【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

のどが渇くと炭酸飲料を飲みたくなるのは

2010年06月12日 | 健康
【知りたくもない!?カラダの不思議】のどが渇くと炭酸飲料を飲みたくなるのは

 暑い日や、運動をした後など、のどが渇いた時に無性に炭酸飲料を飲みたくなることがある。普段はそれほど炭酸飲料が好きでなくとも、のどがカラカラになるとやってくる、炭酸飲料の不思議な誘惑。これはいったい何なのか。理学博士・健康医科学博士・栄養士で、『あなたの年収を3倍にする料理のパワー』(総合法令出版)の著者・臼井由妃さんに聞いた。

 「のどが渇いているときには、いろいろな条件がありますが、確かにスッキリとする炭酸飲料を飲みたくなることが多いですよね。これは、のどの動きと関係があるんですよ」

 のどの渇きについて、炭酸飲料と水とを飲んで比べた場合、のどがどう動くかという変化を実際に調べたデータがあるのだそうだ。

 「のどに測定する機械をつけ、筋肉の動きを比べると、炭酸飲料を飲んだときのほうが、『水を飲んだときよりも『ゴクゴク』というのどの動きが規則的な波型になるという結果が出ています。水を飲んだときよりも、のどを通るときのいわゆる『のどごし』が良いということがわかっているんですよ」

 対して、水を飲んだ場合には、ゴクゴクというのどの動きの波型は不規則になるのだという。

 では、この「のどの動き」が、のどの渇きとどうかかわっているのかというと…。

 「のどが渇いて、カラカラに水分がなくなっているときには、のどの筋肉の動きの波型が乱れた状態になっています。そのとき、水が入ってくると、乱れた波型の動きがさらに不規則になり、スッキリしません。一方で、炭酸飲料は、そんな乱れた動きを規則的に変えてくれ、感触が良いんですよ」

 さらに、炭酸飲料に含まれた甘味料による「丸みのある甘さ」が、のどの筋肉の動きの波型に影響するということも推測されるという指摘だ。

 のどがカラカラに渇いたときのコーラ、サイダーなどの「一口目」は本当に美味しいもの。それは、のどの動きの乱れが欲しているものなのかも。

2010.06.12 ZAKZAK

小沢系タレント候補 政変で無援地獄

2010年06月12日 | ニュース政治
谷亮子ショック!? 小沢系タレント候補、無援地獄

 菅直人首相(63)に寝首をかかれる形で、民主党の表舞台から排除された小沢一郎前幹事長(68)。その小沢氏の主導で、7月11日予定の参院選に初出馬を決めたタレント候補の陣営が戦々恐々としている。突然、ハシゴを外されたうえ、反小沢カラーが鮮明な新執行部では“特別待遇”は望み薄。どの程度の選挙支援を得られるかも不透明で、早くも“菅派”に変身する候補者も現れている。

 民主党から出馬するタレント候補は、芸能界からは岡部まり(50、大阪選挙区)、落語家の桂きん枝(59、比例代表)、歌手の岡崎友紀(56、同)、庄野真代(55、同)の4氏。スポーツ界からは五輪柔道金メダリストの谷亮子(34、比例代表)、体操銀メダリストの池谷幸雄(39、同)、競輪銀メダリストの長塚智広(31、茨城選挙区)の3氏で、いずれも幹事長時代の小沢氏から全面支援を取り付けて出馬を決断しただけに胸中は複雑だ。ある関係者はこう危機感をあらわにする。

 「たとえば岡部氏の大阪選挙区では自民、公明、共産、社民各党に加え、みんなの党やたちあがれ日本も候補擁立を検討しており、無党派層争奪戦の激化は必至です。そんな状況で、カネの問題で幹事長を辞任に追い込まれた小沢さんの強力なバックアップは、いくら知名度があるとはいえイメージ戦略が重要なタレント候補にとってはいまや重荷。ただでさえ今年はタレント候補に対する世間の風当たりも強く、小沢さんとの立候補表明会見は裏目だった」

 比例候補も必死だ。参院比例区は「非拘束名簿方式」で、個人得票の順位がそのまま党内の議席獲得順位となる。

 だが、小沢氏との幹事長業務引き継ぎをわずか5分で終わらせた「反小沢七奉行」の1人である枝野幸雄幹事長(46)は、「選挙区での協力関係から比例は連合系候補の当選が最優先で、タレント候補はあまり眼中にない」(永田町関係者)とみられているのだ。

 それだけに、政治アナリストの伊藤惇夫氏は、「比例のタレント候補の中でも、最も危機感が強いのは『小沢先生の応援は地球を覆うほどの愛』と豪語してしまった谷亮子」と指摘する。

 「小沢氏の期待が最も高かった比例候補は間違いなく谷ですが、もともと政治家とトップアスリートの両立など実現不可能で、谷の擁立がタレント候補のイメージを悪化させた部分は大きい。現執行部もそのことは重くとらえており、特別待遇どころか立候補取りやめを打診したり、谷自身が辞退する選択肢が浮上しても不思議でない。他の候補も似たようなもので、小沢氏に乗せられてタレント候補になったことは、本人にとってもプラスにならないでしょう」

