【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

早口な人とそうでない人との差は

2010年06月05日 | 健康
【知りたくもない!?カラダの不思議】早口な人とそうでない人との差は

 女優の黒柳徹子など、機関銃のように早口でしゃべる人を見ると、「よくあんなに舌がまわるものだな」と感心してしまうことがある。でも、そもそも早口な人と、そうでない人って、どんな差があるのだろうか。BCA教育研究所主宰者で『裏声のエロス』著者の高牧康さんに聞いた。

 「早口な人とそうでない人とでは、当然、一定の時間において、語彙の数に違いが出てきます。さらに、ブレスの長さが違います。ブレスの長さとは、一回の息継ぎで何秒間声を出し続けることができるかということ。これは、声帯の閉鎖状況(声門閉鎖)と関係があり、上手く閉鎖されていないと、息漏れした声となり、長く出し続けることができません」

 一般に健康な声帯では、1回の息継ぎで12~15秒ぐらい声を出し続けられるといわれている。これが10秒以下となると、「声門閉鎖不全」「声帯溝症」という疾病とされてしまうのだそうだ。

 「声帯の閉鎖が悪いと、誤嚥性肺炎を引き起こしたり、重たい荷物などを持つ力が弱まったりします。これらはタバコの吸いすぎ、老化などが主な原因です。つまり、早口で話す人は、記憶力や頭の回転の良さだけでなく、声帯を含む呼吸器官系の面から言えば、声帯の弾力性が保たれているので、息漏れも少なく、健康的であるといえるんですよ」

 さらに、早口の人は声が甲高いのが特徴という。

 「それは喉仏の位置が高いこととも関係しています。喉仏の位置が低めにあると、声門閉鎖がうまくいきません。さらに、舌の根っこと喉頭の上端はつながっており、発語の際、舌の動きも活発になるので、喉頭が下がり、舌が奥に引っ込んでいてはうまく言葉が作れません。そのため、喉頭が上がり気味のほうが舌が動きやすく、早口ができるのです」

 ゆっくりしたしゃべりは落ち着いて上品に見えるが、機関銃のように早口でパワフルに話せるということは、のどや頭・カラダの健康の証。アンチエイジングのために、たまには早口言葉でもやってみる?

2010.06.05 ZAKZAK

早くも“菅降ろし"民主内戦

2010年06月05日 | ニュース政治
早くも“菅降ろし"民主内戦…裏切られた小沢「報復」

 民主党代表選で決定的となった菅直人新首相(63)と小沢一郎前幹事長(68)の亀裂が、血で血を洗う権力闘争に発展した。小沢氏が、新首相が誕生したばかりの4日夜、9月の代表選での“菅降ろし”に触れたのだ。その前哨戦となるのが、「脱小沢」の現場指揮官となる党幹事長人事。菅氏は「反小沢」の急先鋒である枝野幸男行政刷新相(46)を据えたい考えだが、党内で異論がうずまき、巻き返しの動きもある。菅氏の「ノーサイド」の言葉がむなしく響く。

 「参院選に勝利して政権を安定化することで、本当の意味の改革が実行できる。そのときに、まさに自分自身が先頭に立って頑張ってまいりたい」

 4日夜、党岩手県連の集会で、小沢氏によるこんなビデオレターが流れた。衆参両院の本会議で菅氏が新首相に指名された直後に収録されたものだという。

 それだけでなく、小沢氏は同日夜、東京・赤坂のレストランで開かれた自らを支持する若手議員グループ「一新会」の会合で、代表選で小沢グループが主に支持した樽床伸二衆院環境委員長(50)が129票獲得したことについて、「あと90票で過半数だった。ちゃんとやっていれば過半数いけた」とブチあげたのだ。

 民主党中堅議員は「9月の党代表選に自ら立候補し、勝つ自信があるということではないか。これは事実上、菅降ろしの号砲だ」と解説する。

 菅氏は民主党代表に選出された際、「まず、『ノーサイド』の宣言をさせていただきます」と述べたが、小沢氏側近は「ノーサイドなんてあり得ない」と鼻で笑う。

 それもそのはず、菅氏側近から漏れてくる人事は「仙谷由人官房長官(64)、枝野幹事長」という「小沢氏に引導を渡そうとしているとしか思えない人事」(小沢氏周辺)だったためだ。

 小沢氏側の戦略ミスによる焦りも、戦線の拡大に拍車をかける。

 民主党関係者は「小沢氏は参院選に勝つために鳩山由紀夫首相(63)を退陣させ、菅氏が自分と良好な関係のまま新首相に就くことを想定していた。ところが、鳩山氏の退陣会見で『悪』のイメージを固定化され、菅氏が反小沢に舵を切った。小沢氏としては、鳩・菅に裏切られた思いだろう」と話す。

 対立の激化は、枝野幹事長構想に重大な影を落としている。

 小沢氏の側近・高嶋良充参院幹事長は、党役員人事や組閣について「露骨な論功行賞や身内だけを集めれば参院選にも影響する。挙党一致態勢が組める人事をしていただきたい」と注文をつけ、牽制する。

 菅氏の身内からも異論が出ている。菅氏に近いベテラン議員は「小沢の顔の前にやりを突きつけた形になる。ミステークだ」と述べ、菅氏に電話し再考を促した。

 また、関係者によると、側近である荒井聡首相補佐官(64)は3日夜、都内のホテルで菅氏に「枝野幹事長」を伝えられたが、「反対です。それでは支えられません」と断固反対したという。

 菅氏が仙谷、枝野両氏と3人で物事を決めることに、両氏が所属するグループ内でのやっかみも出始めている。

 民主党中堅議員は「最初の人事でコケたらリーダーシップを疑われる。しかも“脱小沢”の1丁目1番地といえる枝野幹事長人事で巻き返されたらなおさらだ。ただ、強行突破すれば小沢グループが非主流派で先鋭化するうえ、党内に及ぼすハレーションが大きい。いきなり綱渡りの人事だ」と話す。

 小沢氏が9月倒閣に動くならば、いわば枝野氏の人事は序章。今後、参院選の2人区の見直しや政策調査会の復活、小沢氏の政治倫理審査会や証人喚問の出席、検察審査会による小沢氏の処分などが待ちかまえているだけに、血で血を洗う戦いが至る所で展開しかねない情勢だ。

