【時事(爺)放論】岳道茶房

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参院選いよいよ開戦!

2010年06月24日 | ニュース政治
参院選いよいよ開戦! 東京&大阪で自民“全滅"も

 第22回参院選が24日、公示された。438人が立候補し、7月11日投開票。民主党は菅直人首相(63)のもと、与党ないし単独での過半数を目指すが、改選1の1人区が民主・自民の2大政党による一騎打ちなら、改選2以上の複数区は第3極なども交えた大乱戦になっている。特に、東京(改選5)は24人、大阪(改選3)は10人が立候補するなか、自民全滅の可能性もささやかれている。

 菅首相は24日午前、大阪・ミナミの繁華街で第一声。白いワイシャツをまくり上げ「必ず経済を立て直し、日本を成長軌道に乗せる」などと力説した。都市部からスタートし、選挙戦に弾みをつける狙いだが、消費税増税が響いたのか約1000人の聴衆からの拍手はまばらだった。

 参院定数242のうち民主党の非改選議席は62。今回、60議席以上獲得すれば、単独過半数の122議席に達する。国民新党が非改選3、改選3の現有6議席を守るとすれば、54議席で与党過半数となる。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「60なら政権は盤石になり長期政権になる。50前後なら連立組み替えだろう。民主党は、脱小沢でV字回復した支持率は、期待値込みのバブルなうえ、今後は消費税増税で下がっていく。衆参で単独過半数を与え、民主党に好き勝手をさせていいのか、という有権者の心理とも戦わねばならない」と話す。

 まさに、菅政権の行方を占う一大決戦となっているが、中でも仁義なきバトルロイヤル状態となっているのが、新党日本を除く全9政党が公認候補を立てて5議席を奪い合う東京選挙区だ。

 民主党は現職の蓮舫行政刷新担当相(42)と小川敏夫氏(62)、自民党は現職の中川雅治氏(63)と新人の東海由紀子氏(42)の2人ずつを擁立。

 公明党は新人の竹谷とし子氏(40)、共産党は現職の小池晃氏(50)、みんなの党は新人の松田公太氏(41)、国民新党や社民党、たちあがれ日本、新党改革も候補を立てた。さらに、杉並区長を辞任した山田宏氏(52)が、日本創新党から出馬した。

 ある政府関係者は情勢をこう打ち明ける。

 「あるテレビ局が菅内閣発足直後に世論調査したところ、各氏のポイントは蓮舫43、中川13、松田9、小川7、小池5、竹谷4、山田1の順だったと聞く。小池氏はテレビ出演で知名度が高く、竹谷氏には固い組織があり、小川氏を逆転する可能性はある。蓮舫氏から小川氏への票の割り振りがカギだが、蓮舫陣営では浮動票で1人勝ちすることで当選ラインを下げ、組織の強い小川氏を援護する考えもあるようだ」

 その蓮舫氏は24日午前、サラリーマンの集まるJR新橋駅前のSL広場で、定番の襟が立ったスーツ姿で「税金の使われ方を国民に見える形で示していきたい」と第一声。周囲に「SHIWAKE2010」と書かれた深紅ののぼりを立て、事業仕分けを前面にアピールしていた。

 自民党は2番手に中川氏が食い込んでいるものの、2007年の参院選で、事前の調査で上位だった保坂三蔵氏(71)が落選し、丸川珠代氏(39)が当選するという苦い経験が影を落としている。今回は候補が乱立しているだけに、「票の割り方を間違えれば共倒れの可能性もある」(永田町有力筋)とみられているのだ。

 そのため、自民党都連幹部は「前回は途中で丸川氏にシフトして失敗した。今回は中川氏は絶対に落とせない。組織もきっちりと固め、必勝態勢だ。東海氏は一切やらないように締め付けている」と話し、“トラウマ”からの脱却に躍起となっている。

 一方、東京同様に大激戦となった大阪選挙区。大阪は01年から3回連続で民主、公明と自民が議席を分け合ってきた。しかし、もともと、自民の地盤が弱かったところに、民主が現職の尾立源幸氏(46)に続く2人目として、視聴率20%の人気テレビ番組「探偵!ナイトスクープ」(ABC系)への出演で知名度のあるタレントの岡部まり氏(50)を擁立したことで情勢は一変。

 公明党は新人の石川博崇氏(36)、みんなの党は元阪急百貨店部長の川平泰三氏(53)を擁立し、新党改革なども参戦するなど、大激戦になっているのだ。

 自民党現職の北川イッセイ氏(67)の陣営は「過去の実績はまったく通用しない。政党乱立の中で埋没しないようにしたい」と危機感アリアリだ。

 大阪では西川きよし氏や横山ノック氏を当選させた80万票ともいわれる“お笑い・タレント票”が自民を苦しめてきたが、今回も岡部氏に相当の浮動票が流れるのは確実。小沢一郎前幹事長(68)肝いりの候補で、宗教団体もついている。

 それだけに、民主党大阪府連関係者はこう強気の分析をする。

 「自民党の調査として出回っているデータでは、石川氏が鉄板で、府連が一本化している尾立氏が続く。岡部氏がおばちゃんウケがよくないため、北川氏と最後の1議席を争うというが、最後はお笑い・タレント票の威力がものを言うはず」

 岡部氏も24日午前、「深夜番組で21年間、毎週欠かさずみなさまの前に姿を見せたことを感謝しています。みなさんの暮らしのお役に立ちたい」と、菅首相とともに浮動票を意識した第一声を行った。

 さらに、自民・北川陣営にとって頭が痛いのは、橋下徹知事(40)が立ち上げた地域政党「大阪維新の会」に自民党籍を持つ府議らが加わり、組織の足並みが乱れていることだ。

 永田町有力筋は「橋下氏は昨年の総選挙でも民主党寄りを鮮明にしていた。今回も自民党ということはないだろう」と話しており、逆風になるのは間違いなさそうだ。

2010.06.24 ZAKZAK

ユニクロが社内公用語に「英語」

2010年06月24日 | ニュース一般
ユニクロが社内公用語に「英語」 会議や文書も基本的に

 カジュアル衣料店チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、2012年3月から社内の公用語を英語にする。国内外で、幹部による会議や文書は基本的に英語とする。同社は海外のユニクロ事業を中核事業に育てる方向で、それに対応した言語の共通化が必要と判断した。日本企業では、カルロス・ゴーン社長(56)率いる日産自動車や楽天などが英語を公用語にしているが、珍しい。