 ただ、そんな逆風下でも、選挙のプロとして小沢氏が推す新人候補に張り付き指導する「小沢秘書軍団」の派遣は続く。

 「参院選は選挙区が広く組織票だけでは戦えないうえ、今回は与党だけに守りの選挙になってしまい、苦しい部分がある。無党派層の取り込みが必要で、その意味でタレント候補の存在は重要と考えている小沢氏は、幹事長辞任後も、各候補の下に有能な秘書を引き続き派遣しています。選挙が迫れば、さらなる浮動票取り込みを狙って『小沢ガールズ』も投入されることでしょう」(伊藤氏)

 ただ、当のタレント候補たちは、早くも「菅代表は鳩山前総理と共に民主党を結党し、政権交代を実現すべく党の礎を築いた功労者」(岡部)「僕も新しいイメージに貢献できるように努力していきたい」(池谷)などと、菅執行部をヨイショして小沢離れを見せ始めている。

 桂きん枝氏に至っては「菅新首相こそ“切り札”」として、谷の夫でプロ野球巨人の佳知選手を引き合いに、「9回ウラ、代打谷ぐらい。まだこんなバッターがおったんかいという感じ」とまで持ち上げた。

 だが、民主党幹部の1人は「正直、小沢さんの息がかかった有名人だけに、出過ぎた支援はできない」とにべもない。

 激戦の大阪選挙区に挑む岡部まり事務所は「小沢さんが幹事長を降りられても、何も変化はありません。やるべきことをやるだけというスタンスです」(広報担当)とコメント。一方、比例の谷亮子事務所は「まだ活動をスタートしたばかりで選対責任者も決まっておらず、現時点で特にお話しできることはありません」(事務所スタッフ)としている。

 鳴り物入りでヘッドハントされたものの、突然上司の庇護を失ったサラリーマンにも似た悲哀が、各陣営に漂っている。

2010.06.12 ZAKZAK

“電動バイク戦争”勃発

2010年06月12日 | ニュース一般
           ホンダのスクーター型電動バイク「EV-neo」

ホンダvsヤマハせめぎ合い “電動バイク戦争”勃発

 モーターで動く電動バイクをめぐり、ホンダvsヤマハ発動機が激しいせめぎ合いを演じている。四輪車の世界では、ガソリンエンジンとモーターで動くハイブリッド車が大人気。そこで低迷する二輪車市場の“起爆剤”として電動バイクが注目され、ベンチャーメーカーも加わってのエコバイクバトルが巻き起こっているのだ。

 ホンダは12月にも、配達業務を行う企業や個人事業主向けに電動バイク「EV-neo(ネオ)」をリース販売する。東芝製のリチウムイオン電池を搭載し、時速30キロで30キロ以上の距離を走れる。急速充電器を使用した場合は20分で約80%、普通充電器では約4時間で100%充電できる。

 当然、家庭用電源でも充電できる。

 「エンジン音がなくて静かなことから、新聞配達や宅配などでメリットがある」(アナリスト)という。

 価格は公表されていないが、リース料と電気代などの合計額は、ガソリンエンジンの排気量50ccの二輪車価格(10万~20万円)とガソリン代などの総額と比べると、3年間で同等となるように設定にする。

 2年後がめどの一般販売では、価格が40万円前後になるのではないかとみられている。

 ホンダはこの新製品の記者会見を4月に行ったが、販売の半年以上も前に発表するのは「異例のこと」(アナリスト)という。これはライバルのヤマハを意識してのことのようだ。

 そのヤマハは早ければこの夏にも電動バイクを一般向けに発売。価格は30万円程度と、低く設定するとみられている。

 電動バイクをめぐっては、地方のベンチャー企業であるオーシャンエナジーテクニカ(熊本)やイーモービル(宮城)が昨年から、製造・販売をスタート。価格は20万円前後となっている。

 大手にベンチャー企業も加わっての電動バイクバトル。バイク自体にはメリットとデメリットが混在しているようだ。

 「電動バイクが主流になってくれば、暴走族の騒音対策に役立つというメリットがある半面、音が静かという利点を悪用して、バイクによるひったくりを誘発する可能性もある」(業界関係者)

 いずれにしろ、普及するかどうかは低価格を実現できるかどうかにかかっているといえそうだ。

2010.06.12 ZAKZAK

◆フランス、初戦は引き分け サッカーW杯

2010年06月12日 | ニュース一般
フランス、初戦は引き分け サッカーW杯

 【ヨハネスブルク共同】サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会は11日、1次リーグA組の2試合でアフリカ大陸初開催の大会が開幕した。4年に1度の「サッカーの祭典」は、7月11日の決勝まで1カ月にわたって熱戦を繰り広げる。

 ケープタウンでは優勝経験国同士のウルグアイとフランスが対戦し、0―0で引き分けた。試合は日本の西村雄一主審と相楽亨副審らが審判団を務めた。ヨハネスブルクで行われた開幕戦は開催国南アがメキシコと1―1で引き分けた。

