【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

民主党 支持率急上昇

2010年06月04日 | ニュース政治
民主党ニヤッ…支持率急上昇「首のすげかえ」まんまと成功

 鳩山由紀夫首相(63)の退陣を受けて報道各社が行った世論調査で、「参院選の投票先」として民主党の数字が劇的に回復した。表紙を取り替える作戦は、ひとまず奏功したようだ。

 朝日新聞と読売新聞は、それぞれ鳩山首相の退陣表明を受けた2、3両日に、電話による世論調査を行った。

 それによると、「比例投票先」は朝日が民主28%(前回20%)、自民20%(同20%)、読売の同様の調査でも民主25%(同14%)、自民18%(同19%)となった。

 民主党が劇的に回復する一方、自民党は横ばいという結果だが、朝日ではみんなの党が6%と前回から3ポイント落としており、第3極がワリを食う形となったようだ。

 また、鳩山首相と民主党の小沢一郎幹事長(68)の同時辞任については、好感する評価が朝日62%、読売69%だった。

 民主党選対幹部は「首をすげかえるだけでは自民党と同じとみられ、支持率は回復しないと思っていたが、うれしい誤算だ」と話す。

 この傾向は、新首相誕生から参院選までどう動くのか。

 政治評論家の有馬晴海氏は「民主党の評価が下がる小沢氏のカネ、鳩山首相の決断力、政策の実行力だった。そのうち2つを排除したので上がるのは当然だ。菅さんがどんなメッセージを出すかによる。小鳩体制で減った獲得議席がどこまで回復するかは未知数だ」と話している。

【今後の主な政治日程】
月 日/   日  程
6・7/新首相の所信表明演説
 9~10/衆参両院本会議で代表質問
  16/通常国会の会期末
  24/参院選公示
  25/G8サミット(カナダ)
7・11/参院選投開票

2010.06.04 ZAKZAK

原油流出で三井物産 賠償1000億円規模?

2010年06月04日 | ニュース一般
原油流出で三井物産“まっ青"賠償1000億円規模?

 オバマ米政権を震え上がらせている米メキシコ湾の原油流出事故。4月の発生からいまだに解決のメドが立たず、被害総額は最大1兆3000億円と、原油関係の事故で史上最悪になるとみられている。実は、三井物産が子会社を通じてこの油田の権益を10%保有。市場関係者はかなりの打撃を受けるのではと不安を抱き、物産株が暴落する事態になっている。

 三井物産の株価は事故当日の4月20日が1560円(終値)だったが、今月3日には1195円(同)とこの1カ月半で約22%も下落。特に今月2日には事故の被害拡大を受け、前日比101円安の1155円と投げ売り状態になった。

 「子会社への懸念が高まれば、親会社である三井物産への不安感も当然高まる」(準大手証券)ためだ。

 この事故は、米南部のルイジアナ州沖メキシコ湾で発生。原油くみ上げのための海上施設が爆発し、ぼう大な量の原油が流出し続けている。英石油メジャーBPや米政府などが流出を止めようと対応しているが、解決のメドは立っていない。

 この油田については、BPが65%の権益を保有し、以下、米エネルギー会社アナダルコが25%、三井石油開発(東京)が10%となっている。

 三井石油開発は、三井物産が約70%出資する石油・天然ガス開発会社。資本金331億円で、売上高は1000億円弱。三井石油開発の米国の孫会社を通じて、油田鉱区の権益を10%保有している。

 物産グループを襲った今回の事故は、損害賠償などで史上最悪になるとみられている。

 「これまでの最悪は、1989年にアラスカ沖で起きたエクソンモービル社のタンカー事故。エクソンに対しては、未解決の訴訟もまだあるが、計43億ドル(約4000億円)の損害賠償がこれまでに確定している」(業界筋)

 現場のメキシコ湾は全米屈指の漁場。汚染が拡大すれば、保養地であるフロリダ州の観光産業にも打撃を与える。

 今回の損害総額をエクソンのケースをもとに試算すると、「最低でも50億ドル程度、場合によっては100億ドル超の規模になってもおかしくない」(大手商社幹部)。日本円でざっと5000億~1兆円規模だ。

 米CNNテレビは被害総額について、推定で最大140億ドル(約1兆3000億円)と報じている。

 10%の権益を保有する三井石油開発には、最大1000億円規模の賠償負担が発生する可能性もある。同社単体で負担できる額ではなく、「親会社である三井物産の支援が必要になる」(同)とみられている。

 三井物産の10年3月期の最終利益は約1500億円。支援となれば同社も大きな影響を受けることになりそうだ。

 三井物産は5月6日に「事故の原因および当社業績への影響は現段階で不明」と発表したきり、音なしの構え。

 気になるので、直接の当事者の三井石油開発を直撃したところ、「現地に2人派遣しているが、情報収集以上のことはできておらず、負担額などはまったく分からない」(担当者)と話すだけだった。

 投資情報会社TIWの水田雅展シニア・アナリストは「事故の原因や被害規模が算出できるのは早くても来年以降だが、将来のリスク要因として市場関係者から意識されることになるだろう」としている。

2010.06.04 ZAKZAK

反、脱"小沢の流れ加速

2010年06月04日 | ニュース政治
反、脱"小沢の流れ加速も「樽床氏の129票無視できぬ」

 民主党の小沢一郎幹事長(68)が苦境に立たされている。4日の党代表選では小沢包囲網を築かれ、「脱小沢」を明言した菅直人副総理兼財務相(63)に有効投票420票の3分の2を超える291票をさらわれた。しかし、小沢氏に近い樽床伸二衆院議員(50)が、大逆風のなか3ケタを獲得。小沢氏に近いベテラン議員は「小沢グループを軒並み排除すれば、9月に予定されている正規の民主党代表選が大変になる」と警告した。

 小沢氏は4日の代表選で、グレーのスーツに黄色いネクタイ姿で現れ、淡々とした表情で投票に臨んだ。ただ、今回の代表選では、150人規模を誇る最大勢力「小沢グループ」に誤算が続出した。

 小沢氏は菅氏への対抗馬として、田中真紀子元外相(66)に2日午後電話をかけて「出ないか?」と出馬を促した。だが、「私の出る幕じゃない」と断られた。続いて、海江田万里選対委員長代理(61)にも側近議員を通じて打診。代表選前日の3日夕には、原口一博総務相(50)の擁立に動いたが、いずれも固持された。

