【時事(爺)放論】岳道茶房

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チャイナリスクとアジア戦略

2010年11月07日 | 情報一般

林 志行の「現代リスクの基礎知識」
チャイナリスクとアジア戦略

 民主党が政権を奪取し、一年超が経過したが、マニフェストの見直し、小沢元幹事長の証人喚問、円高対策、事業仕分けでのパフォーマンスなど、野党からの攻撃は強まるばかりである。そのすき間を縫って、中国が尖閣諸島問題で強気の対応を見せ、民主党政権の実力を試している。

 さらに11月4日の深夜から5日の早朝にかけ、公開が控えられていた衝突時のビデオらしき映像がYouTubeに流出。影響はこれから明らかになるが、まだまだ日中関係はくすぶり続けている。

 そこで今回は、APEC横浜での首脳会議を前に、日本と中国の間の外交や経済通商、ビジネスリスクにおける日本の立ち位置を整理しておきたい。

■チャイナリスク

 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件やその後のレアアースの輸出制限、通関手続きの強化など、中国側からの菅政権への揺さぶりには、いくつかの理由が考えられる。

 一つは、中国がこれから新しいリーダーを選ぶ過程で、強硬派を含め、政治的指導力を見せる必然性があったこと。二つ目は、中国国内の貧富の差や蟻族(大卒でありながら良い職に就けず過酷な生活を強いられる若者層)に対するガス抜き。三つ目は、普天間基地移設問題や日米同盟関係での沖縄や尖閣諸島に対する米軍の姿勢の確認。さらに四つ目は、民主党政権が領海のグレーゾーンにどのように対応するかの確認である。

 中国がこうした強気な姿勢を見せる背景としては、中国経済が好調であることに加え、製造業の現場における技術指導や高等教育などで一定の成果を得たことで、日本の技術をさほど必要としなくなってきたことが挙げられる。また、中国と台湾が蜜月関係にあり、尖閣周辺で日本ともめても、香港などから横やりが入らない安心感も考えられる。

 こうした中国からのチャレンジに対し、民主党は当事者意識に乏しい。自民党が長年リスクを先送りにしてきたためであり、その尻拭いをさせられているようなもの、という感覚だろう。確かに、グレーゾーンを設け、お互いに踏み込まないという点では、長い歴史が両国間にあった。これに対し、民主党は右と左がくっついた形であり、相手が強気の態度に出て猛然と抗議すると、今度は弱気の部分が出る。結局、足元を見られ、陣地にどんどん入り込まれる状態が続く。

 必要に応じて政権交代が可能な二大政党を望んだのは有権者だが、冒頭に列挙したような様々な課題を前に、民主党自身が分裂しそうな状況にある。より強力な政権運営には、保保連合やパーシャル連合が不可欠ではないかという見方もある。

 中国国内でのデモや労働者らによるストは進出企業や駐在員、その家族らを不安に陥れる。一部企業では、製品や部品の輸出入において、貨物検査率の引き上げにより通関手続きに時間がかかり、貨物に遅れが生じているとの報道もある。

 こうしたチャイナリスクの顕在化とそれらへのリスクヘッジでは、二つのことが求められる。一つは、製造拠点の分散であり、もう一つはサプライチェーンを含むビジネスモデルの再定義である。

 製造業の加工拠点については、日本国内はマザー工場として先端技術あるいは知財など自社が確保すべきものに特化し、実際のものづくりは中国に移行して久しい。安く・早く・大量かつ確実にものを作れる場所に製造拠点が移行する「フラット化」はますます加速する。世界の製造工場を自負する中国には、この10年間、ありとあらゆる国々からアプローチがあり、その都度、格安で製品を作るかわりに、研究開発や技術教育の面で「発展途上の中国の支援」を約束させ、確実にスキルアップを図ってきた。

 新幹線でいえば、日本やフランス、ドイツの製品・技術を導入し、それらを「改良」し、今ではアジアや第三国(中南米)などへの高速鉄道の売り込みを図ろうとしている。電気自動車でも、やがてミドルテクの車種が完成しそうな勢いだ。なにしろ、中国という独自の国内市場だけでもビジネスとして十分に成立するので、製品化を進めながら研究開発を重ね、さらに先を目指すこともできる。

 ただし、中国は自らの国内市場のために、さらに経営資源を必要とする。レアアースの希少性に気が付き、海外に出す量を制限し始めるのも、中国側のスタンスからは理にかなう。もちろん、中国側が勝手に絞ることはできないし、中国が必要とする精密機械は日本がレアアースを使い磨き上げたものであったりする。つまり、中国と日本は一方的に切り離せるほど単純ではない関係にあるのも実情だ。

■日本からの切り返し

 そうは言っても、チャイナリスクが顕在化し、懸念していた「事態」が浮上したら、関係者の動きは速い。特に、企業はリスクヘッジとして次なる拠点を考えることになる。そうでなくても、中国での加工が単純加工から複雑な作業のものに向かうなか、台湾企業はいち早くベトナムなどへと動いている。水先案内人としての華僑ネットワークがあり、簡易加工なので、工場はたたみやすく、立ち上げやすい。スピード経営が命の世界である。

 日本は、ここ数年、対中ビジネスにおいてバブルの崩壊や人民元の為替レベルの調整などに若干の懸念材料を有していた。しかし、靖国参拝などに対する小泉政権当時の揺さぶりとは異なり、友愛外交を旗印とし、戦略的互恵を主張する民主党政権がここまで揺さぶられると、企業経営、事業戦略、国際戦略の立場からは、拠点の再検討が不可避となる。

 日本政府は、2008年9月のベトナムとの経済連携協定(EPA)合意(2009年10月1日発効)に続き、今年10月25日にはインドとのEPA締結に成功した。ベトナム、インド両国とも、領土問題で中国との懸念材料を抱えている。また両国とも、インフラ整備、特に高速旅客鉄道や貨物鉄道、原子力発電などエネルギー設備の整備に日本の技術や資金を必要としている。

 こうした中、ベトナムとは原子力発電所の建設のほか、レアアースの共同開発でも合意した(10月31日)。インドとも、EPAの締結以外に、レアアースについて代替資源の研究開発や再利用での協力方針が打ち出された。また、ハイブリッドカー用に、インド東部オリッサ州でレアアースの精製工場建設を発表(10月15日)した豊田通商のように、リスクヘッジに向けた動きはすでに始まっている。

 日本は新幹線や原子力発電、水処理施設などのインフラ事業において海外輸出の実績を作る時期にある。国際入札で勝ち抜くためには、トータルコストで多少割高になったとしても、メンテナンスコストやマシンの性能、稼働率などを考慮したり、あるいは完成までのスケジュール、それらインフラの稼働に向けたマネジメント、引き継ぎでは安全安心を提供できることを証明すれば良い。

 通信施設を含め、こうした大規模インフラはライフラインとなる。プロジェクトの遅延や、大きな事故の発生は、相手国の政権自体に大打撃を及ぼすことになるので、単に価格だけで決まらない世界でもあり、そういう点をアピールすることが必要だ。これらがビジネスモデルの再定義である。

 製品とサービス提供というパッケージ一体となった進出で総取りを狙う日本と、部分最適でより安く現地にもスキルが残せるようにしたい発注元の間でせめぎ合いが生じ、その落しどころへの知恵やスキームの確立が模索されている。多くの成功事例が蓄積されるまでが我慢どころであり、政府からの支援、トップセールスは欠かせない。

 日本に期待されるODAなどの資金援助、あるいは入札に向けた現地(地方政府)からの要求水準は、競合相手となる中国や韓国の台頭によって、さらに厳しいものとなっている。自由貿易協定(FTA)やEPA、さらにはAPEC直前にクローズアップされた環太平洋経済連携協定(TPP)を結ぶ相手国は、日本への人的サービス(特に医療や介護分野での看護士や介護福祉士)の受け入れを要請している。インドとのEPAでも継続協議とされた案件であるが、受け入れる方向に向かわざるを得ないだろう。 