 第2日の12日はB組のアルゼンチン―ナイジェリアなど3試合が予定されている。日本は12日に合宿地のジョージから初戦が行われるブルームフォンテーンへ移動。14日にカメルーンとの第1戦に臨む。

2010/06/12 共同通信

海づくり大会 結び直したい山と海

2010年06月12日 | 社説
海づくり大会 結び直したい山と海

 全国豊かな海づくり大会が十二日から二日間、大きな湖や海のない県では初めて岐阜県で開かれる。森、川、里のつながりが豊かな海をはぐくむことを、清流のほとりで、あらためて心に刻みたい。

 「子どものころは、お祭りが何よりの楽しみじゃった。たらいにいっぱい伊勢エビや季節の魚介類を盛り付けて、森の神様に参るんじゃ、海の恵みをいつまでも、味わうことができますようにと」

 三重県志摩地方の海辺で育った古老の話。海の民が山の神を敬い、山の民が海の神を祀(まつ)る。そんな事例や伝説は、日本中に散らばっている。

 「森は海の恋人」という親しみやすい標語の力もあって、上流の森に漁師が木を植える「漁民の森」の運動は、宮城県気仙沼から全国に広がった。森の腐葉土をくぐって栄養を含んだ水が、海辺の海藻やプランクトンの生育には欠かせない。森が荒れれば魚や貝も育たない。産卵場所にも困る。干潟に微生物が集まらず、水の浄化作用に支障を来す。だから、漁師が木を植える。しかし、そのはるか以前から、海の民は森の力、山の民は海の力を知っていた。

 森の育てた栄養が魚や貝を育ててくれる。それを運ぶのが川である。森と海は川を通じて結ばれる。そのつながりの恵みを受けて暮らしていることを、里人たちは知っていた。ところが、それが、ダムや河口堰(ぜき)の建設や砂浜の埋め立てなどで寸断された。“恋人同士”であるはずの森と海、そして里の間も疎遠になった。

 そのために、下流部の伊勢湾では、海のいのちのゆりかごであるべき藻場が五十年前の百分の一に激減し、貧酸素化が進んで魚介類がすめなくなりつつある。降海型のアマゴであるサツキマスの減少は、寸断の象徴だ。

 岐阜県には確かに海がない。しかし県土の八割を覆う森林が、木曽、長良、揖斐の三川をはじめ、豊かな川をはぐくんできた。岐阜県に源流を持つ川が伊勢湾に流れ込む水の八割以上、富山湾の約七割を占めている。その意味で「海づくり」の県である。海なし県こそ開催地にふさわしい。

 今回は岐阜の大会だが、全国八つの海のない県と、その下流に広がる海が抱える課題も同様だ。十月には名古屋市で生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)が控えている。海なし県と海あり県の相乗効果で、失われゆく山、川、里、海のつながりを、もう一度強く結び直したい。

2010年6月12日 中日新聞 社説

【編集局デスク】首相唯一度

2010年06月12日 | コラム
【編集局デスク】首相唯一度

 幕末の志士、高杉晋作は洒脱(しゃだつ)な人柄だった。長州藩が保守派で占められ、死を覚悟して反旗を翻した彼は同志に「自分が死んだら、墓前に芸者を呼んで三味線を弾いてほしい」と遺言した。

 高杉の座右の銘は「人生唯(ただ)一度」である。同じ山口県出身の菅直人首相は、これを借用して自らの座右の銘とした。一九九六年に出した「日本 大転換」(光文社)で次のように解釈している。

 「人間の一生はつまるところ『時間』であり、この世の中に(略)生まれてきた以上、自分が納得できることにその時間を使おう」

 政治家としての信条にもつながっている。「一人ひとりの人々が自分の一生を納得して生きることのできる社会をつくりたい」

 高杉は幕末に「奇兵隊」をつくった。士農工商の階級があった時代に、下級武士、農民、商人、猟師らからなる部隊で、旧体制を倒す原動力となった。自由な発想で新しい時代の扉を開いた、といってもいい。

 そう書いた十四年前の本で、菅さんは日本転換のために現代の「奇兵隊」が必要だという。その思いが今度の「奇兵隊内閣」という名称になったらしいが、前途は多難のようだ。

 一つは政権基盤の弱体化である。郵政改革法案の今国会成立を見送ったことにより、国民新党の亀井静香代表の閣僚辞任を招いた。普天間問題で社民党の政権離脱に続き、連立する政党の党首を閣内から失った。

 もう一つは、小沢一郎民主党前幹事長の不気味さである。検察審査会による強制起訴の可能性は残されているが、そうでないと、全面対決となる公算が大きい。小沢前幹事長が「九月が本番」と繰り返すのは、民主党代表選で対抗馬を出すことを意味し、党の分裂につながりかねない。

