家で飲むお茶と店で売っている飲料としてのお茶は別物と思っているようだ。
 実をいえば、ウーロン茶は中国茶のなかではレベルは高くない。ウーロン茶は鉄観音の一種だけど、おいしい鉄観音は青い葉をしていて、飲むと若々しい味がする。ウーロン茶は品質のあまりよくない鉄観音の葉を何度も焙煎して味をなんとかごまかして飲めるようにしたものだ。コーヒーでいえば、くず豆を何度も炒って炭焼きコーヒーに仕立てたようなものだろう。
 中国人の友人たちが、日本人がおいしそうにウーロン茶を飲むのを不思議がるのは、味のよくないお茶なのにどうしてそんなものを飲むのだろうと思っているからかもしれない。中国にはおいしいお茶がいろいろあるわけだし。
 今住んでいる広州市内の近所のコンビニには伊藤園の「お~い お茶」シリーズが置いてあるので助かる(もちろん、砂糖は入っていない)。しょっちゅう買うわけではないけど、たまにペットボトルの日本茶が飲みたくなるから。



(2013年7月23日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第246話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/

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