 菅氏が小沢氏に引導を渡すのか、小沢氏が復活するのか、永田町はこの最終戦争を固唾を飲んで見守っている。

2010.06.05 ZAKZAK

成田空港 新ターミナル検討

2010年06月05日 | ニュース一般
成田空港:新ターミナル検討 格安航空会社専用

 成田国際空港会社(NAA)は、現在ある第1、第2ターミナルとは別に、格安航空会社(LCC)専用の旅客ターミナルビルを新設する方向で検討を始めた。10月の羽田空港の国際線発着枠拡大を控え、「競争力強化にはLCC誘致が不可欠」と判断した。国土交通省も対応を急ぐよう指示しており、早ければ今秋にも具体的な計画を策定する。【山田泰正、斎川瞳】

 NAA経営計画部によると、専用のターミナルビルを建設した場合、どれくらいの就航希望があるか、韓国、中国、インドネシア、マレーシアなどのLCC約20社を対象に近く需要調査を実施する。9月にロンドンで開かれるLCCの国際会議で各社の意向を聞き取り、ターミナル建設を最終的に判断する。

 最有力の候補地は整備地区。現在は使われていないNAA所有の貨物上屋3棟を改装して暫定利用する計画が浮上している。搭乗手続きカウンターや待合室、飲食施設のほか、入管・税関などの業務スペースも設ける予定で、関係機関と調整を進めている。欧米から乗り入れ要望の強い自家用ビジネスジェット機のターミナルも併設。工期は2年程度を見込む。

 着陸料や施設使用料について、従来より引き下げたLCC向け料金体系の導入も検討中。NAAの村山憲治経営計画部長は「LCC就航は新たな需要を喚起し、利用者増が期待できる」と話している。

 ◇ことば LCC
 格安航空会社(ロー・コスト・キャリアー)。従来の大手航空会社と違い、人件費や営業・販売費など運航にかかるコストを抑えることで運賃を低く設定する。機内食を有料にするなど、旅客サービスも簡素化する例が多い。アジア諸国で成長が著しく、アジア地域では国際線旅客輸送量の10%程度を占める。

2010年6月5日 毎日新聞

民主党は裏切り政党を勘当せよ"

2010年06月05日 | 情報一般
細川政権に続いて、また民主政権を壊した社民党の大罪

 それにしても、やっと政権交代で選ばれた鳩山政権を瓦解させた社民党の罪はとてつもなく大きい。16年前、やはり非自民党で誕生した「細川・羽田」政権を壊したのが社民党の前身の社会党だった。また同じことをやったのだ。2度までも、自民党に代わる新しい政権を壊すとは、度し難い連中ではないか。

 社民党は、普天間問題でゴネて政権を飛び出しただけじゃなく、内閣不信任案、問責決議案にも「賛成」の意向を示して、鳩山首相を追い込んだ。この参院での社民党の問責決議案賛成が、鳩山辞任の決定打になった。

「社民党の参院議員5人が離れることで、民主党は国民新党を含めても、過半数といっても1議席上回るだけになっていた。小沢幹事長周辺は、何とか民主党内を引き締めてきたが、何人かの造反者が出るのは避けられない情勢だった。問責決議案が賛成多数で可決されたら、鳩山首相は片翼飛行になってしまう。参院で拒否された首相ということで、イメージはさらに悪くなり、参院選を先頭に立って戦えなくなる。そういう事情を説明されて、首相も辞任の決断をしたのでしょう」(政界関係者)

 社民党が、普天間問題を口実に“野党”に転じたのは参院選のためだ。とくに福島瑞穂党首は今回が改選。ここで目立って有権者にアピールする必要があると、テレビに出まくり、鳩山首相をなじってきた。党首がこれだから、社民党は鳩山政権と距離を置かざるを得なくなった。それで問責決議案が焦点になっていたのだ。

 だが、社民党は自分たちが推進してきた労働者派遣法改正などでは、民主党政権とは手を組んでいくと言っている。まったく身勝手、虫のいい連中だ。

 鳩山辞任後、新しい首相は社民党と連立協議に入るそうだが、そんなことをしたら、議員12人の弱小政党をますます付け上がらせるだけだ。また基地問題で撹乱されるだけ。鳩山問責決議が不要となった以上、民主党はこんな裏切り政党は勘当すべきだ。

2010年06月05日 ゲンダイネット

日航が黒字化1年前倒し計画

2010年06月05日 | ニュース一般
日航が黒字化1年前倒し計画…リストラも前倒し

 会社更生手続き中の日本航空が、2011年3月期の営業利益を250億円前後の黒字に転換させる収支計画をまとめたことが4日、わかった。

 会社更生法の適用を申請した1月時点の計画では12年3月期の黒字化を見込んでいたが、不採算路線からの撤退や人員削減を前倒しし、黒字転換を1年早める。13年3月期には1000億円超の営業黒字を目指す。

 日航は、新たな収支計画を8月末に裁判所に提出する更生計画案に盛り込む方針だ。収支計画を銀行団などに示し、資金面での支援に理解を求める。

 日航の1月の計画では、11年3月期の営業利益は630億円の赤字で、12年3月期に241億円の黒字になると予想。同時に、国内線・国際線計31路線からの撤退や1万5700人の人員削減を3年間で実施する方針を打ち出した。

 しかし、このリストラ策に対し、国土交通省や銀行団などから不十分との見方が出たため、日航は今年度後半で45路線から撤退するとともに、人員も今年度中に1万5000人程度を削減し、リストラを加速させることにした。コスト削減の上積みで、11年3月期に3年ぶりの営業黒字が達成できる見通しとなった。

 日航と企業再生支援機構は、日本政策投資銀行と機構が設定した6000億円のつなぎ融資枠のうち、5000億円程度を通常の融資に切り替えてもらうよう銀行団に求める方針で、新たな収支計画により理解を得やすくしたい考えだ。

 一方、過去に日航が策定した収支計画は、03年の新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)や、08年のリーマン・ショック後の景気悪化など想定外の事態に見舞われ、実際の収支が計画を大幅に下回るケースが多かった。今回も「欧州の経済情勢など先行きの不安要因が少なくない」(航空業界関係者)と指摘され、銀行団との協議が難航する可能性もある。

2010年6月5日 読売新聞

前首相に"金で票を買った"疑惑

2010年06月05日 | 情報一般
鳩山氏「子分に裏金」疑惑 民主代表の座カネで買う?