 ここはもう、菅さんの「首相唯一度」の心意気に期待したい。

2010年6月12日編集局デスク
名古屋本社編集局長・志村 清一

中曽根康弘元首相が示す“混迷政治脱出"への光

2010年06月12日 | 情報一般
中曽根康弘元首相が示す“混迷政治脱出"への光
「政治家諸君、日本人であることの自信を持て!」

鳩山首相・小沢幹事長のダブル辞任で、民主党に激震が走った。後継の菅直人首相は、党内人事一新による「出直し」を図り、民主党の支持率は一時的に回復基調にある。しかし、前途には相変わらず問題が山積している。歴史的な政権交代を経てもなお迷走を続ける日本の政治に、明日はあるのか? 1980年代に戦後歴代3位となる長期政権を担い、日本が世界の大国に躍り出る基礎を築いた中曽根康弘元首相が、前回に引き続き「政治の進むべき道」を語る。外交・安全保障政策から財政・税制改革、そして国作りの大局観に至るまで、その提言は多岐に渡った。自らを「保守の王道」と称する中曽根氏は、今静かに日本の将来を見つめている。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 原英次郎・小尾拓也、撮影/加藤昌人)

――前回は、政局の行方や、民主党がとるべき外交・安全保障政策についてお話をうかがいました。日本にとって日米関係は確かに最重要事項ですが、アジアにおける安全保障の重要性も増しています。鳩山前首相も「東アジア共同体構想」を唱えていましたが、今後、日本はアジアにおいてどのような舵取りが必要でしょうか?

 それを論じるには、「基調がどこにあるべきか」をまず明確にする必要があります。基本的には、対米および自由世界を中心とした安全保障というベースに立つべきでしょう。それは、いわゆる「保守の純粋性」と重なるからです。

 現在は、中国も自由社会の理念を尊重して、対外政策を運営している。その限りにおいては、日本も善隣友好の理念を持って、アジアの発展や発言力の増大を目指し、隣国に協力していくべきでしょう。「東アジア共同体構想」も賛否が分かれているが、私も長期的な理念としてはそれに賛成です。それを一緒に推し進めていく相手は、やはり中国でしょうね。

 ただし、その際に重要となるのは、やはり首相のリーダーシップ。私も現役時代は、対米関係において米国の大統領と信頼感を築くことに尽力しました。トップ同士の関係が成立すると、その下で働く外務大臣もやり易くなる。外交は外務省がやるものではなく、官邸がやるものです。それが私の命題でした。

――中曽根さんも、首相在任時には各国と太いパイプを作り上げました。外交とは、やはり首相の個人的な哲学や資質による部分が大きいのでしょうか?

 現役時代は、米国のレーガン大統領、英国のサッチャー首相、中国の胡耀邦主席、韓国の全斗煥大統領といった各国首脳との信頼関係を築くために、外交努力に必死でした。特に米国のレーガン大統領とは、「ロン・ヤス関係」と呼ばれる信頼関係を築くことができ、お互いに共鳴し合う関係になれました。

 その経験から言えば、外交は政策よりも人間的な信頼感から得られる結果の方が多い気がします。小泉君(小泉純一郎元首相)のときもそうだが、今の政治家は外務省に頼り過ぎている気がする。官邸主導こそが外交の本旨であり、外務省は補助機関に過ぎないのです。

 そういう哲学を持った首相は、これまで私以外にはほとんどいなかった気がしますね。田中さん(田中角栄元首相)はそれに近いポリシーを持っていたが、自覚を持ってやってはいなかった。あのときは、大平さん(大平正芳元首相)が外務大臣として入閣していたから、意識的にはやりづらかったのかもしれませんが。

――韓国の哨戒鑑撃沈事件により、朝鮮半島は再び一触即発の状態に陥っています。北朝鮮問題は、アジアの新たな関係を築くうえで、障害になりませんか?

 かつて私は、日韓中の三国トップ会談を主張して、それを実現した経験があります。それについては、今でも関係者から敬意を払われている。この三国は、今後もアジアの発言権を強めていくための核となります。

 北朝鮮のような特異な国家には、特別な対処が必要になります。アジアの要となる中国と韓国との協力関係は、北を牽制してもらう意味でも重要ですね。

 ただし一方で、日本は米国と共同でそれを誘導していく必要もあります。やはり、アジア政策といっても、日米間の協力はこれまで通り必要でしょう。

―― 一方で、内政も重要なテーマです。リーマンショックに端を発する世界的な不況は、日本経済に深い爪痕を残しました。ここにきて、日本の景気は回復基調にあるものの、ギリシャの財政問題など新たな不安要因も出てきました。深刻な財政赤字や少子高齢化など、国の根本を揺るがしかねない構造的な問題も少なくありません。今後日本は、どんな国を目指していけばよいでしょうか?

 これも悩ましい問題ですね。これまで述べてきた対外戦略も、国内の政治がしっかりしたうえで展開されるべきものだから、民主党は対外戦略の妨害にならないよう、内政もきっちりやっていくべき。その際に、「平和福祉国家」「独立自尊国家」という2つの国家像を理想に掲げるべきでしょう。

――中曽根さんは首相在任中に、プラザ合意で円高を容認する代わりに、国鉄(現JR)、電電公社(現NTT)、専売公社(現JT)の民営化や金融緩和策などを通じて、内需拡大にも力を入れました。不況下にある現在の日本でも、内需拡大政策を続けるべきでしょうか?