■2015年に向けたのりしろ

 こうしたFTAやEPAの締結合意で、日本はいつまでにどの程度の変革が求められるのか。戦略的グローバル・パートナーシップでは、10年をめどに、二国間や地域内の関係を強化することになる。ASEANは、90年代後半に2020年までの域内経済統合を決めていたが、その期限は2015年まで前倒しされており、TPPはその仕上げへの担保のようなものである。

 日本のTPPへの参加の意志表明は、その2015年にTPPが稼働するからである。TPPは環太平洋の拠点となる4国(シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ)が最初に経済圏としての成立を目指したもので、むしろフレームを作り、その中に米国も含めた主要国が入ってくるように仕組みを整えた形になっている。

 ASEAN10カ国での経済統合は次第に広範な協力を推進するようになり、ASEAN+3(日中韓)の枠組みがスタート。2000年以降、ネットワークの普及による経済のグローバル化の進展に伴って、より大きな市場を包含し、自由貿易によって効率良い市場取引を目指すことが参加国それぞれのメリットとなってきた。

 日本は資源を持たない国なので、本来、シンガポールのような立ち位置で、ものを加工する技術での優位性を強みとしなければならない。そのためには、英語によるコミュニケーションを活発化させる必要がある。前回の本コラム「チリ鉱山落盤事故の救出と日本の貢献」でも伝えたが、いざ善意の貢献をしたくても、その前に具体的な経験や成果があるのか、資材やマンパワーを含め、災害地の近くに駆けつけることができるのか、さらにはコミュニケーションスキルを有するのかが問われてくる。このコミュニケーションスキルには、世界で共通の言語となりつつある英語をいかに操るかということと、国際貢献(あるいはリスクマネジメント)の専門家としてのブランドづくり、情報発信力、ネットワーク構築力も含まれる。

■フットワークの軽い企業組織を目指し

 より小回りの利く企業組織を目指す上では、スキルを確保したエキスパートが起業や独立しやすくすることと、中小企業を含め、アジア諸国など新たな市場を創造し、連携する国や地域との相互利益を確立することが重要である。

 優秀な人材が企業内に留まり数少ないトップのポストを目指すのではなく、体力のあるうちに外に出てグローバル感覚を学ぶ。そうしたチャンス、起業直後のブランドの保証、あるいは万が一うまくいかなかったときに再チャレンジを保証する仕組みをどう作るかがキーとなろう。才能があるにもかかわらず十分に職を得られていない若者が、EPAやFTAで連携する相手国の先端部分で活躍し、あるいは国内で影響を受ける産業や企業、自治体をサポートするマンパワーとしてのポジションを確立するためには、政府が積極的にこうした市場を作り、仕事を作り出す工夫をすることである。

 一方で、日本が自ら出ていくのではなく、人材教育の場としてアジアなどから人を迎え入れる環境づくりも考慮すべきであろう。EPAやFTAは、ヒトやサービスの交流、行き来を保証するものだが、「アウェイ」で右も左も分からない中で努力するより、「ホーム」で自らに足りないスキルをサポートし合うチームとともに各種サービスを提供するのも一計だ。滞在者が日本での観光や生活を通し、内需へと貢献することが望ましい。

 そうした働き方を考えた場合、国全体をマザー工場化し、日本的サービスやサポート、保守などを学ぶための各種ツールを整備することが求められよう。情報通信技術(ICT)の活用により、日本国内ですべてを構成する必要はないが、欧米を中心とした英語文化圏でのMBA的管理技術とは一味違う日本の安全安心が、諸外国で注目されようとしている。海外では英語でのコミュニケーションが不可欠だが、国内では他言語と日本語の間の自動翻訳が高度化されれば、より多くの伝承を日本国内で行うことが容易となる。

2010年11月5日 日経BP
林志行(りん・しこう)
 早稲田大学大学院教授。外交官の父と各地を転々。日中英台・4カ国語を操る。専門は、リスクマネジメント、アジア情勢分析、国際ものづくり戦略。シンクタンクにおいて、調査研究、企業コンサルティングに従事。2003年1月、国際戦略デザイン研究所を設立、代表取締役に就任。2004年より美ら島沖縄大使。沖縄金融特区(キャプティブ導入)の発案者、ITリゾートの提唱者として知られる。2006年より東京農工大学大学院教授を兼務。2010年より、早稲田大学大学院経営デザイン専攻教授に着任。政府の各種委員を務める。経済誌、新聞各紙にて連載を持つ。近著に「マザー工場戦略」(日本能率協会マネジメントセンター)「事例で学ぶリスクリテラシー入門」(日経BP)など。日々の活動は、ツイッタ-「linsbar」に詳しい。


中国式スト 工場経営者の「暴力度格付け」

2010年11月03日 | 情報一般
中国式スト、暴動のリアルな姿 現地を歩く工場経営者の「暴力度格付け」

 今年の中国、特に進出している日系企業は「群衆行動」に大きく揺れた。5月、広東省にあるホンダ子会社の現地法人に端を発した従業員による待遇改善を求めるストライキは、大きな波となって全土に広がった。

 そして10月、尖閣諸島の問題をきっかけに各地で起こった反日デモ。舞台を内陸部へと移す過程で、政府もコントロールに手を焼くほどの広がりを見せた。

 ただ、中国では工場ストライキや反日デモ以外にもいわゆる「抗議活動」は頻発している。背景には、地方政府による土地収用や乱開発、工場の公害問題などさまざまな問題がある。その大半は一連の反日デモのように日本でも詳しく報道されるわけでもなく、中国でも新聞やネットにニュースとして流れる程度だ。

 そうした暴動の現場を訪れ、検証している日本人がいる。小島衣料のオーナー、小島正憲氏だ。小島氏は岐阜県に本社を置く縫製会社の経営者として1991年に中国に進出、上海や湖北省、吉林省の工場を運営してきた経験を持つ。中国の労働事情や中小企業のリスク管理などについて実体験をもとにした複数の著作物もあり、中国における中小企業経営の第一人者としても知られる。

 小島氏が2008年から注目しているのが、中国各地で起こった暴動やストライキのリアルな姿だ。実際に現場を訪れて情報を収集するだけではなく、その度合を「格付け」している。一口に「暴動」「デモ」「ストライキ」と言っても、その規模や暴力性は千差万別だからだ。

暴動レベル0: 抗議行動のみ。破壊なし →44件
暴動レベル1: 破壊活動を含む抗議行動。参加者100人以下(野次馬を除く)。破壊対象は政府関係のみ →14件
暴動レベル2: 破壊活動を含む抗議行動。参加者100人以上(野次馬を除く)。破壊対象は政府関係のみ →5件
暴動レベル3: 破壊活動を含む抗議行動。一般商店への略奪暴行を含む →0件
暴動レベル4: 偶発的殺人を伴った破壊活動 →0件
暴動レベル5: テロなど計画的殺人および大量破壊活動 →0件

 2010年、1~9月の間に小島氏が情報収集した暴動の件数は63件。そのうち約3分の2の44件が「暴動レベル0」にランク付けされる。

 今年5月以降に全土の工場で起こっている賃上げを求めるストライキは、ほとんどが職場放棄でここに分類される。暴動も数千人から1万人規模になることも珍しくはないが、その多くは政府に向けられた抗議活動。大きな騒動になるのは、デモ行為を抑えようとした警察との衝突が起こり、逮捕者や負傷者が出るためだ。

 数は少ないが「暴動レベル1」も14件ある。例えば9月に広西チワン族自治区柳州市で起こった農民と警察との衝突は、政府による土地収用で補償金の分配方法が原因。土地収用を巡るトラブルはこうした抗議運動の最も多い原因で、農村部を中心に多く起こっている。

 中国ではよく「都市部と農村部の収入格差が社会不安を生んでいる」と言われる。しかし抗議行動や暴動の原因は、土地収用や不動産開発を巡る補償金の金額の格差や、関連する政府役人の汚職が大半。農村と都市との格差というより、「農村内格差」が問題となっていることがわかる。

