原油流出で三井物産“まっ青"賠償1000億円規模?
オバマ米政権を震え上がらせている米メキシコ湾の原油流出事故。4月の発生からいまだに解決のメドが立たず、被害総額は最大1兆3000億円と、原油関係の事故で史上最悪になるとみられている。実は、三井物産が子会社を通じてこの油田の権益を10%保有。市場関係者はかなりの打撃を受けるのではと不安を抱き、物産株が暴落する事態になっている。
三井物産の株価は事故当日の4月20日が1560円(終値)だったが、今月3日には1195円(同)とこの1カ月半で約22%も下落。特に今月2日には事故の被害拡大を受け、前日比101円安の1155円と投げ売り状態になった。
「子会社への懸念が高まれば、親会社である三井物産への不安感も当然高まる」(準大手証券)ためだ。
この事故は、米南部のルイジアナ州沖メキシコ湾で発生。原油くみ上げのための海上施設が爆発し、ぼう大な量の原油が流出し続けている。英石油メジャーBPや米政府などが流出を止めようと対応しているが、解決のメドは立っていない。
この油田については、BPが65%の権益を保有し、以下、米エネルギー会社アナダルコが25%、三井石油開発(東京)が10%となっている。
三井石油開発は、三井物産が約70%出資する石油・天然ガス開発会社。資本金331億円で、売上高は1000億円弱。三井石油開発の米国の孫会社を通じて、油田鉱区の権益を10%保有している。
物産グループを襲った今回の事故は、損害賠償などで史上最悪になるとみられている。
「これまでの最悪は、1989年にアラスカ沖で起きたエクソンモービル社のタンカー事故。エクソンに対しては、未解決の訴訟もまだあるが、計43億ドル(約4000億円)の損害賠償がこれまでに確定している」(業界筋)
現場のメキシコ湾は全米屈指の漁場。汚染が拡大すれば、保養地であるフロリダ州の観光産業にも打撃を与える。
今回の損害総額をエクソンのケースをもとに試算すると、「最低でも50億ドル程度、場合によっては100億ドル超の規模になってもおかしくない」(大手商社幹部)。日本円でざっと5000億~1兆円規模だ。
米CNNテレビは被害総額について、推定で最大140億ドル(約1兆3000億円)と報じている。
10%の権益を保有する三井石油開発には、最大1000億円規模の賠償負担が発生する可能性もある。同社単体で負担できる額ではなく、「親会社である三井物産の支援が必要になる」(同)とみられている。
三井物産の10年3月期の最終利益は約1500億円。支援となれば同社も大きな影響を受けることになりそうだ。
三井物産は5月6日に「事故の原因および当社業績への影響は現段階で不明」と発表したきり、音なしの構え。
気になるので、直接の当事者の三井石油開発を直撃したところ、「現地に2人派遣しているが、情報収集以上のことはできておらず、負担額などはまったく分からない」(担当者)と話すだけだった。
投資情報会社TIWの水田雅展シニア・アナリストは「事故の原因や被害規模が算出できるのは早くても来年以降だが、将来のリスク要因として市場関係者から意識されることになるだろう」としている。
2010.06.04 ZAKZAK
オバマ米政権を震え上がらせている米メキシコ湾の原油流出事故。4月の発生からいまだに解決のメドが立たず、被害総額は最大1兆3000億円と、原油関係の事故で史上最悪になるとみられている。実は、三井物産が子会社を通じてこの油田の権益を10%保有。市場関係者はかなりの打撃を受けるのではと不安を抱き、物産株が暴落する事態になっている。
三井物産の株価は事故当日の4月20日が1560円(終値)だったが、今月3日には1195円(同)とこの1カ月半で約22%も下落。特に今月2日には事故の被害拡大を受け、前日比101円安の1155円と投げ売り状態になった。
「子会社への懸念が高まれば、親会社である三井物産への不安感も当然高まる」(準大手証券)ためだ。
この事故は、米南部のルイジアナ州沖メキシコ湾で発生。原油くみ上げのための海上施設が爆発し、ぼう大な量の原油が流出し続けている。英石油メジャーBPや米政府などが流出を止めようと対応しているが、解決のメドは立っていない。
この油田については、BPが65%の権益を保有し、以下、米エネルギー会社アナダルコが25%、三井石油開発(東京)が10%となっている。
三井石油開発は、三井物産が約70%出資する石油・天然ガス開発会社。資本金331億円で、売上高は1000億円弱。三井石油開発の米国の孫会社を通じて、油田鉱区の権益を10%保有している。
物産グループを襲った今回の事故は、損害賠償などで史上最悪になるとみられている。
「これまでの最悪は、1989年にアラスカ沖で起きたエクソンモービル社のタンカー事故。エクソンに対しては、未解決の訴訟もまだあるが、計43億ドル(約4000億円)の損害賠償がこれまでに確定している」(業界筋)
現場のメキシコ湾は全米屈指の漁場。汚染が拡大すれば、保養地であるフロリダ州の観光産業にも打撃を与える。
今回の損害総額をエクソンのケースをもとに試算すると、「最低でも50億ドル程度、場合によっては100億ドル超の規模になってもおかしくない」(大手商社幹部)。日本円でざっと5000億~1兆円規模だ。
米CNNテレビは被害総額について、推定で最大140億ドル(約1兆3000億円)と報じている。
10%の権益を保有する三井石油開発には、最大1000億円規模の賠償負担が発生する可能性もある。同社単体で負担できる額ではなく、「親会社である三井物産の支援が必要になる」(同)とみられている。
三井物産の10年3月期の最終利益は約1500億円。支援となれば同社も大きな影響を受けることになりそうだ。
三井物産は5月6日に「事故の原因および当社業績への影響は現段階で不明」と発表したきり、音なしの構え。
気になるので、直接の当事者の三井石油開発を直撃したところ、「現地に2人派遣しているが、情報収集以上のことはできておらず、負担額などはまったく分からない」(担当者)と話すだけだった。
投資情報会社TIWの水田雅展シニア・アナリストは「事故の原因や被害規模が算出できるのは早くても来年以降だが、将来のリスク要因として市場関係者から意識されることになるだろう」としている。
2010.06.04 ZAKZAK