 最終的に、小沢グループは樽床氏の支持も検討したが、意見集約は難航。結局、3日夜になって「自主投票」に落ち着かざるをえなかった。

 ただ、「闇将軍の小沢氏が簡単に影響力を手放すわけがない」(自民党関係者)との見方は強い。

 民主党関係者は「樽床氏の推薦人に、小沢氏最側近の樋高剛衆院議員と佐藤公治参院議員の名前があり、その樽床氏が100票以上取った。これはそのまま小沢氏直轄の影響力とも取れる。菅氏はこの力を無視できない」と話す。

 また、民主党中堅は「新代表でも参院選の苦戦は変わらない。菅氏の責任論が浮上する可能性もあり、代表任期切れに伴う9月の代表選が勝負どころをみているのでは」と指摘する。

 小沢氏も、次期代表選には積極的に関与する意向を示しているというが、捲土重来はあるのか。

2010.06.04 ZAKZAK

菅首相が誕生 官房長官に仙谷氏

2010年06月04日 | ニュース政治
菅首相が誕生=官房長官に仙谷氏-組閣は8日

 民主党の菅直人代表(63)は4日午後の衆参両院本会議で、第94代、61人目(現行憲法下で30人目)の首相に指名された。これを受け、菅氏は党役員と閣僚人事の調整を本格化させ、内閣の要となる官房長官に仙谷由人国家戦略担当相の起用を内定した。組閣は8日に行う方針で、同日中に菅内閣が発足する見通し。

 菅氏は、小沢一郎幹事長に近い議員は主要ポストに起用しない考え。党幹事長に、枝野幸男行政刷新担当相の起用を検討。野田佳彦財務副大臣の財務相への昇格や、福島瑞穂社民党党首が務めていた消費者担当相への蓮舫氏の起用が取りざたされている。菅氏側近の荒井聡首相補佐官の入閣も有力となっている。

 民主党内では、4日夜にも組閣を終える方向で調整していたが、菅氏は同日午後、国会内で自民党の谷垣禎一総裁と会い、「8日に組閣する」と伝えた。首相の任命式と閣僚の認証式も8日に行う考えだ。検討のための時間を確保することで、人事を大幅に刷新する考えとみられる。

 首相指名に先立ち、菅氏は国会内で国民新党の亀井静香代表と会談し、連立政権の継続で合意した。

2010/06/04 時事通信

第94代首相に菅直人氏

2010年06月04日 | ニュース政治
第94代首相に菅直人氏、参院でも指名

 民主党の菅直人新代表(63)は4日午後、衆参両院での首相指名選挙で第94代、61人目の首相に指名された。

 首相指名選挙の結果は次の通り(敬称略)

 衆院=菅直人313票、谷垣禎一116票、山口那津男21票、志位和夫9票、福島瑞穂7票、渡辺喜美5票、平沼赳夫5票、舛添要一1票

 参院=菅直人123票、谷垣禎一71票、山口那津男21票、志位和夫7票、福島瑞穂6票、舛添要一6票、平沼赳夫2票、渡辺喜美1票

2010年6月4日 読売新聞

クルム伊達の「問題を解決する楽しさ」

2010年06月04日 | 新聞案内人
クルム伊達の「問題を解決する楽しさ」

 鳩山首相が辞意を表明した。

 平成に入ってからの首相はすでに15人を数え、最近は長くて1年のうちに政権を投げ出すような形で退陣する例も相次いだ。つぎはぎだらけの日本の政治が国際社会で信用を失ってしまうのもしかたがない。

 なぜこんなに堪え性がなくなってしまったのか。しかしそれは、政権の行方をウオッチする私たちにも言えるような気がする。

 鳩山首相の退陣劇を伝える2日夕刊、3日朝刊に目を通しながら、ふと、ある言葉を思い出した。

 「問題を解決する楽しさを堪能している」

 テニスのクルム伊達公子さんの言葉だ。

○世界に驚き

 5月下旬に行われた全仏オープンのシングルス1回戦で、39歳の伊達選手は昨年の準優勝者で世界ランキング9位のディナラ・サフィナを破った。この勝利は世界中に大きな驚きを与えた。なにせ、全仏史上2番目の年長勝利記録である上、現役復帰して14年ぶりの4大会勝利である。

 レキップ紙は「ほほ2倍の年齢差をひっくり返した」と絶賛し、ロイター通信は「おとぎ話のような勝利」と驚きの文章を綴った。フィガロやニューヨーク・タイムズもこの勝利を大々的に報じている。

 一方日本は、読売が「あきらめなければ、何かが起こる。39歳のクルム伊達は、それを体現して見せた」という書き出しで大きな紙面を割いたが、朝日、日経の記事は少し物足りなかった。

 多分、現地に行っている記者なら、この快挙はしっかりと伝えなければならないと思ったはずだ。右ふくらはぎに故障を抱えていた伊達選手はテーピング姿でコートに立ち、動きを制限されながらも頭脳的なプレーで勝利を手にしたのだ。

 読売(5月26日付13版)はコートの様子をこう記述した。

 「極力走らず、低く伸びるボールで、24歳の相手を揺さぶり続けた。一方で、痛みは徐々に強まった。大怪我につながれば、年齢的にも復帰は困難。葛藤の中で、伊達はコートに立ち続けた」

 そして、第3セット第6ゲーム以降は、痛みで涙を流しながらラケットを握り続けたとも報告している。

 伊達選手のコートの戦いぶりをシュールにイメージさせる読売の記事を読みながら、私は胸が締め付けられつつ、それでも最も彼女らしい戦いをしたのだと嬉しくなった。

 彼女が突然、現役復帰をすると言い出したのは、2008年4月だった。1996年に26歳で引退して以来、何度か話はしているものの、それらしい素振りはまるでなかった。むしろ、「完全燃焼したから、コートに未練はない」と言い切っていたのだ。メディアでの活動や主婦業を楽しんでいた。

 復帰記者会見をした後、じっくり心境の変化を聞いた。色んな要素が重なりあっての復帰だったようだ。

 その1カ月前に日本で開催されたエキビションマッチで引退したグラフやナブラチロワと戦い勝ったこと、その練習の途中で自分の身体に自信を持ったこと、今は亡くなってしまったが闘病中の父は自分がラケットを握ることを喜んでくれたことなどを挙げた上で、最大の理由を口にした。