 24日付の毎日新聞によると、ファーストリテの柳井正会長兼社長(61)は、導入までに海外で業務できる最低限の水準として、国際英語能力テスト「TOEIC」で700点以上の取得を求めるという。

 ちなみに、TOEICでは「スコア730以上だと、通常会話を完全に理解でき、応答もはやいレベル」とされる。

 商社やメーカーなどの大手企業では、新卒採用にあたり、学生にTOEICで700点前後取得していることを条件にしているところもある。

 このほか、グローバル化を進めるにあたり、幹部社員の賃金体系も世界で統一し、店長クラスの海外異動を日常化させていく。

 新卒採用も外国人を増やし、11年度入社は600人の半数、12年度は1000人の3分の2、13年度は1500人の4分の3を外国人にする計画だ。同社は「国境を意識せず、世界中で活躍できるいい人材をとりたい」と意気込んでいる。

 柳井会長兼社長は今年4月、ユニクロについて「5年後に海外の事業規模が日本国内を超える」との見通しを示した。現状では国内ユニクロ事業が連結売上高の大半を占めるが、15年には海外ユニクロ事業が同社最大の事業になるよう育成する考えだ。

 ユニクロでは現在、大型店(標準店の2・5~5倍の規模)の開発を加速させているが、海外での大型店開発は「国内の6~7倍の出店余地がある」(大苫直樹ユニクロ取締役)という。

2010.06.24 ZAKZAK

オバマ大統領の支持率45%で最低

2010年06月24日 | ニュース政治
オバマ米大統領の支持率、就任以来最低の45%に

[ワシントン 23日 ロイター] 米ウォールストリート・ジャーナル/NBCニュースが23日公表した世論調査によると、オバマ米大統領の支持率が前月初旬から5ポイント低下し、就任以来最低の45%となった。 

 支持しないとの回答は48%で、支持するとの回答を初めて上回った。

 英BPの原油流出事故への対応などをめぐり、大統領の指導力に対する国民の信頼感低下を浮き彫りにする形となった。

 調査では、米国が間違った方向に進んでいると回答した人の割合が62%にのぼった。

 また大統領が「強力な指導力を発揮する資質」を備えているかとの項目では、備えていると回答した人の割合は49%で、就任当時の70%から大幅に低下。1月以降では8ポイント低下した。

 原油流出事故をめぐる大統領の対応については、回答者の半数が支持しないと回答。大統領の「危機対応能力」を評価すると回答した割合は40%で、1月から11ポイント低下した。

 米沖合いの油田掘削拡大を支持すると回答した割合は53%と、5月の60%から低下。また回答者の3分の2近くが石油会社に対する規制強化を求めており、今回の原油流出事故を受けて、米国民の沖合油田開発に対する姿勢にやや変化が生じていることが示された。

 調査は6月17─21日に1000人を対象に実施された。誤差はプラスマイナス3.1%ポイント。

2010年6月24日 トムソンロイター

運転中に携帯 違反数は過去最多

2010年06月24日 | ニュース一般
人込みでは、歩きながら携帯の画面を見ている人と接触するケースも多い=東京都千代田区

“ながら携帯”事故のもと ホームから転落死 運転中の摘発増加

 今や日本の人口の9割近くに普及している携帯電話。通話だけでなくメールやカメラ、財布機能まで付いた高機能の携帯が一般化する中、携帯をめぐる事故やトラブルも増えている。法律で禁止されている自動車運転中の使用など携帯の“ながら使用”も増えており、事故やトラブルの要因となっている。(道丸摩耶)

 5月18日、東京都中野区のJR東中野駅で、ホームにいた女性が入ってきた電車に衝突し、死亡する事故があった。警視庁によると、事故直前に女性が下を向いて携帯を操作しているのを複数の客が目撃していた。携帯の画面に夢中になるあまり、近づいてきた電車に気が付かなかった可能性が指摘されている。

 こうした携帯使用中の事故は珍しくない。昨年1月には、大阪市で遮断機をくぐって走り抜けようとした高校1年の女子生徒が電車にはねられ死亡。女子生徒は携帯電話で話し中、上り電車が通過したため線路に進入したところ、下り電車にはねられたという。

 昨年3月には、横浜市で携帯を操作しながらホームを歩いていた男性が転落。近づいてきた電車にはねられ死亡した。このように、携帯の使用により注意力が散漫になり、大事故につながる例は少なくない。

 鉄道各社によると、携帯使用中に限った転落事故件数の統計はない。ただ、「ホームの端を歩くなど危険な行為の防止や非常停止ボタンの啓発を目的に毎年キャンペーンを行っている」(JR東日本)など、ポスターや構内放送で注意を呼びかける。

 歩きながらの携帯使用は禁止されていないが、自動車や自転車を運転中、携帯を利用することは道路交通法で禁止されている。

 警察庁の統計によると、改正道交法で携帯の使用が禁止された平成16年以降、運転中の携帯電話使用の摘発件数は年々増加。取り締まりが始まったのが11月だったため、16年の違反件数は3万4700件にとどまったが、翌年は52万2625件と激増。その後も増え続け、21年には過去最多の125万1771件が摘発された。これは駐停車違反や酒気帯び運転などの件数をはるかに上回り、違反取り締まりの中でスピード違反に次ぐ件数だ。

 自転車運転中の携帯の使用も危険だ。警視庁によると、都内での携帯操作中の自転車の事故は、昨年1年間に39件発生。昨年7月からは道交法で自転車での携帯使用が禁止されたが、今年5月末までに既に7件が摘発されている。

 さらに、公衆の場での携帯使用は意外なトラブルに発展することもある。

 今月14日、東京都新宿区の西武新宿線車内で、携帯を操作していた男性と注意した男が口論に発展。男性は降りた駅で男に殴られ、ホームに入ってきた電車と衝突し、重傷を負った。

