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風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

輝きのなかへ

2021年02月16日 06時38分53秒 | 詩集
 世界は決して滅びない
 破滅してしまうようにみえても
 かならず美しくよみがえる

 人々は決して滅びない
 人は絆を結ばずには生きられない
 やさしくしなやかによみがえる

 魂は決して滅びない
 涙にくれていたとしても
 希望はいつもそばにある

  いつかいつの日にか
  力という力が滅びる
  奪う者は消え去り
  奪おうという欲望も
  どこかへ失せ
  愛だけが
  純粋な愛だけが残る

 奪い合いのない世界
 それがほんとうの世界
 愛で満たされた世界
 それがほんとうの世界

 すべての悪しきものは
 いつか姿を消す
 生まれ変わった世界に
 さわやかな風が吹く
 すべてが輝き
 ほんとうの愛だけがそよぐ

ほほえみをしあわせに

2021年02月01日 06時52分14秒 | 詩集

 ほほえみをしあわせに
 しあわせをほほえみに
 あなたと過ごす春
 あたたかい春
 巡りめぐる季節

 扉を開けたら
 まぶしい陽射しが
 石畳に照り返す
 約束の花束のような
 きらめく輝き
 美しい光

 光をほどいて
 春のなかへ
 あなたが待っている
 花びらの舞う
 あのベンチへ

 人生は一度だけ
 運命も一度だけ
 あなたのほほえみを
 抱きしめられたら
 ほかにはなにもいらない

 ほほえみをしあわせに
 しあわせをほほえみに
 あなたと過ごす春
 かろやかな春
 やさしいそよ風
 もうはなさない

風に消えた赤い風船

2021年01月25日 18時50分55秒 | 詩集

 おさげ髪の君
 卒業証書を胸に抱え
 瞳を伏せる君の後ろで
 赤い風船がそっと飛んだ
 子供がはしゃいで
 追いかけた

 約束もしていないのに
 約束をした気がしてた

 風にさらわれた
 赤い風船
 恋といっしょに
 飛んでいった


 自転車を止めて
 おしゃべりをした
 いつものベンチも
 今日が最後
 たわいもないことばかり
 話したけど
 光を見た気がしてた

 さよならは言わないよ
 口にすればつらくなるから

 風に舞った
 赤い風船
 高く 高く
 どこへ行くのか

 風にさらわれた
 赤い風船
 遠い昔の記憶のように
 消えていった

聖なる夜に君の影を踏んで

2020年12月24日 18時25分50秒 | 詩集

 君の影を踏んでつまづく
 みっともないったら
 ありゃしない
 ミルク色したニットの帽子
 やさしい天使を気取った君は
 手練れの小悪魔さ

 通りすがりの教会から
 こぼれるハーモニー
 きよしこの夜
 神様がいるなら
 表へ出てきて
 助けておくれ
 お得意の奇蹟ってやつを
 ひとつ見せておくれよ

 とめられない愛を
 打ち明けたいのに
 君はどうしても言わせまいと
 棘を含んだ微笑で僕を刺す
 ひたすら消耗するだけの
 無意味な駆け引き
 僕の尖った角をへし折って
 君は愉快かい?

