【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

1950(昭和25)年6月25日

2010年06月25日 | 情報一般
【写真で見るきょうは何の日】朝鮮戦争勃発

 1950(昭和25)年6月25日、朝鮮戦争が始まった。米国などが国連軍として韓国を支援し、北朝鮮側には中国人民義勇軍が参戦。戦局は二転三転した後、膠着状態に入り、53年7月に板門店で休戦協定が成立した。写真(ACME)は50年12月、南に脱出する北朝鮮避難民の様子。

 同戦争では北朝鮮側へソ連の援助で最新鋭のジェット戦闘機が投入され、米軍機との間で史上初となるジェット戦闘機同士の空中戦が繰り広げられた。またヘリコプターが初めて実戦配備された戦争でもあり、撃墜された国連軍操縦士の救出や負傷兵の搬送などに用いられた。

 戦線が絶えず動き続けたことで各地で激しい地上戦が行われ、400万人-500万人の犠牲者ともいわれている。その大多数が一般市民だった。

2010.06.25 ZAKZAK

W杯観戦を深める“科学の目”

2010年06月25日 | 新聞案内人
W杯観戦を深める“科学の目”

 間の悪いことに、原稿の締め切りがサッカー日本代表対デンマーク戦が行われる数時間前だ。

 この原稿がアップされる頃には、日本が決勝トーナメントに駒を進められたかどうか判明している。想像するだけでドキドキだ。

 この数週間、私の頭はサッカー漬け。各紙が連日のように報道するサッカー記事が、南アフリカへ思いを馳せる私の想像を加速させてきた。日経の吉田真一記者のコラムで現地の空気や臭いを感じ取り、朝日の「The Road」で日本代表選手個々の闘い方を知り、各紙が起用したサッカー評論家陣の分析で、各国の試合を反芻する。ブブゼラの騒音にイラつくこともなく、日本にいながらにしてW杯を堪能する贅沢を味わっている。

○科学的なメス

 W杯情報が満載の記事の中で、私が特に注目しているのが読売の「サッカーの科学」だ。6月下旬から随時連載の形を取っているが、いわゆるスーパープレイや高度なテクニックが生まれる裏側に科学的なメスを入れ、運動生理学や動作解析などの専門家の分析を交えながら、イラスト付きで分かりやすく記述している。

 この“科学の目”はバンクーバー五輪のときも連載され、日ごろウインター競技に馴染みのない読者には大いに役立ったはずだ。

 私たちはなぜ、スポーツを観戦するのか。ゲームの面白さに熱中したい、応援する選手の活躍を見たい、日常生活のストレスを発散したいなど、人それぞれに理由はあると思うが、その根底にあるのは、想像を超えたプレイを見たいという人としての本能があるのではないか、と私は思う。自分のイメージを超えたプレイには驚き、そして感動する。感動すればその訳を知りたいと思い、ますます選手や競技、あるいはチームに注目することになる。

 事実、私がそうだった。優れた企業家や文化人、思想家などが発想する斬新な理論には驚きつつも、言葉を重ねることによって理解できた。だが、スポーツ選手はそうはいかなかった。なぜそのような卓越した技が出来たのか、自分の感動の理由を解明したいと考え、しつこく聞いても納得できる言葉が引き出せない。なぜ?どうして?と疑問符が増えてくるうちに、スポーツにどっぷりはまってしまったのである。

 「神は細部に宿る」という有名な言葉がある。この言葉の出所についての見解や使われ方は色々あるようだが、誰にでも普遍であるはずの森羅万象を、一般人には理解不能なところまでキャッチでき、しかもそれを絵なり、音楽なり、建築物なり、言葉なりで、誰にでも分かるように表現できる人に、神秘性と驚嘆を込めて使われることがある。

 これまでは主に、卓越した芸術家に敬意と賞賛を込めて用いられた表現だったが、スポーツ現場で多くのアスリートの言動に接するうち、この「神は細部に宿る」という形容は、スポーツの世界にも当てはまると確信するようになったのである。

 私は「神は細部に宿る」世界を知りたかった。だが選手たちは、人間業と思えないほど高度な動作を示すようになっても、なぜそのように瞬間的に判断し決断、行動できるようになったのか、言葉に転化できない。

 しかし、それも無理のないことだと思った。

 高みに達したアスリートというのは、心技体の充実だけでなく、感覚の鋭さというもう一つの能力を手にした人が多いからである。感覚を言語化するのは難しい。

 読売の「サッカーの科学」はそんな難しさに真っ向から挑んだ記事といえる。

○無回転シュート

 テーマ選びのタイミングもいい。本田圭祐の無回転シュートが話題になると、すかさずその謎を解き明かした。無回転シュートは、1000分の1秒のボールと足の接触で決まるというのだ。まさに「神は細部に宿る」領域だ。

 最高のドリブラーといわれ、今大会でも世界中の注目を集めるアルゼンチン代表のリオネル・メッシ。何人ものディフェンスを次々に交わすドリブルは、横に蹴ったボールを即座に前に蹴り、その間に要する時間はほんの0.2秒という。これではDFが逆を突かれても当然だ。そんな神業の事実を知ると、アルゼンチンの試合は目を皿にして見てしまうのはいうまでもない。

 日本代表が勝利を挙げたカメルーン戦。勝因の一つに、長友佑都がサミュエル・エトーを徹底的にマークし仕事をさせなかったという事実があるが、170cmの長友が身体能力に優れたエトーを、なぜ90分間も行く手を阻むことが出来たのか。帰国したらインタビューしたいと思っていたら、数日もたたないうちにこの事実にメスを入れていた。