 首都圏の電車では一部エリアを除き携帯の操作は禁止されていないものの、携帯を使用する際には周囲へ配慮することも大切だ。

 ■ホームドア設置進む

 乗客の転落事故を防ごうと、鉄道各社の取り組みも進んでいる。

 酔客の転落や接触などの事故が平成20年度に15件起きた東京メトロでは、丸ノ内線、南北線、副都心線の全駅にホームドアを設置。設置駅では転落事故は起きていない。こうしたドアは神戸新交通ポートアイランド線や東京急行目黒線などでも導入されており、JR東日本も来年度、山手線で導入する予定だ。また、小田急電鉄や阪神電鉄などは、カーブのきつい駅で電車とホームの間に乗客が転落した場合にそなえ、検知マットの敷設なども進めている。

2010年6月24日 産経新聞

話題の映画『ザ・コーヴ』を見た

2010年06月24日 | 新聞案内人
話題の映画『ザ・コーヴ』を見た

 和歌山県太地町でのイルカ漁を題材にした映画『ザ・コーヴ』(ルイ・シホヨス監督)が、社会面のニュースとなり、社説やコラムでも取り上げられている。

 <イルカ漁撮った米映画『ザ・コーヴ』上映予定の1館抗議予告で中止>と、朝日社会面で報じられたのが6月4日。翌日には「26日からの封切りを決めていた東京都内の映画館2館のうち1館が、上映中止を決めたことが分かった。『反日的』と糾弾する保守系団体が4日以降、上映館に抗議活動することを告知しており、『近隣への迷惑』を考えて自粛したという」と続報。6月22日の新聞によると、どうやら上映にこぎつけるようだ。

○上映中止の動きに

 さる18日に日本記者クラブで行われた試写会では、配給会社アンプラグドの加藤武史代表が上映を前に「会社や自宅に5回の街宣活動があった」と状況を説明した。こうした経緯に「言論表現の自由は、発表の場が確保されてこそ成立する」と、映画監督やジャーナリストらが上映中止に反対を表明、日本ペンクラブや日本弁護士連合会なども続いた。朝日は社説でも「言論や表現の自由にとって、深刻な事態がまた起こった」と憂えた。「同じような事態は一昨年、中国人監督によるドキュメンタリー映画『靖国』をめぐっても生まれ、上映中止が相次いだ」ことを受けての憂慮と読める。

 社説は一方で「太地町のイルカ漁は長い伝統がある。もちろん合法だ。地元出身でなくとも、作品に抵抗を感じる日本人は少なくないかも知れない」とも記し、「なぜアカデミー賞を受けるほど評価されたのか」と続けている。

 作品の公式サイトでも、当然<第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞>を特筆している。「なぜアカデミー賞…」という朝日社説の書き方は、アカデミー賞に選ばれた理由を問うているとも、その選択に疑義を呈しているとも取れる。

 アカデミー賞の是非はさておき、作り方に疑問は生じる。撮影行動をmissionと称し、チーム編成を、大晦日のラスベガス襲撃を描いた娯楽作『オーシャン11』になぞらえる。画面には<大きな秘密を隠す小さな町>といわくありげな文字で目を引き、「大嫌いな町だ。出来ることなら私を殺すだろう」「漁師は悪事(bad behavior)でもうける」「漁師なのかやくざ(Japanese Mafia)なのか」「組織的な報道管制、マスコミのもみ消し」と“主役”のリック・オバリーが口走り、その言葉で行動を正当化しているような印象だ。

 イルカを主役に日本でも人気のあった、かつてのアメリカのテレビ番組「わんぱくフリッパー」の調教師兼俳優で名を馳せたのがリックだ。やがてイルカ保護運動に傾く。贖罪意識が動機のようだが、太地とは無関係のフィルム挿入は、描写がすべて太地の事実と、観客に混同させかねない。フィルム編集は映画の生命線であり、またマジックでもある。

○なぜアカデミー賞

 では、なぜアカデミー賞なのか。第82回の他のノミネート作品は、ミャンマーの軍事政権に反対するデモの実録『ビルマVJ』、アメリカの食肉・野菜産業が健康被害や環境汚染に及ぼす影響を描いた『Food Inc』、ベトナム戦争に関する米国務総省の秘密文書の内容をニューヨークタイムズなどに流した軍事アナリスト、ダニエル・エルズバーグを描いた『The Most Dangerous Man in America:Daniel Ellsberg and the Pentagon Papers』、アメリカを目指して国境を接するメキシコをさまよう中南米の子どもたちが登場する『Which Way Home』と、いずれも社会性の濃い作品が並び、興味をそそられる。アメリカの恥部を描いた作品より、わかりやすく、イルカが可哀そうという観客の情緒に訴えやすく、エンターティンメント性に富む『ザ・コーヴ』の方が、無難な選択だったのだろうか。

 1928年に始まったアカデミー賞に、ドキュメンタリー作品が加えられたのは42年の第15回から。世界は第二次大戦に突入した直後だけに、受賞した4作品はいずれも戦意高揚を主題にしている。例えば『ミッドウェイの戦い=The Battle of Midway』(18分)は製作、監督、撮影、編集を、35年に『男の敵』で、40年には『怒りの葡萄』で、翌年にも『わが谷は緑なりき』でアカデミー監督賞を連続受賞した“ハリウッドのエース”ジョン・フォードが手がけ、ヘンリー・フォンダがナレーションに加わっている。

○プロパガンダ?

 『戦争への序曲=Prelude to War』(53分)は、やはり『オペラハット』『我が家の楽園』と監督賞の常連フランク・キャプラが演出した。また45年にノミネートされた『最後の爆弾=The Last Bomb』(35分)は、サイパン、グアム、テニアンから日本爆撃に向かったB-29機の行動を描いている。こうした作品はドキュメンタリーではあるが、英・豪・加・印・米が製作した≪世界大戦プロパガンダ映画≫のリストにも掲載されている。

 ドキュメンタリーとはいえ、意図を持って撮影したフィルムに、ナレーションや効果音をかぶせることで、ある種の覚醒作用さえもたらす。映画はプロパガンダに調法なメディアでもある。戦時中の映画館での記憶をたぐっても、それは明らかだ。ドキュメンタリーはすべて真実と考えるのは、幻想に過ぎない。ドキュメンタリーに限らず、大戦中のアカデミー賞は、ドラマ部門でも同じ傾向がみられ、時代の空気を反映するのも映画だ。