 君を抱きしめたい
 嵐のように叫びたい
 愛させておくれ
 君のえくぼに
 キスさせておくれ
 こんなに素敵な夜なんだから
 こんなに素敵な君なんだから

 聖なる夜は
 冬の星座が煌めく夜
 どこもかしこも
 愛があふれているのに
 君の影を踏んでつまづく
 みっともないったら
 ありゃしない

白い風になって

2020年12月10日 06時40分45秒 | 詩集
 白い風になって
 あなたの
 ひとりの部屋へ
 愛を届けたい

 離ればなれに
 暮らしているから
 眠れない夜は
 窓を開けます

 あの日
 あなたを
 送って走った
 空港までの
 海沿いの道
 潮の香りと
 陽に焼けた
 あなたの横顔

  溶け合う
  風になれる
  ふたりのその日を
  夢に描いて


 白い夜に
 頬をよせて
 あなたのぬくもり
 思い出すの

 凍える星のように
 わたしも
 愛を識(し)って
 震えています

 あの日
 あなたが
 口づけてくれた
 空港のロビー
 人混みのなか
 わたしを見つめる
 あなたのまなざし
 愛のささやき

  溶け合う
  風になれる
  ふたりのその日を
  夢に描いて

寝静まった夜に

2020年10月31日 22時35分00秒 | 詩集
絶望したこともあった
思い通りにならずに
なによりも
自分自身がままならなくて

絶望したこともあった
憂鬱を飲み干して
日々の慰安に流され
自分だけを誤魔化した

遠い夢を見つめて
ため息ばかりついて
夢は
消えかかる
蝋燭の火のようだと
あきらめていた

今から思えば
愚かな自分自身と
向き合う勇気がなかった
ただそれだけのこと
カーテンを開けて
寝静まった街を眺める
遠くからバイクの響き

私が歩いた後にも
細いほそい道ができた
なんの変哲もないと
言ってしまえば
それまでだけど
私が歩いた
大切な道
生きてみてよかった
君と出会えてよかった

恐れるものは
なにもない
太陽にはなれないけど
静かな夜を照らす
星の光になら
なれるかもしれない

太陽にはなれないけど
静かな夜を照らす
星の光になってみたい
いつかは
きっと

瞳を閉じないで

2020年08月30日 05時30分45秒 | 詩集

 僕たちの愛が
 僕たちのふるさと
 離ればなれだなんて
 考えられない

 家路を急ぐ夕暮れに
 旅路に浮かぶ白い雲に
 君を想う

  生きる意味は
  ふたりでいること
  生きる意味は
  手をつないでいること


 瞳を閉じないで
 僕を見つめて
 なんどでもやさしく
 口づけてあげる

 静かな夜の夢に
 さわやかな朝の陽射しに
 君を想う

  生きる意味は
  愛し合うこと
  生きる意味は
  あたためあうこと


 君の顔(かんばせ)が
 倖せに輝いてくれれば
 もうなにもいらない

  生きる意味は
  ふたりでいること
  生きる意味は
  手をつないでいること

また夏が始まった

2020年07月26日 06時45分45秒 | 詩集


雨上がりの街路樹に響く
今年初めての蝉の声
夏の扉を開けて
賑やかな夏がはしゃぎ出す
太陽へ向かって
もっともっと輝けと
訴えかけるよう

東京の暮らしはどうですか?
慣れてしまえば
なんてことはないでしょう
東京はすこしばかり
忙(せわ)しいけれど
どんな街でも
人の営みに変わりはないのです

帽子をかぶって
木陰を歩きましょう
この道を抜けて
いつものショッピングモールへ
夏休みの旅行に持っていく
小さなリュックを一つ
それから
あなたのスカートを
買いましょう

華やかな街の片隅で
大切なあなたと二人
穏やかに暮らすことができれば
なにも言うことはありません
あなたが倖せそうに
ほゝえむ時
僕の心は満たされます

雨上がりの街路樹に響く
今年初めての蝉の声
あなたと二人
いつもと変わらない
夏の扉を開けて

あの虹まで舞いあがれ

2020年07月25日 06時45分45秒 | 詩集

 澄んだ空へ
 ギターを奏でる
 ぼくのねがいよ
 あの虹まで
 舞いあがれ

 生きていてよかった
 君と出会えてよかった
 もうひとつ
 しあわせになろう
 もうひとつ
 しあわせにするよ

 しあわせになるのは
 かんたんなことではなかった
 暗い迷路を
 いくつもくぐり抜けて
 ようやく君と出会ったんだ

 のほほんといい気持ち
 君がそばにいてくれるから
 あたたかい
 君がくれるほゝえみは
 失くせない宝物

 生きていてよかった
 君と出会えてよかった
 もうひとつ
 しあわせになろう
 もうひとつ
 しあわせにするよ

 澄んだ空へ
 ギターを奏でる
 ぼくのねがいよ
 もっともっと
 舞いあがれ

悲しみが眠るまで

2020年04月13日 19時45分00秒 | 詩集

 悲しみよ
 そっとおやすみ
 夜更けの雨に
 そっとおやすみ

 寝静まったキッチン
 酔えないお酒を
 グラスに注いで
 愛されてないことは
 前からわかっていた

 消せない傷跡
 繰り返す過ち
 ため息をついても
 なんにもならないよと
 こころに言い聞かせては
 またため息をつく

 ボリュームを絞った
 真夜中のラジオ
 流れてきた恋唄に
 低く つぶやくように
 歌ってみる

  やまない雨はないと
  知ってはいるけれど
  いつかは晴れると
  わかってはいるけれど

 悲しみよ
 そっとおやすみ
 夜更けの雨に
 そっとおやすみ

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