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風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

その背を向けないで

2020年03月16日 19時45分45秒 | 詩集

 もしも君が
 愛ならば
 なぜ
 その背を向けるの?
 わかりあうために
 許しあうために
 ふたり結ばれた
 はずなのに

 悲しみの星を
 胸に抱き
 なぜ
 じっと黙るの?
 夜の谷間に
 凍えた風に
 消えそうな
 心をかばう

 戻せない時の流れを
 見つめないで
 僕だけを
 見つめてほしい
 いとおしい君の頰に
 もう一度
 僕の手を触れさせて


 音のない光が
 闇に浮かぶ
 だれの心も
 きっと同じ
 めぐりめぐる夜空に
 あやうい虚しさに
 漂い続けて生きる

 心に雪が
 降りしきる
 せつなさは
 僕の胸に預けて
 砕けた夢も
 こぼれた愛も
 ほゝえみに
 変えたいから

 戻せない時の流れを
 見つめないで
 このまま
 別れられない
 涙をぬぐって
 もう一度
 君だけを
 抱きしめさせて
 あの日のふたりに
 今こそ戻って

ポケットのなかでつないだ手

2020年03月01日 06時15分30秒 | 詩集

 僕のコートのなかに
 君の手を入れて
 なくさないように
 見失わないように
 ふんわりと
 つつみこむように
 握りしめる

 夢は
 いつまでも
 あたたかく暮らすこと
 ほゝえみを
 持ちよって
 やさしく過ごすこと

 ありふれた毎日に
 君がいて
 僕がいる
 わかちあう
 こころのやすらぎ

 なにげないひと時を
 つみかさねて
 愛は深くなる
 ふたりはいつでも
 よく似合う

 しあわせはきっと
 神さまが起こした奇蹟
 なくさないように
 見失わないように
 ふんわりと
 つつみこむように
 握りしめる

チャイニーズポップスの流れる部屋

2020年02月11日 18時10分01秒 | 詩集


 君がかけるチャイニーズポップス
 夕焼けに輝く
 東京スカイツリータワー
 下町のマンションで始めた
 ふたりの新しい暮らし

 君がかけるチャイニーズポップス
 僕たちで出会ったあの春の日
 上海の喫茶店で流れていた
 かろやかなラブソング
 素敵な歌声

 君がかけるチャイニーズポップス
 アイロンの匂いはあたたかく
 君はワイシャツのしわをのばす
 ふたりの暮らしのしわをのばす
 僕はそれを着て勤めに出かける

 君がかけるチャイニーズポップス
 夕闇に浮かぶ
 東京スカイツリータワー
 タワーから見た夜景はきれいでしたね
 異国の暮らしはどうですか?
 東京の街は好きになれましたか?