 大戦後はドキュメンタリーの題材や内容も変わり、いま日本で初公開されている『Hearts and Minds=ベトナム戦争の真実』(第47回アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー映画賞)、『Winter Soldier=ベトナム帰還兵の告白』(72)の様に、戦争の悲惨な実相を描くようになった。第26回受賞のディズニーによる「砂漠は生きている」(53)は、自然界を描いて興行的にも成功したが、見せる演出が散見された。昨年の受賞作「マン・オン・ワイヤー」のように、綱渡りを描いてエンターティンメントとして優れた作品もある。

 いったいドキュメンタリー映画とは何かとの疑問も生じる。このジャンルの始祖は、ポリネシアの伝統的な暮らしを描いた85分の『Moana』(1926)とされる。ドキュメンタリーというジャンルの中にも、いわゆるネイチャーものから旅行記や音楽会の収録、ファッション系、政治色の強いものなど多岐にわたっている。アメリカではドキュメンタリー・タッチのドラマ=Docudrama、例えばテレビ・ジャーナリズムの世界を舞台にしたジョージ・クルーニー監督の『グッドナイト&グッドラック』のように、綿密な調査に基づいて、ドキュメンタリーを上回る迫真性に満ちた作品もある。東京で上映中の仏作品『パリ20区、僕たちのクラス』もそうだ。さらにDocufictionといったジャンルまで派生している。

 何はともあれ、映画ファンとしては、いかなる内容の作品であろうと、自分の目で確かめなければ、良し悪しは論じられない。

2010年06月24日 新聞案内人
西島 雄造 ジャーナリスト、元読売新聞芸能部長

名古屋場所は…一応の「御免札」

2010年06月24日 | ニュース一般
開催できる?名古屋場所興行知らせる「御免札」

 野球賭博問題で開催が危ぶまれている大相撲名古屋場所(7月11日初日)を前に、23日午前、相撲興行を知らせる「 御免札 ( ごめんふだ ) 」(縦1メートル90、横35センチ)が、会場の愛知県体育館がある名古屋市中区の名古屋城東門に立てられた。

 御免札の設置は毎年恒例の行事で、江戸時代の勧進相撲の名残。力士より先に名古屋入りした同場所担当部長の二所ノ関親方(元関脇金剛)ら5人の親方が作業を見守った。二所ノ関親方は報道陣に対し、「相撲ファンにご迷惑をおかけしておわび申し上げます」と話した後、中止の可能性があることについては、「複雑な心境。もっと晴れやかな気持ちでこの日を迎えたかった」と語った。

 二所ノ関親方によると、場所中は入り口で暴力団関係者がいないかを監視するほか、審判の交代時などに暴力団排除を呼びかける場内放送をする予定という。

2010年6月23日 読売新聞

論戦に耳を澄まして 参院選きょう公示

2010年06月24日 | 社説
論戦に耳を澄まして 参院選きょう公示

 参議院選挙がきょう公示される。消費税、普天間問題など争点は多岐にわたるが、民主党政権の行方を決める重要な選挙だ。論戦に耳を澄ましたい。

 今回の参院選は、昨年の政権交代後、初の国政選挙であり、約九カ月間の民主党政権に対する中間評価を問う選挙だ。

 選挙結果は、菅直人首相の政権運営に大きな影響を与える。

 与党が過半数を維持すれば、政権基盤は安定し、菅内閣は本格政権になる。逆に、過半数に達しなければ、参院で少数与党状態が再び起き、連立の組み替えや政界再編に向けた胎動が起きるだろう。

 唐突な増税争点化
 最大の争点は「消費税」になりそうな流れではある。

 消費税がにわかに争点に浮上したのは、民主党が参院選マニフェストに「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始する」と書き込み、首相が「自民党が提案する10%を一つの参考にする」と述べたためだ。

 鳩山由紀夫前首相が任期中の消費税率引き上げを否定していたため、菅氏への首相交代で、民主党政権が税率引き上げに一気に前のめりとなった印象を受ける。

 「消費税」は歴代政権の命運を決定付けてきた政治的難題だ。

 消費税を導入した竹下登首相は早期退陣を余儀なくされ、税率を3%から5%に引き上げた時の橋本龍太郎首相は参院選に敗北して退陣した。

 財務相を務め、ギリシャの財政危機を目の当たりにした菅首相が財政再建や持続的な社会保障制度のために税率引き上げに挑む意気込みは理解できなくもない。

 しかし、民主、自民の二大政党が消費税を含む税制改革で足並みをそろえ、引き上げを前提にして選挙戦が進むことには、率直に言って違和感を禁じ得ない。

 税率を上げる前に
 広く課税する消費税の引き上げは、最後の手段であるべきだ。

 行政の無駄を徹底的に削ることが先決であり、それをやり遂げる前に消費税論議が本格化すれば、無駄を削る手綱が緩みかねないし税率引き上げに対する国民の理解も到底得られるとは思えない。

 そもそも、デフレ下の消費増税は、景気をさらに冷え込ませる最悪のシナリオである。それは5%への引き上げで実証済みだ。

 「逆立ちしても鼻血も出ないほど無駄を削ってから」と語っていたのは菅首相自身であり、それ故に、唐突な消費税論議に戸惑った有権者も多かったろう。

 発足当初60%を超えていた菅内閣支持率が、首相が「消費税率10%」に言及した途端、急落したことに、それが表れている。

 税制論議を封じるべきではないが、まずはデフレ脱却と、行政の無駄をどう削るのかという議論を各党間で徹底的に行うべきだ。

 さらに、どのような社会保障の未来像を描くのか、公務員の数や給与水準、国と地方の関係をどう変えるのか、どこまでを国がやり、何を民間に任せるのかなど「国のかたち」についての議論も盛り上げなければならない。

 さもなければ、必要な国家予算額を計算できず、消費税論議のスタート台にすら立てないからだ。各党の論戦に期待したい。

 もう一つ忘れてならないのが、鳩山前首相の退陣理由の一つになった米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還問題だ。

 きのう就任後初めて沖縄県を訪問した首相は、沖縄全戦没者追悼式でのあいさつで「米軍基地が集中し、大きな負担をお願いしていることに全国民を代表しておわびする」と述べた。

 在日米軍基地の約75%が集中する沖縄県民の苦悩に寄り添う姿勢は評価するが、問われるのは基地負担を実際に取り除く実行力だ。

 首相は普天間問題について、名護市辺野古に県内移設する日米合意を踏襲する方針を明言する一方で、沖縄県民の負担をどう軽減するかは明らかにしていない。

 首相は二十七日にオバマ米大統領と初の首脳会談を行う。日米安全保障条約改定五十年の節目に、県内移設では沖縄県民の過重な基地負担を抜本的には取り除けないと提起してはどうか。

