【時事(爺)放論】岳道茶房

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6/4余録

2010年06月04日 | コラム
6/4余録「後継首相選び」

 最高権力者選びもさまざまで、人には決められないと神様に頼ったこともある。室町幕府六代将軍、足利義教は石清水八幡宮の神前のくじ引きで選ばれた。五代早世後も室町殿として君臨した四代将軍、足利義持が後継を指名しなかったためだ。

 くじ引きは義持がまだ危篤の時に行われ、死後に結果を開封した。権力の空白を少しでも避けるためだったと今谷明さんの「籤(くじ)引き将軍 足利義教」(講談社)は述べている。当選したのが義持の弟で天台座主だった義円で、「神意」のおかげで将軍、義教となった。

 こんなトップ選びもあるくらいだから、鳩山由紀夫首相の後継選出の素早い運びも驚くに当たらないのかもしれない。きょう午前の民主党代表選で新代表を決定、衆参両院の首相指名選挙と組閣もきょう中に終えるという。

 だがこれではトップの資質が問われる今、まともな討論一つなしに一国の指導者を選んでいいのかといぶかる声も出よう。参院選を目前に政治空白を避けるための即決日程だが、背景にはポスト鳩山での主導権確保を図る小沢一郎前幹事長の思惑があったといわれる。

 野党時代と違い、事実上日本の首相を国民になり代わって選ぶ代表選である。民主党内のグループの事情がどうあれ、国民としては代表選に1票をもつ議員の人物鑑定眼に頼るしかない。政界の政治力学から生まれる「神意」によるリーダー選びの結末はひどすぎた。

 くじ引きで将軍になった義教は神がかりの独裁で多くの人命を奪い、果ては謀殺された。今も昔もやはり政治指導者はきちんと人間が人間を見て選ぶことだ。「神意」の人選はもうこりごりだ。


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