 骨盤の近くにある「腹横筋」や「大腰筋」を徹底して鍛えているため、重心がぶれたりバランスが崩れたりしても瞬時に姿勢を戻すことが出来、エトーの動きを窺いながらギリギリになって対応できたからだという。

 スタミナというテーマでは、意外な事実もあぶり出した。日本人選手はスタミナがないと思っていたが、なんと90分間の選手平均の走行距離は日本が際立っているという。ただ、日本はペース配分が下手で、前半に動きすぎるため後半に十分な体力が残っていないらしい。だから後半になると失点するケースが多いのか。デンマーク戦前に、日本代表がこの記事を読んでくれることを願う。

 この読売の記事のお陰で、今回のW杯の見方が少し変わった。これまではどうしても勝敗に囚われがちだったが、選手の一挙手一投足を凝視し、その動きにどんな決断、意思が込められているのか、推測しながら楽しんでいる。

○人間の未知な能力

 オリンピックやサッカーW杯など大きな大会になると、どうしても選手のプライベートに迫る読物が巷に溢れるが、人間の持つ未知なる能力にスポットを当てる記事がもっと増えてもいい。その方が根源的な感動を作れるし、何よりこういう究極の舞台でこそ、人間の進化を目撃することが出来るまたとないチャンスなのだ。

 デンマーク戦では「神は細部に宿る」シーンを見ることが出来るのか。何はともあれ、決勝トーナメントに進んでいることを祈る。

2010年06月25日 新聞案内人
吉井 妙子 スポーツジャーナリスト

「民・自」共に10%で、どうなる「消費税選挙」の行方

2010年06月25日 | 情報一般
花岡信昭の「我々の国家はどこに向かっているのか」
「民・自」共に10%で、どうなる「消費税選挙」の行方

■最大の争点、民・自とも税率10%を掲げる

 参院選が24日、公示される。

 「小鳩同時辞任」の劇的効果によって、菅直人首相率いる民主党ががぜん勢いを盛り返したようだが、このごろの選挙情勢は瞬時にして変わる。

 テレビ・ネット時代で、情報の伝わるスピードが速くなり、要人のちょっとした失言などが起きると結果を左右しかねない。

 それにしても、消費税が選挙戦の最大の争点になるとは、予想外だった。

 自民党は「10%」を打ち出し、これに菅首相がパクッと食いついた。菅首相にはそれなりの計算があったのであろう。

 鳩山前首相が普天間問題にしろ、夢のような理想論に走りがちだったことから、一転して地に足のついた現実論を唱え、政権担当能力を示そうということか。

 増税を掲げて選挙は戦えないというのが、政治の世界の常識であった。それを、民主も自民も同様に「消費税10%」を掲げるというのだから、状況の変化に驚かざるを得ない。

 世論調査でも、消費税増税への一般の理解度はだいぶ進んできたことがうかがえる。

 消費税が前面に出てきたことで、民主党にとっては、普天間問題での鳩山前政権の稚拙な対応や「政治とカネ」問題をわきに追いやることが可能になった。

 まったく異質のテーマをぶつけることで、それまでの対決課題を薄めてしまうという高等戦術である。

 思い起こせば、政治記者時代、消費税(時期によって、一般消費税、売上税などと称された)では、きりきり舞いさせられたことが多い。

■「大型間接税などあり得ない」が常識だった

 一般消費税として浮上したのが1978年、大平政権当時であった。

 あれからもう32年だ。大平正芳首相はこれによって生命を縮めた。

 あの当時、筆者が勤務していた産経新聞では、ワンマン社長が週に1回、現場記者から報告を聞く会議を開催した。編集担当役員をはじめ、幹部がずらりと勢ぞろいする。社論会議と称したが、われわれは「御前会議」と呼んでいた。

 筆者はちょうど社歴10年ぐらいのころで、なぜか報告者として呼ばれることが多かった。一般消費税がテーマとなったときの情景をいまだに覚えている。

 夕刊フジの代表が「増税などとんでもないこと。真っ向から反対キャンペーンを張り、つぶします」と述べたので、思わず口をはさんでしまった。

 「夕刊フジはサラリーマンの新聞ではないのですか。サラリーマンにとって、一般消費税導入で所得税負担が軽くなり、可処分所得が増えるのなら、大歓迎していいはずではありませんか」とやったのだ。

 会議室は凍りついたように静まり返った。ヒラ記者が夕刊フジ代表に異論を主張したのだ。幹部たちは一斉に社長のほうに向きなおり、その言を待った。

 「そういう考え方も一理ある。十分、検討するように」

 そんな指示だったように記憶している。こちらは若気のいたりで、思いを正直にぶつけてしまったのだが、あとで、幹部の一人から「社長がどやしつけるんじゃないかと、ひやっとしたぞ」と肩をたたかれた。

 ことほどさように、あの当時はこの種の大型間接税などあり得ないというのが通常の感覚だった。

 その後、消費税が内政テーマの主軸となっていく。

■消費税は日本の政界を揺るがす一大事だった

 中曽根康弘首相は売上税導入を打ちあげたが、果たせなかった。

 これが1986年だ。中曽根政権を引き継いだ竹下登首相により、89年4月、税率3%で消費税が施行された。

 中曽根首相は衆院総選挙で300議席獲得した功績により、任期1年延長となって、5年の長期政権となった。

 後継者として、安倍晋太郎、竹下登、宮沢喜一の「安竹宮」3氏が浮上、中曽根首相がこの中から指名することになった。直前まで、われわれは安倍氏だとばかり思っていたが、指名されたのは竹下氏だった。