 現在の民主党がやっているように、内需拡大政策は確かに必要な時期もある。しかし長期的には、内需拡大に過度に目を向けるだけでなく、外にも目を向けるべきでしょう。

 途上国支援は、支援した国々が発展した後に、日本も莫大な経済効果を期待できるという意味においても、重要な政策。日本も明治以来、先進国の経済をモデルにして発展してきました。

 そして、東京五輪で経済成長がピークに達した後、今度はアジアの途上国に対する支援協力に乗り出しました。それまでは日米間の貿易摩擦が最も重要視されていたが、繊維・自動車問題を抑えて、アジアに本格的に目を向けたのです。

 今では、これまで援助してきたアジア諸国の多くが経済発展を遂げています。ただし、科学技術や文化では、日本はそれらの国に対してまだまだ先行している。アジアに対して善意を持って助言や協力を行なうことは、日本経済の発展のためにも、ますます重要になると思います。

■小沢君なら官邸主導を実現できたかも新首相の菅君は多面的過ぎて個性が弱い

――現役時代には、予算編成の見直しや税制改革を通じて、財政問題にも積極的に取り組みましたね。

「増税なき財政再建」を唱えて発足した第二臨調(第二次臨時行政調査会)は、予算編成権を大蔵省から取り上げた初のケースでした。民主党は、今また同じようなことをやろうとしている。これについては評価できます。

 しかし、どこが主体になってやっているかが、国民には全く見えてこない。これまで、首相の指導力が見えてこなかったのです。我々の時代には、税制改革などは首相の先権事項として進めるべきものだったが、今は違います。

――民主党も事業仕分けなどを通じて、財政健全化に向けた努力をしています。しかし、全体的な戦略が官邸からは聞こえてきません。自民党との違いを出したいなら、予算や税制についても明確にする必要があるでしょうね。

 その通りですね。こういった問題は、官邸を中心とする高度な専門委員会が現実的に処理すべきでしょう。財務省が主導するのではなく、首相直轄の附属機関に権限を集約していく。その意味では、今の国家戦略室も、名前だけで力がないと言わざるを得ません。

――それに取り組むのは、並大抵のことではないでしょう。中曽根さんは以前、著書の中で「首相の思いは一種の狂気だ」と語っていました。それくらい気概のある政治家はいるでしょうか?

 小沢君(小沢一郎・前民主党幹事長)ならある程度はできるでしょう。だけど、新首相の菅君(菅直人)は多面的過ぎて個性が弱いから、少し不安が残る。

 私は国鉄改革をやったときに、まず国鉄総裁をクビにするところから始めました。財政改革も、それくらいの強い思いがないと実現できないでしょう。

――現在の日本は岐路に立たされています。今後はどのような国を目指していくべきでしょうか? 中曽根さんが考える「国作りの大局観」について聞かせてください。

 政治においては、日本が国際国家という自覚に立って、国際協力に挺身できる体制を整えることが大切です。同時に国内では、教育や福祉の充実を通じて、そういった国際的な考え方を、国民1人ひとりが持てるようにするべき。

 英国が大西洋の要であるように、日本は太平洋の要です。周囲を海に囲まれている日本は、内に籠もるのではなく、国際国家として生きていくしかない。貿易のみならず、政治や文化においても、日本の価値観が世界から共感を得られるように、アピールしていくことが大切でしょう。

――しかし、かつて日本人が持っていた美徳や価値観はかなり薄れてしまっていますね。

 これは残念な現実ですね。日本では2000年ものあいだ、天皇制をベースにした共同体が続いてきた。これほど安定した国家は、世界でも稀有な存在でしょう。「わびさび」「もののあはれ」も、西洋にはない日本人独自の価値観です。

 それを基にして、生活文化のベースができている。日本がこういった独自性を示すことは、世界の文明に貢献することにもつながると思います。だから日本人は自信を持ってよいし、もっと多面的視野からモノを見ることもできるはずです。

 私も首相時代は、サミットで外国の元首と議論するときに引けをとらないように、日本人であることの誇りや自信を常に胸に秘めていたものです。

――中曽根さんは著書の中で、よく「自分の中に国家がある」という言葉を使われています。日本人は、そういう気持ちをもっと自覚するべきでしょうか?

 そういう気持ちが薄い若い世代でも、五輪などの国際競技では、皆日本のために必死に応援します。そう考えれば、畳の上で米を食べて育ってきた昔ながらの日本人の価値観を、本質的には皆持っているはずです。

 政治に関して言えば、政治家が自信を持ち、国民がそれを応援する気持ちを養って行くべき。それは決して小さなナショナリズムではなく、世界に通用する日本の文化力を養う意味でも、大事なことだと思います。

2010年6月11日 ダイヤモンド・オンライン
中曽根康弘
なかそね・やすひろ/1918年生まれ。群馬県出身。東京帝国大学法学部卒。元衆議院議員、内閣総理大臣。1997年大勲位菊花大綬章受章。内務省、大日本帝国海軍を経て47年に衆議院議員初当選、以後連続20回当選。自由民主党で科学技術庁長官、運輸大臣、防衛庁長官、通産大臣、自民党総務会長、自民党幹事長などを歴任し、82年から87年まで内閣総理大臣(第71・72・73代)を務める。首相在任中に行なわれた主な政策は、国鉄・電電公社・専売公社の民営化、プラザ合意など。2003年政界を引退。現職は、財団法人世界平和研究所会長、新憲法制定議員同盟会長など。