 各党間でも在日米軍基地のあるべき姿を活発に議論してほしい。

 一票に思い込めて
 昨年の衆院選で、有権者は歴史的な政権交代を選択した。参院選は、その選択を検証する機会だ。

 政権交代をよかったと思う人、期待を裏切られたと思う人、「政治とカネ」の問題に嫌気がさした人…。参院選に臨む有権者の思いはさまざまだろうが、肝心なことは「政治をあきらめない」ことだ。

 各党、候補者の論戦に耳を傾け、公約を読み比べ、自らの思いを投票にぶつけてみてはどうだろう。一票の積み重ねが、この国の将来を決める。そう固く信じて。

2010年6月24日 中日新聞 社説

6/24中日春秋

2010年06月24日 | コラム
6/24中日春秋

 為政者にとって、新たな税金をかけたり、税金を上げたりするのは、冒険である。

 ローマ皇帝ウェスパシアヌスは、公衆便所にまで税金をかけたと伝えられる。人々の恨みはそうまで深いということか。今なお「男子用公衆便所」を指すイタリア語(ヴェスパジアーノ)やフランス語(ヴェスパジエンヌ)に、その名が遺(のこ)る。

 そういう意味では菅首相の“勇気”は評価すべきかもしれぬ。「消費税10%」を公約に明記した自民党に乗る形とはいえ、今日から始まる参院選を前に「10%」案を自ら口にした。

 ただ、いわゆる二大政党がともに消費増税の方向では、反対の有権者は「どちらに入れても賛成票になるのか」と戸惑っていよう。だから、どんな選挙結果でも、それは増税に向けたお墨付きにはならない。

 それに、いきなり「10%」はいかにも乱暴。ことは暮らしを直撃する血税の話だ。民主党はムダ遣いをなくせば巨額の財源になると言っていたはず。それが無理だというなら、まず「私たちが甘かった」と総括すべきで、その上で、増税以外道がないという理由を縷々(るる)、国民に説明していくのが筋である。

 <金にはにおいがない>とは、公衆便所への課税を下品だと批判した息子にウェスパシアヌスが言った言葉から出た成句。そんなことはない。税金に人々の血と汗のにおいをかぎとれないで、何の為政者だろう。

20代からのライフプランニング①

2010年06月24日 | 情報一般
20代からのライフプランニング
第1回 『30代ですが貯蓄がほとんどありません。大丈夫でしょうか?』

■貯蓄がたまらない人の行動パターンとは?

 こんにちは、マネーコンフォートの垣畑光哉です。今回から6回にわたって、若手ビジネスパーソン向けにライフプランの記事をお届けします。私が経営する会社は金融・保険情報に特化したマーケティングを行っています。その業務の一環で私はファイナンシャルプランナーとして、お客様の相談をよくお受けしています。タイトルにしたコメントも実際にお客様から相談された内容と同じです。実際にお客様が悩んだり、迷ったりするポイントをこれから分かりやすく解説していきたいと思います。

 タイトルに戻ると、なるほど…「大丈夫でしょうか?」という気持ち、私にもよくわかります。何を隠そう、私も30歳過ぎた頃までは同じような状況だったからです。好きなことをしながら、収入の範囲内で一応お金は回せているけれど、蓄えは少ないので、ある時ふと不安になる。そんな状況ですよね。 こういう相談者の場合、得てして人並み以上の収入を得ている人が多いもの。私も同世代と比べて収入が多いほうだったのになぜかお金が貯まりませんでした。日々をエンジョイしながらも、常に漠然とした不安がありました。

 当時の私は自分にこんな言い訳をしていました。「宵越しの金は持たないのが粋」「借金は信用のバロメーター」「金は天下の回りもの」等々…江戸っ子でもないのに笑ってしまいますが、あなたにも似たような“お金に関する間違った信念”はありませんか?

 この“お金に関する間違った信念”を生み出す行動パターンを、私の自戒の念も込めて3つ、挙げてみます。

(1)見栄っ張り
お金の貯まらない人の典型的パターンがこれです。私も今にして思えば、分不相応のクルマに乗ったり、流行りモノのスーツを買ったり、お洒落な飲食店に通ったり、なごりバブルの頃とはいえ、ずいぶんと見栄を張っていたものだと思います。

(2)比較しない
お金が貯まらないきっぷのいい人は比較をしたりしません。しかもたちが悪いことに、家電製品や日用品は幾つものお店で最安値のものを探すくせに、家や生命保険といった高額商品に限って、出会い頭に購入してしまう…。心当たりはありませんか?

(3)目先を追う
「今の賃貸マンションの家賃が毎月12万円、それだったら毎月同額程度のローン返済で持ち家が買えてしまう…」

 これもとても多い間違い。賃貸と持ち家の是非をここで論じるつもりはありませんが、住宅ローンは高額の借金であるという意識がなさ過ぎます。

 さぁ、あなたにも当てはまるNGパターンはなかったですか?

■生活費を固定しないとお金は貯まらない

 現状をご理解いただいたところで、ではどうしたらお金が貯まるのかを考えてみましょう。

貯蓄=収入-支出+運用

 お金を貯める方法は原理原則からすれば、以下の3つしかありません。

(1)収入を増やす
(2)支出を減らす
(3)金利や運用益で増やす

 当たり前過ぎる話ですが、漠然とした不安からその現実に目をそらしてはいませんか?