 中曽根政権発足は田中派の全面的支持によるもので、当時、「田中曽根内閣」などといわれた。中曽根氏は竹下氏を指名することで、そのときの恩義に報いたのかとも思われた。

 その後、かなりたって、竹下氏に「中曽根さんはなぜ竹下さんを指名したのか」と聞いたことがある。

 「売上税だよ。やってくれるか、と何度も念を押すんだ」といった答えが返ってきた。

 中曽根氏は3氏に導入の覚悟があるかを問い詰め、最もはっきりと「やります」と答えたのが竹下氏で、これが後継指名の決め手になったという。

 その後、94年には細川護煕首相が突然、「7%の国民福祉税」を打ち出し、一夜でひっくり返った。

 橋本龍太郎首相は97年、5%に税率をアップし、これが参院選敗北、退陣に結び付いた。

 消費税は日本の政界を揺るがす一大事だったのだ。

■国民総背番号制の導入と切っても切れない関係

 そう考えると、「消費税10%」が当然のように出てきた政治状況は隔世の感がある。

 このごろは、直間比率の是正とか「クロヨン」「トーゴーサンピン」といった言葉を聞かなくなった。消費税論議の前提として、そうした「そもそも論」を改めて始めなくてはなるまい。

 日本は戦後のシャウプ税制によって、直接税の占める比率が異様に高かった。納税意識の浸透という目的があったためだ。現在でも直間比率はやっと7-3程度になったほどである。

 「クロヨン」とは、給与所得者、自営業者、農林水産業者の所得が捕捉される割合が9割、6割、4割とバランスを欠いている実態を指す。

 これをさらに厳しい視点から見たのが「トーゴーサンピン」(10-5-3-1)で、「ピン」は政治家だ。

 税の公平を確保する観点からいえば、まず納税者番号などによる「名寄せ」が必要だ。

 一時、グリーンカードの導入が本格的に検討され、埼玉に大型コンピューターを入れる建物もできたのだが、金丸信氏のツルの一声で吹き飛んでしまった。

 つまりは、国民総背番号制の導入と消費税が切っても切れない関係にあることが分かる。

 税制は国家の財政構造を変えるわけだが、国民の意識にも重大な変化をもたらすのである。

 国の借金がGDP(国内総生産)の180%、880兆円に達するという財政状況は看過できないところまできている。このままいくと、借金1000兆円、GDP比200%時代がすぐにも到来する。

 私見をいえば、早期に「消費税20%」を実現させるべきだと思う。

 その場合、当然ながら、所得税、法人税の大幅引き下げが前提となる。

 所得税は各種控除などの面倒なことはやめて、高額所得者でも低所得者でも同率の簡素な税にすればいい。これによって、サラリーマンは可処分所得が増え、企業は国際競争力が増す。

消費税への向き合い方で政局の主要プレーヤーに
 消費税アップによって、個人にも企業にも活力が生まれることになる。20%の税率なら50兆円になる。一気に財政危機から脱出できるのだ。

 消費税増税に対する反対論は「それより先にムダの排除を」とか、「年金生活者など弱者にきつい」といったものが大半だ。

 議員定数の削減をはじめ、ぎりぎりまで歳出カットに努めるのは当然としても、これにはおのずと限界がある。その厳粛な事実を踏まえないと、消費税増税は現実のものとはならない。

 弱者対策は別の視点から行えばいい。だいたいが、財政破綻にいたったら、社会福祉の水準は一気に低落するのである。福祉崩壊を未然に防ぐ意味でも、消費税以外に切り札は見当たらない。

 国際的に消費税の動向を見れば、EU諸国ではおしなべて15~20%である。25%という国もある。5%という超低率の消費税を実施しているのは、日本のほか、マレーシア、台湾ぐらいだ。

 日本記者クラブが行った9党首討論会では、消費税増税に前向きの民主、自民に対して、ほかの政党のほとんどが反対した。

 たちあがれ日本の平沼赳夫代表が「将来的に4~7%引き上げ」、新党改革の舛添要一代表が「社会保障目的税化が条件」と主張したのが目立った程度だ。

 消費税増税を主張する勢力が、いつの間にか、大勢となっているのだ。

 新党の埋没現象などがいわれる中、消費税増税反対派が必ずしも多数派とはなっていない状況を注視する必要がある。

 消費税への向き合い方によって、今後の政局での主要プレーヤーとなり得るかどうかが問われるかもしれないのである。

2010年6月23日 日経BP

G8・G20 欧州の政策展開に学べ

2010年06月25日 | 社説
G8・G20 欧州の政策展開に学べ

 主要国(G8)首脳会議と二十カ国・地域(G20)首脳会合が二十五日からカナダで始まる。増税に傾斜する菅直人首相は経済成長と財政再建をめぐる論点について欧米の政策論議に学ぶべきだ。

 菅首相にとって一連の首脳会議は、財務相当時に国際会議の経験があるとはいえ事実上、初の外交デビューになる。会議の合間を縫うようにして日米、日ロ、日中など二国間会談も開かれる予定だ。

 G8もG20にとっても、最大の関心事は経済の動向である。金融危機が一段落したと思ったら、ギリシャの財政危機が再び世界経済を揺るがし、余震はなお収まっていない。

 米欧は金融危機後、財政出動に動いて赤字を拡大してきた。ところが、ギリシャ危機が起きると、欧州は一転して「出口=緊縮政策」を模索し始めた。むしろ回復ピッチが速い米国が「引き締めは時期尚早」とけん制している。会議では財政健全化と景気回復の両立を目指して、米欧が白熱した議論を展開しそうだ。

