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風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

雨の日に君は

2022年10月04日 06時24分15秒 | 詩集
 
 雨の日に君は
 土手の上を歩いていました
 傘をさしていたから
 顔は見えませんでしたが
 それでも僕は
 君だとわかりました
 二階の勉強部屋の窓から
 僕は君に見とれました
 雨が降らなければ
 君の顔が見えるのに
 僕はただ君を見つめていました

 風の強い日に君は
 土手の道の向こうからやってきます
 僕は犬を連れて
 土手の上を散歩していました
 君だと思った瞬間
 僕はどきまぎして
 犬の綱を持つ手が震えました
 ちらっと君を見て
 また顔を伏せます
 いたずらな風は
 君のスカートを揺らしていました

  雲を眺めては君を想い
  星を眺めては君を想います
  一言だけでいいから
  声をかけたいと思うけど
  そんな勇気はどこにもなくて

 心地よく晴れた日に君は
 大きなバックを持って
 土手の上を歩いていました
 都会へ行くのだと
 同級生の噂で聞いていました
 僕は家からあわてて飛び出しました

「重そうだね。手伝おうか」
 僕は君へ言いました
「ありがとう」
 君は僕に荷物を渡します
 川縁には
 さわやかな風が吹いていました
 君はクラスメイトが手伝ってくれたと
 ただそれだけのことだと思ったでしょう
 ですが
 僕にとっては
 宝物のような思い出になりました
 いまでも
 いつまでも
 忘れられない君のえくぼ

九月の渚

2022年09月15日 06時23分09秒 | 詩集

 海風
 白い渚
 あなたとふたりきり
 太陽があふれている

 素足
 熱い砂
 あなたは楽しそうに
 足を踊らせる

 風をめくれば
 素敵な夢が見える
 あなたような人に
 初めて出会った
 九月の渚で抱きしめて


 岬
 赤い灯台
 爽やかな空を横切る
 パラセーリング

 潮騒
 青い波
 あなたはそっと
 手をつないでくれた

 わたしの夢を
 あなたにあずけたい
 ともだちのままで
 終わりたくないから
 九月の渚で抱きしめて


  波の調べ
  恋の鼓動
  いつでもあなたの
  そばにいたい

 海原
 あんな広さで
 わたしを抱きしめて
 九月の渚で抱きしめて

運命よ!

2022年09月01日 06時17分11秒 | 詩集
 
 運命よ!
 貴様こそが全能の神
 すべてにまさる
 神のなかの神
 すべてをあやつる
 至高の神

 運命よ!
 貴様が全能の神だからこそ
 俺は挑発する
 限りなく挑戦する
 俺のすべてが
 貴様を倒せと叫んでいる

 命のすべてを賭けて
 貴様を乗り越える
 俺の心臓を
 喰えるものなら喰ってみろ
 俺の魂を
 潰せるものなら
 踏み潰してみろ

 信じるのは己ただ一人
 貴様が
 なんど俺を投げ飛ばしても
 俺は立ち上がる
 諦めない
 俺の胸を満たすのは
 運命へ挑む恍惚のみ

 運命よ!
 貴様こそが全知全能の神
 俺が打ち破るべき
 神のなかの神
 ほかの誰でもない
 俺が鉄槌を喰らわす神

サイドカー

2022年08月11日 06時21分19秒 | 詩集

 若かった頃みたいに
 無茶して飛ばしたりしないよ
 サイドカーに君がいるからね
 エンジンを響かせて走る
 まっすぐ続く草原の道
 丘の向こうに澄んだ夏の空

 白いマフラー巻いて
 ゴーグルをかけた君は
 まぶしそうに楽しそうに微笑んでいる
 サイドカーも悪くないだろ
 風を切る気分はどうだい
 心が洗われてすがすがしいでしょう

  走れ サイドカー
  白い雲を追いかけて
  走れ サイドカー
  君の笑顔よ
  もっと輝け
  いつか話してくれた憧れの地へ行こう


 ほかのバイクに抜かされても
 もうムカついたりはしないよ
 サイドカーに君がいるからね
 君がしあわせそうなら
 僕はたまらなく嬉しいよ
 君の好きなスピードで走ろう

 カーブをゆっくり曲がる
 もうすぐ海が広がるよ
 磯の香りは心地いいものだね
 愛はそこらじゅうに
 転がっているけれど
 君の代わりはいない
 君しかいない

  走れ サイドカー
  君の夢は僕の夢
  走れ サイドカー
  僕らの風よ
  もっと輝け
  憧れを目指してふたりの旅は続く
  走れ 僕らの愛

ふたりは永遠(とわ)に

2022年08月03日 06時15分13秒 | 詩集
 蒼い島影を
 小舟は進む
 夏の夜空に
 花火があがる

 銀色の波間
 月はさやかに
 浴衣のきみの
 胸のふくらみ

  きみに恋して
  きみだけ愛して
  ぼくのすべてを
  きみへ捧げる

 きみの夢に
 ぼくはなりたい
 愛は輝く
 ふたりは永遠とわに


 海を渡る風
 飛魚が跳ねる
 波に手を濡らし
 はしゃぐきみ

 きみの手をとって
 見上げる星空
 流れ星に
 願いはひとつ

  きみに出会って
  すべてが変わった
  離れられない
  きみを離さない

 きみの瞳に
 星が宿るとき
 愛は輝く
 ふたりは永遠とわに


 蒼い島影を
 小舟は進む
 真夏の恋に
 花火があがる

 
 