○「噛ませ犬になる」

 「日本のテニス界は停滞してしまっている。私が復帰すれば、若手もうかうかしていられない。私を踏み台にして若い選手にどんどん育って欲しいんですよ」

 現役時代は他人を寄せ付けないほどピリピリ、試合の邪魔になるものは切り捨ててきた選手が「踏み台になる」と言う。その発言に驚き、言葉の意味を確認した。

 「それって、噛ませ犬になるって言うこと?」

 彼女はえくぼを浮かべながら大きく頷いた。

 「そう、私は噛ませ犬になる。私が懸命に練習し、コートで諦めない姿を見せれば、若い選手の刺激になると思うんですよね」

 しかし一旦コートに立つと、噛ませ犬になるはずだった伊達さんは、次々に対戦相手を噛んでしまったのである。

 彼女のテニスに取り組む姿勢を見れば当然だった。完璧に主婦業をこなす生活から、24時間闘うスタイルにチェンジしたのだ。当時、伊達さんは苦笑いしながら言った。

 「結婚している以上、家事を手抜きするのは絶対に嫌だったんだけど、彼(ミハエル・クルム=レーシングドライバー)に、ご飯を作る時間がなかったら外で食べればいいじゃないか、それより人生のチャレンジの方に価値がある、って言われた。だから今は、家事にとられていた時間をテニスに回せる」

 復帰に当たって、かつての「世界ランキング4位」の栄光は封印し、地方の小さな大会から出場した。国内の試合に何度か足を運んだことがあったが、伊達さんは休憩も大勢の選手に混じり、着替えも大部屋でしていた。かつてなら、集中力が保てないこんな環境に耐えられなかっただろう。だがいつ訪ねても常にニコニコしていた。

 「私は伊達公子じゃないんです。クルム伊達公子。新人選手と同じようにスタートするのは当たり前でしょ」

それでも、アラフォーの身体は正直だ。ちょっとでも油断すれば怪我に直結する。この2年間、身体の痛みなしにコートに立ったことは1度もなかったはずだ。度重なる小さな怪我に、ある日、ブログでこう綴っているのを目にした。

 「チャレンジとはいうものの、厳しい現実に悔しい思いでいっぱいの中、きっと原因を突き止め、克服するんだ!と思えるようになっています」

 世界ツアーに参戦するようになると、パワーとスピードの現代テニスに戸惑った。彼女が活躍していた90年代の技術重視のスタイルとは大きく変わっていたからだ。

 手術を要するような怪我や長期休養はジ・エンドを意味する。薄氷を踏む思いで身体と向き合い、現代テニスのスピードと展開の速さにも対抗しなければならない。20代の現役の頃より、今の方がずっと重い課題を突きつけられているのだ。

○立ちはだかる困難に

 それでも伊達さんから笑顔が消えることはない。姿を変え、次々に立ちはだかる困難を楽しんでいるようにも見える。

 「戦うレベルが高くなればなるほど、そのリスクも高くなるのは当然です」

 困難や課題に目を逸らすことなく受け入れ、最善の解決策を熟慮し、コートに立ち続けてきたのだ。薄紙一枚一枚を重ねるような丁寧な取り組みが、グランドスラムの一つである全仏オープンで1勝を上げるまで伊達さんを押し上げたと言える。37歳で復帰した時、誰がこの快挙を想像しただろうか。

 その根底にあったのは、冒頭に紹介した「問題を解決する楽しさ」を知っていることに他ならない。

 6月21日には、伊達さんが最も楽しみにしているウインブルドンが開幕する。今は全仏オープンで痛めた右ふくらはぎの治療に懸命な様子だが、9月に40歳を迎えるテニス界のジャンヌ・ダルクは、ウインブルドンでまた、なにがしかのサプライズを見せてくれるような気がする。

2010年06月04日 新聞案内人
吉井 妙子 スポーツジャーナリスト

自民党 「消費税10%」

2010年06月04日 | ニュース政治
自民党:「消費税10%」 参院選マニフェストに明記

 自民党は3日、夏の参院選のマニフェストで、消費税率について当面10%への引き上げを明記する方針を固めた。5月に公表した原案には数値を盛り込まなかったが、財源問題で民主党との違いを明確にするのが得策と判断した。次期首相が有力視される民主党の菅直人副総理兼財務相が消費税率引き上げに前向きなことも意識したとみられる。

 自民党政務調査会は3日、党総務会に「現在消費税以外でまかなわれている年金、医療、介護にかかる費用7・3兆円等を考慮し、当面10%とする」との案文を提示、大筋で了承された。ただ「選挙戦で説明する際、『当面』は分かりにくい」と注文がつき、文言を最終調整する。

 同じく原案になかった国内総生産(GDP)成長率目標についても「名目4%」を掲げ、法人税減税を柱とした成長戦略をアピールする。国会議員定数を6年で3割削減することや、世襲候補を無原則に公認・推薦しない方針も示す。

 また、民主党政権の「失政」で有権者のマニフェストに対する信頼性が揺らいでいるとして、自民党は今回、名称を「参議院選挙公約」と改める。来週にも最終版を決定する。【野原大輔】

6月4日 毎日新聞

住民自治 成功も失敗も大切に

2010年06月04日 | 社説
住民自治 成功も失敗も大切に

 「地域のことは住民で」と名古屋市が八モデル学区で始めた地域委員会が、地域予算の使い道を決めた。初めてだから、成功もあれば失敗もあるかもしれない。その両方が次への貴重な踏み台だ。

 「親子が気軽に立ち寄れる子育てサロンを開く」「防災用品を」「公園に運動健康遊具を」-。各地域委員会が、一千万円前後の範囲で決めた使い道の一例だ。

 地域委員会は小学校の学区ごとに選挙で決まった十人ほどの委員が、三月から週一回程度、夜間や休日に集まり、話し合ってきた。六月市議会に提案される。

 役所でなく、住民らが税の使途を考えた初の予算である。その形成過程は“発見”の連続だった。

 「公民館のトイレ改修を」という案が出た学区がある。でも公民館は地域住民の財産で、税金が使えないと分かり断念した。防犯パトロールに使う乗用車を買おうとした学区は、私的財産になる恐れがあると市担当者に指摘され、車を借りることにした。