 総辞職して首相の座を降りた鳩山由紀夫氏に、「子分にカネ」を配り、民主代表の座を「カネで買った」疑惑が浮上した。母からの資金提供を巡り、「子分を養うためのカネ」指摘に色をなして反論していた鳩山氏のあの「否定」は何だったのか。

 疑惑は朝日新聞が2010年6月4日付朝刊で報じた。02年にあった民主党代表選を巡り、鳩山陣営にいた当時の衆院議員2人(現在はともに引退)が、鳩山氏の「公設秘書」らを通じて計300万円超を受け取り、「裏金として処理した」と証言した、と伝えている。

■国会での質問に「まったくの作り話であります!」

 記事によると2人は、金の使い道について、代表選における「党員・サポーター」投票制の登録料立て替え分の補てんに使ったと話している。登録料(当時、サポーターなら1000円)は本人が納めることになっており、立て替えは規則違反の疑いがある。「元」議員の1人は500人超の、もう1人は1000人以上の登録料を立て替えたとしている。また、鳩山氏側の政治資金報告書には「資金提供を示す記載はなかった」。

 鳩山氏側からは渡した資金の使い道の指示はなかったが、証言者の1人は「自費で立て替えた分を負担してもらったと受け止め、その穴埋めをした」と話したという。しかも、登録した名前の本人に「登録したことを伝えていないケースもあった」。

 この証言が事実なら、金で「党員・サポーター票」を買ったと言われても仕方ない状況だ。02年9月23日に開票された代表選の決戦投票で、鳩山氏は「国会議員・公認内定者」票では、菅直人氏に負けていたが、党員・サポーター票をもとに算出する「都道府県代表」票で上回り辛勝した。

 鳩山氏の「子分へのカネ」を巡っては、10年2月にも大きく注目された。鳩山氏が、元秘書の政治資金規正法違反事件に絡み、母安子さんから毎月1500万円の「子ども手当て」をもらっていたことが発覚して話題になる中、12日の国会審議で自民党(当時)の与謝野馨・元財務相がこう暴露したのだ。鳩山氏の弟、邦夫議員から聞いた話として、

「ウチの兄貴は、まあしょっちゅうおっかさんとこ行って、子分に配るカネ、子分を養成するカネが必要だって、おカネもらってたって」

 さらに、邦夫氏のところへ母親から電話があり、「あんたは大丈夫なの?」「あんたは子分がいないの?」と言われた、と邦夫氏から聞いたと話した。

 これに鳩山由紀夫首相(当時)は興奮して反論した。「まったくの作り話であります!」。民主党議員らから「冷静に、冷静に」と応援ヤジも飛んだ。由紀夫氏は続けて「母に対して、そのようなお金の無心、特に子分に配るお金をくれなんて言うわけありません。大体この議員の中で私からもらった人はいません。だれにも差し上げていませんから」と断言していた。

 邦夫氏は翌日会見し、由紀夫氏が母親に金を無心した、というニュアンスについては「母から聞いてない」と否定した。しかし、母との電話の会話で「お兄さんは子分がいっぱいいて、その世話とか面倒をみるのに大変お金がかかるという話だが、あなたには子分はいないの」と言われたことは「事実だ」と認めた。

■6月2日の首相辞任表明と何らか関係あるのか

 由紀夫氏の「言葉が軽い」ことは、今さら誰も驚かない。自身の資金管理団体を巡る偽装献金問題については、「裁判が終わった暁には、できる限り使途を説明したい」と話していたが、結局「検察が判断して結果を出した。基本的には資料の提出などは必要ない」とあっさり撤回した。由紀夫氏は、10年6月4日の首相退陣にあたり、退陣会見を開かない、という異例の対応を取った。こうした問題についての質問を避けていると受け取られても仕方がない。

 朝日新聞によると、上記記事の内容について鳩山由紀夫事務所に質問したのは、6月2日の首相辞任表明前だとしている。辞任表明の直近まで「続投に意欲」と見られていた由紀夫氏の心境の変化に、朝日新聞の取材が関係していたのだろうか。ちなみに、2日に由紀夫氏とともに幹事長職の辞職を表明した小沢一郎氏を巡っても、翌3日発売(首都圏など)の週刊文春(6月10日号)に、小沢氏に関する自民党時代の派閥のカネを巡るスキャンダルが報じられている。

 鳩山由紀夫事務所に電話で取材すると、

 「朝日にも答えたように、当時の事情が分かる者がいないのでコメントできない」

2010年06月04日 J-CASTニュース

6/4有明妙

2010年06月05日 | コラム
6/4有明妙

  春は桜色、夏はクチナシの香り。キンモクセイの甘いにおいが風に運ばれてくると秋を感じ、冬の寒さには凜(りん)としたツバキの花がよく似合う。

 寒・暖・暑・涼。季節のリズムにうまく寄り添いながら生きてきた昔の人は季節の移り変わりにとても敏感だった。例えば衣替え。6月になったら裏地のある「袷(あわせ)」は長びつ、たんすにしまい、暑かろうと寒かろうと「単衣(ひとえ)しか着ない」などと徹底していた。

 〝暦の中の美しい文学〟ともいわれる「二十四節気」などもちゃんと心得ていた。太陽の動きをもとに1年を24等分して定めた季節の移ろいだが、最近はすっかり鈍感になってしまった。「立春」「立夏」「夏至」「冬至」ぐらいは意識しても雪や氷が解ける「雨水」(2月19日)、芽吹いた草木の種類がはっきりとしてくる「清明」(4月5日)などはいつもやり過ごしてしまう。

 夏の始まり「立夏」(5月5日)、草木が茂って万物に生気が満ちてくる「小満」(5月21日)も過ぎ、間もなく「芒種(ぼうしゅ)」がやってくる。「芒種」とは稲など穂先のある穀物を植える時期とされ6月6日。

 これを過ぎたら「夏至」(6月21日)。1年で最も日脚が長く陽気盛んなころとされている。だんだん暑さが厳しくなる「小暑」(7月7日)、「大暑」(7月23日)が過ぎると「立秋」(8月7日)である。暑さは厳しいのに秋の〝気〟が立ってくるから「立秋」とはなんと風流な。

 季節の移ろいは人の心を穏やかにしてくれるが、権謀術数渦巻く政治の世界に身を置く人たちは季節を感じるひまもないだろう。混迷の政界、ポスト鳩山はいったい誰に。リーダーが決まると参院選が待っている。与野党激突、暑い政治の季節に突入する。(賢)

中曽根康弘元首相、迷走する政治に最終提言!