 「暴動レベル2」となるとわずか5件しかない。今年1月、江蘇省蘇州市にある台湾系企業で起きた事件はその1例。従業員4000人による工場での中毒事件やボーナス未払いに対する抗議活動がエスカレートし、工場の一部を破壊した事件があった。これは一連のストライキの中でも珍しく過激化したケース。その他のレベル2は政府への抗議活動である。

■成都の反日デモは「暴動レベル3」

 9月より続いている反日デモについて小島氏は評価をしていない。ただ民間企業であるイトーヨーカ堂の店舗や日本料理店などが破壊されたことを考えれば、「暴動レベル3」に相当するであろう。

 小島氏が暴動の格付けを始めた2008年8月以降の2年間で、「暴動レベル3」以上の評価となったのは2009年3月に海南島で起こった隣村の村民間の乱闘事件(レベル3)、2009年7月の新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起こったウイグル族と漢族の衝突事件(レベル5)など6件のみ。一部の反日デモは、過激度では中国の数ある暴動の中でも珍しい部類に入ることがわかる。

 数々の現場を検証してきた小島氏は、中国の暴動に共通する特徴点について以下のように指摘する。

(1) レベル3以上は少ない
(2) 原因は多岐にわたり、民衆の不満が些細な理由で、どこでも、いつでも爆発する状態である
(3) 当事者に暴力組織関係者が含まれることが多い
(4) 当事者は公安や政府の建物を標的にして襲撃している
(5) 野次馬が当事者の約10~30倍集まる
(6) 野次馬が便乗暴徒化する可能性がある

 確かに、今回の反日デモでも一部では「反日」を建前としながら住宅価格高騰の抑制を政府に要求する横断幕があるなど、不満のはけ口として利用された側面がある。日本のメディアで「参加者数千人」などと報道されていても、実際にはそのうちの多くが野次馬ではないかと思われるケースもある。

 中国ビジネスのチャンスとリスクをいかに冷静に見極めるか。もともと小島氏が自ら基準を設け現地検証を開始したきっかけは、中国全土の暴動を「貧しく虐げられた民衆と腐敗し権力を持った政府当局との対立」と捉えることで真実が見えなくなると考えたため。暴動を一括りにするのではなく、定義をはっきりさせて個別に検証することで、中国社会の現実を見ようという試みである。

 先に挙げた指摘にもあるように、実際には陰で暴力組織がからんでいたり、民衆の側の法外な要求が原因であったりすることも多い。それだけに小島氏は「暴動の頻発=共産党支配体制が揺らいでいる」という短絡的な見方に疑問を呈する。農村部の暴動から従業員のストライキに到るまで、それぞれ個別の要因があり、それぞれをミクロの視点で見る必要があるというわけだ。

 「今こそ中国市場だ」「中国が危ない」。中国ビジネスを巡る雰囲気は振り子のように行ったり来たりする。巨大で、かつ多面性がある中国だけに、画一的な情報に流されることなく自らの目と判断力でリスクを見極めることが大切になる。

2010年11月2日 日経BP

1986(昭和61)年11月2日

2010年11月02日 | 情報一般
【きょうは何の日】大根足コンテスト

 1986(昭和61)年11月2日、山梨県明野村(現北杜市)で「第1回大根足コンテスト」が開かれ、足自慢の20~40代の女性11人が参加した。優勝したのは横浜市の44歳の主婦。賞品の山芋10キロを手に「これまで足の美しさを褒められたことがない」と言いながら、ふっくらした白い足を見せた。

 この年を代表するトピックとしては、社会党(現社民党)の委員長に土井たか子氏が当選し、日本の主要政党として初の女性党首が誕生。バスト、ウエスト、ヒップを強調する「ボディコン」ファッションがはやり、株価も青天井のバブル景気が始まる。

 いまのデフレ不況とは対照的に経済の風向きはよく、比較的おおらかな社会環境だったことから、女性の「大根足」ぶりを競うこんな大会も行われた。

2010.11.02 ZAKZAK

不可解な反日デモ 若い世代のガス抜きが目的か

2010年11月02日 | 情報一般
財部誠一の「ビジネス立体思考」
不可解な反日デモ、若い世代のガス抜きが目的か

 「中国のデモは官製デモ以外ありえないのですが、今回の反日デモは本当に官製デモなのかと疑いたくなる」

 20年以上、中国でビジネスを続け、政財界にも多様な人脈をもつ元商社マンも今回の反日デモの背景はきわめて複雑で、全体像がまったく見えないと首をかしげる。

■中国政府通も首をかしげる

 「なぜ内陸部、それも小さな都市を中心にデモが起こっているのか。共産党系の学生会がデモを仕掛けたといわれるが、その割にはデモの規模が小さすぎる。100人~200人程度ですよ」

 さらに不可解なのは沿岸部でデモがまったく発生していないことだという。

 「ネットで呼びかけているなんて報道を日本ではしているようですが、ならばなぜ沿岸部ではデモが起こらないのか。沿岸部の大都市はデモを完全に押さえ込んでいる」

 確かに中国では自然発生的に共通の不満を持った人々が徒党を組んで行進し始めるなどという行為はありえない。中国人はそんな自由を一切持ち合わせていない。デモがありうるとすれば官製デモ以外はありえない。だが今回の反日デモでは「住宅価格高騰」や「就職難」など、あからさまな政府批判のプラカードまで飛び出す始末だ。

 もうひとり、中国政府に精通している人物にも尋ねてみたが、彼もまた「真相が皆目わからぬ」という。

 「デモの背景は複雑で、中国の有識者、政府関係者と話しても、本当に『わからない』という感じだ」

■なぜ全体会議の最中に?

 日本国内では得手勝手な推論が流通しているが、今回の反日デモの特異性はデモ発生から10日近く経過しているのに、いまだにデモの背景がクリアに見えてこないことだ。

政府の事情に詳しいこの人物もいくつかの疑問を並べた。

 最大の疑問はデモ発生のタイミングである。

 「なぜ共産党中央委員会の全体会議の開催中である16日にデモが起こったのか? しかも対日関係が修復しかけていたタイミングでもあった。デモとなれば、当局の承認が不可欠。16日のデモが『公安当局が正式に承認したもの』であることは確認が取れました。しかし、なぜ公安はコントロールが困難なことを承知の上で、全体会議開催中にデモを認めたのか? 胡錦濤は対日関係修復に尽力していたし、胡錦濤も含めた上層部が反日デモ挙行を知らなかったということも考えられない」

 しばしば指摘されるのは「権力闘争」説だ。共産党内部の権力闘争に反日デモが利用されたという見立てだ。説得力がありそうで、じつはまるで説得力がないと、中国政府通の人物は切り捨てた。

 「習近平氏の軍事委員会副主席入りをめぐった権力闘争ではないか、という人もいますが、はっきり言ってそれは、日本の自意識過剰だ。反日デモのインパクトを過大評価しすぎだ」

■反日デモから政府批判にも

 「軍部からのプレッシャー」説もあるが、こちらも見当違いのようだ。

 「日中関係修復に汗を流す胡錦濤がこの時期に軍部からこのような圧力をかけられるとは考えにくい。なぜなら胡錦濤こそ軍のトップなのだから」

 また日本の報道では80年代以降に生まれ、江沢民政権下で反日教育を受けた若者たちが扇情的な行動にでているのだとさかんに報じられているが、これもまた中国国内の認識とはかなりの温度差がある。

 「たしかにデモ隊は日本製品不買を呼びかけているが、上海の日本料理屋は依然として中国の若者たちであふれかえっているし、日本製品をボイコットするような行動はまったくといっていいくらい見られない」(上海在住元商社マン)

 じつに今回の反日デモは不可解だ。いったいこのデモで誰が得をしたのだろうか。たしかにレアアースの対日禁輸や1万人の訪日旅行中止等々、中国の狭隘(きょうあい)な外交圧力が重なったために、中国情報が錯綜(さくそう)、混乱し、反日デモそれ自体を客観視することが難しかった。だが冷静に見れば見るほど、今回の反日デモには疑問符が増えるばかりだ。

 いったいこのデモで、誰が得をしたのだろうか? 