 市民感覚のにじむ議論も少なくなかった。

 ある学区で災害時の救助工具を保管する器具庫を設置することにし、その大きさと予算額を決めた。「同じ予算で、もっと大きな器具庫ができればその方が得」とのアイデアが飛び出した。でも、市担当者は「書類と大きさの違う器具庫は…」と口を挟んだ。

 少しでも税金を有効に。こんな当然の感覚は、市職員の意識改革につながらないだろうか。

 町内会の役員だけで決まっていたことが、誰でも傍聴できる地域委員会という公開の場ができ、変化を誘った例もある。「祭りなら協力できる」「地域の見回りなら」という声も上がった。「関心のある人が結構いて正直、驚いた」と話す町内会役員もいた。

 地域委員会は、市民税減税や議会改革と並び、河村たかし市長が掲げる「庶民革命」の柱だ。二百六十余の全学区のうち、来年度から希望する学区へ拡大を目指すという。それには八学区での課題の検証をせねばならない。

 例えば、計七十二人の地域委員のうち、六十歳以上が七割近くにもなる。十代、二十代の委員も選ばれているが、サラリーマンや主婦などもっと幅広く参加できるよう、選挙や委員会の開催方法など工夫できないか。十分な情報開示で、住民の参加意識も高めたい。

 試行錯誤を重ねていくこと。それが住民自治の力になるはずだ。

2010年6月4日 中日新聞 社説

6/4中日春秋

2010年06月04日 | コラム
6/4中日春秋

 こんなナゾナゾができるんじゃないか。世界各国のリーダーが駆けっこをすると、近年、いつも一番になるのは? 答えは、日本。なぜなら、みんな「足がはやい」から。ほら、傷むのが早い魚をそう言うでしょ。

 鳩山政権崩壊で、わが国のリーダーは、自民政権時代から実に四代続けて、一年前後しかもたなかったことになる。ことに鳩山さんは歴史的政権交代で生まれた最初の首相。就任時の“鮮度”はピカ一だったが、傷むのも早かった。

 結局、国民の「変わる」の期待に応えられなかったということだろう。政権に変革の功一切なしとは言わないが、十分に「変わった」と思ってもらえなかったのは確かである。

 だが、それを首相が「国民が聞く耳を持たなくなった」と言うのは妙だ。言葉の軽さ、主張のブレ、政治とカネの問題…。むしろ自民時代と「変わらない」を積み上げてきたのは自ら。米軍普天間飛行場移設にからむ、過去の日米合意とほぼ「変わらない」合意が象徴的だ。

 民主党内では鳩山後継選びが動きだしているが、これまた自民党がやってきた「総選挙なしでの政権たらい回し」と「変わらない」。だから「次」の誰かは「変わる」に対する国民の疑いの視線の中での出発になる。

 無論、諸外国の目もある。ともかく、少しは長持ちする政権にしてほしいものだ。<求む!“鈍足”首相>である。

首相は一体、何に価値を置いていたのか?

2010年06月04日 | 情報一般
辞任なんかじゃ許されない、鳩山首相が落とした“影"
首相は一体、何に価値を置いていたのか?

 国民のみなさんが徐々に徐々に聞く耳を持たなくなってしまった……。そう言って鳩山由紀夫首相は辞意を表明した。

 もし鳩山首相が企業のトップだったら、社員たちはやる気を失い、仕事だけでなく人生にまで満足感を得られず、生きる力さえ失い、会社は崩壊している。

 国民が失ったのは“聞く耳”ではなく、もっと重たいものだったということに、鳩山首相は最後まで気付いていない。こう思わざるを得ないほど、辞任の理由の一つに挙げた米軍普天間基地の移設問題で鳩山首相が下した結論の罪は重い。

 最悪である。最後の最後で本当にがっかりした。普天間問題に関して言うなら、実は私は、「鳩山首相はやってくれるんじゃないか」とひそかに期待していた。就任当初から多くのメディアは「県外移設なんて、やれるもんならやってみな」といった報道を繰り返していたが、私は恐らく数少ない「きっとやってくれる」と信じていた一人だったと思う。

 なぜ、期待したのか? それは単純に、鳩山首相が米スタンフォード大学で博士論文を書き上げて、博士号を取得していたからだ。

■今回の結論を予想させた首相の博士論文

 かなり稚拙な根拠だと思われるかもしれない。だが、博士号取得に必要なものは知力ではない。自分の限界を超えたいかなる課題に対しても、あきらめずに最後まで期限内にやり通す気力だ。

 私も博士の端くれなので、いかに気力だけが求められるかは身をもって知っている。だからどんなに苦難が伴おうとも、最初に掲げた「県外移設」という“仮説”を、あきらめることなく最後まで追求してくれると信じたのだ。

 だが、その期待は見事に裏切られた。しかも、いざこういう結末を迎えてみると、“鳩山博士”の博士論文には、現行案にほぼ戻ってしまった今回の結果をにおわせるものがあった。

 鳩山博士の論文は、"Markov maintenance models with repair"(1976年にスタンドード大学で受理)というもので、Yukio Hatoyamaの英文原著論文である。

 その内容は、ロシア人の数学者、アンドレイ・マルコフにちなんで「マルコフモデル」と名づけられた確率モデルを使って、機械の保守修繕をどれくらいの時点でやればいいのかを論じたものらしい(数式だらけで私には全く分からなかったけれど)。

 で、このマルコフモデルが普天間問題で鳩山博士が下した結論と関連づけて考えると、何とも興味深い。

 それは「未来の挙動が現在の値だけで決定され、過去の挙動とは無関係である」とした理論に基づくモデル。時刻経過における空間内の離散状態予測に使われているという。

 まさか普天間の問題にも、マルコフモデルを用いたわけではないだろう。過去のいきさつとは全く関係なく、「政権が変わったんだし、僕は沖縄から移したいし、確率分析では問題ない」などと思っていたとは信じたくない。

 だが「過去のことを勉強不足」と指摘されてしまうような今回の結末と、過去の研究に共通点があるなんて、何とも皮肉。笑うに笑えない。

■所信表明では「人の命を守りたい」と繰り返したが…

 もし鳩山首相が、マルコフではなく、米国の健康社会学者、アーロン・アントノフスキーに傾倒していたら、ここまでひどい結果にはならなかったのではないか、と私はかなり真面目に思っている。