菅首相所信表明 具体策なき現実主義だ

2010年06月12日 | 社説
菅首相所信表明 具体策なき現実主義だ

 菅直人首相の所信表明演説は具体策なき現実主義だ。「理念先行」と指摘された鳩山由紀夫前首相の反省を踏まえ、現実路線に傾いたつもりなのだろうが、具体策を語らなければ、現実は動かない。

 首相は演説冒頭、多くの国民の「長きにわたる閉塞(へいそく)状況を打ち破ってほしい」という思いが政権交代を実現させたと指摘した。この認識は正しいが、国民が、首相の口から聞きたいのは、閉塞状況を「どう打ち破るか」の具体策だ。

 首相はその答えとして、公共事業などに頼らず、環境や医療、介護分野などに予算を重点配分して雇用と需要を創出する「第三の道」を挙げ、経済、財政、社会保障を一体として強くすると述べた。

 「第三の道」で本当に経済、財政、社会保障を一体として強くできるのかはともかく、問題は財源をどう確保するのかだ。

 首相は「まず無駄遣いの根絶を強力に進める。次に成長戦略を着実に推進する」と述べた。

 無駄根絶を先行させる姿勢は当然だとしても、これまでの事業仕分けで財源を捻出(ねんしゅつ)できるのか、他の方法があるのか聞きたかった。

 首相が「財政健全化検討会議」創設を呼び掛けたところをみると、消費税率引き上げを与野党で協議したいというのが本音だろう。

 そこに消費税を選挙の争点から外そうという意図があるのなら見過ごせない。

 「政治とカネ」に、ほとんど触れていないことも気になる。政治不信を招き、鳩山氏と小沢一郎前幹事長の辞任に至った大問題だ。

 新内閣発足後、荒井聡国家戦略担当相の事務所費問題も浮上しており、この問題にどう取り組むか、首相として政治姿勢を示すべきではなかったか。鳩山、小沢両氏にも国民への説明を促すべきだ。

 外交・安全保障政策では「現実主義」を掲げ、米軍普天間飛行場の返還問題は、今月二十三日に沖縄県で行われる全戦没者追悼式への出席から始めたいと述べた。

 鳩山氏は就任後約八カ月間、沖縄県を訪れず、県民は不信感を抱いた。首相がまず沖縄を訪れることで、こじれた問題を解きほぐそうとする姿勢は歓迎する。

 ただ現実主義が現状固定の言い訳になってはならない。

 沖縄県民の基地負担を軽減するため、普天間飛行場の「国外・県外移設」など在沖縄米軍基地を抜本的に見直す、大胆で緻密(ちみつ)なビジョンを打ち出すべきだ。その構想力が現実を動かす力になる。

2010年6月12日 中日新聞 社説

6/12中日春秋

2010年06月12日 | コラム
6/12中日春秋

 <カメデス>と甲羅に白いペンキのようなもので落書きされたカメが、甲府市の舞鶴城公園の堀で見つかり話題になっている。随分と心ないことをする不心得者がいたものだ。

 堀には、飼えなくなって捨てられた数十匹のカメがしぶとく生息している。被害に遭ったのはそのうちの一匹だ。公園を管理する山梨県は、早く保護して落書きを消してやりたいという。

 カメといえば、政界で浮沈を繰り返しながらしぶとく生き抜いてきた亀井静香金融・郵政担当相の未明の辞任劇には驚いた。高い内閣支持率のまま参院選に突入したい民主党が、郵政改革法案の「速やかな成立」という党首間の合意を吹っ飛ばしたことが原因だ。

 連立離脱は踏みとどまり、後任に国民新党の自見庄三郎幹事長が就任。離脱すれば、郵政改革法案の成立は不透明になる。亀井さんにとってぎりぎりの選択肢だったのかもしれない。

 衆院での法案審議はわずか六時間だった。参院でも強行採決を繰り返し、イメージを悪くしたくないと新執行部は考えたのだろうか。次の臨時国会で時間をかけて、丁寧に法案審議することは賛成だ。

 それにしても、支持率が低迷すれば首相の退陣を求め、「V字回復」すれば会期は延長せずに早く選挙を、と訴える姿はあさましい限りだ。高い支持率に酔っていい気になっていると、しっぺ返しされるのも早いですぞ。

蓮舫氏入閣は「テレビ用」

2010年06月12日 | ニュース政治
蓮舫氏入閣は「テレビ用」=民主・渡部氏

 民主党の渡部恒三元衆院副議長は11日、TBSテレビの番組収録で、蓮舫参院議員が行政刷新担当相で入閣したことについて、「テレビの時代には、ああいう大臣が1人いることが国民の人気を取るのに大事だ。テレビ用大臣だ」と語った。

