風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

あなたに贈りたい花束がある

2023年09月26日 23時19分29秒 | 詩集

 聞いてくれますか
 わたしの心
 わたしの想い
 あなただけに打ち明けたい
 わたしの愛を


 お酒の力を
 借りてはいますが
 わたしの真心に
 かわりはありません
 あなたのことしか考えられない

 わたしなりに
 いくつか恋をしてきたけれど
 これほど大切にしたいと思ったのは
 あなたが初めてです
 あなたに出会ってからというもの
 無数の星が
 胸の内でまたたくようです

 わたしの夢はあなたです
 わたしの望みは
 あなたが満ち足りたほほえみを
 いつも浮かべていること
 生きる悲しみは
 わたしがそっと預かりましょう


 受け取ってくれますか
 わたしの心
 わたしの想い
 あなただけに届けたい
 こころの花束を

『枕草子』の「をかし」を「やばい」に換えてみた

2023年09月20日 06時15分30秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』

 第一段(抜粋)

 夏は夜。
 月の頃はさらなり、闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる。
 また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、や・ば・い・。
 雨など降るも、や・ば・い・。

 秋は夕暮れ。
 夕日のさして、山の端いと近くなりたるに、烏の、寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。
 まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、ち・ょ・う・や・ば・い・。
 日入りはてて、風の音、虫の音など、はた、言ふべきにあらず。


第二段(抜粋)

 三月。
 三日は、うらうらとのどかに照りたる。
 桃の花の、いま咲きはじむる。
 柳など、や・ば・さ・こそさらなれ。
 それも、まだ繭にこもりたるはや・ば・い・よ・。
 ひろごりたるは、うたてぞ見ゆる。
 おもしろく咲きたる桜を、長く折りて、大きなる瓶に挿したるこそや・ば・い・。
 桜の直衣に出だし袿して、客人にもあれ、御兄の君達にても、そこ近くゐて、ものなどうちいひたる、ち・ょ・う・や・ば・い・。


第二十六段

 心ときめきするもの。
 雀の子飼ひ。稚児遊ばする所の前渡る。
 よき薫き物たきて、一人臥したる。唐鏡の少し暗き見たる。
 よき男の車とどめて、案内問はせたる。
 頭洗ひ、化粧じて、香ばしう染みたる衣など着たる。
 ことに見る人なき所にても、心のうちはなほち・ょ・う・や・ば・い・。
 待つ人などのある夜、雨の音、風の吹きゆるがすも、ふと驚かる。


第四十段(抜粋)

 夏虫ち・ょ・う・や・ば・く・廊のうへ飛びありく、ち・ょ・う・や・ば・い・。
 蟻はにくけれど、軽びいみじうて、水のうへなどをただ歩みありくこそや・ば・い・よ・。


第四十一段

 七月ばかりに、風のいたう吹きて、雨などさわがしき日、おほかたいと涼しければ、扇もうち忘れたるに、汗の香少しかかへたる綿衣の薄きをいとよく引き着て、昼寝したるこそ、や・ば・い・よ・。



(2021年2月5日発表)

 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第485話として投稿しました。
 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/

破れても

2023年09月06日 06時15分15秒 | 詩集

 空が破れても
 心が破れても
 人は生きながらに
 生まれ変わる


  秘めた想いは
  ポケットに隠したまま
  あなただけわかってくれれば
  それでいい
  あなたがわかってくれるだけで
  私は満たされる

  悲しいことや
  さびしいことがあっても
  もう嘆いたりしません
  穏やかな微笑でもって
  夢を
  そっと
  くるんでしまいましょう

  熱いコーヒーを飲んで
  一息入れたら
  仕事を続けます
  他人の時間を耕すためにではなく
  自分の時間を耕すために
  自分の心を実らせるために
  私自身のための仕事を続けます


 空が破れても
 心が破れても
 人は生きながらに
 生まれ変わる

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