 少なくとも胡錦濤政権にとってメリットがあったとは考えにくい。あったとすれば、単なるガス抜きだ。

 不満分子の学生たちのガス抜き行為としてデモを認めたとしか考えようがない。ところがやらせてみたら、反日から政府批判へと変質し始め、見過ごすわけにもいかず、最後は強権をもってデモ鎮圧に出るほかなくなった、というのが実態ではないではないか。

■格差広がる中国国内

 煎じ詰めれば、この不可解なデモは一党独裁下の経済発展の果実を十二分に享受してきた世代と、超難関の大学卒業を果たして、なお就職すらできない若い世代との世代間闘争の一面を否定できない。だが不可解な反日デモを認め、アンコントローラブルに陥った現実が示唆するものは、中国政府の脆弱(ぜいじゃく)性だろう。

 これまでは共産党や軍幹部の親戚縁者であることが経済的豊かさを確実に担保した。生活が豊かになれば人々は必然的に自由を求めるのが当たり前の原理だと民主国家の人々なら考えるが、中国ではその原理が機能しなかった。本来なら「自由」を求めて声を上げるべき人々が、じつは中国には存在していなかったということだ。中国共産党や軍の幹部に連なること、一党独裁の利権にぶら下がることこそが豊かさへの確実な道のりだったから、誰も「自由」など求めはしなかった。

 だがそれももう限界に来たということだろう。農村部出身の農民工だけではなく、難関の大学入試を突破し、無事卒業しても就職できない学生たちの不満。そのガス抜きこそが反日デモ許容の背景だったのではないか。少なくとも私の貴重な情報源となっている中国通の人々はそのような理解をしている。「ガス抜き」のはずが「ガスの充てん」になってしまった反日デモ。それがもっとも合理的な理解である。

2010年10月27日 日経BP

1984(昭和59)年11月1日

2010年11月01日 | 情報一般
【きょうは何の日】新しい日本銀行券3種が発行

 1984(昭和59)年11月1日、新しい日本銀行券3種が発行された。1万円札、5000円札の肖像は聖徳太子に代わって福沢諭吉、新渡戸稲造、1000円札には夏目漱石と初めて文化人が採用された。1万円札のデザインが変わるのは26年ぶりで、盲人用の識別マークが入り、偽造防止のノウハウも満載された。

 1万円札などの「通貨」は日本銀行が日銀法を元に、日銀券として発行し流通させている。過去に発行された日銀券の中にはすでに失効しているものがあるが、失効していない券は、古いものでも法定通貨として使える。

 製造は国立印刷局(独立行政法人)で行われ、その後、日銀に納入。気になる納入価格は、1万円紙幣で1枚40円程度とされるが明らかにされていない。

2010.11.01 ZAKZAK

1982(昭和57)年10月29日

2010年10月29日 | 情報一般
【きょうは何の日】三越の岡田茂前社長、特別背任で逮捕

 1982(昭和57)年10月29日、百貨店三越の岡田茂前社長が特別背任容疑で警視庁に逮捕された。ワンマン社長として君臨、20億円近い被害を三越に与えたとして、納入業者で“三越の女帝”と称された愛人の竹久みち氏とともに起訴され、実刑判決を受けたが、最高裁上告中に死去。取締役会で社長を解任された際に発した「なぜだ」が流行語になった。

 岡田氏は京都府出身で慶大文学部卒。卒業と同時に三越に入社し、宣伝部長を経て銀座店長に就任。ヤングファッションをメーンとした当時としては大胆な営業戦略で成績を挙げ、出世の階段を上った。

 逮捕に先立つ82年9月22日の取締役会で、岡田氏は腹心の杉田忠義専務に議長を交代。杉田氏は秘密裏に計画していた岡田氏解任の決議案を発議し、成立。その場で、岡田氏は非常勤取締役に降格となった。

2010.10.29 ZAKZAK

不況でマイホームは夢のまた夢に

2010年10月29日 | 情報一般
新たな不況の足音に人の心も凍りつく?にわかに盛り上がる家庭の「生活防衛意識」

リーマンショック後の大不況から抜け出しつつあった日本経済は、深刻な円高とデフレのダブルパンチに見舞われている。連日のように報じられる景気悪化予測に、不安を覚える人々が続出している。周辺調査をしてみると、消費者の「生活防衛意識」が、足許で急激に高まっていることがわかった。家庭の懐を蝕む不況の足音に対して、国民はどのような対策を考えるべきか? 現状を追った。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

■景気底入れの日本に忍び寄る影「人の心まで凍らせる」不況の正体

「朝起きて見てみたら、道路に面した庭に植えている草木が何本も折られていることが、ここ数週間で何度かありました。いたずらにしては悪質です。以前はこんなことをする人はいなかったのですが……。住民の心が荒んでいるのを感じて、怖いですね」

 東京都練馬区の一戸建て住宅に住むAさん(40代会社員)は、不安げにこう語る。Aさんはこの事件を駅前の交番に相談したが、巡査から「マイホームを持っている人を妬んで、家を買いたくても買えない人がやっている可能性が高い」と指摘された。巡査によると、こういった悪質ないたずらが、最近この界隈で増えているという。

 住宅市場の底打ち、低金利、住宅エコポイントや住宅ローン減税などの景気刺激策が追い風となり、東京都では年初からマンションや一戸建てなどの住宅を購入する人が増えた。

 とはいえ、日本の景気の先行きは依然として不透明だ。大企業までもがこぞって社員の賃金カットを続けるなか、一定水準の収入や貯蓄がないサラリーマン家庭が、多額のローンを組んでマイホームを買うことは、やはり難しい。

 巡査が指摘するように、長引く不況で節約生活を強いられている人々の憤りが、裕福そうに見える近所の家庭に向けて爆発するようなことも、実際にあるのかもしれない。住民の気持ちが荒んでいることは、「不景気と無関係」とは言い切れないだろう。

■円高とデフレのダブルパンチで政府・日銀の金融政策にも限界が?

 このケースからも推察されるように、底を打って回復基調に乗ったと言われる日本経済は、足許で再び停滞の兆しを見せている。国民は、景気の回復を実感する間もなく、次の危機に晒されつつある。

 今春、ギリシャの財政危機に端を発した欧州の景気悪化は、リーマンショック後の大不況から脱しつつあった米国経済を失速させた。そのため、ドルから逃避したマネーは一気に円に流れ込んだ。これが現在の急激な円高を演出している。

 80円台前半を行き来し、一時史上最高値に肉薄した極端な円高については、以前のように「輸入品が安くなる」「海外旅行に出かければおトク」といった楽天的な声は、あまり聞かれない。むしろ、回復に向かうはずだった日本企業の収益を圧迫し、再び深刻な不況をもたらすのではないかと、不安視されているのが現状だ。

 一方で、大不況後に顕在化したデフレの猛威も、衰えることを知らない。ほどなく開かれる金融政策決定会合において、日銀は2011年度の実質GDP成長率やCPI(消費者物価指数)の上昇率見通しを、大幅に引き下げる方針だ。2012年度の物価上昇率は、1%を大きく割り込んで0.5%以下になる見通しだと報じられている。

 こうした現状を受け、先般日銀は実質ゼロ金利などを含む異例の金融緩和策を発表したが、円高とデフレのダブルパンチにより、その効果は限定的だと言われる。

 このままでは、円高とデフレに苦しむ企業の売り上げ低下が、さらなる物価の落ち込みに繋がり、経済サイクルの不活性化を招く「デフレスパイラル」に陥る可能性も、否定はできない。そうなれば、企業で働くサラリーマンの収入は、ますます低下する恐れがある。

