いつか痩せたら・・・

　たった１本、凛と立つササユリ。まさに高値の花だ。

　ウオーキングの往路、遠くにカキ筏が浮かぶ遠景がいい。
　

　私には２つ違い姉がいる。誕生日は２年違いの同じ６月14日。こういうと多分、「さぞや仲の良い姉妹だろう」と思うだろうが、性格は真反対だからそれほど仲が良いとは言えない。
　小さい頃、わが家は貧乏だったのでいつも姉のお古を着せられていた。あまり体格が違わなかったからお古でよかったが、中学、高校となると姉はほっそり型、私はポッチャリ型になり、もうお古は着られなくなった。
　姉は連れ合いを早くに亡くし、娘を嫁がせた後、母から譲り受けた喫茶店を一人でやっていた。もう年だと５年ほど前、かれこれ50年近く続けた店を閉じた。
　姉はおしゃれで、長い付き合いのブティックでブランド物や結構な値段の服を買っていた。閉店を機に色々整理するというので「着られそうな服があったらちょうだい」と頼んだら段ボール箱を２個送ってきた。姉も中年になるとポッチャリ型になったので、スカートやブラウス、セーターなど着られるものがわりとあって助かった。
　あれから５年、先日「夏物のお古があれば送って…」と言ったらまた段ボールが２個。１箱にはスカートが20数枚、もう１箱にはブラウスやＴシャツなどが20数枚入っていた。スカートを１枚１枚はいてみたが、ウエストがきつくて全部ダメ。上に着るものはＴシャツ２枚とサマーセーターが１枚合っただけ、あとはバストがきつくて着られない。
　この際だからと自分が持っているスカートもはいてみたら、ウエストが合わなくなったのが６枚もあった。体重はさほど変わっていないのにまさかコロナ太り？　イヤ、加齢とともにしまりがなくなったのだろう。ガックリ！
　お古はよほど気心が知れた人でないと上げられない。上に着るものは県北の親友に全部持って帰ってもらった。スカートは捨てるのはもったいないので、マンションの清掃係の人に「もし気に入るものがあればはいて。あとは処分してくれる？」と頼んだ。すると後日、「私も３枚しか合うのがなかったわ。残りは友人たちがいいようにするって…」という。みんな中年太りなんだね。

　衣装ケースやクローゼットには、まだ買ったまま一度も着ていない服がある。「いつか痩せて着られるようになる」そう思って捨てないでいたのだが、さすがにもうムリだ。
　もう20年ほど前だったら「痩せたら着よう」と、またタンスの中にしまってダイエットに励むだろうが、もうこの歳では痩せるのを待つよりあの世へ逝くほうが早いと思うわ。
　余談だが、この前親友に入らなくなって白のジーンズをあげた。丈が長いので直してグランドゴルフにはいて行ったら、なんとホールインワンを出したという。「縁起がいいからこれからずっとこのジーンズで行くわ」とうれしそう。お古を喜んでもらえて良かった！