 アントノフスキーとは、私が最も敬愛する健康社会学者で、人の生きる力を「Sense of Coherence(首尾一貫感覚)」という概念で説明した人物である。

 Sense of Coherence(以下、SOC)とは、人生を通じて人間が元気でいられるように作用する「生きる力」を指す。それは個人の資質だけに影響される力ではなく、生い立ちや親子関係、職場環境といった周囲との関係の中で、社会的に育まれる人間の力だ。

 幼少期では親子関係が、成人期には職場環境、とりわけ上司と部下の関係が強く影響する。つまり、どんなリーダーやトップの下で、職業経験を重ねることができたかが、生きる力にまで関係するというわけだ。

 アントノフスキーは、「SOCとは人格的、個人的な感性と信念や価値観、さらには知識、認識、理解、経験、積極的な関わりに基づいていて、SOCの高い人たちは、ストレスフルな状況に直面しても元気でいられる」と唱えている。

 鳩山首相は所信表明演説を行った際、やたらと、「人」にこだわり、「人の命を守りたい」という言葉を何度も繰り返した。辞意表明の際にも、「人の命を大切にする政治」と述べた。

 だが、鳩山首相が人を大切にしたリーダーだったとは、天と地がひっくり返っても言うことはできない。鳩山首相が企業のリーダーだとしたら、その企業で働く従業員たちはストレスの“豪雨”にさらされ、SOCを著しく傷つけられることだろう。

 そこで今回は、普天間問題の一連の流れで鳩山首相がとった言動を、SOC理論に基づいて、改めて考えてみようと思う。

 鳩山首相がとった最悪の言動を反面教師にして、働く人々の生きる力を高めるためにリーダーがなすべきことについて、読者の皆様にもご一考していただけたら幸いだ。

 アントノフスキーは、SOCを次のように定義している。

 「SOCとは、その人にしみわたる、動的ではあるが、持続的な次の3つの確信の感覚の程度によって表現される、その人の生活世界全般への志向性(orientation)のことである」

 そして次のように解説する。

 「それは第一に、自分の内外で生じる環境刺激は、秩序づけられ、予測と説明が可能なものであるという確信、第二に、その刺激がもたらす要求に対応するための資源はいつでも得られるという確信、第三に、そうした要求は挑戦であり、心身を投入し、関わるに値するという確信、からなる」

 ここでいう3つの確信は、それぞれ「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」と呼ばれている。

 前述の通り、これらの感覚の説明変数は「どんな環境で過ごしているか」で、その大部分はどんなリーダーの下で働いているかが影響する。

 どんなに「SOCを高める環境を!」とスタッフが頑張ったところで、リーダーにその気がなければ、その職場が「SOCを高める環境」になることはない。

 リーダーがどちらを向いて働いているのか? “人”か、それとも“儲け”か、はたまた“自分”か、といったことがカギになる。特にリーダーの言動は、部下として働く人たちの把握可能感と有意味感に大きく影響する。

 把握可能感を平たく言えば、「直面した出来事を説明不可能などうしようもない出来事としてではなく、秩序だった明確な情報として受け止められる感覚」である。

 人間にとって最もストレスフルなのは、何が起こっているのかを把握できない状況である。困難な状況を把握できれば、自分がすべきこと、あるいはできることを考えられるため、うまく対処することができる。

 一方、有意味感は、「遭遇した困難に意味を見いだし、それに立ち向かっていくことは自分の人生にとって必要だ」と思える感覚である。

 人は「意味のあることだ」と思うことができれば、立ち向かっていこうという気持ちが喚起される。意味を見いだせないことに立ち向かっていこうとは、誰も思わない。つまり、有意味感は困難に対峙する動機づけの要因として機能する。

■一貫性のない言動が部下を不安に陥れる

 では、部下たちが把握可能感と有意味感を育めるようにするため、リーダーがすべきことは何か? 鳩山首相の言動はいかなる問題を含んでいたのだろうか?

 アントノフスキーは「把握可能感には一貫性のある経験が必要である」として、次のように説明している。

 「調和している物事や、満足のいくように説明される未知の事や、秩序だったパターンを繰り返し職場で経験する事は把握可能感を強める。価値観の共有や、集団の帰属意識、明確な規範的な期待がある『一貫した集団』の中で経験を積み重ねていくことで、直面した出来事を自分で説明できる秩序だった情報として説明できる感覚が養われるようになる」と。

 一貫した経験がどういうものかは、親子関係に例えると分かりやすい。

 子供が「オギャー」と泣いた時、いつも母親(父親)が必ず「どうしたの?」と言って様子を聞いたり、買い物に出かけた母親が必ず家に戻ってきたりすることは、一貫した経験となる。時にはすぐに帰ってこないで1時間近く待たされることがあったしても、「大事な人が、必ず再び現れる」経験は一貫性のある経験となる。

 大事な人が目の前から消えても再び必ず現れるという経験の繰り返しは、「自分がいる世界は変化しているのではなく、一貫した世界で、自分を裏切ることなく頼れるものだ」という確信につながる。

 逆に、ある時には目の前から消えても戻ってくるのに、ある時にはどんなに泣き叫ぼうとも戻ってこないと、一貫した経験ができない。

 このような経験を繰り返した子供は、「何が真実なのか?」を把握することができず、周りを信頼することもできない。そのため、非常に不安感が高まることになる。

 不安を強く感じると、人間は物事と向き合うのを避けるようになる。すなわち、「直面した出来事を自分で説明できる秩序だった明瞭な情報として説明できる」ことなどできなくなってしまうのだ。

 職場でも同じだ。方針をよく翻したり、言うことがコロコロと変わったりするリーダーの下にいる部下は、一貫した経験をすることができない。何が本当で、どこに真実があるのかが混乱するだけでなく、「自分はないがしろにされている」と自尊心は傷つき、反発心が強まり、不安感ばかりが高まっていく。

 つまり、部下たちの把握可能感を育むには、リーダーの一貫した態度や考え、価値基準などが必要となるというわけだ。

 鳩山首相は当初、「普天間飛行場そのものを県外に移す」という方針を示していた。「最低でも県外」だと断言し、「腹案がある」と自信たっぷりに答え、「本当に今のままで大丈夫なのか?」という不安を一掃する態度を取り続けた。

 ところが、いつの間にか「できる限り県外」と方針を曖昧にし、挙げ句の果てには、「私自身の『できる限り県外だ』との言葉を守れず、県民の皆さんに大変混乱を招いたことに関して心からお詫び申し上げたい」などと言い出した。

 一貫性など微塵もない。態度も一貫していなければ、考えも(今となってはどんな考えだったのかさえ分からなくなってしまったが)一貫していなかった。

■首相は一体、何に価値を置いていたのか?