 現実から目をそらすという意味でも、「(3)金利や運用益で増やす」から始めるのはオススメしません。

 例えば、今流行りの“私はFXで1億稼いだ”みたいなお話。もちろん投資自体は結構なのですが、「お金を貯める」という目的からすると順序が違うのです。

 最初に手を付けるべきなのは「(2)支出を減らす」こと。でもこれは決してケチケチしようという意味ではありません。言い換えれば「賢くお金を使う」ということ。見栄を張ったり、目先のことだけを考えたりせず、お金の使い方を意識してほしいのです。

 例えば、貯金が苦手な人は「貯蓄=収入-生活費」と考えるといいます。お給料が余ったら貯金しよう…という感覚です。これを「生活費=収入-毎月の貯蓄」というように発想するのが貯金上手な人。これが俗に言う“やりくり”です。

 生活費をフレキシブルにしている間は、絶対にお金は貯まりません。たとえ臨時収入があっても、年収が増えても、生活費を変えずにプレーンなライフスタイルを貫くことで、お金が貯まるのはもちろんのこと、心まで豊かになれることを私は経験してきました。

 というのも、お金にも心にも余裕が生まれることで、不測の事態が起きても対処できる自信が生まれ、見栄のためにドキドキしながら大金をはたくこともなくなり、何よりも自分自身の人生をコントロールできている感覚を身に付けることができるのですから…。

■億万長者講座を今日作ろう

 ここで一つ、『幸せな小金持ちへの8つのステップ』等で有名な本田健さんの提案をご紹介します。ズバリ…“「億万長者口座」を今日つくろう”。億万長者口座とは、死ぬまでお金を引き出さない口座のこと。真の資産家はこういった口座を幾つも持っているとか。

 死ぬまで…は大袈裟にしても、絶対引き出さないと覚悟した口座を持つのは豊かさを手に入れる第一歩。無理をせず、毎月少額でも一定の額を決めて自動引き落としにし、臨時収入があれば追加入金します。「(3)金利や運用益で増やす」は長期で考えるべきなのです。

 ちなみに、こうした数十年単位の積み立てには、終身保険や年金保険といった生命保険がとても有効です。保険は預金と比べて安易な短期解約はしにくいので、金融機関である保険会社も長期的視野で資産運用が可能。そのお陰で安定した利回りが期待できるのです。

 さて、最後に「(1)収入を増やす」について。今の世の中、社会全体の右肩上がり成長は期待できません。となれば、収入を増やすには年功序列にぶら下がるのではなく、自分という資産に投資して、付加価値を向上させることでステップアップしていくほかありません。

 私は外資系生保で保険に関するマーケティングを10年間学ばせてもらい、33歳で独立しました。その時は清水の舞台から飛び降りるような思いでした。

 経済的にも、精神的にも、浮き沈みが激しい起業独立の道を特にお薦めするつもりはありません。ただ、人生には、そしてお金を稼ぐには、今は昔以上に様々な選択肢があるということを念頭におき、現在の環境に縛られるような考え方だけはしないで欲しいのです。

 生き方もお金の貯め方も人それぞれです。日々に流され、漠然とした不安に苛まれることなく、自分の人生は自分でコントロールして生きたいものですね。

2010年6月22日 日経BP
垣畑 光哉(かきはた・みつや)
マネーコンフォート株式会社代表。日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定CFP。
1965年生まれ。1989年立教大学法学部卒業後、外資系保険会社アリコジャパン入社。保険の通販や大手百貨店での店頭販売等、多様な保険マーケティングを経験。1999年「保険の売られ方を変えたい」と一念発起して保険代理店として独立。CFPを取得し、保険を中心としたコンサルティングを行う中で保険業界へのマーケティングの必要性を痛感し《保険業界特化型マーケティング会社》を起業。現在はセールスから離れた中立的な立場で、保険に悩むユーザーと全国の優良代理店を結ぶ保険相談サイト『キューイング』を運営、同サイトの編集長として情報発信を行う。

所得税論議 最高税率引き上げは問題多い

2010年06月24日 | 社説
所得税論議 最高税率引き上げは問題多い

 政府税制調査会の専門家委員会が論点整理の形で、税制改革の方向性を打ち出した。

 危機的な財政事情を念頭に、社会保障の安定財源として消費税の重要性を強調している。極めて妥当な指摘だ。

 反面、所得税改革に関し、所得が増えるほど税率が高くなる累進構造の強化に力点を置いているのは問題だ。

 菅首相が言及する将来の消費税率引き上げでは、一般国民の負担が増すため、高所得層への所得課税強化で、一定の理解を得ようとする狙いが読み取れる。

 確かに消費税には、低所得層ほど税負担が相対的に高まる「逆進性」が指摘されている。

 だからと言って、累進税率の強化につなげて考えるのは筋違いだ。消費税の逆進性の解消は、生活必需品への軽減税率導入などで対応すべき問題である。

 所得税は、2009年度の税収が27年ぶりに13兆円を割り込み、ピーク時のほぼ半分になる。

 国民所得と対比した日本の個人所得課税の負担率は7%にとどまる。10%以上の欧米を下回り、基幹税としての役割が低下しているのは事実である。

 しかし、累進構造を強めたとしても、負担する高所得層の数は限られるため、国の税収全体から見て、増収分はわずかなものだ。

 所得税と住民税を合わせた個人所得課税の最高税率は、1980年代には88%に達していた。

 「こんなに税金が高いと働く意欲がなくなる」。そんな声に押されて、米国や英国の税制改革に歩調を合わせるように日本でも最高税率が引き下げられた。

 現在は50%だが、それでも米ニューヨーク市の47・6%、フランスの48%などを上回っている。

 むしろ、今考えるべきは、課税最低限の引き下げだ。日本の課税最低限は標準世帯で年収約325万円である。国際水準に比べてかなり高く、それだけ多くの人が税金を納めていないことになる。

 各種の控除を縮小すれば最低限が下がり、より幅広い層に税負担を求めることになるが、国民が広く薄く負担するという税の原点からみてやむを得まい。

 専門家委員会は、累進構造を強化する理由として、税の所得再分配機能が衰え格差の拡大を招いたこともあげている。

 だが、行き過ぎた累進強化は大衆迎合路線そのものだ。所得再分配を考えるなら、年金や医療、介護といった社会保障政策の充実が先決である。

2010年6月24日 読売新聞 社説

6/24産経抄

2010年06月24日 | コラム
6/24産経抄

 広島県のマツダ本社工場内に乗用車で侵入して、11人を次々にはねた引寺利明容疑者(42)は、今年4月に2週間足らず勤めただけでマツダを退職したばかりだった。警察の取り調べに対して「会社への恨み」や「秋葉原事件」に言及しているという。

 東京・秋葉原の歩行者天国で2年前、無差別殺傷事件を起こした加藤智大被告も、自動車メーカーの派遣社員だった。来月にも始まるとみられる被告人質問で、加藤被告が動機について何を語るのか注目されている。

