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つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

城下町の主婦行方不明事件、丸5年に・・・

2007-06-05 | やりきれません
 岡山県北の城下町、津山市では未だに解決していない事件が2件ある。1件目は2002年6月に起きた主婦行方不明事件、2件目は2004年9月、小学校3年生の筒塩侑子ちゃんが自宅で殺害された事件である。何の進展もないまま、徐々に事件は風化していく。
 1件目の事件、医師の妻・主婦高橋妙子さんが行方不明になった事件は3日で発生から丸5年を迎えた。妙子さんが2002年6月3日夕、「車で連れ回されている」と自宅に電話したのを最後に消息を絶ち、同日、夫の医師幸夫さんの銀行口座から約700万円が引き出された。県警は防犯カメラの映像を基に窃盗容疑で元会社員の女性(鳥取県出身)を指名手配し、知人の元タクシー運転手の男性から事情を聴いたが、直後に桜の名所である鶴山城址で首を吊っているのが発見された。その後、女性も岡山市の山中で白骨遺体で見つかり、県警は容疑者死亡のまま窃盗容疑で2人を書類送検した。消息を知る疑いが強かった男女が死亡し、手掛かりはまったく途切れ、以後何の情報もないままに丸5年が経過した。
 夫の精神科医・幸夫さんは、約1年前、24年間妙子さんと暮らした家を処分し、兵庫県内のマンションに移ったそうである。「心に区切りがつかず、だめになりそうで、場所だけでも変えたかった」そうだが、結局は「何も変わらない」という。
 一方で、5年が経過した今もマスコミに対する不信感はぬぐえないという。事件への関与が取りざたされた男性に取材が集中、男性は報道を批判し、無実を訴える遺書を残して自殺した。幸夫さん自身にも取材が殺到し、家の前をカメラが取り囲み、昼夜問わずインターホンが鳴り続けた。「報道機関を信頼していたが、実際は特ダネ競争の草刈り場にされた。人間として何のための報道か考えてほしい」と、報道陣を前に訴えていた。現在、幸夫さんはNPO法人犯罪被害者サポート・ファミリーズの会員として犯罪被害者遺族の救済活動を続けている。

 実は、私はこの被害者の妙子さんを存じ上げているのである。1987年(昭和62年)頃だったろうか、市内のスイミングスクールへ通い始め、先に入会していた彼女と同じコースになり、言葉を交わすようになった。とても医師の妻とは思えない、地味で、控えめで、楚々とした笑顔がステキな女性であった。着飾ることもなく、いつも自転車で通っておられた。失礼だが、あまり運動神経がいいとはいえず、先に次のコースへ進んだ私に、「私の方が早かったのに追い抜かれて、くやしいわ」と笑いながら言ったが、あの笑顔が今も思い出される。
 彼女は、その後もスイミングを頑張っていたし、市民講座の英会話へ通っているとか聞いていたが、しばらくして姿が見えなくなった。知人に聞くと、乳がんの手術をして、精神的に落ち込んで体調がよくないらしいという。その頃は私もぜん息の発作がひどくなり2年間ほどスイミングスクールを休会したので、とうとうお会いすることもないままになった。
 そして、あの事件だ。テレビのニュースで見たときはとても信じられなかった。きっと彼女は素直な性格の人だから、疑うこともせず言いなりに連れて行かれたのだろう。事件直後には、出どころも、何を根拠にした憶測か知らないが、とてもひどいうわさが広まった。妙子さんの名誉のために内容は書けないが、聞くたびに私は「そんな人じゃないよ」と否定したものだ。しかし、「人の口に戸は建てられない」で、うわさは一人歩きをし、回りまわって耳に入ったときには尾ひれがついて針小棒大、もし彼女が帰ってきたら、とても恥ずかしくて外が歩けないだろうと思うようなものだった。
 消息はつかめない、手がかりはない、そんな中でのこのうわさ話は、被害者家族にとってどんなに悔しく、怒りに駆られたことだろうと想像できる。これは被害者家族にとって二重の悲しみ、憤りになったことだろう。
 妙子さんのような人でも、これほどあることないこといわれるのだから、私など何を言われるかわかったものではないと改めて世間の怖さを思い知らされた。なんでもないごく普通の人間でも、いつどんな犯罪に巻き込まれるか分からないということだ。
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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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マスコミは視聴率欲しさに (ヒキノ)
2007-06-06 19:47:17
過剰な騒ぎ方をします。報道の自由は守らねばなりませんが常軌を逸した態度はいけません。実際に毎日のニュースショウなど見ても苦々しい限りです。一番いけないのは関係者にあたることです。加害者の近所の家、被害者の親族などのインタビューは見るに耐えません。前に高級役人が汚職したとき田舎の母親にマイクを向けていましたが母親の気持ちも分からないお前は何様だというのでしょう。偉そうなことを言うコメンテターもキライです。優しさがなくてはいけません。
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Unknown (オールドレディー)
2007-06-06 20:21:03
★ヒキノさま
 いつも被害者より加害者の人権が重視されることに疑問を持ちます。
 そして、心ないマスコミの取材の仕方にはあきれます。悲しみにくれる遺族にマイクを向け、分かりきった質問をします。
 この事件では、行過ぎた報道で、たった一つの手がかりの男性が自殺してしまい、何もかもや闇の向うに消えてしまいました。怒りをあらわに抗議していた高橋さんにマスコミは何も答えることができませんでした。
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何重もの悲劇 (ばーば)
2007-06-06 22:24:16
この事件は幾つもの悲劇が重なっていますね。
残念でやりきれない思いがします。
これは報道の自由の名を借りた暴力そのものです。
被害者を追い撃ちする非常識! 

以前、長いことヤクザから脅されていた若い女性が、駅の近くでメッタ刺しされて殺された時も「殺されて当然のアバズレ」みたいな書かれ方したのを思い出しました。これって他人事にして放っては置けない、とても怖い話ですよね。
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Unknown (オールドレディー)
2007-06-06 22:50:58
★ばーばさま
 被害者の人柄を知っているだけに、世間のうわさの出どころが不思議でなりませんでした。
 うわさって広がるともう止め処もなく尾ひれが付いてしまいます。
 やはり日頃から身を慎まなければと思いますね。
 それにしてもマスコミ報道の行き過ぎで責任は問われることはないのでしょうか。
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