 注目されるのは、欧州の政策展開である。英国は二〇一一年一月から付加価値税を2・5%引き上げて、20%にする予算案を発表した。増税一本やりかといえば、そうではなく、公務員の賃上げ凍結や子ども手当の凍結、福利厚生費の削減も盛り込んでいる。

 フランスは公務員の新規採用を抑えて人件費を10%減らす。ドイツも連邦職員数を減らし手当を削る。危機震源地となったギリシャはもちろん、余波が懸念されるポルトガルやスペインも公務員数と賃金削減などを打ち出している。

 当然、労働組合は反発し、各国でストライキが繰り広げられているが、政府自身が身を削って範を示そうとしているのである。

 翻って菅政権はどうかと言えば、「放置すれば日本もギリシャのようになる」と訴えて増税路線を強調しているが、給与や定員削減を含む公務員制度改革には熱意がさっぱり感じられない。

 それどころか新たに指針をつくって、官僚の身分を守ったまま独立行政法人や公益法人に出向させる「現役天下り」を容認するありさまだ。これでは公約した国家公務員人件費の二割削減は、とうてい実現できない。むしろ役所と独法の関係が深まって、独法改革すら難しくなる。

 官僚との融和に走って既得権益にメスを入れなくていいのか。菅首相は真の優先課題が何か、この機会に熟考する必要がある。

2010年6月25日 中日新聞 社説

6/25中日春秋

2010年06月25日 | コラム
6/25中日春秋

 今、真っ最中のサッカーW杯で、選手たちのぶつかりあいの激しさに目を見張っている人も多いことと思う。

 その「ぶつかりあう」を課題作品のテーマにしたのが、高校生を対象にした東北大の「第三回青春のエッセー 阿部次郎記念賞」。最近、入選作品集を送っていただいた。課題の部の最優秀「川底のハリネズミ」は、青森県の高校生の作品だ。

 往来で人の体と体がぶつかりあうことから、人の心と心のぶつかりあいへと思索を展開し、なるほど選評にある通り「高校生離れ」した文章だ。中で巧みに用いているのが「ハリネズミのジレンマ」という寓話(ぐうわ)。

 寒いので身を寄せ合うが互いの針が痛いので離れざるを得ない。しかし、寒さゆえまた近づき…。何度も繰り返すうち適切な距離を知る-。多分、ドイツの哲学者ショーペンハウアーが『随感録』に書いた寓話に由来する「ヤマアラシのジレンマ」がどこかで転じたものと思う。

 何にせよ、よくできた社交指南に読めるが、肝心なのは最優秀作も言うように、針の痛みを恐れて、はなからぶつかりあいを避けてしまうことへの戒めだろう。教師と生徒、上司と部下、親と子…。実際、様々な関係で時に遠慮しすぎがいわれる。

 ファウルにならないギリギリの間合いも大事。でも、審判の笛を恐れてぶつかりあいを避けるようなサッカーでは、到底勝利は望めない。

民主政権9カ月 国民どう評価

2010年06月25日 | ニュース政治
民主政権9カ月、国民どう評価

参院選公示 9カ月間の実績どう判断 得られるか国民の理解

 鳩山由紀夫前首相の退陣表明から3週間。菅直人首相の誕生で民主党の支持率が急回復する中、第22回参院選が公示された。政権交代への期待が大きな追い風となった昨年8月の衆院選と異なり、今回の参院選は政権与党としての実績が評価される。過去9カ月の経験を踏まえて今一度、民主党にチャンスを与えるのか否か。有権者の判断が問われる。

 「(鳩山氏は)改めて政権交代の原点に戻り、民主党中心の政権をしっかりやってほしいという思いを強く持たれていた」

 菅首相は22日の9党首討論会でこう語り、「原点からの再出発」を印象付けた。民主党内には「反省ばかりでは何も前に進まない」と、鳩山政権でのマイナスを封印しようとする雰囲気が強い。

 しかし、政権担当能力が未知数だった衆院選の時とは違う。この9カ月間、民主党政権は何をやってきたのか。

 16日に閉幕した通常国会。政府が提出した新規法案63本のうち、成立したのは35本で、法案成立率は現行憲法下で最低の55・6%だった。衆院選マニフェスト(政権公約)のうち、子ども手当や公立高校の授業料無償化は実現したが、地域主権の確立や公務員制度改革のための法案は先送りされた。

 衆院選で政権構想の中心に据えた「政治主導」も道半ばだ。副大臣・政務官の増員や国家戦略局の体制も整わないまま、官僚政治からの脱却を旗印に事務次官会議を廃止して政務三役に権限を集中させた。その結果、政治家と官僚の断絶を引き起こし、鳩山前首相の指導力不足と相まって、政策決定システム自体が混乱に陥った。その端的な表れが、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐる迷走だった。

 参院選は「政権選択」ではなく、中間選挙の位置づけだ。民主党は衆院で300議席を超える圧倒的な数を握っており、参院選の結果で政権が直ちに崩壊することはない。

 与党が参院で過半数を維持すれば、郵政改革法案をはじめ、通常国会で積み残された政策課題が実現に向かうだろう。逆に与党が過半数割れを起こせば3年前と同じように国会は衆参で「ねじれ状態」になる。政策決定のスピードは落ちるが、数の力による強引な国会運営はできなくなる。