 また、渡部氏は「特定の業界や組織から頼まれて法律を定める、予算をつくる時代は終わった。終わったことを知らないものがちょっと威張っていた」と指摘、予算面などで自民党支持の業界団体などに圧力をかけた小沢一郎前幹事長を批判した。

2010/06/11 時事通信

郵政担当相交代 なんとも奇妙な決着だ

2010年06月12日 | 社説
郵政担当相交代 なんとも奇妙な決着だ

 郵政改革法案をめぐる混迷は、民主党と国民新党が確認書を交わすことによって、とりあえずは収拾が図られた形だ。しかし、日本郵政の今後の姿は、参院選を経た後の政治状況次第というのが、実際のところではないだろうか。

 それにしても奇妙な決着だ。郵政改革法案が廃案となり、臨時国会に先送りとなったことを受けて国民新党の亀井静香代表が金融・郵政担当相を辞任した。しかし、連立は維持し、同党の自見庄三郎幹事長が亀井氏の後釜として入閣した。

 今国会で郵政改革法案が成立できなかったことを亀井氏の辞任によってわびる一方で、確認書の中に、「同一法案を参院選後の臨時国会における最優先課題とし、速やかな成立を図る」という文言を入れることによって、郵政改革の見直しを再び約束する。

 目線の先にあるのは郵政関連票で、それをつなぎとめるため、大立ち回りを演じたということなのだろう。しかし、下手な芝居を見せられた印象をぬぐえない。

 確認書を取り交わしたとはいえ、郵政改革の見直しについて民主党側の興味はすっかりそがれている。連立を組んではいるものの、すぐに参院選だ。その結果によっては、国民新党がパートナーであり続けるとは限らない。

 菅直人首相の誕生で支持率が急回復した民主党にしてみると、参院選前に無用の騒動を引き起こし、マイナスに作用するのは避けたいということなのだろう。

 郵政改革の見直しについて、3月に政府案が発表された際、閣内から異論が噴出した。その中には当時財務相だった菅首相や、国家戦略担当相を務めていた仙谷由人官房長官の声もあった。

 ゆうちょの預け入れ限度額と、かんぽの保険金限度額を倍に増やす一方で、政府が株式を保有し続ける。暗黙の政府保証がついたゆうちょやかんぽの拡大は、中小金融機関にとって脅威で、民業圧迫との声があがっている。

 また、郵政改革の逆戻りについては、米欧から世界貿易機関(WTO)協定に違反すると指摘され、政府間で協議が行われている。

 もともと民主党は、ゆうちょやかんぽは縮小すべきだという考えだった。しかし、参院で単独過半数に満たないため、国民新党に引きずられる形で、郵政改革の見直しを受け入れてきた。

 いずれにしても、今の郵政改革法案には問題が多すぎる。国民や経済のためにどうしたらいいのかを、郵政改革の原点に戻り、仕切り直して再考すべきだ。

2010年6月12日 毎日新聞 社説

6/12産経抄

2010年06月12日 | コラム
6/12産経抄

 夏至まであと10日足らずとあって「短夜(みじかよ)」が続いている。ゆっくりと寝る間も与えずに、夜が明けてしまう。そんな夏の朝のけだるさなどを表す季語が「短夜」である。だが時として、もう少し艶(つや)っぽい意味で使われることもあったようだ。

 まだ「妻問い婚」の風習が残っていた時代、朝が早く明ければ男女の逢瀬(おうせ)の時間も短くなる。そうした嘆きも込められているらしい。これなら現代の若者にも通じるかもしれない。蕪村には「みじか夜や枕にちかき銀屏風(びょうぶ)」という、なにやら思わせぶりな句もある。

 昨日の未明、郵政改革・金融担当相の辞表をたたきつけた亀井静香氏も、短夜に対するような恨みを抱いたことだろう。今月4日に菅直人首相との党首会談で、郵政改革法案の「速やかな成立」で合意したばかりだ。それが1週間ももたずに反古(ほご)にされたのだった。

 双方の参院選への思惑もあり、連立解消とまではならなかった。しかし亀井氏らにとっては今、「オレたちの蜜月はそんなにはかないものか」と、腹立たしい思いかもしれない。それにしても、まるで「短夜」のような民主党政権の「店じまい」の早さはどうだろう。

 わずか6時間の審議と強行採決で衆院を通過させた郵政改革法案をあっさり廃案にし、国会を閉じるという。菅首相の記者会見や所信表明演説でも、論議を呼ぶような発言は極力、封印している。残りの会期でも論争の場はなるべく少なくという意図がありありだ。

 むろん小沢一郎前幹事長の政治と金の問題など忘れたかのようだ。参院選までは支持率を下げないため、波風を立てずにいきたいのだろう。分かりやすいといえばその通りだが、いつまでも「臭いものにフタ」が見抜けないような国民ではない。

◆南アはメキシコと引き分け サッカーW杯開幕

2010年06月12日 | ニュース一般
南アはメキシコと引き分け サッカーW杯開幕

 【ヨハネスブルク共同】4年に1度、世界を熱狂させるサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会は11日、南アのヨハネスブルクで開幕した。第19回W杯はスポーツ史の新たなページを開くアフリカ大陸で初の大会。サッカーシティー競技場での開幕戦で、開催国南アはチャバララが大会第1号ゴールを挙げたが、メキシコに追い付かれて1―1で引き分けた。