2010年06月05日 | 情報一般
中曽根康弘元首相、迷走する政治に最終提言!
「凶弾も恐れない気概が今の政治家には必要だ」

日本の政治は、まさに混沌としている。昨年、戦後初となる本格的な政権交代が実現したものの、政権をとった民主党は経済政策や外交問題で苦戦を強いられ、支持率が急落。6月2日、鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長は、そろって辞任を表明した。民主党は引き続き政権を担うものの、求心力の低下は避けられそうにない。一方、下野した自民党も急速に求心力を弱めており、政権奪回のメドは立たない。政治はこのまま羅針盤を失い、漂流を続けるのか?

日本が「世界の大国」の名を欲しいままにした1980年代に長期政権を担った中曽根康弘元首相は、現在の政界に警鐘を鳴らす重鎮の1人だ。激動の戦後、高度経済成長時代、バブル経済時代、そして平成の「失われた20年」を一貫して政治の第一線から見つめ続けてきた中曽根氏の目には、今何が映っているのだろうか? (聞き手/ダイヤモンド・オンライン 原英次郎・小尾拓也、撮影/加藤昌人)

――昨年、戦後初となる本格的な政権交代が起き、長年政権を担っていた自由民主党が下野して、民主党政権が誕生しました。しかし鳩山政権は、発足からわずか8ヵ月目で崩壊。混迷を続ける日本の政界に、二大政党制は本当に根付いたのでしょうか? 評価を聞かせてください。

 二大政党制が本格的に根付いたとは、まだ言えません。民主党は政策が安定していないし、支持勢力の恒久性も確立されていないから。

 政権をとった民主党も、復活を狙う自民党も、努力をしているのはわかります。ただ現実には、先の衆議院選挙によって2つの大きなブロックができただけの話であり、今の政治体制は、長期に続く国民の本当の意志の上にでき上がったものではない。

 このような状態では、「第三極」の台頭もあり得ない話ではないでしょう。

――自民党からは、渡辺喜美氏、鳩山邦夫氏、与謝野馨氏、舛添要一氏などが次々に離党し、既存の政党と合流したり、新党を結成したりしています。このような「第三極ブーム」は、今の二大政党が岐路にさしかかっているからでしょうか?

 民主党にしても、元をただせば過去の自民党の分派に過ぎない。今までは一緒だったものが、2つに分かれて対立しているだけです。民主党も自民党も、新しい時代に対応するための内部的変化が自由に起き、それを昇華できない鬱屈の状態になっています。そういう状況だからこそ、片割れ分裂が少しづつ起きているのです。

 今度の参議院選挙の結果いかんによって、再び政界再編が起きる可能性は十分あるでしょう。現在の新党の動きは、選挙結果を先読みして再編の先駆を期しているものです。

――今度の参院選の結果をどのように予測しますか? 民主党は、経済・外交政策において引き続き苦しい立場に置かれており、支持率の回復も難しいと思われます。

 ひょっとしたら自民党が多少優勢になるかもしれないが、まず互角でしょう。新党では、みんなの党あたりが票を伸ばし、他は伸びないでしょう。

 渡辺喜美君(みんなの党代表)は、お父上の渡辺美智雄氏に瓜二つです。お父上と能力も宣伝力も同じくらいはあると思う。ただし、個性や自己主張を持っている点が買われていても、解散総選挙を経ないとそれは定着したというわけではない。

 政治家は、国民の判定を受けることによって自立し、成長していくもの。今の若いリーダーたちは、本格的な選挙を2~3度経験する必要があるでしょうね。政治家にとって、選挙はそれほど重要なもの。だからこそ、政界では政治家の当選回数が重視されるのです。

――中曽根さんは、首相在任中の1986年に衆参同日選挙で大勝した経験をお持ちです。政治家が厳しい選挙を勝ち抜くために、必要な資質は何でしょうか?

 衆議院選挙の場合なら、解散総選挙に打って出る政治指導者の決断力の強さ、そして政治の進路に対する強い確信ですね。国民の支持を得るためには、自分の信念や決意を深く印象づけなくてはいけません。それはまさに「信頼される力」です。

■前首相の祖父・鳩山一郎元首相は政党政治家としての真骨頂を示した

――しかし、今の政治家からはあまり強い信念が見えてきません。辞任した鳩山由紀夫首相に信念の強さを感じましたか?

 昔の人ほど感じないです。失礼な言い方かもしれないが、いまだに母上から政治資金をもらっている「良家の子弟」という印象が拭えません。

 お父上の鳩山威一郎氏(元外務大臣)は、私の東大(東京帝国大学)の同級生でした。(由紀夫首相を)祖父の鳩山一郎元首相と比べれば、雲泥の差と言ってもいいかもしれない。一郎氏は、明治・大正を通じて鳩山家が持ち続けていた政治的な遺伝子を、明確に持っている人でした。

 彼は、軍部に対抗して、官僚政治家ではなく政党政治家としての真骨頂を、政策においても政治的態度においてもはっきり持っていた。しかし、孫の由紀夫氏になると、やはりそういう面は見えなかった。

――その「弱さ」は何が原因なのか? 時代の流れで仕方ないことなのか? 政治家としての鍛錬が足りないのか、それともポリシーが弱いのでしょうか?