 実際、国税庁が発表した『平成21年分民間給与実態統計調査結果』を見ると、ここ最近の給与の落ち込みぶりは、看過できないレベルに達しつつある。

 民間の年間平均給与は406万円で、前年比5.5%マイナスの過去最悪値をマーク。そればかりか、給与所得者数や給与総額、納税者数の下落率についても、過去最大を示している。長引く不況が国民の懐を圧迫し続けている現実が、改めて浮き彫りになっているのだ。

 冒頭で紹介したように、景気の悪化不安は人の心にネガティブな感情を呼び起こすことも多い。今後我々は、本腰を入れて「自分を守る」ことを考えなくてはならない。

■節約・倹約生活もすでに限界?残る手段は「貯金の取り崩し」

 世間の声を拾い集めると、やはり最近の景気動向を肌で感じ取り、不安を募らせる人々が増えていることがわかる。ここにきて、「生活防衛」への意識が顕著に高まっているようだ。

「かねてからの不況で、すでに支出は抑えに抑えた状態。これ以上の倹約は難しいので、最終手段として貯蓄をいったん諦めるしか手がない状況です。我が家ではすでに、定期積立も解約しました。将来への不安は大きいですが、今はとてもおカネを貯められる時期ではない。まず日々の生活を維持することを第一に考えなければなりません」

 さらなる景気の悪化を予感してこう語るのは、都内に住む20代の主婦である。

「蓄財の放棄」とは大胆な選択だが、子どもの教育費など、差し迫った支出と無縁の家庭においては、収入減に対抗する一時的な策としては有効かもしれない。圧縮した生活水準の現状維持を優先し、数年後の景気回復までやり過ごそうというわけだ。

 このような声を裏付けるデータもある。2006年6月以降、景気低迷や雇用環境の悪化を背景に貯蓄志向が高まり、近年は常に3~5%という高い伸びを示してきた定期預金が、「10年6月時点で前年比1.1%増と低迷している」(日銀発表)のだ。

 先行き不安を背景に増えてきた預金が減ることは、「もしや景気が本格回復する前兆か?」と楽観的に考えたいところ。しかし現状を見る限り、どう考えても「将来不安のせいで預金に回すおカネもなくなった」と考えるのが自然だろう。

■お歳暮代やクリーニング代まで節約「マイホーム」は夢のまた夢に?

 周辺取材では、生活にかかるおカネを少しでも切り詰めようと四苦八苦する消費者の姿が浮かび上がってくる。複数見られたのは、年末のお歳暮商戦に賭ける百貨店業界の意気込みを逆なでするかのように、「付け届けの廃止、あるいは予算圧縮」を考えているケースだ。

「不況を考慮してか、百貨店の特設会場では例年よりもリーズナブルな商品が多いので、助かりますね。とはいえ、贈り先は最小限に留めて、何かと物入りなこれからの時期を乗り越えたいと思います」(50代主婦・神奈川県在住)

 また、「自分が家でできることには極力おカネをかけずに、節約している」という声も多く聞かれた。国が発表する家計調査によると、勤めが忙しい人がついつい利用してしまいがちなクリーニングについては、2人以上の世帯における09年の代金が8131円と、前年比8.1%も減っている。

 日常生活にかけるおカネをここまで節約するくらいだから、価格の高さが目立つ商品についてはなおさらだ。冒頭でも触れたように、住宅などはその最たるものだろう。

 一時より回復の兆しを見せているとはいえ、09年度の新設住宅着工戸数は25.4%減(国交省調べ)と、日本経済が最も活気に溢れていた1989年と比較すると半数以下に落ち込んでいる。住宅エコポイント制度などの景気対策も行なわれているが、少子化の影響と不景気のダブルパンチにより、戸建て需要は中長期的に減り続けていく可能性が高い。

 事実、最近ではテレビなどに出演するファイナンシャル・プランナーが、「一軒家を買わない方が経済的」とアドバイスするなど、住宅購入への慎重姿勢が強まっている。日本人の夢だった『一軒家』という概念は、もはや崩れつつある。

■保険料や医療費も大きな圧迫要因に!住民票の世帯を分ける「裏ワザ」も登場

 さらに、「裏ワザ」を使って生活防衛を試みる人々も増えている。石川県では、高齢者と同居している子どもとが、住民票上の世帯を分ける『世帯分離』を届け出るケースが増えている。自治体への登録内容を“操作”することで、世帯単位での負担額を軽減させようという作戦だ。

 これは、世帯ごとに計算される介護保険料や医療費などの負担を減らすためと見られている。2010年10月18日付けの北國新聞によると、09年度には19市町で計2545件が受け付けられたという。

 05年施行の改正介護保険法で、特別養護老人ホームなどの介護施設における食費と居住費が自己負担化したこと、08年の後期高齢者医療制度が施行されたことが、この動きに拍車をかけたようだ。あまり感心しない「裏ワザ」ではあるが、裏を返せば、そうでもしないと家計を維持できない人々が増えていることがうかがえる。

 すでにありとあらゆる生活防衛策が試みられている日本の一般家庭。今後の景気動向次第で、我々はさらなる工夫を強いられることになるかもしれない。些細な倹約によるその場しのぎの節約に先は見えないが、「背に腹は代えられない」という現状が目の前に横たわっている。

 専門家のなかには、現状を「景気回復途中の一時的な踊り場」と見る向きも多い。だが、不安を募らせる消費者の心理が実体経済を予想以上に悪化させたことは、過去に何度もあった。

 不況の足音に怯えるあまり、心まで凍りつかせてはいけない。今回の景気悪化不安は、あらゆる家計のムダを炙り出し、目先だけでなく将来に渡って健全で安心な家庭を築いていくための、きっかけになるかもしれないのだ。

2010年10月29日 ダイヤモンド・オンライン

1981(昭和56)年10月28日

2010年10月28日 | 情報一般
【きょうは何の日】ロッキード事件で“ハチの一刺し”

 1981(昭和56)年10月28日、ロッキード事件公判に田中角栄元首相秘書官・榎本敏夫被告の前妻、三恵子さんが検察側証人として出廷。「榎本被告が5億円受け取りを認めた」と爆弾発言。この証言で田中被告は決定的に不利になった。

 三恵子さんは、11月4日の記者会見で、「真実を述べるのは私の国民としての義務だと思います。夫は『どうしようか』と言いますので、お金は受け取ったのかと聞き返しますと、顔を上げる際に軽くうなずいておりました」と説明。

 元首相を相手に、勇気を持って証言した理由については「ハチは一度刺したら命を失うと申しますが、人を刺すという行為で私も失うものが大きいと思います」と話し、「ハチの一刺し」が当時の流行語になった。

 その後はバラエティー番組に出演したり、週刊誌にヌードを披露したり。現在は第一線を退いている。

2010.10.28 ZAKZAK

1979(昭和54)年10月27日

2010年10月27日 | 情報一般
【きょうは何の日】韓国の朴大統領殺害ニュース世界に配信

 1979(昭和54)年10月27日、「朴正煕大統領撃たれ死亡」の速報を通行人が見詰めている。場所は大阪・梅田の地下街。前夜に韓国で発生した政変がこの日初めて世界に伝わった。側近の中央情報部(KCIA)、金載圭部長の計画的犯行だった。

 事件は、ソウル特別市鍾路区宮井洞にあるKCIA所有の建物内で発生。朴大統領のほか車智●(=轍の車をさんずいに)大統領府警護室長が金部長に射殺されるなど計7人が死亡した。

 動機は、学生運動弾圧の対応をめぐり、朴大統領に手ぬるさを指摘され、ライバル関係の車警護室長にもたびたび叱責されたことだったという。

 この事件では金部長など5人が絞首刑となり、1人が銃殺刑となった。

2010.10.27 ZAKZAK

「4000円」の次の目玉は「高齢者優先席」

2010年10月27日 | 情報一般
「4000円」の次の目玉は「高齢者優先席」
中国の春秋航空、日本路線で狙う“BOP”

