風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

夕暮れの空へ

2022年07月27日 06時10分56秒 | 詩集
 
 終わったことはもういいから
 明日のことを考えよう
 やさしい夕焼け
 またたく一番星
 悲しかったことは紙飛行機にして
 夕暮れの空へ飛ばしてしまおう

 悲しみは幸せのもと
 幸せは悲しみのもと
 いいこともあれば
 悪いできごともある
 人生の悲喜交交ひきこもごもは
 口笛にのせて
 夕暮れの空へ流してしまおう

  思い返してみれば
  導かれてここへきた
  果てしない黄昏のその先に
  きっとなにかが待っている
  そう信じたい

 終わったことはもういいから
 明日のことを考えよう
 消えてゆく夕焼け
 夜空を流れる星
 愛する君を抱きしめて
 ふたりの願いを抱きしめて

神々が人間を作り、人間が人工知能ロボットを作る

2022年07月08日 06時08分29秒 | 詩集
 
 神々は粘土をこねて人間を作った
 太古の昔は神さまだって
 仕事をしていたのだけど
 毎日働くのはしんどいと感じていた
 畑を耕したり
 狩りをしたり
 魚を獲りに行ったり
 家事をしたり
 そんなことを人間にやらせたかったのさ

 神さまが人間を作った時
 神さまは粘土に神さまの血を混ぜた
 だから人間には魂が宿った
 恋をしたり
 なにかに夢中になったり
 悲しくて泣いたりするのは
 そんな神さまの血が騒ぐから
 人間の胸には
 神さまが宿っている

 人間はやがて
 ビニールハウスで野菜を栽培したり
 家畜を育てたり
 魚を養殖したり
 石油を掘ったり
 パソコンを叩いて事務をしたり
 工場で物を作ったり
 いろんなところへ配達したり
 家事をしたりと
 毎日の仕事が面倒になった

 人間は神々と同じように
 自分を仕事を誰かにやらせようとして
 人工知能ロボットを作った
 でも人間はずるいから
 馬のかわりに
 機関車を作ったり
 自動車を作った時と同じように
 人工知能ロボットには
 人間の血を混ぜてやったりはしなかった

 人工知能ロボットには魂がない
 アルゴリズムの計算通りに動くだけ
 人生の喜びも苦しみも知らない
 だけどいつか
 天才科学者が
 人工知能ロボットに
 人間の血を混ぜてあげるかもしれないね
 人工知能ロボットも魂を持って
 恋をしたり
 なにかに夢中になったり
 悲しくなって泣いたりするかもしれないね

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