【時事(爺)放論】岳道茶房

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6/4編集手帳

2010年06月04日 | コラム
6/4編集手帳

 「親指族(おやゆびぞく)」という流行語が生まれたのは昭和20年代半ばのことという。講談社『昭和二万日の全記録』には〈パチンコファンの異称〉とある。いまならば、〈携帯メールを上手に打つ人の異称〉とでもなろう。世に連れて移ろうものは歌のみならず、親指もそうらしい。

 親指を立てるしぐさは普通、前向きな姿勢や意気込みを示す。退陣表明の前日、進退をめぐる民主党幹部との会談を終えた鳩山首相は、記者からの問いかけに黙って親指を立ててみせた。

 謎めいたしぐさは、辞意を悟られぬよう、元気を印象づける演技だったとか。

 「危機感が足りない」と、党内の反発に油を注いだのは皮肉である。弾(はじ)かれたパチンコ玉に似て、メッセージはときに意図せざる場所に落ちていく。親からの小遣いといい、親分格の幹事長のもとで薄かった影といい、“親指の思い出”は尽きない。

 上に向けて立てれば「承諾」を意味し、下に向ければブーイングのしぐさにもなる。新しい首相がきょうにも選ばれる。夏の参院選ではさて、親指を天と地いずれに向けようか――有権者という名の〈親指族〉が出直しを見つめている。


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