 7月に茨城空港に上海からのチャーター便を就航させた中国のローコストキャリア(LCC)、春秋航空。一部の座席を対象にした「片道4000円」という低価格が話題となり、その名前は日本でも知られるようになった。

 同社のホームページ経由で初めて売り出された4000円チケットは、20分もしないうちに完売。圧倒的な低価格で知名度を高め、団体旅行だけでなく日本の個人旅行者にも売り込もうという戦略は今までのところ成功している。

 ただ同社の創業者、王正華(ワン・チャンホア)董事長の頭の中には既に“次の一手”があった。それが高齢者に優先的に格安チケットを配分するというものだ。


 王董事長はこう話す。「低価格チケットはあっという間に売り切れるので、25~40歳のネットに慣れ親しんでいる層しか買えない。これでは、高齢者に乗ってもらえなくなる」。

 具体的には、60歳以上など一定年齢以上の購入希望者に対して、優先的に「4000円チケット」を割り当てる。毎便、席の一定数を「高齢者優先枠」として確保し、さらに海外渡航歴のない購入希望者を優先したり、高齢者だけでなく付き添い人にもチケットを割り当てたりするといったアイデアもある。

 4000円チケットは放っておいてもすぐに売り切れる。販売効率が下がるこのような方法を考えるのは、王董事長が春秋航空を中国随一のLCCに育て上げる原動力となった経営理念があるためだ。

 それが、「これまで飛行機に縁のなかった層にこそチャンスがある」というものだ。最近では新興国の貧困層向けマーケティングの概念として、「BOP(ボトム・オブ・ピラミッド)」というキーワードが生まれている。航空業界では本当の意味での貧困層はターゲットにならないが、これまで対象にならなかった層を狙い数で稼ぐという点で共通する。

 実は春秋航空が初の国際路線の就航先として茨城空港を選んだのも、首都圏への近さに加え「茨城県には海外に出たことがない層がたくさんいると知り、そうした方に是非中国に来てもらう機会を提供したかった」(王董事長)という背景があった。

 中国の航空業界は国有企業の独占状態にある。民間の航空会社も数多く生まれているが、その大半が事業を軌道に乗せられないまま淘汰されている。生き残り、しかも利益を出しているのは春秋航空のみだ。

■立ち乗り、子持ち限定乗務員、そしてJALのOB

 低価格ばかりがまず注目されるが、実は他社にない新機軸を打ち出すイノベーション企業でもある。価格競争力の源泉である自社サイトを通じたチケットの直販は、中国では同社が先行した。実現には至っていないが、より多くの座席数を確保できる「立ち乗りシート」の導入も検討したことがある。

 目下のテーマはサービスレベルの向上だ。茨城に続き、高松空港や佐賀空港が誘致に乗り出すなど、春秋航空は日本路線を中心に国際便の拡大を進めようとしている。LCC間の競争も見込まれる中、「安かろう悪かろう」では生き残れない。

 ただそのやり方は同社ならでは。10月、春秋航空は30名の客室乗務員の募集を出した。その条件は、「年齢30~40歳」で「子育て経験あり」というもの。経験豊富でホスピタリティーの高い人材を求めるためだ。子育てのために他の航空会社を辞めた経験者を有効に活用しようという、合理主義の王董事長ならではの考えである。

 さらに人材面では、現在狙うのがJAL(日本航空)の退職者だ。王董事長は日本の航空会社の品質やサービスレベルを高く評価している。早期退職などでJALを去った客室乗務員やパイロットなどを採用し、自社の運航やサービスのレベル向上に役立てようという狙いがある。

 JAL出身のパイロットが運転する春秋航空のフライトが日本各地の地方空港と中国を結ぶ。半年前には想像もできなかったことが実現する日も近いかもしれない。

2010年10月26日 日経BP
熊野 信一郎(香港支局)

1951(昭和26)年10月25日

2010年10月25日 | 情報一般
戦後初の民間航空が就航 日本航空の一番機「もく星号」
【きょうは何の日】

 1951(昭和26)年10月25日、戦後初の民間航空として日本航空の一番機「もく星号」が東京-大阪-福岡の定期空路に就航した。米ノースウエスト航空へ委託した運航だった。

 華々しい登場だったが、約半年後の翌年4月9日、日本の民間航空史上初の悲劇が起きる。羽田を飛び立ったもく星号は、伊豆大島の三原山に衝突、乗客・乗員37人全員が死亡した。

 当時のフライト料金が今とは比較にならないほど高額だったため、八幡製鉄(現・新日本製鉄)の三鬼隆社長や日立製作所の天利義昌常務、漫談師の大辻司郎ら搭乗者のほとんどが社会的ポジションが高いVIPばかりだった。

 天利氏は自宅を出る際、「きれいな下着に着替えているので死んでも見苦しくない」と語ったという。それが家族に残した最後の言葉になってしまった。

2010.10.25 ZAKZAK

増える共同浴場付きマンション

2010年10月23日 | 情報一般
昨年竣工したビオ・ウイング ユーカリが丘の共同浴場=千葉県佐倉市のニュータウン「ユーカリが丘」(山万提供)

増える共同浴場付きマンション 銭湯気分でご近所づきあい

 銭湯が年々減少する一方で、共同で利用する温泉や大浴場を併設したマンションが増え続けている。広々とした湯船で足を伸ばし、裸のつきあいができる“銭湯”は日本人の風呂好き文化を象徴する存在。マンション内の共同浴場が入居者間のコミュニケーションに一役買っている。(村島有紀)

 ◆ガス、水道代節約

 神奈川県真鶴町のリゾートマンション。都内に勤める会社員夫妻は露天風呂付きの共同大浴場(温泉)が決め手となり、購入を決めた。

 妻(37)は「露天風呂でゆっくりつかり、『幸せ』とつくづく感じます。名前も知らない入居者の方と話すこともあり、気楽に知り合いが増える」。夫(44)も「子供のころに住んでいた社宅の共同浴場のよう。父親が同僚たちと話していたあの独特の雰囲気を思いだしました」と懐かしそうだ。

 共同浴場付きマンションは、リゾート地に限らず都心でも人気だ。総合地所(東京都港区)は平成12年以降、首都圏と関西圏で23件の共同浴場付きファミリーマンションを手がけた。担当者によると、共同浴場の満足度は総じて高いという。キッズルームやシアタールームといったほかの共用施設と比べ、世代を問わずに利用され、特別なイベントがなくても老若男女が集い、コミュニケーションが図れるからだ。

 管理会社の総合ハウジングサービスによると、約600戸のマンションに併設するサイズの共同浴場の場合、維持費用(水道代除く)は年間約1千万~1500万円。1戸当たりの負担は月2千円程度となり、管理費全体での割高感はないという。

 鹿島建設も19年と21年、千葉県佐倉市のニュータウン「ユーカリが丘」に2つの共同浴場付きマンションを建設した。週5回、午後4時から10時半まで利用でき、仲良くなった小学生と年配者が誘い合って浴場を利用するケースもあるという。ニュータウン開発を手掛けた山万の細川大介・街づくり推進室課長は「年配者や小さな子供のいる家庭に好評で、毎回利用する人もいる。自宅の風呂を使わないので『ガス・水道代、掃除の手間がかからず、助かる』という人もいます」とメリットを強調する。

 ◆子供のしつけに一役

 総合地所が開発・分譲したマンション「ルネ・エアズヒル」(神奈川県海老名市)。7年前に完成した593世帯の大規模マンションで、5棟の住居棟の中心に共有施設「エアズハウス」が建ち、中には体育館にキッズルームなどが入る。2階にある大小2つの共同浴場は、地下1500メートルからの温泉。多いときは1日250~280人が利用し、開場前には行列ができるほどの人気ぶりだ。マナーの悪い子供を注意するお年寄りの姿も見られる。