 菅首相は鳩山政権の9カ月をどう総括し、その反省を踏まえて何を変えようとしているのか。唐突に浮上した消費税論議と、これまで訴え続けてきた歳出削減策との整合性を含め、有権者に理解が得られる十分な説明ができるだろうか。 (総合編集部長 近藤真史)

2010年6月24日 産経新聞

朝鮮戦争60年 北は今も「好戦国家」だ

2010年06月25日 | 社説
朝鮮戦争60年 北は今も「好戦国家」だ 脅威に対し日韓提携が重要

 北朝鮮がソ連(当時)や中国の支持、支援を得て韓国を奇襲攻撃した朝鮮戦争(1950~53年)が始まって、25日で60年になる。戦争は南北双方および国際社会に甚大な被害をもたらし、朝鮮半島の南北分断と対立を固定化させた。戦争の結果、東アジア情勢はいつも緊張し、不安定なものとなった。それは今も続いている。

 この60年間、北朝鮮の好戦性に変化はなかった。各種のテロや軍事挑発が繰り返されてきた。日本人拉致事件もそうだ。国際社会の声を無視し、長距離ミサイルや核の開発も進めてきた。

 朝鮮戦争以来、北朝鮮は国際的な「悪の枢軸」の一角である。最近も“闇討ち”で韓国哨戒艦撃沈事件を引き起こしている。

 ◆日本に助けられた韓国

 朝鮮戦争は北朝鮮の創業者とされる金日成(1994年死亡)が、韓国併合を狙って引き起こした武力統一戦争だった。背後には当時のソ連や中国など国際共産主義勢力が控え、朝鮮半島全体の共産化はもちろん「その次は日本」を目標にしていた。

 そのため朝鮮戦争は日本にとっても重大な脅威だった。米国が国連軍として直ちに韓国防衛に馳(は)せ参じたのも日本の安全保障を重視したからだ。

 朝鮮戦争を機に自衛隊の母体となった警察予備隊が創設された。日米安保条約が調印され、破壊活動防止法も公布された。いずれも日米の危機感からだった。在日米軍は今も国連軍を兼ねている。

 同時に、日本は韓国防衛の後方基地として決定的な役割を果たした。戦時物資の供給をはじめ、後方に日本があったからこそ、米国や韓国など自由陣営は共産勢力の韓国侵略を押し戻すことができたのだ。「朝鮮戦争のおかげで戦後日本の経済は復興した」とよくいわれるが、韓国も「日本のおかげで助かった」のである。この歴史的事実はしっかり記憶されなければならない。

 北朝鮮の好戦性、侵略性を前にした日米韓提携の必要性は、今も変わらない。

 北朝鮮に核放棄を迫る6カ国協議の協力はもちろん、拉致問題でもそうである。最近の哨戒艦撃沈事件でも北朝鮮追及のため国連など国際舞台で日韓は、今も北擁護に回りがちな中国やロシアに対して積極的に協力し合っている。

 北の脅威の下では、自由と民主主義という国家・体制の理念を共にする日韓の国益は、基本のところで一致する。そしていつでも協力し合える。

 韓国では、国民に食べ物さえ十分に与えられない北の軍事独裁政権を、「同じ民族」を理由に擁護したり、支援したりする動きがある。民族主義的な左翼・親北勢力だが、「民族」や「民衆」の名でそうした政権を否定することこそが、同胞を愛する本当の民族主義ではないだろうか。

 ◆北の指導者は交代せよ

 北朝鮮の金日成・金正日政権は同族殺戮(さつりく)の戦争だった朝鮮戦争について、いまだ「反省」も「謝罪」もしていない。

 60年前、南北武力統一を狙って韓国に侵攻した北朝鮮は、今も軍事優先の「先軍政治」を叫んでいる。最高指導者を「将軍さま」と呼ばせ、「国防委員会」を国家最高機関にするなど、極端な軍事独裁体制を続けている。

 金日成は、1948年の建国以来、国の目標は「国民にコメのご飯と肉のスープを食べさせること」と言い続けた。しかし半世紀近くかかっても、それができないまま世を去った。後継者の息子・金正日総書記もまた飢餓を生みだし、国民を十分食べさせられずにいる。

 親子2代、60年以上にわたる独裁体制の国家経営で、国民はいまなお飢えているのだ。こんな国はこの地域では北朝鮮だけである。明らかに何かが間違っている。

 いや、「ウリシク(われわれ式)社会主義」という独善的な政策と、それにこだわる指導者が間違っていたのだ。軍事優先の「先軍政治」ではなく、国民生活優先の「先民政治」にするには、指導者の交代あるいは路線の転換しかない。その変化がない限り、国民はいつまでも救われない。

 それにしても、互いに戦争の廃虚から60年を経て、今や南北の格差ははなはだしい。韓国は発展したのに北朝鮮はなぜ沈滞、疲弊したのだろう。

 この格差には日本との協力関係も大いにかかわっている。日本を敵視し受け入れなかった北朝鮮は落後するしかなかったのだ。

2010.6.25 産経新聞 主張

6/25産経抄

2010年06月25日 | コラム
6/25産経抄

 20年以上前に、「参院選パ・リーグ論」がささやかれたことがある。パ・リーグは、セ・リーグに比べて、実力ではひけを取らないものの、人気では水をあけられていた。参院選もまた、衆院総選挙に比べて、存在感が薄いというわけだ。

