俳優・渡辺謙さんが「麻生政権」を批判・・・

　先日、スイミングが終って、予約していた美容院へ行く途中、どこからかマイクの声が聞こえてくる。都議選は関係ないし、地方選挙もないのに何だろうかと思ったら、近々行われる衆院議員選挙を機に、新しく国政に参加する「幸福実現党」の宣伝カーだった。「幸福実現党」は、宗教法人『幸福の科学』を母体にした政党で、党首は教祖夫人であるとか。
●消費税、相続税、贈与税を全廃します。
●年率３％の経済成長を果たし、株価を２万円台に乗せます。
●人口３億人と、ＧＤＰ世界一を実現し、財政や年金の危機を克服します。
　いかに言論の自由とはいえ、あまりに現実離れしたマニフェストである。
　民主党のマニフェストにも国民が喜びそうなウマい話がいくつかあって、果たして実現できるだろうかと少々不安感を抱いているところである。「幸福実現党」のＨＰで詳しく見たら上記の３つはごく一部で、ウマい話では民主党などの比ではない。が、これを本気で実現できると考えているところが宗教団体らしきところか。自民党には不信感、民主党には不安感、さて幸福実現党はなんと形容しようか。　

　話は変わるが、美容院に行ったときだけ女性週刊誌を読むのだが、この日は注目すべき記事に出合った。５月２９日付東京新聞の一般投書欄に、あの日本を代表する俳優の渡辺謙さんの『政治家たち将来像を語れ』と題した投稿文が掲載されていたというのである。俳優だから別枠とか、囲み記事になっているとか、そういう特別扱いは一切なく、ただの一般読者と同じ扱いだったという。普通なら同姓同名かな？ くらいでやり過ごしてしまいそうだが、東京新聞社は、紛れもなく俳優の渡辺謙さんであるとの確認済みで、彼の投稿はこれが初めてではないというのである。
　帰宅してネット検索をしてみるとその記事の写真があったので無断であるが拝借した。

　
　一般的に、富裕階層や社会的地位の高い人たちは立場上、ノンポリを決め込む人が多いが、彼は生活の拠点を米国に置いていながら、今の日本の政治に無関心でいられなくなったのだろうか。我々の思いを代弁しているかのような文章に、まさに「ラストサムライ」の心意気を感じ、「憂国の士」渡辺謙が頼もしくみえてきた。
　渡辺謙は私も大好きな俳優で、６月２０・２１日と、二夜連続で放送されたテレ朝「平塚八兵衛の昭和事件史」は、鬼気迫る演技が見事であった。平塚八兵衛刑事が手がけた帝銀事件・吉展ちゃん誘拐事件・三億円事件といえば昭和史に残る凶悪事件で、私もはっきり覚えている。
　余談だが、渡辺謙さんは、今秋公開される、あの映像化不可能といわれた山崎豊子原作「沈まぬ太陽」に主演、日航の労働組合の委員長を務めた実在の人物とされる主人公・恩地元を演じているという。これは１９８５年の日航機事故を主題に、航空会社の組織の腐敗を描いた小説で、登場人物のほとんどが実在の人物だといわれている。主題が主題だけに日航の反対もあり、映画化されるまでには幾多の紆余曲折があったといわれている。
　３編からなる長編小説で、山崎豊子作品の傑作中の傑作といわれている。私がこの小説を読んだのは発売されたすぐのこと、ちょうどぜん息で入院中、時間はたっぷりあり朝から晩まで夢中で読んだ。久しぶりの大スケールの映画となりそうで、１０月２４日の公開が楽しみである。が、わが町では昨年映画館が廃業され、観ることができない。残念だがＤＶＤのレンタルでも待つとしよう。

　謙さんの似顔絵を、ちょっと鋭さに欠けたようだ。