 8歳と5歳の孫がいる広嶋俊英(しゅんえい)管理組合理事長(55)は「入居当初は風呂の入り方について、議論がありました。そのうち、自然と迷惑をかけない入り方を保護者が気にするようになった。他人の子供は注意しにくいが、それでも多くの人とふれあうことでいろいろなことが身に付くのでは」と話している。
                  ◇
 ■多様化進む施設 

 厚生労働省の統計資料では、公衆浴場は「一般公衆浴場」と「その他」に分かれる。一般公衆浴場は、入浴料金が都道府県で決められた施設(銭湯)。厚労省によると、昨年3月末現在の全国の公衆浴場数は約2万8500軒で、そのうち「一般」は約5700軒で約2割。昭和45年には87%を銭湯が占めていただけに減少が著しい。

 一方で、駐車場を完備した健康ランドや温泉温浴施設、スポーツクラブの浴場などの「その他」は増加が目立つ。マンション併設型もそれで、入浴形態の多様化が進んでいる。

2010.10.23 産経新聞

サラリーマン年収5.5%減で考える生活防衛手段

2010年10月21日 | 情報一般
サラリーマン年収5.5%減で考える生活防衛手段

■衝撃の5.5%減

 民間勤労者の所得の実態を調べて、国税庁が9月に発表した「民間給与実態調査統計」によると、昨年12月末時点での民間給与所得者の平均年収は、前年から24万円(千円単位四捨五入。以下同じ)減って、406万円だった。調査開始以来、幅も率も最大の下落だという。

 5.5%減とは衝撃的だ。昨年12月末時点で消費者物価は対前年比-1.3%だったからこれを差し引くとしても、実質-4.2%もの大幅悪化だ。この種のデータについては、「実感」があるとか無いとか、感じ方に関する曖昧な話になることが多いが、これだけ大きな下落だと、多くの勤労者は生活条件が「実感として」悪化したと感じているだろう。

 昨年は、リーマンショック後の金融危機の影響を最大に反映している時期なので、今年も同じくらいのインパクトで悪化することはないだろう。しかし、完全失業率は昨年12月の5.2%に対して、今年の8月で5.1%とほとんど改善していない。先般、日銀が日銀としては異例ずくめの「包括緩和」に踏み切ったことからも想像できるように(内容的に異例であっても、規模とスピードの不十分さは「日銀的」だが)、今後、再び景気が悪化するリスクもある。

 事態がここまで酷くなると「生活防衛」という単語が頭に浮かんでくる。所得環境にこれだけの悪化が明白で、且つ今後にもリスクがあるとなると、サラリーマン皆がこれまでと同じ生活という訳には行かないだろう。とはいえ、具体的に何をしたらいいのか分からないのが、大方の読者の率直な心境ではないだろうか。

 今回は、「生活防衛」のための具体的な手段について考えてみたい。

■女性の稼ぎの厳しい現実

 生活の経済的条件を改善するにはどうしたらいいだろうか。

 アプローチの仕方として定石は、収入支出の費目の大きな部分から考えることだ。厳密には、個々の項目の金額の大きさではなくて、変化の余地の大きさが問題だが、何ならば大きく変えることが出来るかが分からない場合が多いのではないだろうか。個人差もあるが、一般的に影響の大きそうな項目から考えてみよう。

 個人の生活の経済的条件に最も影響の大きな項目は、いうまでもなく「稼ぎ」だ。

 真っ正面から考えると、自分の労働に対する稼ぎを増やせばいいのだが、転職やスキルへの投資など正攻法での改善は簡単ではない。若い適応力のある人は、成長余地の大きい海外に関わるビジネスに自ら飛び込む「人的資本の国際化」がベストなのかも知れないが、そこまで行けない人も多い。

 そうなると、働きを増やすことを考えることになる。

 一つは、副業だ。勤務先の仕事以外の仕事で収入を得ることが出来るようになると、トータルの収入が増える効果があるし、本業の失業や減給リスクに対するヘッジになることのプラスもある。しかし、現実問題として、多くの企業は社員の副業を就業規則で禁止していたり、禁止していないまでも嫌っていることが多い。副業は、合理的な生活改善策だし、本来は皆が持つべき権利だが、現実には副業を持つことが難しい場合が多い(これは解決すべき大きな問題である)。

 稼ぎに関して、多くの場合現実的な改善策は共稼ぎ、およびその条件改善だ。

 典型的な例では、夫婦世帯で、夫だけではなく、妻も稼ぐ形が考えられる。この場合、妻がどのくらい稼ぐことが出来るかが問題になる。

 国税庁の同じ調査の中に、性別・年齢層別の平均給与(年収)のデータがある。これを見ると、女性の場合、25歳~29歳で289万円、30歳~35歳で291万円と30歳近辺で年収のピークを迎え、その後は、65歳~69歳の201万円へと稼ぎが減っていく。他方、男性の場合は、25歳~29歳の355万円の後にも上昇を続け、50歳~54歳の629万円がピークとなる。年齢区分を取り除いて全男性の平均を見ると500万円、全女性の平均は263万円だ。

 女性勤労者の年収を「勤続年数別」で見ると、大学卒業で直ぐに就職した(且つ転職しなかった)と想定される勤続30年~34年まで、就職からずっと年収は上がり続けている。「10年~14年」(ほぼ30代前半)で289万円、15年~19年で333万円、20年~25年で348万円と上昇し続け、25年~29年の382万円、さらに30年~34年の387万円でピークを迎えている。この調査にはいわゆるフルタイムの正社員以外のパートタイム労働者やアルバイトなどを含むせいもあって男女差は大きいが、勤続年数を重ねることが出来ると、女性の収入も上昇していることが分かる。

 もちろん、女性の場合も、正社員で男性と同じ仕事をし続けていれば、職場の差、個人差はあるものの、年収の動きは概ね男性に準ずるものになるはずだ。

 女性が働くこと、夫婦で共稼ぎすることは、現在、「当たり前」でないまでも「普通」のことになっている。その前提で何が問題かというと、結婚や出産を機に女性が職場を完全に離れてしまって、復職しようとした時の労働条件が悪いことだ。

 女性の出産に対して理解のある会社は増えつつある。その間の給与支給は減ったり途絶えたりするものの1年ないし2年の「産休」を取得して、ほぼ元の仕事・元の条件に復職できる制度を持つ会社が増えた。これは、当然のことだ。

 しかし、こうした制度を利用して出産と初期の産後の育児を終えてから復職して稼ごうとしても、問題は少なくない。

 先ず、母親の仕事時間中に子供を預かってくれる保育園が足りない。これは、各方面から指摘を受け、政府も問題を認識しているのだが、スピーディーに解決する見込みがない。政府は頼りにならないという前提で、何とか手段を講じなければならない。

 保育園が確保できても、問題は終わらない。送り迎えの時間にピタリと間に合わせることが難しいからだ。早出も残業できません、という前提で、フルタイムの仕事をこなすのは、職種によっては非常に難しい。「お迎え」だけでも代わりにやってくれる人手があるといいのだが、核家族ではそうも行かないことが多い。

 付け加えると、母親の体力の問題もある。出産が高齢化していることもあり、仮に夫が協力的であったとしても、家事と職場を両方こなすことの体力的負担は大きい。

 ついでに指摘すると、出産年齢の高齢化は、多くの場合、経済合理的とは思えない。若年で低収入の時期の方が産休の機会コストは明らかに低い。会社の側から見ても、若手社員の2年よりも、中堅社員の2年が空白になることのダメージの方が大きいだろう。出産の高齢化には、晩婚化など他の問題も絡んでいるが、出産・育児をなるべく早い時点に持ってくることができれば、経済的にも体力的にもメリットは大きい。

 これらの問題を解消するためには、生活上の戦略が必要になる。

■住居費その他の生活コスト

 稼ぎの問題を脇に置いて、支出について考えよう。ここでも大きい方から考えるとすると、住居のコストが問題になる。

 不況と人口減を背景に、不動産価格も家賃もじわりと下がりつつあるが、昨年のような所得環境の悪化があっては、とても追いつかない。低金利ではあるが、将来がデフレで、労働環境も良くない可能性があるとすると、大きな債務を負って、資産を特定の物件に固定する住宅ローンには慎重にならざるを得ない。

