異次元の少子化対策・・・

　穏やかな夜明け。日曜・月曜の暑さは今年一番だったらしいが、わが家では玄関とベランダを網戸にして全開、涼風が心地よかったよ。
　いよいよ夏本番！　若者たちがカキ筏の周りを縦横無尽に走り回っている。エンジン音がうるさい。でも気持ちよさそう！


　政府は13日、「異次元の少子化対策」の具体策となる「こども未来戦略方針」を閣議決定した。同方針には、所得制限を撤廃し、対象を高校生までとした児童手当拡充や、子育て支援サービスの拡充、男性の育休取得率引き上げなど「共働き・共育て」推進が盛り込まれている。
　実現には年間「３兆円台半ば」の追加予算が必要だとされている。財源については年末までに結論を出すとして持ち越されたが、財源をどう確保するつもりか、あいまいなところが問題だ。
　「異次元」とは「別の次元」「普通とは全く異なる考え方」という意味の言葉で、次元が違うぐらい、これまでとは全く違った斬新な発想で物事を行うというときによく使われるそうだ。この方針のどこが「異次元」なのか？　巷では「異次元」というのは「現実世界では役に立たない」という意味だろうという人もいるという。
　ある専門家は「少子化対策の名を借りたばらまき政策で、出生率の上昇にはつながらないだろう。例えば、児童手当の拡充策は、すでに生まれている子どもに対する政策で、出生率を上げるためには無意味だ。婚姻率を高め、子どもを産みたくなる環境づくりがより重要になる。財源もあいまいで、持続可能性がある制度なのか、疑問がある」という。
　また経済同友会の新浪剛史代表幹事は14日の記者会見で、政府が決定した「こども未来戦略方針」に盛り込んだ児童手当の所得制限撤廃について「（日本の）子供の７人に１人が貧困化しているという状況を考えると大反対であり、所得がたくさんある人に（給付が）本当に必要なのか」と述べ、岸田文雄政権の方針に異を唱えた。
　さらに新浪氏は「所得制限による児童手当の不支給や減額を維持することで、貧困の連鎖にならないように（貧困層に）お金が回ったり、サービスをタダにしたりすべきだ」と主張するとともに、保育士の待遇改善を急ぐべきだと強調した。また、所得制限の撤廃には経団連の十倉雅和会長や日本商工会議所の小林健会頭も反対姿勢を示しているという。
　そもそも所得制限は、2010年４月に当時の民主党政権が旧児童手当を廃止して子ども手当を創設した際に、所得制限を撤廃した。しかし、その直後の７月の参議院選挙の結果、衆参ねじれ状態となり、所得制限を主張する自民党と公明党は2012年度から名称を児童手当に戻し、所得制限を設けることとなったのである。
　児童手当の所得制限撤廃論の主張は、「所得制限が子育て世代を分断する」ということだとか。が、そこまで小難しく考えている人がどれほどいるだろうか。日本はとっくの昔から金持ちと貧乏人に分断されているではないか。いまさら所得制限で子育て支援サービスの待遇が変わるわけでもあるまいし…。
　報道各社が先週末に実施した世論調査で、岸田内閣の支持率は軒並み低下したとか。児童手当の所得制限についても「所得制限を続けるべきだ」という意見が多数になった。せっかく自民党も含めた各党が制限撤廃で足並みをそろえたのに、選挙目当ての「異次元のバラマキ」も効果なし。また一波乱ありそうな…！。