天津へ行くと毎回、必ず高さ制限ゲートに突っこんで立ち往生しているトラックを見かける。
道路の上にかかっている「高さ2・5m」などと標識のついた鉄のゲートの支柱が折れ、壊れたゲートがごっそりトラックの荷台のうえに落ちて身動きがとれなくなってしまっているのだ。当然、荷台に積んでいるダンボールなんかもぐしゃっと潰れていたりする。運転手はトラックのそばに立って呆然と鉄のゲートを見つめていたりする。
中国の市街地はトラックを入れないために高さ制限ゲートをあちらこちらに設けている。「高さ2・5m」などという標識とゲートを見れば、自分のトラックが通過できるかどうかわかりそうなものだけど、どういうわけか突っこんでしまう。高さ制限ゲートと標識を見ていないのか、それとも、これくらい通れるわいと自信満々だったのか。あるいは、初めからゲートをぶっ壊して突っ切るつもりだったのか。ともあれ、高さ制限ゲートなんか関係ねえと思っていることは確かだろう。
僕が住んでいる広州の周辺にも高さ制限ゲートはたくさんある。だけど、そんなぶざまな光景は年に数えるほどしか見かけない。北方人と比べれば、南方人のほうがまだ慎重だ。天津で立ち往生しているトラックを見るたびに、やっぱり北方の中国人は気性が荒いよなあとつくづく感じる。レストランのウェイトレスの応対やスーパーのレジのそれでも、荒いなあとつくづく感じさせられることがけっこうある。
ひと口に中国人といっても、北と南では気性がずいぶん違うんだよね。
(2012年7月14日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第187話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/