 
 
小説家になろう発表作品
この詩のなろうのアドレスは以下の通りです
https://ncode.syosetu.com/n3144hc/

夕暮れの空へ

2022年07月27日 06時10分56秒 | 詩集
 
 終わったことはもういいから
 明日のことを考えよう
 やさしい夕焼け
 またたく一番星
 悲しかったことは紙飛行機にして
 夕暮れの空へ飛ばしてしまおう

 悲しみは幸せのもと
 幸せは悲しみのもと
 いいこともあれば
 悪いできごともある
 人生の悲喜交交ひきこもごもは
 口笛にのせて
 夕暮れの空へ流してしまおう

  思い返してみれば
  導かれてここへきた
  果てしない黄昏のその先に
  きっとなにかが待っている
  そう信じたい

 終わったことはもういいから
 明日のことを考えよう
 消えてゆく夕焼け
 夜空を流れる星
 愛する君を抱きしめて
 ふたりの願いを抱きしめて

神々が人間を作り、人間が人工知能ロボットを作る

2022年07月08日 06時08分29秒 | 詩集
 
 神々は粘土をこねて人間を作った
 太古の昔は神さまだって
 仕事をしていたのだけど
 毎日働くのはしんどいと感じていた
 畑を耕したり
 狩りをしたり
 魚を獲りに行ったり
 家事をしたり
 そんなことを人間にやらせたかったのさ

 神さまが人間を作った時
 神さまは粘土に神さまの血を混ぜた
 だから人間には魂が宿った
 恋をしたり
 なにかに夢中になったり
 悲しくて泣いたりするのは
 そんな神さまの血が騒ぐから
 人間の胸には
 神さまが宿っている

 人間はやがて
 ビニールハウスで野菜を栽培したり
 家畜を育てたり
 魚を養殖したり
 石油を掘ったり
 パソコンを叩いて事務をしたり
 工場で物を作ったり
 いろんなところへ配達したり
 家事をしたりと
 毎日の仕事が面倒になった

 人間は神々と同じように
 自分を仕事を誰かにやらせようとして
 人工知能ロボットを作った
 でも人間はずるいから
 馬のかわりに
 機関車を作ったり
 自動車を作った時と同じように
 人工知能ロボットには
 人間の血を混ぜてやったりはしなかった

 人工知能ロボットには魂がない
 アルゴリズムの計算通りに動くだけ
 人生の喜びも苦しみも知らない
 だけどいつか
 天才科学者が
 人工知能ロボットに
 人間の血を混ぜてあげるかもしれないね
 人工知能ロボットも魂を持って
 恋をしたり
 なにかに夢中になったり
 悲しくなって泣いたりするかもしれないね

あとがきもない恋

2022年06月27日 06時03分18秒 | 詩集
 叩きつける雨
 曲がりくねった
 海岸線の国道
 俺はバイクを走らせる
 お前から
 思い出から
 遠く 遠く
 離れるために

 荒れ狂う波
 ヘッドライトに反射する雨
 突然終わった
 あとがきもない恋
 俺がお前を騙したのか
 お前が俺を騙したのか
 光っては消える
 愛のまぼろし

 俺の欲しいものは
 お前にはない
 お前の欲しいものは
 俺にはない
 おたがいをまさぐりあって
 見つけた答えは
 愛してはいないということ

 白く煙る雨
 風が叫ぶ
 海岸線の国道
 俺はアクセルを回す
 嘘だと言ってくれ
 嘘だったと言ってくれ
 このまま
 海へ飛びこんでしまいたい

月の光に踊れ

2022年06月03日 20時40分00秒 | 詩集

 月の光に踊れ
 罪の影を落として踊れ
 悲しみを清めよ
 不自由を慰めよ

 月の心を感じたら
 想いのままに
 手を差し伸べよ
 しなやかに
 体をくねらせ
 力の限り回り続けよ
 消せない悲しみは
 それはそれとして
 胸に抱きながら

  涙があふれたなら
  月が照らす
  大地へ振り落とせ
  大地はなにも言わずに
  あなたの涙を
  受け止めることだろう

  落とした涙は
  いつか芽を吹き
  花を咲かせる
  そうして
  可憐な実を結ぶだろう
  月にそよぐ風に
  夢を口ずさめ

 月の光に踊れ
 罪の影を落として踊れ
 さみしさをいたわれ
 愛を抱きしめよ

新しいことを始めるなら

2022年05月13日 06時10分05秒 | 詩集

 新しいことを始めるなら
 花の香りがくすぶる
 まっさらな青空のもとが
 よいでしょう

 新しいことを始めるなら
 風が透きとおる
 すがすがしい陽射しのなかが
 よいでしょう

 新しいことを始めるなら
 ゆれる若葉に夢が歌う
 そんな心地のいい朝が
 よいでしょう


  扉を開けるだけで
  よいのです
  ためらうことなど
  なにもありません

  踊る心に身をまかせ
  好きなように
  やればいいのです
  自分だけの夢なのだから


 新しいことを始めるなら
 いちばん素敵な人と
 口づけを交わしたあとが
 よいでしょう

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