 もちろん今、そんなことを言う人はいない。先のセ・パ交流戦で、圧倒的な力の差を見せつけたパ・リーグは、人気の面でも優位に立っている。参院選だって、「天下分け目の戦い」の扱いを受けるようになった。その敗北が政権崩壊につながる例が、珍しくなくなったからだ。

 まして、きのう公示された第22回参院選は有権者にとって、昨年9月に誕生した民主党政権を評価する初めての機会となる。クリーンを売り物にしたはずの鳩山前政権は、首相と幹事長がともに、「政治とカネ」の疑惑にまみれる結果となった。普天間問題での迷走も目に余った。

 代わった菅直人首相の「現実路線」にも、眉(まゆ)に唾(つば)をつけなければならない。自民党が公約に掲げた消費税引き上げについて、検討を約束したのはいい。ただ、子ども手当や農家への戸別所得補償、温室効果ガス25%削減目標など、鳩山前政権の人気取り政策と果たして整合するのか。

 「増税で経済成長する」という理屈もわかりにくい。だからといって、自民党にもう一度任そうという機運の高まりが、感じられないのも事実だ。あと16日間、各党の党首と候補者が何を語り、何を語らないか、常にもまして吟味したい。

 「投票売るのは身を売るよりも あとのたたりが恐ろしい」。「憲政の神様」といわれた尾崎行雄が、昭和3年の最初の普通選挙を前に作った都々逸(どどいつ)だ。間違った一票のあとの、たたりが恐ろしいのは、今も変わらない。

恐喝容疑で元力士逮捕 警視庁

2010年06月25日 | ニュース一般
恐喝容疑で元力士逮捕=「賭博知られたら大変」-琴光喜関から350万円・警視庁

 大相撲の野球賭博問題で、大関琴光喜関(34)=本名田宮啓司、佐渡ケ嶽部屋=から口止め料として350万円を脅し取ったとして、警視庁組織犯罪対策3課などは24日、恐喝容疑で、元幕下力士で自称元暴力団員の古市満朝容疑者(38)=元若隆盛、大阪府寝屋川市石津南町=を逮捕した。

 同課は賭博の借金清算のために恐喝をエスカレートさせたとみて捜査。背後の暴力団関与を含め、角界の賭博汚染を解明する。

 同容疑者の逮捕状を取ったが、行方が分からず、同課は東京都内で任意同行した。

 同課によると、容疑を否認し、「(勝ち金の)取り立てを依頼されたと思った」と供述。恐喝金ではなく、「依頼料」と主張しているという。

 逮捕容疑は琴光喜関から金を恐喝しようと計画。1月中旬、仲介役の床山に「おまえらが野球賭博をやっていることはみんな知っている。マスコミや警察に知られたら大変なことになる。部屋の親方にも言うぞ。350万円を持ってくれば黙っててやる」と伝え、同月下旬に350万円を脅し取った疑い。

 捜査関係者によると、琴光喜関は阿武松部屋所属のまげを結う「床山」を通じ、賭博をしていた。

 昨年、床山に「勝ち金」約500万円を要求したところ、床山は同じ「胴元」に多額の借金をしていた古市容疑者に支払いを求めた。

 ところが、同容疑者から脅迫され、琴光喜関は床山を通じて同部屋前の路上で現金を渡した。その後も要求は続き、琴光喜関は、同じ床山を通じて賭博をしていた大嶽親方(42)=元関脇貴闘力=に相談。3月の春場所中、同親方も交渉に同席したが、要求額は1億数千万円に上った。 

 組対3課は恐喝金で胴元への借金を清算するため、要求額をつり上げたとみて、恐喝未遂容疑でも立件する方針で捜査。琴光喜関については賭博容疑での書類送検を検討している。

2010/06/25 時事通信

子育て支援 あしたのための論争を

2010年06月25日 | 社説
子育て支援 あしたのための論争を

 「子ども手当を1万3000円から上積みする。上積み分は地域の実情に応じて現物サービスにも代えられるようにする」。これが民主党の今回の子育て支援の柱だ。財源難を考えれば満額支給(月額2万6000円)の断念はやむを得ないが、「社会全体で子どもを育てる」という理念はこの間どのくらい深められただろうか。私たちはこの理念を評価し期待もしてきたが、まったく不十分だと言わざるを得ない。制度の基本が変容したことへの説明もない。単なるばらまきにならないために、選挙戦で論議を尽くすべきだ。

 もともと子ども手当の財源は高所得者に有利な配偶者控除や扶養控除を廃止し、これに従来の児童手当分を加えた約2・4兆円分が充てられるはずだった。ところが、無駄の排除や予算の組み替えでは捻出(ねんしゅつ)できず、国民の反発を恐れて配偶者控除も温存したため、まったく財源確保の見通しが立たなくなった。

 若年世代を取り巻く状況は深刻だ。09年の完全失業率は平均5.1%だが、15~24歳は男性10.1%、女性8.4%、25~34歳でも男性6.5%、女性6.3%と高い。また、24歳以下の雇用者の半数は非正規労働者なのである。正規労働者でも若年層の賃金水準は低い。子どもを産まない理由に「経済的負担」を挙げる人が多いのは当然だ。出産や育児の適齢期の世代がこんな状況ではこの国の未来はどうなるのか。高齢層は膨張する一方だ。若年層の雇用を安定させ、出産や育児を社会全体で支援することは、どの世代にとっても重要であるはずだ。

 そのほかの子育て支援は保育園の増設だけでなく、幼稚園と保育園の一体化、家庭内保育、夜間早朝保育などニーズに応じた多様な保育サービスの整備なども挙げられている。ただ、どの程度の「上積み分」をどのようにして現物サービスに転化できるのかも明確に示すべきだ。