 君がかけるチャイニーズポップス
 ありきたりの倖せに酔いしれて
 明日もふたりで見る夢の続き
 僕たちだけのささやかな夢

 ほんとうの倖せは
 ふたりでいること
 ずっとずっと
 いっしょにいること
 君がかけるチャイニーズポップス
 僕も口ずさむチャイニーズポップス


ふたりの星座

2019年10月30日 06時15分15秒 | 詩集

 ふたりで見つけた
 しあわせの形
 君のそばに僕がいて
 僕のそばに君がいる
 ただそれだけ

 水平線に沈む
 流れ星を眺めていようよ
 きれいな星の夜だね
 澄んだ風だね
 君の髪が
 ふわりと揺れる

 星と星が寄り添うように
 肩をならべていようよ
 ぬくもりを感じるだけで
 気持ちが通うから
 静かだね
 波の音だけだね

  君が口笛を吹く
  愛のメロディー
  僕たちのこころを
  ふわっとくるむ
  やさしい調べ

 ふたりで見つけた
 ほんとうのしあわせ
 君のそばに僕がいて
 僕のそばに君がいる
 ただそれだけ

トロピカルフルーツ色のさよなら

2019年10月24日 06時15分15秒 | 詩集

 夏の夕暮れは
 熟れたトロピカルフルーツの色
 甘酸っぱく揺れる想い
 冷めかけた熱気が
 ビルの谷間に吹く

 クラクション鳴り響く
 賑やかなラッシュアワー
 ガジュマルの樹のしたで
 いつものように遅刻する
 君を待ち続けた

  ようやく現われた君は
  淡い愁いを眉根に浮かべ
  ひっそりと笑顔をつくろう
  あゝ 心のノートに
  さよならを書きつけてきたんだね

 夢を語るときも
 君はどこか冷たい横顔
 あこがれた女(ひと)なのに
 ひと夏の恋で終わりそうな
 予感がさびしかった

 素敵な思い出をありがとうって
 僕に言わせるつもりなの
 それでもいいいけど
 とろけるようなkissを
 お別れの前にもう一度

  君が欲しいものを
  僕はあげられない
  君がなにを望んでいるのか
  僕にはわからない
  あゝ 出会った初めから
  すれ違っていたんだね
  さ・よ・な・ら

 せめて君が
 華やいだ街角を曲がるまで
 その背中を見送らさせて
 ちぎれた恋
 風にさらわれる
 夏の夕暮れは
 熟れたトロピカルフルーツの色

あなたをつつむ歌声になりたい

2019年07月07日 06時15分15秒 | 詩集

 笹の枝につるした
 短冊が
 夏の夜風に
 揺れている

 愛するあなただけと
 一緒にいたい
 ずっと ずっと
 いつまでも

  星がめぐるように
  ふたり出逢った
  素敵な愛をありがとう
  僕の願いごと

 あなたを
 やさしくつつむ
 歌声に
 僕はなりたい
 ほほえみを
 贈りつづける
 歌声に
 僕はなりたい


 夢の数だけ光ってる
 天の川
 ふたりの明日に
 乾杯しよう

 手をつないで見上げる
 遥かな宇宙(そら)
 いつか ぼくらも
 そこへ帰る

  時の流れるごとに
  愛は深くなる
  僕の願いごとは
  たったひとつだけ

 あなたを
 やさしくつつむ
 歌声に
 僕はなりたい
 ほほえみを
 贈りつづける
 歌声に
 僕はなりたい

紫陽花

2019年06月05日 06時15分15秒 | 詩集

 わかってもらえない
 悲しみがある
 月の光を浴びても
 癒せない
 悲しみがある

 涙まじりの青
 憂鬱な紫
 咲き乱れる赤
 譲れない白

 うつろいながら
 悲しみは
 その姿を変えるだけ
 消せない傷に
 気づいて欲しいのに
 なぜ

 抱きしめるしかない
 悲しみがある
 風に吹かれても
 解(ほど)きようのない
 悲しみがある

夜のほおずき

2019年05月23日 06時15分15秒 | 詩集

 星を見上げる
 夜のほおずき
 深い紅は
 火照った心

 眠れぬままに
 あなたを想う
 届かない
 わたしの夢

 瞳を伏せる
 夜のほおずき
 冷たい闇に
 ついた吐息は

 いっそ雨が降れば
 この想いも
 さめてくれる
 かもしれないのに

  近づく風
  あなたの影
  舗道に響く
  乾いた靴音

 息をひそめる
 夜のほおずき
 見つめる瞳
 深い紅

 音もないまま
 ささやきかけた
 夜へ落ちた
 深い紅


朝陽に

2019年04月24日 05時45分15秒 | 詩集


 朝だよ
 目を覚ましなよ
 今日から
 しあわせになるんだよ

 ゆったり広がる
 朝焼け
 とろけるような
 暁色

 いい眺めだね
 さわやかな風だね
 僕たちは
 ずっと一緒
 心をつないで
 生きるんだ

 朝だよ
 目を覚ましなよ
 東京の空に
 朝陽が輝くよ



ほんとうの空の青さ

2019年04月10日 06時45分45秒 | 詩集


 君と出逢って
 はじめて識った
 ほんとうの空の青さ

 君と出逢って
 はじめて感じた
 ほんとうの風の心地よさ

  大きく腕を広げて
  空を仰いでみれば
  空がささやきかける
  ここまで飛んでごらん

 世界は
 どこまでも
 澄んでいるんだよね
 ほんとうを
 見えなくしていたのは
 僕自身だったんだね

 涼やかに
 しなやかに
 君を抱きしめる
 ほんとうのしあわせは
 これからなのさ


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