 個性の弱さでしょうね。一郎さんは、明治以来の典型的な政治家でした。原敬も浜口雄幸も、戦前の首相には暗殺された人も少なくなかった。そういう場面を目の当たりにしているから、昔の政治家は強かったのでしょう。

 彼らには、「暗殺も凶弾も恐れず」という気概があり、政治に身を奉げる気持ちや、一心不乱に努力する姿勢が、今の政治家とは比べ物にならないほど強かった。

 戦後の首相では、石橋湛山さんも印象的でしたね。彼はいわば「禅坊主」のような人で、政治家としての権威を持つ前に、人間としての権威を持っていた。

 もともとジャーナリストだったこともあり、戦前軍部に面と向かって抵抗していた根性の座り方は、戦後のGHQ(占領軍最高司令部)に対しても変わらなかった。今の時代に、あれだけの信念を持った人は、そうそういないですよ。

 私も戦争に行って、勝つか負けるかで生死が分かれるという経験をしています。後の政治家人生は、その延長線上にあった気がする。しかし、今の政治家には、そういう気概が感じられませんね。

――今の時代に、それほどの気概を持った政治家はいるでしょうか?

 小沢君(小沢一郎・前民主党幹事長)に、そういう気概を少し感じますね。彼には明朗さはないけれども、東北人特有の不敵さや根性を持っている。何回たたかれてもめげない。あれは、東京人にはない資質でしょう。しかし、暗い陰がつきまとう。明るさが見えない。

――鳩山首相と共に幹事長を辞任した小沢さんは、かつて核武装論までタブー視せずに主張したほど、ポリシーの強い政治家でした。しかし、政権をとった後はどちらかというとそういうイメージが薄くなり、政策面では社会民主的な主張が多くなっていた気がします。なぜでしょうか?

 基本的なポリシーは変わっていなくても、国民に対して「変化」を見せていたのでしょう。時代は絶えず変わり続けるもの。政治家もそれに合わせて変わっていかないと、時代に捨てられてしまう。だから、政治家は時代に鋭敏でなくてはいけない。小沢君は、そういうセンスを持っているのだと思います。

 しかしながら、民主党が政権をとるために社民党との連立を策したが、自主独立の要素も示さなければ駄目だった。

「不易と流行」ではないが、私も首相時代にはよく「風見鶏」と言われたものです。風見鶏は足許はしっかりしていて、体はいつも風の方向を向いている。不動の上に柔軟な対応も見せる。政治家には、時としてそういう姿勢も必要です。

――それにしても、今の民主党政権は足許さえおぼつかないように見えます。彼らが安定政権を維持するためには、どうしたらよいのでしょうか?

 もっと自民党との基本政策の相違点を明確に打ち出して、独自の政策や財政基盤を固めていくことが、政党の信頼度を高めていくうえで必要でしょうね。

 自民と一線を画した基本哲学や政策を明らかにしていく。それこそが、自民党の対抗勢力としての民主党の信用を確立するための、大事な要素です。政権を維持しようとしたら、本来はそれがないとダメ。自民党と同じだったら、意味がない。

――では、民主党は何をアピールすればよいのでしょうか? 今、中曽根さんが首相を務められているとしたら、何を重視しますか?

 やはり外交・安全保障問題でしょうね。ここには自民党と同じ点もあれば相違点もあり、これを明確にする。外交では、特に対米・対中政策が重要になります。民主党は旧社会党系の勢力を抱えていることもあり、これが徹底していない。

「政権党だから自民党と違うところを見せようと」という気持ちが強いが、基本が乱れて外交や安全保障に対する取り組みには、大きな綻びが見えていました。

 たとえば、対米関係です。普天間基地の移設については、「外国だ」「県外だ」と議論が二転三転した結果、結局は現行案に戻ってしまった。移設先の立地や工法についても、「杭打ち方式」から自民党時代の「埋め立て方式」へと帰着している。

 そもそも外交には、国策が一貫して逸脱してはならない「一定の幅」があります。それを逸脱すると、その影響が対外関係全般に波及してきて、両国の関係を破壊する危険性さえあるので、本当に難しいものなのです。

 しかし民主党は、「これまでと違うところを見せよう」とするあまり、かえって混乱を招いてしまった。米国にしてみれば、これは明らかな違約。民主党は、あえてそれをやらざるを得ないという苦しい状況に陥っています。

 野党が政権をとると、野党時代に言っていたことや、現実から遊離したことをあえて言わなければならない状況も出てくるもの。しかし、政権をとってみると、いずれはそれが無理であることがわかってくるものです。そのときは、国策の継続的基本線に従うことこそ肝要です。

2010年6月4日 ダイヤモンド・オンライン
中曽根康弘
なかそね・やすひろ/1918年生まれ。群馬県出身。東京帝国大学法学部卒。元衆議院議員、内閣総理大臣。1997年大勲位菊花大綬章受章。内務省、大日本帝国海軍を経て47年に衆議院議員初当選、以後連続20回当選。自由民主党で科学技術庁長官、運輸大臣、防衛庁長官、通産大臣、自民党総務会長、自民党幹事長などを歴任し、82年から87年まで内閣総理大臣(第71・72・73代)を務める。首相在任中に行なわれた主な政策は、国鉄・電電公社・専売公社の民営化、プラザ合意など。2003年政界を引退。現職は、財団法人世界平和研究所会長、新憲法制定議員同盟会長など。

出直しの道筋を示せ 菅新首相が誕生

2010年06月05日 | 社説
出直しの道筋を示せ 菅新首相が誕生

 菅直人氏が第九十四代首相に指名された。鳩山由紀夫首相の下で傷ついた民主党政権への信頼を回復し、「出直しの道筋」を有権者に示すことが急務だ。

 自民党所属歴がなく、二世議員でない首相就任は、一九九四年の村山富市氏以来、十六年ぶりだ。

 首相指名に先立つ民主党代表選では二百九十一票を獲得し、樽床伸二衆院環境委員長に百六十票以上の差をつけて当選した。

 参院選を控え、鳩山首相と小沢一郎氏の「政治とカネ」の問題や普天間飛行場の移設をめぐる迷走で失墜した政権への信頼回復を、菅氏に託したのだろう。

■政権の前途は多難

 とはいえ、菅氏が首相指名後の記者会見で「大変、身の引き締まる思いで大きな責任を果たさなければならない重責を感じている」と語ったように、前途は多難だ。

 まずは鳩山首相の退陣理由となった「政治とカネ」の問題にどう取り組むのかが、政権への信頼回復のカギとなる。

 市民運動出身の菅氏にはクリーンなイメージがあるとされ、代表選の政見演説では「できるだけ個人の皆さんからの浄財で政治活動を続ける気持ちで全力を挙げてやってきた」と語った。