 どちらも、犯人とまったくかかわりのない人たちの命が奪われた、理不尽としかいいようがない事件だ。「皆様から奪った命、人生、幸せの重さを感じながら刑を受けようと思っています」。加藤被告が昨秋、被害者に送った手紙をこう結んでいる。

 暴走する車にはねられて死亡した浜田博志さん(39)は、奥さんと生後10カ月の娘さんの3人家族だそうだ。引寺容疑者は、自らが奪った「幸せの重さ」をほんの少しでも感じているのだろうか。「幸せ」といえば、昔は「仕合わせ」と書く人が多かった。

 「幸せ」は、個人でつかむというイメージが強い。一方の「仕合わせ」は、だれかと「し合わせる」ことによって、得られるものだ。歴史家の高木傭太郎さんによれば、日本では1960年代から、「個人的消費の拡大と受験戦争により、『幸せ』が個人化して社会的連帯と分離し始めた」という(『生き方のかたち』かもがわ出版)。

 「勝ち組」「負け組」という言葉が、堂々と語られるようになってからは、他人の「幸せ」を妬(ねた)む風潮がますます強まっているような気がする。道理に合わない悲惨な事件を根絶するためには、人々が「し合わせる」力を取り戻すしかない。

祖父母向け講座人気 「孫育て」高まる関心

2010年06月24日 | ニュース一般
祖父母向け講座人気 「孫育て」高まる関心

 祖父母の力を子育てに活用しようと、今と昔の子育ての違いなどを祖父母世代に伝える講座が各地で開かれている。子育てにかかわる祖父の資格講座のほか、育児のノウハウをまとめたガイドブックなども完売するほどの人気だ。孫育てへの関心は着実に高まっている。(森本昌彦)

 ◆今と昔の違い説明

 「昔は生後2カ月ぐらいから果汁を飲ませていましたが、今は離乳食は5カ月の半ばから始めることになっています」。東京都台東区の日本助産師会館の一室に講師の助産師の声が響いた。

 社団法人日本助産師会(台東区)が月に1回開いている「楽しい子育て・孫育て講座」の一幕だ。子育てに祖父母の力を生かしてもらおうと、平成19年1月から行われている。

 専務理事の岡本喜代子さんは「昔と今のギャップを知っておけば戸惑いが減り、父母、祖父母の双方にメリットがあります」と話す。講座では、今と昔の子育て事情の違いや祖父母の役割などを学べるようになっている。

 この日は、母乳育児や離乳食、タッチケア、絵本の選び方などについて助産師らがアドバイス。受講者の中には年配女性の姿もちらほら見られる。義娘と一緒に受講した60代の女性は「初めておばあちゃんになるので、昔と今の子育ての違いを学びたかった。ほかの参加者の方の話も聞くことができてよかった」と話す。

 孫育てへの関心が高まっていることで受講者も増えているといい、同会は全国の支部でも同様の講座を広げていく予定だ。

 ◆「ソフリエ」講座も

 1人で子育てができる祖父を「ソフリエ」と名付け、資格認定講座の開催を自治体に提唱しているのはNPO法人エガリテ大手前(杉並区)。北九州市が今年2月に開催した「男2代の子育て講座」は、定員15人に対し30人が参加する盛況ぶりだった。

 抱っこや寝かしつけ、沐浴(もくよく)など実技も交えた講座。「基本編」「日常編」などの4単位をすべて履修しなければ認定されない仕組みだ。

 エガリテ大手前の代表、古久保俊嗣さんは「ソフリエを増やすことによって、親と子、孫の3世代の絆(きずな)を強めたい」と話す。孫育てでは過去に子育て経験のある祖母に負担がかかりやすいため、ソフリエ講座で男性を孫育てに引き込むことを目指しているという。

 孫育てについてまとめたガイドブックも人気だ。日本助産師会が3月に約7千部発行した「おまごBOOK」は数カ月で在庫切れ。エガリテ大手前の「ソフリエハンドブック」も完売しており、孫育てへの関心の高さがうかがえる。

 ■祖父母からの相談 増加

 電話による無料育児相談を行っている「森永乳業 エンゼル110番」でも近年、祖父母からの相談が目立っている。寄せられた相談のうち、祖父母からは平成15年は0・9%だったが、20年には2・1%と増加している。

 21年1月~6月までに寄せられた相談の内容を分析したところ、発育・発達についてが3・4%、情緒については6・5%だった。祖父母からの相談にかぎると、発育・発達が13・8%、情緒が10・1%となり、全体と比べてこの2項目に祖父母の関心が集まっている傾向がうかがえる。

2010年6月23日 産経新聞

参院選公示 一層の劣化許さぬ選択を

2010年06月24日 | 社説
参院選公示 一層の劣化許さぬ選択を 民主の「現実路線」を見極めよ

 日本の劣化をこのまま放置するのか、それとも食い止めることができるのか。民主党が政権を獲得したあと、初の本格的な国政選挙として公示される第22回参院選の最大のポイントである。

 劣化をもたらしているのは、鳩山由紀夫前政権下で繰り返された数々の迷走と失政にとどまらない。民主党がマニフェスト上に並べてきた子ども手当や農家への戸別所得補償などに象徴される、利益誘導や選挙至上主義の色彩が濃い政策なのである。

 前政権を引き継いだ菅直人首相は、消費税を争点化するなどしているものの、東アジア共同体構想や地球温暖化対策の温室効果ガス25%削減目標など、鳩山前首相が重視した基本路線を継承する考えも鮮明にしている。これらで国益を守ることができるのか。

 ≪依存心招くばらまき≫

 実体が不明な東アジア共同体構想に幻惑されたため、鳩山前首相は胡錦濤国家主席との会談で中国海軍による海上自衛隊への軍事威嚇に触れることができなかったのではないか。25%削減目標も企業に負担増を強いて海外脱出を促すことになっていないか。

 日米同盟を空洞化し、日本の企業の活力を生かさないことが、この国を劣化させていることを認識しなければならない。

 菅政権がうたう「現実路線」への転換が本物かどうか。さらなる劣化を起こさない政治の枠組みはどうあるべきか。有権者の見極めに日本の未来がかかっている。

 懸念するのは、財源の裏付けなく、ばらまき政策を実施しようとする政権与党の無責任さだ。参院選向け公約では、子ども手当の満額実施を見送るなどの修正を加えたが、基本的な考えは変わっていない。こうした政策の多用は、国民の政府に頼ろうとする依存心を強め、自立心を損なっている。政府と国民の関係だけでなく、国のあり方も変質させかねない。