 鳩山首相は、一体、何に価値を置いていたのか? 鳩山首相というリーダーにとっての価値基準=価値ある大切なもの、とは何だったのか?

 親は我が子を「何ものにも代えることのできない大切な人」と思うから、何があっても必ず子供の元へ戻る。子供を叱ったり、怒ったりすることがあっても、それは「大切に思う」からだ。その気持ちは一貫したものとして、子供に伝わるものである。

 鳩山首相にとって、「大切なもの」とは何だったのか? 沖縄の人たちなのか、アメリカの人たちなのか、それとも自分自身の立場なのか。

 もし、それが「安全保障=アメリカの人」ということであれば、現行案を基に少しでも沖縄の人たちの負担が軽減される措置を考えれば、それで済んだはず。

 それが「沖縄の人の生活」ということであれば、基地の県外移設だけにとどまらず、基地がなくなった場合の経済的な基盤まで、どんなに時間がかかっても取り組めたはずだ。

 「何が一番大切なのか?」さえ明確になれば、リーダーとしてなすべきことが必然的に決まる。

 「大切なもの」──。この極めてシンプルな価値基準こそが、リーダーに求められるものなのだ。残念なことに鳩山首相には、それがなかった。その結果、言葉を翻して態度を曖昧にし、最悪の結果を招いた。「米国に依存し続ける安全保障、これから50年、100年続けていいとは思わない」と辞意表明では述べていたが、「今、大切なもの」は何なのか? その答えを出さなかったことが本質的な問題だったのではないか。

 一体、鳩山首相の大切なものとは何だったのだろうか。今でも分からない。

■意思決定への参加が「有意味感」を育む

 次に、有意味感について論じよう。

 有意味感を育むのは、意思決定への参加だ。アントノフスキーは次のように説明している。

 「社会的に価値ある意思決定への参加という経験は、人が人生に有意味性を感じる源である」と。

 職場で意思決定への参加を経験した人は、その仕事に意味を見出すことができる。そうした経験をした人は、自分たちの前に設定された課題を快く受け入れ、自分たちでその課題を解決することに責任を持つようになる。

 意見を言って、それが無視された時ほど情けなく感じることはないだろう。自分の意見が全く反映されない会議ほど、退屈で無意味な時間はないし、自分の存在意義さえ見失うことがある。自分の意見が全く反映されない職場では、人は言われたことしかやらなくなる。

 逆に、自分の意見が職場で影響力を持つと、仕事に喜びを感じることができるだろう。自分は職場の一員であるという確信にもつながる。

 だからこそ、目の前の困難にも向き合おうと思うし、大変な事態に遭遇しても踏ん張ろうと思える。有意味感とは、人間の内なるエネルギーを引き出す感覚なのだ。

 果たして今回、沖縄の人たちが意思決定へ参加したことがあっただろうか?

 基地移設反対派の稲嶺進氏が名護市長に当選し、「基地反対」と明言したにもかかわらず、それは完全に無視された。鳩山首相は、「1つの民意として」などと曖昧な言葉でごまかした。

 また、反対派ばかりでなく賛成派の意見にも、鳩山首相は耳を傾けなかった。

 ゴールデンウィーク中に沖縄を訪問した時、鳩山首相は「学ぶにつけ、駐留米軍全体の中で海兵隊は抑止力として維持されるという考えに至った。『浅かった』と言われれば、あるいはその通りかもしれない」と、のうのうと言った。

 もはや意見を聞こうともしなかったし、聞いたところでそれは単純に「いや、どんな批判でも受けますよ。僕、謝りますから」というもので、意思決定への参加を促したものでは全くなかった。

 だったら最初から、「謝りにいく」といったほうが、まだマシだったろう。

 鳩山首相は、所信表明演説で次のようなことも語っていた。

 「社会の中に自らのささやかな『居場所』すら見つけることができず、命を断つ人が後を絶たない。しかも政治も行政もそのことに全く鈍感になっている。そのことの異常を正し、支え合いという日本の伝統を現代にふさわしい形で立て直すことが、私の第一の任務です」と。

 自分の意志を表示したにもかかわらず、それに向き合おうとすらしなかったリーダーの下で誰が自分の居場所など持てるだろうか。どんなに「ごめんなさい」と謝られようとも、自分の居場所さえ見いだせなかった人たちに、その気持ちが届くことなどない。

 鳩山内閣が発足してから8カ月余り。普天間問題に関して言うならば、完全にリーダー失格だと言わざるを得ない。「人のため」と言っていたにもかかわらず、人のためにならなかった。

■マルコフモデルは人には当てはまらない

 今年の年頭に「鳩山首相に一番欠けているのは、覚悟なのかもしれない」という趣旨のコラム(関連記事)を書いたが、やっぱり鳩山首相には著しく覚悟が欠如していたのかもしれない。

 「誰が一番大切なのか」を決める覚悟もなかったし、「民意を聞く」覚悟も、「民意を反映させる」覚悟もなかった。日米安保を徹底的に検証する覚悟も、アメリカと話し合う覚悟もなかった。唯一もてたのは、小沢幹事長を道連れにする覚悟だけだった。

 まあ、覚悟など無縁の幼少期を送ってきてしまったのだから仕方がないってことなのだろうか。個人的には、そんな風にはあまり思いたくはないのだけれど…。

 SOCとは、自分の人生で起こる出来事のつじつまを合わせることができる感覚であり、うまくつじつまを合わせることができれば、ストレスを糧に成長できる。アントノフスキーはそう考えて、この概念を世界に広めた。

 Coherence(コヘレンス)とは「(論理などの)首尾一貫性、一致、調和、統一」という意味で、あまりお目にかからない英単語だが、欧米人は、相手の話がむちゃくちゃで何を言っているのか分からないような時に、you know coherence? といった具合に使うことがある。