 民主党は昨年の衆院選で三年後の企業・団体献金全廃を公約しながら手つかずだった。菅氏は企業・団体献金禁止へ指導力を発揮すべきだ。

 鳩山、小沢両氏にもそれぞれの政治資金規正法違反事件について説明を促す必要がある。役職を退いても説明責任は免責されない。

 米軍普天間飛行場の移設問題については、会見で「日米合意を踏まえるのが私たちの責任。日米合意、閣議決定文書でも沖縄の負担軽減は重要視している」と述べるにとどめている。名護市辺野古への移設を強行するのか見直すのか、明確にすべきだ。

■政策決定、再構築を

 経済政策も喫緊のテーマだ。

 本年度のように国債発行額が税収を上回るような予算を来年度も組むのか、社会保障の将来像や成長戦略をどう描くのか。

 菅氏は立候補会見で、財政再建、社会保障、経済成長を一体として進める考えを強調したが、その具体策は明らかではない。

 菅氏は財務相就任後、消費税率引き上げを容認する姿勢に転じており、首相就任後もその姿勢を堅持するのか、語る必要があろう。

 政策推進には「政策決定の一元化」の在り方を見直し、再構築することが不可避だ。

 菅氏は政見演説で、政権交代で廃止した、政策を議論する「党政策調査会」の復活を表明した。

 鳩山政権では政府と党が意思疎通を怠って混乱したケースがあった。高速道路新料金がその例だ。

 政策決定への不干渉を決め込みながら、政府が決めた政策を小沢氏の強い影響力でひっくり返すような政策決定の在り方は、一元化の姿には程遠い。

 政府と党が一体として政策決定できる体制を整えるべきだ。その際、無責任体制に陥らないよう留意する必要がある。

 そのためにも官邸機能の強化は避けられない。国家戦略局の創設を柱とする政治主導確立法案の早期成立を求めたい。

 小沢氏との距離をどう保つかも課題となる。

 菅氏は小沢氏について「(幹事長辞任後)しばらくは静かにしていただいた方が本人、民主党、日本政治にとっていい」と語った。要職には就けない決意だろう。

 内閣や党の要職に仙谷由人、枝野幸男両氏ら「反小沢派」を起用する意向からも、小沢氏と距離を置こうとする姿勢が見て取れる。

 ここ二十年ほど、政界に君臨してきた小沢氏に対する好悪が対立軸だったことは否めない。

 鳩山政権で再び顕在化した、「小沢支配」と揶揄(やゆ)される二重権力構造からの脱却は急務であり、新しい民主党の姿を示すためにも、「脱小沢」の姿勢を示す必要があることは理解する。

 ただ、小沢氏とその支持グループを排除すれば、すべてうまくいくという単純な話ではなかろう。菅氏には小沢氏の政治力をうまく使いこなす力量も問われている。

■参院選で審判下す

 首相が代われば衆院を解散し、総選挙で政権選択を有権者に問い直すのが筋だが、それが無理なら七月予定の参院選を民主党政権への評価を下す機会としたい。

 菅氏は参院選までに、副総理としてかかわった政権交代後八カ月余りを総括し、新政権が目指す「国造り」の全貌(ぜんぼう)と、実現に向けた具体的な道筋を示す必要がある。

 選挙の審判を経なければ本格政権にはなり得ない。菅政権が暫定政権に終わるのか、本格政権となれるのか。それを決めるのは有権者自身だ。

2010年6月5日 中日新聞 社説

6/5中日春秋

2010年06月05日 | コラム
6/5中日春秋

 二律背反の関係は、今風に言うなら、トレードオフか。昔ながらの文句なら<彼方(あちら)立てれば此方(こちら)が立たぬ>だ。落語にはこの<立てる>を<閉(た)てる>に掛けたシャレか、<九尺二間に戸が一枚>と続ける言い方もあるらしい。

 さて、民主党内で選挙に出るとなると、やはり、小沢一郎氏との距離で分ける「親小沢」「反小沢」がトレードオフになる。中間派という菅直人氏だが、事実上の新首相選びだった昨日の党代表選では結局、<彼方=親小沢>より<此方=反小沢>を立てる道を選んで勝利した。

 考えてみれば、政治課題の大方は<彼方立てれば…>の図式といえる。例えば、景気浮揚や福祉充実のため政府支出を増やせば財政は悪化するし、財政健全化のため支出を絞れば福祉は後退、景気は失速しかねない。

 これは各国共通の苦悩だろうが、新首相は「強い経済、強い財政、強い社会保障。それを同時に実現できる方策はある」と。いわば、これらをトレードオフの関係にはさせぬ、彼方も此方も立てるとの宣言だ。

 <双方立てれば身が立たぬ>とも言うから気になるが、風雨吹き込むこの国だ。どうやって広い間口を戸一枚で閉ってくれるのか。そのお手並みに期待したい。

 ただ前任者のことがある。首相に「言葉も行動も」と望むのは別にトレードオフではない。そのことを常に行動によって証明してほしい。

9月の代表選に出馬? 小沢氏

2010年06月05日 | ニュース政治
「選挙勝てば先頭に立つ」=9月の代表選に出馬?-小沢氏

 民主党の小沢一郎前幹事長は4日夜、党岩手県連の集会に寄せたビデオレターで、「参院選に勝利して政権を安定化することで、本当の意味の改革が実行できる。そのときに、まさに自分自身が先頭に立って頑張ってまいりたい」と述べた。9月の党代表選に自ら立候補する可能性を示唆したともとれる発言で波紋を広げそうだ。

 集会では、衆参両院の本会議で菅直人代表が新首相に指名された直後に、ビデオレターが収録されたと説明された。 

 また、小沢氏は同日夜、都内で開かれた自身を支持するグループの会合であいさつし、代表選で樽床伸二衆院環境委員長が129票獲得したことについて「私は立場上、動けなかったが、次につながる良い数字だ。あと90(票獲得)で首相が取れた。90なんて難しい数字じゃない」などと語った。