 子ども手当の全面見直しを主張する自民党は「切れ目のない子育て支援」を掲げる。すべての保育園・幼稚園の無料化、子どもの医療費無料化、不妊治療助成や出産一時金の拡充、父親の産休・育休のための環境整備などが内容だ。公明党は幼児教育無料化、児童虐待対策の強化などを打ち出している。

 わが国の社会保障費の水準は先進諸国の中で低く、とりわけ子育て支援は国内総生産比1%程度で、フランスやスウェーデンの3分の1に過ぎない。各党がマニフェストで子育て支援策を競う今日の状況は歓迎したい。理念や財源を含めた実行可能性について大いに議論すべきだ。

2010年6月25日 毎日新聞 社説

6/25余録

2010年06月25日 | コラム
6/25余録「アフガン米軍司令官解任」

 「これほど不人気な人物がこれほど人気のある人物を解任したのははじめてだ」。「タイム」誌がこう書いたのは、朝鮮戦争さなかにトルーマン米大統領が、中国東北部への攻撃を主張したマッカーサー国連軍司令官を解任した時である。

 その前にトルーマンは部下に命じ、ある故事を調べさせた。南北戦争さなかにリンカーン大統領が政治的発言を重ねたマクレラン将軍を軍司令官から解任した事件だ。自らの決断のよりどころを歴史に求めたのである(D・ハルバースタム著「朝鮮戦争」文芸春秋)。

 解任声明の直前、更迭がマーシャル国防長官ら政府と軍の当局者全員一致の決定だと明かすように助言するスタッフにトルーマンは言った。「いや今晩は、私一人の決断だ」。軍の統率者である大統領の責任を示したのだ。

 「文民による軍の統制は民主主義体制の根幹だ」。これはアフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官の解任にあたり、オバマ大統領が述べた言葉である。司令官がバイデン副大統領ら政府の文民高官をこきおろした発言が雑誌に報じられ、物議をかもしたためだ。

 むろんオバマ大統領にはトルーマンほどには厳しい決断でなかったろう。だが今やベトナム戦争を超えて米国史上最長の戦争となったアフガン戦争だ。来年の撤退開始は政権の公約だが、その実現に向けた掃討作戦が始まろうという矢先に異例の司令官更迭となった。

 不人気な戦争から生まれる文民と軍人のいさかいは政権には黄信号だ。この騒ぎで政策変更はないというオバマ大統領だが、ことアフガン戦略ではいったいどの歴史に決断のよりどころを求めるのか。

◆W杯 日本2大会ぶり決勝T進出

2010年06月25日 | ニュース一般
<南アW杯>日本2大会ぶり決勝T進出 デンマークに3-1

 サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会第14日は24日、1次リーグ4試合があり、E組の日本はデンマークを3-1で降して2勝1敗(勝ち点6)とし、自国開催だった02年日韓大会以来、2大会ぶり2回目の決勝トーナメント進出を決めた。オランダ-カメルーンはオランダが勝ってE組1位となり、2位の日本は、29日午後4時(日本時間午後11時)の決勝トーナメント1回戦で、F組1位のパラグアイと対戦する。

 日本は前半17分、ペナルティーエリア右角前の位置、ゴールまで30メートル超のFKから本田が直接、無回転で不規則に変化したボールをゴール左隅へ突き刺した。前半30分には、ゴール中央20メートルの位置で得たFKから遠藤が直接シュート。右隅に絶妙にコントロールされたボールがゴールに吸い込まれた。後半36分には、トマソンのPKをGK川島が止めるが、こぼれ球を押し込まれ1点を失った。しかし後半43分、岡崎がダメ押しのゴールを挙げた。【毎日jp編集部】

6月25日 毎日新聞

参院選公示 政治と経済立て直しの契機に

2010年06月25日 | 社説
参院選公示 政治と経済立て直しの契機に

 国の屋台骨が傾きかけている。そう感じる人は少なくないだろう。

 昨秋、政権交代を果たした民主党政権は、政治を変えるどころか大混乱を招いてきた。

 日本経済もデフレに足をとられ、なかなか明るい展望を見いだすことができない。

 24日、参院選が公示された。

 各政党は有権者の不安を払拭するためにも、景気を着実に回復させる経済政策や、日米同盟再構築に向けた外交・安保政策で明確な処方箋を示してもらいたい。

 ◆公約の真贋を見極めて◆

 選挙は、9政党が名乗りを上げ、混戦模様だ。有権者は、各党が掲げた公約や擁立した候補者が本物なのか、その真贋を、しっかり見極めてほしい。

 鳩山前首相は、「政治とカネ」の問題で国民の信頼を失い、米軍普天間飛行場移設問題では対米関係を大きく傷つけた。その結果、首相に就任してから8か月余りで退陣に追い込まれ、代わって菅首相が登場した。

 今回の選挙でまず俎上にのせるべきは、民主党内閣の実績や政権運営のあり方だろう。

 昨年の衆院選の政権公約(マニフェスト)でうたわれた子ども手当などは、財源不足から、早速見直しを迫られている。とはいえ、これらバラマキ政策については、何の総括もなされていない。

 鳩山前首相と民主党の小沢前幹事長の「政治とカネ」の問題も、解明には程遠い状態だ。

 菅政権は一体、前政権と何がどう違うのか。

 バラマキ政策や事業仕分けの手法にみられるポピュリズム(大衆迎合主義)、政治主導という名の官僚たたき、巨額の資金が動く金権政治、「小沢独裁」に沈黙した非民主的な党の体質、「親中国・米国離れ」志向、「数の力」を背景にした強引な国会運営――。