 つまり、話が一貫していない、筋が通っていない時に用いる単語だ。鳩山首相はめちゃくちゃだった。だが、恐らく鳩山首相本人は、何がめちゃくちゃなのかも分かっていないのだろう。何せ在任中に覚悟も価値観もはっきりと示すことができなかったのだから。

 一体、誰のための政治なのか。何のための政治なのか。誰によって自分が選ばれたのかを真摯に受け止める気持ちがあれば、答えは自ずと出るはずだ。

 リーダーに必要なものは結果ではなく、リーダーとして指揮をとる立場になったときに、「何を一番大切にするのか?」を決める覚悟だ。結果は思い通りにならないこともあるだろう。だが、どんな結果になろうとも、「大切にしているもの」が明確なリーダーのもとでは、人はどんな困難に遭遇しようともついていく。普天間のことだって、そんなすぐに結論が出る問題じゃないってことくらい、私たちだってわかっていた。「大切なこと」を決めないまま結果だけにこだわった挙げ句、迷走した。そのことに鳩山首相は最後まで気付かなかった。

 既に、ポスト鳩山に事態は動き始めた。また、次のリーダーも、「過去=鳩山首相の犯した罪」を真摯に受け止めることなく、自分の進む道、大切なものを決める覚悟をもてなければ、何度でも私たちをがっかりさせることだろう。リーダーが「何が大切か?」という極めてシンプルな質問の答えをもてない限り、誰が首相になろうとも、何処の政党が与党になろうとも、政治は変わらない。

 物事には過去があって、未来がある。過去の情報に影響を受けないなんてことは、人が介する限り、あり得ない。マルコフモデルは絶対に、人には当てはまらない。だって何が大切かは過去があって初めて決められる。同じことを繰り返さないでほしい。ただただ、そう願うだけである。

2010年6月3日 日経BP
河合 薫
保健学博士・東京大学客員研究員・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『<他人力>を使えない上司はいらない!』

民主党代表選 8か月半の総括が不可欠だ

2010年06月04日 | 社説
民主党代表選 8か月半の総括が不可欠だ

 鳩山政権の何を継承して、何を大きく変えねばならないのか。政権交代後8か月半の失政の真摯(しんし)な総括なしに、民主党の再生はあり得ない。

 鳩山首相の退陣表明に伴う民主党代表選で、菅直人副総理・財務相と樽床(たるとこ)伸二衆院環境委員長が立候補を表明した。

 菅氏は、「20年間の閉塞(へいそく)感を打ち破る先頭に立ちたい」と語った。樽床氏は、「キーワードは世代交代」と強調している。

 通常国会は、多くの重要法案が未成立のまま、16日の会期末まで2週間を切った。その後には、参院選が控えている。

 民主党が、政治空白を避けるため、短時日で鳩山首相の後継を選ぼうとする事情は一応理解できるが、大切な政策論議をおろそかにしてはなるまい。

 党内の各グループの合従連衡だけで次期首相が決まるようでは、民主党が野党時代に批判してきた自民党の派閥政治による首相の「たらい回し」と変わらない。

 鳩山政権が急速に支持率を低下させ、自民党政権末期の安倍、福田、麻生の各内閣よりも短命に終わったのは、なぜなのか。きちんと検証したうえで、反省すべき点は反省し、新政権の運営に生かす作業が欠かせないはずだ。

 民主党では2004年以降、菅、岡田、前原、小沢、鳩山の各代表がスキャンダルなどでいずれも辞任した。小沢幹事長が代表を務めた3年余の期間を除けば、ほぼ毎年、党首が交代している。

 与党として同様のことが繰り返されれば政治不信は極まろう。

 米軍普天間飛行場の移設問題でぎくしゃくした日米関係をどう立て直すのか。日本経済を安定した回復軌道にいかに乗せるか。菅、樽床両氏は、明確な答えを提示してもらいたい。

 両氏が小沢氏とどんな間合いをとるのかも注目される。菅氏が「小沢氏はしばらく静かにしてもらった方がいい」と述べ、樽床氏は「親小沢、反小沢に分ける考え方には立たない」と語った。

 小沢グループは党内の最大勢力で、代表選のカギを握る。だが、小沢氏が役職を失っても、隠然と影響力を維持するようでは、首相という「表紙」を取りかえただけとの批判を免れないだろう。

 きょう4日に選出される新代表はまず、どんな連立政権を組むかが問われる。国民新党との連立継続はともかく、参院選の選挙協力欲しさから、日米同盟を犠牲にし、再び社民党との連立を模索するような不見識は避けるべきだ。

2010年6月4日 読売新聞 社説

6/4余録

2010年06月04日 | コラム
6/4余録「後継首相選び」

 最高権力者選びもさまざまで、人には決められないと神様に頼ったこともある。室町幕府六代将軍、足利義教は石清水八幡宮の神前のくじ引きで選ばれた。五代早世後も室町殿として君臨した四代将軍、足利義持が後継を指名しなかったためだ。

 くじ引きは義持がまだ危篤の時に行われ、死後に結果を開封した。権力の空白を少しでも避けるためだったと今谷明さんの「籤(くじ)引き将軍 足利義教」(講談社)は述べている。当選したのが義持の弟で天台座主だった義円で、「神意」のおかげで将軍、義教となった。

 こんなトップ選びもあるくらいだから、鳩山由紀夫首相の後継選出の素早い運びも驚くに当たらないのかもしれない。きょう午前の民主党代表選で新代表を決定、衆参両院の首相指名選挙と組閣もきょう中に終えるという。

 だがこれではトップの資質が問われる今、まともな討論一つなしに一国の指導者を選んでいいのかといぶかる声も出よう。参院選を目前に政治空白を避けるための即決日程だが、背景にはポスト鳩山での主導権確保を図る小沢一郎前幹事長の思惑があったといわれる。

 野党時代と違い、事実上日本の首相を国民になり代わって選ぶ代表選である。民主党内のグループの事情がどうあれ、国民としては代表選に1票をもつ議員の人物鑑定眼に頼るしかない。政界の政治力学から生まれる「神意」によるリーダー選びの結末はひどすぎた。

 くじ引きで将軍になった義教は神がかりの独裁で多くの人命を奪い、果ては謀殺された。今も昔もやはり政治指導者はきちんと人間が人間を見て選ぶことだ。「神意」の人選はもうこりごりだ。