 旧黒人居住区のソウェトにある同競技場で試合前に行われた開幕式典では、華やかな衣装の出演者が歌とダンスでサッカーの祭典の雰囲気を盛り上げた。開幕戦のキックオフ前に南アのズマ大統領が開幕を宣言した。

 南アで約半世紀続いた白人支配を打倒し、全人種平等を勝ち得たノーベル平和賞受賞者のマンデラ元大統領が「南アおよびアフリカ全土に融合と誇りをもたらす」と熱望した巨大イベント。サッカーシティー競技場で7月11日(日本時間12日)に行われる決勝まで、計64試合に延べ300万人の観衆を呼び込む。マンデラ元大統領はひ孫が事故死したため、予定していた開幕式典と開幕戦への出席を取りやめた。

2010/06/12 共同通信

所信表明演説 指針裏付ける戦略示せ

2010年06月12日 | 社説
所信表明演説 指針裏付ける戦略示せ

 菅直人首相による初の所信表明演説が行われた。首相は悪化する財政への危機感を強調、税制抜本改革に向け、超党派議員による検討会議の創設を提案した。

 財政再建と同時に経済成長、社会保障の充実を進める意向も首相は示した。危機を直視し取り組む意欲は評価するが、難題を解決できると国民が信用するに足る戦略が演説で示されたとは言い難い。付け焼き刃でない議論が必要である。

 鳩山内閣を継承しつつ、どう独自色を打ち出すかが問われた。市民運動からスタートした自身の経歴をアピールしたのが印象に残ったが、総じてあっさりした内容だった。

 目立ったのは、財政への言及だ。首相はギリシャなどユーロ圏の混乱にふれ国債市場が信認を失うケースまで引き合いに出し、税制抜本改革の着手は不可避と明言した。消費税には直接ふれなかったが、税率アップを念頭に超党派議員による「財政健全化検討会議」を提言した。参院選後をにらんだ動きとして、注目に値しよう。

 同時に「経済(成長)、財政、社会保障を対立するものととらえる考え方は転換する必要がある」と三位一体の立て直しを強調した。だが、それを裏付ける戦略はこころもとない。20年度まで年平均名目3%、実質2%の成長を掲げたが、方策は抽象的な項目を寄せ集めた印象だ。

 地域主権改革、子育て支援、公教育の充実に関する薄味さが特に気になる。「強い社会保障」を目指すならば実施の主力となる自治体への分権は不可欠だ。潜在成長力も女性の社会進出、教育水準の維持が前提のはずだ。首相が言うところの公共事業中心、市場原理主義にかわる「第三の道」の中身があいまいでは、負担増へ国民の理解は得られまい。

 日米関係が揺らぐ外交は「『現実主義』を基調とした外交」を掲げた。普天間飛行場移設問題については辺野古沖に移設する先月末の日米合意を踏襲し、沖縄の基地負担軽減に努める基本を示すにとどめた。

 「現実主義」を強調したのは、鳩山内閣が沖縄基地問題で迷走した意識からだろう。では、前政権の「緊密かつ対等な日米同盟」の看板は外したのか。日米同盟を「国際的な共有財産」と強調するだけでは、いかにも説明不足だ。

 政治とカネの問題、政治主導の進め方などで各論にほとんどふれずじまいな点も大いに疑問である。消費税率引き上げにしても、財政再建で他党の協力を呼びかけるならば参院選の民主党公約でより具体像を示す責任があることは言うまでもない。国民が期待するのは、あくまで改革者としての首相である。

2010年6月12日 毎日新聞 社説

6/12編集手帳

2010年06月12日 | コラム
6/12編集手帳

 吉野弘さんに、『ぬけぬけと自分を励ますまじめ歌』という変わった題名の詩がある。その一節。〈他人を励ますのは、気楽です/自分を励ますのが、大変なんです/私は誰か、私は何か/知ってしまったあとだもの…〉

 自分を励ましかねて、つい、愚痴とヤケ酒に逃げることの多い身を省みては、詩人の言う〈大変なんです〉に深くうなずく。

 高度な技術や鍛え抜いた身体とともに、「自分を励ます」――不調でも劣勢でもその大変で困難な作業を怠らない競技者の、強靱な精神力に触れるのもスポーツ観戦の楽しみだろう。サッカーのW杯南アフリカ大会が始まった。

 ときに酷評もされ、目標の「ベスト4入り」を“高望み”で片づけられる悔しさも味わった日本代表である。選手一人ひとりが胸のなかで、みずからを大音量で励ましていることだろう。

 吉野さんには『怏と快』という詩もあった。〈「怏」の中に「快」がある/「怏」は、心楽しまぬこと/「快」は、心楽しむこと〉。過去の「怏」を糧に、夢の舞台で飛び切りの「快」を見つけてくれるといい。まずは14日、カメルーン戦の勝ち点3を祈る。