 菅首相は前内閣の副総理・財務相だった。前政権を特徴づけるこうした問題と決別したのか。

 本来なら民主党は、衆院解散・総選挙で信を問うべきだった。それを避けた以上、これらについて説明を尽くさなければ、有権者は判断のしようがあるまい。

 消費税率引き上げ問題は、菅新政権の実行力の試金石だ。

 菅首相は、消費税を含む税制の抜本改革に関する超党派の協議を呼びかけ、消費税率の「10%」への引き上げに言及した。

 ◆消費税論議を深めよ◆

 国家財政の逼迫、社会保障予算の膨張を考えれば、引き上げは当然のことである。自民党が「10%」で先手をとり民主党が追いかけた形だが、引き上げを正面から論じようとする姿勢は、責任政党としていずれも評価できる。

 ただ、手のひらを返したような民主党の方針転換については、前政権の失政を隠すための「目眩まし」などと評されている。

 菅首相は、消費税率引き上げの理由と使途などを丁寧に説明し、合わせて税制全般の改革像を早急に提示しなければならない。

 消費税率上げに反対を表明している政党は、税制論議を深める上でも、現実的な「対案」を示す必要がある。

 今回の参院選の勝敗は、民主、国民新両党の連立政権の枠組みに変更をもたらし、政界再編の契機になる可能性もある。

 民主、自民の2大政党の間で「第3極」を掲げる新党は、多数の候補者を擁立した。その戦いぶりは2大政党の戦績に影響を与えずにはおかないだろう。

 民主党は、衆院に加えて参院でも、非改選を含めて過半数を制し、単独政権を手中にできるか。

 それが果たせない場合は、連立与党で過半数を確保できるかどうかが焦点だ。仮に、過半数割れになれば、「第3極」政党の一部などとの連携もありえよう。

 自民党は、与党の過半数阻止を目標にあげている。衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」として、民主党主導の政治にブレーキをかける狙いがあるのだろう。

 どんな「政権のかたち」が望ましいのか。有権者は、そうしたことも念頭に置いて、1票を行使することが求められる。

 ◆参院のあり方も課題だ◆

 参院が「良識の府」でなく「政局の府」と言われて久しい。

 民主党は、菅内閣の支持率が高いうちの参院選を望み、早々に国会を閉じた。参院では野党提出の首相問責決議案の採決をしなかった。これでは「良識」が泣く。

 前回参院選で第1党になった民主党は、参院で政府提出法案や人事案を否決して、当時の自民、公明連立政権を揺さぶり、政治を混乱に陥れたこともある。

 参院が政局の行方を左右するようなことがないよう、第二院としては強すぎる権限を見直した方がいいとの意見もある。各政党は参院の在り方も論じ合うべきだ。

2010年6月25日 読売新聞 社説

6/25編集手帳

2010年06月25日 | コラム
6/25編集手帳

 よく見聞きする「目からウロコが落ちる」という表現は新約聖書に由来する。日常語として定着したのはそう昔ではなく、戦後のことという。

 「魚類や爬虫類(はちゅうるい)ではあるまいし、人間に、ましてや目に、ウロコがあってたまるものか」と、言語学者の田中克彦さんはこの表現になじめなかったらしい。

 皆が使い慣れ、聞き慣れた今、ウロコを詮索(せんさく)する人はいない。聞き慣れた言葉には注意せよと、田中さんは言う。〈ことばは考えるために役立つが、人々を考えなくさせるためにも役立つ〉と(岩波現代文庫『法廷にたつ言語』)

 思考を妨げる言葉の一例はスローガンだろう。民主党が圧勝した昨年衆院選の「政権交代」は分かりやすい反面、有権者が公約の中身を一つひとつ吟味するのを邪魔したうらみもなしとしない。参院選が公示された。勇ましいスローガンは消え、「消費税」「普天間」「政治とカネ」などを争点に、与党野党が政見の中身を競う。耳をすまし、考える、本来の国政選挙らしい選挙になりそうな気配である。

 日本には今、何が必要か。有権者の目から積年のウロコが落ちるような舌戦を待つ。

消費税選挙、民・自激突 7・11へ選挙戦スタート

2010年06月25日 | ニュース政治
消費税選挙、民・自激突 7・11へ選挙戦スタート

 参院選が公示された24日、各党党首は午前中の第一声に続き、各地で街頭演説などを行い、7月11日の投開票に向け17日間の選挙戦のスタートを切った。

 財政破綻回避のため消費税率引き上げが必要と訴えた菅直人首相(民主党代表)に対し、自民党の谷垣禎一総裁は現状では「ばらまきの財源になってしまう」と、民主党マニフェスト(政権公約)の撤回を要求。菅政権の行方を左右する「消費税選挙」の激突の構図が鮮明になった。

 首相は神戸市での街頭演説で「財政が破綻すれば、年金、雇用の大幅切り捨て、給料の大幅カットだ。財政破綻しないために話し合いを始めたい」と、税制改革の超党派協議を重ねて呼び掛けた。谷垣氏は長野県松本市で「マニフェストを撤回しなければ、とても一緒にはやれない。ばらまきはすぐにやめて、次の世代に責任を持つ」と強調した。

 たちあがれ日本を除く野党5党と、連立与党の国民新党の各党首も、首相の提案を拒否する姿勢を示した。

2010/06/24 2 共同通信