2010/06/04 時事通信

菅・新首相選出 日米同盟と経済を立て直せ

2010年06月05日 | 社説
菅・新首相選出 日米同盟と経済を立て直せ

 いかにもにわか仕立てである。鳩山首相の退陣表明からわずか2日後、後継首相に菅直人・民主党代表が選出された。

 これで大丈夫なのか、そんな懸念を払拭(ふっしょく)するためにも、菅・新首相は、外交・安全保障の基軸である日米同盟関係の修復と、日本経済の立て直しに全力を挙げねばならない。

 ◆戦略的視点が重要だ

 社会民主連合から初当選し、政界入りした菅新首相は、「市民派」の政治家と言われてきた。確かに市民感覚も大切である。

 しかし、今後は、国家指導者として、国民の安全と安心を守り、国益を重視するという大局的、戦略的な視点からの政治運営に努めてほしい。

 首相指名選挙に先立つ民主党代表選で、菅新首相は、樽床伸二衆院環境委員長を大差で破った。

 鳩山、菅、小沢幹事長の3氏による「トロイカ体制」のうち、「小・鳩」の2氏が退陣し、残る菅氏にお鉢が回ってきた。

 新首相は、厚相として薬害エイズ問題に取り組んで注目を浴びた。鳩山首相とともに民主党を結党し、小沢氏が党首だった自由党との合併も実現した。

 今回、党内の幅広い支持を集めたのも、多彩な政治経歴と高い知名度のためだろう。

 それにしても党代表選では、政策論議が乏しかった。民主党は鳩山政権の失敗の検証なくして出直しができると、本当に考えているのだろうか。

 菅新首相は、内閣・党役員人事に着手した。ここでは、小沢幹事長のように背後から首相をコントロールする「二重権力」構造を排除することが大事だ。

 ◆二重権力を排除せよ

 内閣の要の官房長官には仙谷由人国家戦略相が内定し、幹事長には枝野幸男行政刷新相の起用が有力視されている。

 新首相は、代表選出馬にあたり小沢氏について「しばらく静かにして頂いた方が、本人にも、民主党にも、日本の政治にとってもいい」と述べた。「非小沢」の仙谷、枝野両氏の重用は、小沢氏と距離を置く姿勢を示すものだろう。

 新首相は、小沢氏主導で廃止された民主党の「政策調査会」の復活も表明している。

 「政策決定の内閣一元化」方針により、停滞してきた党内の政策論議を、政調復活を機に活性化させる意義は小さくない。

 組閣人事は、週明けに先送りされたが、数々の重要政治課題は、待ってはくれない。

 菅新首相については、国家経営の基本的考え方や憲法改正への姿勢などがよくわからない、という指摘が多い。できるだけ早期に、国会の場で自らの所信を明らかにしてもらいたい。

 新首相は、「日本外交の基軸が日米関係にあるという大原則はその通りだ」と語った。だが、日米同盟は、米軍普天間飛行場移設問題をめぐる鳩山政権の失政によって深く傷ついている。

 普天間問題に関する日米共同声明を順守するのはもちろん、代替施設の位置や工法について8月末までに決定し、米側の対日不信を解消していくことが肝要だ。

 経済政策に関して、菅新首相は、「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現する」と強調している。

 財務相として、2011年度の国債の新規発行額を今年度以下に抑えることなど、財政規律回復の必要性を説いてきた。

 そのためにも、子ども手当などのバラマキ施策は早急に見直すべきだ。鳩山首相が現在の衆院議員の任期中、消費税率は引き上げないとしてきた“封印”をこの際、解いてはどうか。

 ◆官僚を使いこなそう

 政策を着実に遂行するには、「政治主導」の名の下の官僚たたきをやめる必要がある。

 専門的な政策の立案や危機管理の面で、官僚組織は有用である。政治家は、官僚たちをうまく使いこなせるだけの能力と度量を磨いていかねばならない。

 菅新首相は、国民新党の亀井静香代表と会談し、連立政権の継続で合意した。さらに、今夏の参院選の結果次第では、新たな枠組みの連立政権も想定されよう。

 数合わせを急ぐあまり、キャスチングボートを握る少数政党に振り回されることは、政治を大きく歪(ゆが)めることになる。

 民主党は、外交・安保の基本政策で相いれない社民党との連立がうまくいかないことを身をもって知ったはずだ。社民党との“復縁”などは考えてはなるまい。

 鳩山政権を崩壊に追い込んだ「政治とカネ」の問題は、鳩山、小沢両氏の退陣によっても、何ら解決していない。民主党がクリーンな政治をめざすというなら、両氏に国会で説明責任を果たすよう求めるべきだろう。

2010年6月5日 読売新聞 社説

6/5編集手帳

2010年06月05日 | コラム
6/5編集手帳

 船の重心が高い位置にある状態を指して「トップヘビー」という。頭でっかちでバランスが悪く、揺れたときの復元力が弱い。高波を受けて転覆することもある。

 「鳩山丸」の転覆もトップヘビーが招いた災いであったろう。脳内に愛用の言葉〈思い〉が詰まりすぎてか、あるいは、頭上に最高実力者の幹事長を重石(おもし)に戴(いただ)いてか、見ていて首が気の毒になる“頭でっかち政権”は約8か月の短命に終わっている。

 新しい首相に菅直人氏が選出された。鳩山首相を理想家肌の「頭」の政治家とすれば、菅氏は薬害エイズの実績が示すように「手足」も伴う政治家といわれる。小沢一郎氏という頭上の重石も外し、重心を低くしての船出になる。まずは、景気と普天間の高波に操船の腕前が試されよう。

 〈宰相が国なげだしぬくらげなす漂へる国いづち行くらむ 稲城市 山口佳紀〉。以前、『読売歌壇』で読んだ一首である。A氏、F氏、別のA氏、H氏、「宰相」とはさて誰を指すでしょう――という船長の名前当てクイズをつくることもできる

 不名誉な解答の選択肢に、新首相は「K氏」を付け加えてはいけない。

モンスター葬り去れる?菅首相誕生!