 前政権以来、もっとも注目を集めたともいえる事業仕分けが、将来を見据えた国家戦略に基づくものでなかったことは、小惑星探査機「はやぶさ」帰還と、それをめぐる政府の対応が示している。

 後継機となる「はやぶさ2」の平成22年度開発予算は、概算要求時点の約17億円から政権交代時の歳出見直しと事業仕分けを経て3千万円に縮減された。仕分けにあたった蓮舫行政刷新担当相は、今になって仕分けを再検討する可能性に言及しているが、科学技術における国際競争力強化への関心のレベルを物語っている。

 ≪自民は存在感足りぬ≫

 争点として避けられてきた消費税引き上げを、首相があえて打ち出したこと自体は政策論争を深めており、評価したいが、消費税の使途や10%という税率の根拠などを明確に示すべきだ。社会保障を負のイメージではなく、成長分野に位置付けるのであれば、産業化の具体的姿を示す必要がある。

 民主党政権がムダの排除を掲げ、消費税増税を否定する公約を反故(ほご)にしたことの説明も不十分だ。民主党は国家公務員の総人件費2割削減を掲げたが、積極的な取り組みは見られなかった。国会議員の定数削減も、衆院選で掲げた衆院比例代表80の削減は未着手だ。新たに参院で「40程度」削減する方針を示したが、本気度はわからない。

 いくら財政の危機的状況を訴えても、「わが身を切る」姿を政府や政治家が実践してみせなければ、負担を求められる有権者の心に届かない。消費税論議と同時に定数削減についても与野党で合意しておくことが必要だ。

 沖縄全戦没者追悼式に出席した首相は「沖縄のみなさんと真摯(しんし)に話をしていきたい」と米軍基地が集中する負担の軽減に努める考えを示す一方、「日本の安全だけでなく、東アジアの状況の中で前政権が合意したことをきちんと引き継ぐ」と語った。日米合意に基づき、8月末までに普天間飛行場の移設先の位置や工法を決定する考えを示したものなら妥当だ。

 米側には、参院選や9月の代表選などの政治日程を抱える民主党政権が、日米合意を完全履行できるのか懐疑的な見方もある。再び同盟空洞化を招くことのない外交姿勢が問われている。

 自民党は野党として臨む党再生をかけた選挙で、与党過半数を阻止し、現政権継続に歯止めをかけるとしている。だが、その重要性について国民への訴えかけは不十分だ。民主党政治の問題点をさらに具体的に突き、受け皿としての存在感を示す必要がある。

2010.6.24 産経新聞 主張

6/24余禄

2010年06月24日 | コラム
6/24余禄「参院選きょう公示」

 「カセッリウスを造営委員としてぶどう収穫業者は推薦する」。これはベズビオ山噴火で壊滅したポンペイの壁に書かれた選挙広告である。「漁民よ ××を造営委員にしなさい」「○○を二人委員としてニンニク商人は推薦する」などなどだ。

 推薦者は職人や商人の同業組合だけでない。宗教集団やチェス愛好者、役者のファンクラブもある。なかには深夜飲酒族や朝寝坊族、はては「こそ泥仲間」の推薦もあるが、さすがに冗談か、候補者へのいやがらせだろう。

 女性は選挙権がなかったのに、居酒屋のマダムらが書いた推薦も残っている。本村凌二さんの「古代ポンペイの日常生活」(講談社学術文庫)の受け売りだが、女性の主張もふくめ壁面の選挙広告は実に2800を超える。

 2000年の時を超えて伝わる個人と団体入り乱れての選挙運動の熱気だが、さてきょうからの参院選ではわが深夜飲酒族や朝寝坊族はどんな選択をするのだろう。政権交代を経て、従来の参院選とは業界団体の政党支援の地図も様変わりするなかで迎えた選挙戦だ。

 「この人は公庫を守るだろう」とはポンペイの選挙広告での候補者の売り込み文句だ。公職につく人の責務の第一が財政の適正な管理なのは今も変わらない。この参院選も、民主、自民の2大政党や第三極をめざす各党による消費税論議の行方が最大の焦点となった。

 ポンペイ人が選挙広告で公人に期待したのは「慎み深い」「礼節」といった徳目だが、こちらは今日の政治家選びにはあまり役立ちそうにない。だがせめて「恥をわきまえた人」という選択基準ぐらいは、古代人にあやかった方がいい。

財源不足21兆円に 財政戦略

2010年06月24日 | ニュース政治
財源不足21兆円に 財政戦略、閣議決定 消費税率13%も

 政府は22日、財政健全化の指標である国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を平成32年度までに黒字化させる目標などを盛り込んだ「財政運営戦略」を閣議決定した。景気動向次第では32年度に21兆7千億円を上回る税収増か歳出削減が必要となる見通し。不足財源を消費税率引き上げで賄えば8%を超える増税が必要で、税率は13%超になる計算だ。消費税増税に先走る菅政権にとっても、今後は苦しい税財政運営が迫られそうだ。

 基礎的収支は、借金をせずに税収などで政策実行に必要な歳出を賄えているかを示す指標。政府は国内総生産(GDP)の伸び率を名目、実質とも1%台半ばの慎重な見通しを前提に財政再建を進め、27年度までに収支の赤字幅を半減させて32年度までに黒字化。33年度以降はGDPに対する公的債務残高の比率を安定的に引き下げるとした。

 政府は同時に、23年度から3年間の歳出・歳入の大枠を示す「中期財政フレーム」も決定。国債の利払い費などを除く歳出規模を「実質的に前年度以下に抑制する」と明記し、22年度の71兆円を上限とする目標を示した。23年度の新規国債発行額は「22年度の約44兆円を上回らないよう全力を挙げる」とした。

 一方、政府税制調査会の専門家委員会は22日、「消費税を重視する方向で国民により幅広く負担を求める」とする中間報告をまとめた。地方消費税(現行1%)の充実などを求める一方、所得税は「(高所得者ほど負担が増える)累進構造を回復させる」と、現行40%の最高税率引き上げを示唆した。

2010年6月23日 産経新聞