菅氏 G20欠席 国際舞台でさらに地盤沈下…

2010年06月04日 | ニュース政治
菅氏、G20欠席 国際舞台でさらに地盤沈下…

 鳩山由紀夫首相の突然の退陣表明が、日本の国際会議出席に影を落としている。民主党代表選に出る菅直人財務相は韓国・釜山で4~5日に開かれる20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議の欠席を決めたためだ。5~6日に札幌市で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合も閣僚の日程が読めない。このままでは国際舞台での日本の存在感はさらに低下する。

 「副大臣や政務官は新内閣が発足した時点でその地位を失う」(峰崎直樹財務副大臣)。4日に新首相や新閣僚が決まれば、従来の財務相や副大臣がG20中に失職する“珍事”となる。このため財務省は事務方の玉木林太郎財務官の出席を軸に調整している。

 振り返ると、政権交代直前の昨年9月には与謝野馨財務相(当時)がロンドンG20を欠席。昨年11月のスコットランドG20も藤井裕久財務相(同)が国会対応のため欠席した。

 G20は国際社会で重要性を増す一方だが、今回はギリシャ危機に始まる欧州の信用不安問題が焦点で、世界経済にとって重要な局面だ。巨額の財政赤字を抱える日本は海外から財政健全化を求められており、「本来なら財務相、最低でも財務副大臣が行くべき」(財務省幹部)会合だ。

 一方、APEC札幌会合の調整も難航。共同議長を務める岡田外相と直嶋正行経済産業相の日程調整がつかず、閣僚の個別会談の日程が決まらない。経済連携協定の交渉が大詰めに入ったペルーのペレス通商観光相との会談も白紙で、各国閣僚との会談は「現地でバタバタの調整になる可能性が高い」(関係者)。

 組閣次第では“門外漢”の新閣僚が議長を引き継ぐ可能性もあり、11月の首脳会議(横浜市)に向け存在感を示そうとした意気込みは空回りしかねない。日本はここ3年、主要国首脳会議(サミット)に出席する首相が次々と入れ替わった“前科”もあり、国際会議軽視との批判を招く恐れもある。

6月3日 産経新聞

民主党代表選 刷新の覚悟が問われる

2010年06月04日 | 社説
民主党代表選 刷新の覚悟が問われる

 党を刷新できるか、覚悟が問われる。鳩山由紀夫首相の退陣表明に伴う民主党の新代表選びは菅直人副総理兼財務相と中堅の樽床伸二衆院環境委員長が出馬表明した。

 首相と、小沢一郎氏の幹事長辞任を受け党の出直しが厳しく問われる局面だが、結局は小沢氏の存在が代表選の構図に大きく影響した。4日の代表選を、党の体質を改め、参院選に向けた政策の指針を示す場としなければならない。さもないと、信頼回復の足がかりはつかめまい。

 野党としてこれまでも代表選を重ねた民主党だが、今回は首相選びと直結する意味で重みが格段に異なる。そんな中、まず名乗りをあげたのは鳩山氏と並ぶ党の創業者的存在の菅氏だ。知名度と実績を背景に自らが後任にふさわしいと自負しての出馬だろう。岡田克也外相、前原誠司国土交通相ら小沢氏と距離を置く勢力が支持に回り、他グループにも支援が拡大している。

 これに対し、50歳の樽床氏は閣僚経験などの実績や知名度が乏しく菅氏と対照的だ。最大勢力である小沢氏系グループを中心に浸透を図っている。世代交代を掲げ、衆院の定数削減などに取り組む意欲を示した。

 首相が退陣にあたり、小沢氏に連帯責任を求めた意味は重い。ところがフタを開ければ結局は小沢氏系の動向をめぐる駆け引きばかりにエネルギーが費やされた。結局、小沢氏系は自主投票となったが、小沢氏という要素を乗り切れない現実にやりきれなさすら感じてしまう。

 それだけに、党刷新をどう実現するかは重要だ。菅氏は小沢氏を役職に用いない考えを事実上示し、政治とカネの問題など党浄化に取り組む姿勢をアピールした。しかし仮に代表に選ばれた場合、真に「脱小沢」を断行したかが試されるのは幹事長人事である。

 一方で「反小沢や親小沢」は問題にならないと強調する樽床氏は、政権の二重構造の排除をどう担保するのか。4日の演説で、より具体的な説明が求められよう。

 もちろん、政策論争も大事だ。菅氏は財政再建、社会保障、経済成長の一体推進を強調する。それならば、焦点の消費増税について自身の見解を、より具体的に語らねばなるまい。樽床氏もより明確に「なぜ出馬か」の動機と政権構想を語らないと唐突感はぬぐえまい。

 民主党は4日中に国会の首相指名選挙、組閣まで行う予定だ。政治空白が好ましくないのは理解できるが、これだけ性急に政権を移行して出直しにふさわしい態勢が組めるか、疑問だ。新代表は原点に返り、国民新党との連立を含め、政権のあり方を点検すべきである。

2010年6月4日 毎日新聞 社説

6/4編集手帳

2010年06月04日 | コラム
6/4編集手帳

 「親指族(おやゆびぞく)」という流行語が生まれたのは昭和20年代半ばのことという。講談社『昭和二万日の全記録』には〈パチンコファンの異称〉とある。いまならば、〈携帯メールを上手に打つ人の異称〉とでもなろう。世に連れて移ろうものは歌のみならず、親指もそうらしい。

 親指を立てるしぐさは普通、前向きな姿勢や意気込みを示す。退陣表明の前日、進退をめぐる民主党幹部との会談を終えた鳩山首相は、記者からの問いかけに黙って親指を立ててみせた。

 謎めいたしぐさは、辞意を悟られぬよう、元気を印象づける演技だったとか。

 「危機感が足りない」と、党内の反発に油を注いだのは皮肉である。弾(はじ)かれたパチンコ玉に似て、メッセージはときに意図せざる場所に落ちていく。親からの小遣いといい、親分格の幹事長のもとで薄かった影といい、“親指の思い出”は尽きない。

 上に向けて立てれば「承諾」を意味し、下に向ければブーイングのしぐさにもなる。新しい首相がきょうにも選ばれる。夏の参院選ではさて、親指を天と地いずれに向けようか――有権者という名の〈親指族〉が出直しを見つめている。