 一方、前記のように共稼ぎで子育てをする生活を考えると、住居の立地はなるべく便利な場所がいい。一日に30分通勤時間が節約できるということは、夫と妻とで、往復2時間分の時間の節約が発生することを意味する。休憩に使うにしても、別の稼ぎ(端的には残業代)や自己投資(勉強や交友)に使うにしても、時間には間違いなく経済価値があり、これに鈍感ではいけない。

 また、地方によって生活の事情は変わるが、都市部では、便利な立地に住居を持つことが出来ると、自動車を持たなくても暮らせるようになることのコスト節約効果が大きい。自動車の代金、ガソリン代、保険料、加えて駐車場料金などを考えると、たとえば、東京都内で山手線の内側に住んでいる場合、公共交通を利用し、必要なときにタクシーを使うスタイルの方が毎月のコストはずっと安い場合が多いのではないか。

 近年、若者が自分の車を持つことに対してかつてほど欲求を持たなくなる傾向が指摘されているが、文化的に自動車が既に「格好いい」ものではなくなったことの他に、生活上の合理性を反映したものではないか。

■「緩やかな大家族」のすすめ

 地域差を考え、個人の住居に関する条件差の問題を考えると、誰にでも有効なアドバイスではないのだが、たとえば、夫婦の両親のどちらかが好立地な場所に持ち家を持っている場合、二世代同居型の住宅で暮らすことは、経済合理性がある。

 都会の住宅コストの大きな部分を占める土地のコストを節約できることに加えて、二所帯が生活上協力できることの効果が大きい。

 具体的には、子供所帯の方の妻がフルタイムで働く場合、保育園のお迎えを親所帯の誰かが代行してくれると、働く上での自由度が大いに増す。子供が小学校に入ってからも、下校後の子供(親世代からは孫)に関して、ある程度の面倒を見て貰うことが出来れば、大いに安心だ。食事等、生活はばらばらであっても、何かあった場合のバックアップが近くに存在することの安心感は大きい。

 親世代から見ても、子供や孫が近くにいることのメリットの他に、病気などのトラブルがあった場合に、子供所帯が近くにいることの安心があるだろう。

 協力し合うのは必ずしも親子でなくてもいいし、親子所帯が同じ土地に住むのではなく、近隣の「スープの冷めない距離」に住んでもいい訳だが、コストを節約し、土地・不動産の生産性を上げるという意味では、二世代住宅のような居住形態・生活スタイルは、もっと工夫されていいと思う。

 もちろん、嫁・姑の確執といった、人類にとって、世界平和の達成にも匹敵する大問題があるので、二所帯の距離感の慎重な調整が必要だが、たとえば、二世代住宅で当面の住居費負担を軽減することが出来れば、子供世代が早く結婚し、子供を生むことが、可能になる。一般に、結婚の条件として、男性側の年収が600万円くらい(都市部で専業主婦世帯として暮らすための必要年収の目途)を求めることが少なくないが、先の調査で男性の年齢別の年収を見ると、20代後半(25歳~29歳)で355万円、30代前半で427万円、となかなかそのレベルに達しない(平均年収が600万円を超えるのは、40代後半だ!)。

 振り返って考えてみると、戦後しばらくのまだ物質的に貧しかった時代は、大家族によって、生活における規模の経済性を発揮することで、多くの家庭が暮らしていた。今再び、当時のような大家族を主流のライフスタイルとして再構築することは現実的ではないと思うが、緩やかな大家族、具体的イメージとしては、漫画のサザエさんの一家よりも、もう少し緩やかなつながりだというくらいの生活スタイルを作ることができると、生活の生産性が上がるのではないだろうか。

■その他の問題

 生活防衛、一歩進んで生活改善のために、打つべき手はまだまだある。

 夫の稼ぎ、ひいては人的資本の価値をいかに増やすかという「働き方の戦略」の問題もあるし、保険を節約あるいは卒業(特に医療保険はいらないことが多い)するなどの生活コストの改善、加えて、金融資産をいかに運用するか(金融機関のためでなく、自分のために!)といった諸問題がある。

 これらの問題については、また別の機会に考えてみたいと思う。

2010年10月20日 ダイヤモンドオンライン
山崎 元 経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

1941(昭和16)年10月20日

2010年10月20日 | 情報一般
【きょうは何の日】太平洋戦争勃発に備え防空演習

 1941(昭和16)年10月20日、防火衣に身を包んだもんぺ姿の女性たちが東京・高田老松町(現在の文京区目白台)で防空演習を行った。敵機来襲、焼夷弾投下を想定したこの訓練は太平洋戦争が始まる1月半前。空襲警報が鳴り響き、消火にバケツリレーが走る。担架でけが人を運ぶ隣組、指導に当たる軍服姿も見える。

 軍部は国民総力での防空という思想に立って34年、近畿一円に大規模な防空演習をはじめて実施。対空警戒・消火活動・燈火管制などに一般市民を動員して、市民生活の軍事的統制の先導的役割を果たした。

 39年1月公布の警防団令により、防護団と消防組が統合されて「警防団」が結成。防空壕、防水槽を設置、防毒マスクの訓練を実施し、来る対戦に向けて、全国的に防空防火体制の強化を進めた。

2010.10.20 ZAKZAK

3位同士で日本シリーズも 日程の罠

2010年10月19日 | 情報一般
3位同士で日本シリーズも…首位に襲いかかる日程の罠

 そんなのあり?! パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは18日、公式戦3位のロッテがリーグ優勝のソフトバンクを破り、3勝3敗のタイとして日本シリーズ進出へ“逆王手”をかけた。きょう19日の最終戦でロッテが勝てば、今年の日本シリーズはロッテvs巨人という、両リーグ3位同士の対戦となる可能性が出てきた。

 というのも、中日対巨人のセ・リーグCSファイナルステージで、中日圧倒的有利という前評判が覆されそうな見方が関係者の間で出てきたからだ。中日は今季公式戦で巨人を15勝9敗と圧倒し、とりわけファイナルステージの舞台となるナゴヤドームでは9連勝中。しかし、日程的には有利と言い切れない。

 というのも、中日は、今月2日に公式戦全日程を終えて以来、17日間も1軍の試合から遠ざかった状態で、20日からCSに突入する。巨人はファーストステージで阪神を撃破したばかり。試合勘、勢いの差は明らかで、これでは中日に与えられている1勝のアドバンテージはあってないようなものだ。

 落合監督が「ふるいにかけなきゃいけない。のほほんとはしていられないってことだ」とCSを前に全員1軍登録抹消し、主力も控えも横一線に並ばせるという前代未聞の措置を取ったのも、長いブランクの間に緊張感が薄れるのをおそれたからだろう。

 それでも、ベストメンバーで臨んだ15日の宮崎フェニックスリーグ・横浜戦では、相手先発の21歳の阿斗里(今季0勝7敗、防御率6・51)に対しまさかの8回1安打1点に抑え込まれ、不安は広がるばかり。

 パ・リーグ優勝のソフトバンクも、9月26日の公式戦全日程終了後、中日と同じ中17日でCSファイナルステージ第1戦を迎え、思わぬ苦戦を強いられている。

 夕刊フジ評論家の安田猛氏は「今年のパのファイナルステージ第1戦は、ソフトバンク打線に打ち損じがあまりに多く、ブランクの影響を感じさせた。セのファーストステージでさえ、巨人も阪神も、投手も野手も何かエンジンがかかっていない様子だった。来季以降、日程の問題は考え直さなければならないのでは」と指摘している。

 データ的に圧倒的有利な中日が、巨人の勢いにあっさり飲み込まれるようなことがあれば、改めて日程の問題がクローズアップされることになりそう。しかし、いくら規定とはいえ、リーグ3位同士の日本シリーズなんて…。(宮脇広久)

2010.10.19 ZAKZAK