2010年06月05日 | ニュース政治
モンスター葬り去れる?菅首相誕生!官房長官も反小沢か

 民主党代表選が4日行われ、菅直人副総理兼財務相(63)が新代表に選出。その後、衆参本会議での首相指名選挙で、菅氏は第94代内閣総理大臣に指名され、ただちに組閣・党人事に着手した。女房役の官房長官には、仙谷由人国家戦略相(64)が内定。幹事長には枝野幸男行政刷新相(46)が有力との声が出ている。今後の焦点は「政治とカネ」の問題を抱え、強権的な党運営が批判された「闇将軍」こと小沢一郎幹事長(68)の影響力排除。永田町を表裏で動かしてきた政界のモンスターを葬り去ることができるのか。

 「まず、私からノーサイドの宣言をしたい。樽床(伸二衆院環境委員長、50)さんに投票された方も、私に投票していただいた方も、ノーサイド。これからは、現在の難しい政治、参院選を一致協力して戦おう。全員参加の党にしよう」

 代表選直後、菅氏は壇上でこう語った。官邸の主となる高揚感が漂っていたが、言葉の端々には気遣いも感じられた。

 それもそのはず、有効投票総数420票のうち、菅氏は291票で、樽床氏は129票。「反小沢」勢力に担がれた菅氏にとって、ほぼ無名ながら3ケタを大きく超えた樽床氏の得票は、「親小沢」勢力による無言の警告ともいえるのだ。

 その後、行われた衆院の首相指名選挙で、菅氏は313票を獲得。自民党の谷垣禎一総裁(65)は116票、公明党の山口那津男代表(57)は21票、共産党の志位和夫委員長(55)は9票、社民党の福島瑞穂党首(54)は7票、みんなの党の渡辺喜美代表(58)は5票、たちあがれ日本の平沼赳夫代表(70)は5票、新党改革の舛添要一代表(61)は1票だった。

 菅氏は衆参両院で首相指名を受けた後、組閣・党人事に着手したが、自民党の谷垣氏への挨拶で「8日に組閣する」と伝えた。

 こうした中、官房長官には「反小沢」系の重鎮である仙谷氏が内定し、後任の幹事長には枝野氏が有力視されている。閣僚には、岡田克也外相(56)や前原誠司国交相(48)、野田佳彦財務副大臣(53)、荒井聡首相補佐官(64)、蓮舫参院議員(42)らの名前が挙がっている。

 「クリーンな政党に戻そう」「私も、小沢氏も引く」-。鳩山由紀夫首相(63)が2日に行った劇的な退陣演説を受け、菅氏は同日夕には代表選出馬を表明した。しかし、党内最大150人規模の「小沢グループ」を敵に回すことは得策ではないと判断したのか、当初、自身が「反小沢」なのか「親小沢」なのかを明確にしなかった。

 ところが、代表選の焦点は「鳩山演説の影響もあり、『政治とカネ』の問題や強権政治から決別しようとするクリーンな『反小沢』か、選挙優先で歯向かう者には選挙資金すらストップする強権的な『親小沢』かに収れんされる形となった」(民主党関係者)。

 菅氏は3日、岡田氏や前原氏、野田氏らと相次ぎ面会し、選挙戦での支援を要請。この席で、「権力の二重構造は好ましくない」(岡田氏)、「影響力のある人が見えないところで影響力を行使するのが一番いけない」(野田氏)と、ルビコン河を渡るよう迫られた。

 同日夜、東京・永田町の党本部で開いた出馬会見。菅氏はやや紅潮した顔でこう語った。

 「『政治とカネ』の問題で(小沢)幹事長にも問題があり、辞職することになった。国民にある種の不信を招いたことについて、少なくともしばらくは静かにしていただいた方が、本人にとっても民主党にとっても、日本の政治にとってもいいのではないか」

 代表選直前の政見演説でも、こう訴えた。

 「何としても、日本の行き詰まりを打破する。まず、やるべきことは、国民の方々の信頼を回復すること。『政治とカネ』のケジメをつける。これは、全議員、全党員にもかかわることだ」

 まさに、小沢氏との決別宣言。新代表に就任した菅氏は4日午後、小沢氏が幹事長室強化のために廃止した政策調査会の復活まで打ち出した。

 小沢氏は1990年、史上最年少で自民党幹事長に就任してから、新生党代表幹事や新進党党首、自由党党首、民主党代表を歴任。「剛腕」「壊し屋」といった異名を持ち、与党にいても野党にいても永田町に君臨し、強い影響力を与え続けた。

 その一方、独断専行的な政治手法は批判を浴びた。逆らった者は敵とみなし排除するだけでなく、側近に気持ちを推し量らせて行う「忖度(そんたく)政治」を好み、政治を迷走させた。

 党内に3割程度の不満・反乱分子を抱えながら、菅氏は果たして、党役員・閣僚人事で、小沢氏だけでなく、小沢氏の意を受けて動く人物を排除する「小沢切り」ができるのか。

 政治評論家の小林吉弥氏は「菅氏は市民運動出身だけに、正義感が強い。小沢氏に輪をかけたような独善的な面もある。参院選が近いため、小沢氏に裏で選挙対策をやらせるだろうが、それを乗り切れば、徐々に影響力を排除する方向に進めていくのではないか。それでこそ、自身の存在感を高められる。一方の小沢氏は参院選で負ければ神話が終わる。参院選で勝てば再起を狙うはず」と語っている。

2010.06.04 ZAKZAK

菅直人新首相 政治立て直す指導力を

2010年06月05日 | 社説
菅直人新首相 政治立て直す指導力を

 菅直人新首相が誕生した。迷走を極めた鳩山内閣が9カ月足らずで退陣し、民主党の政権担当能力への国民の信頼が大きく揺らぎ、2度の失敗が決して許されない中で国政のかじ取りを担う。

 前政権の失敗を踏まえ政権の性格が変わったことを示すためには小沢一郎前幹事長との二重権力構造を招かない体制を構築し、組織優先でバラマキ型に陥った悪弊を改めることが必要だ。危機的状況にある財政再建、揺らぐ日米関係の再構築など内外の諸課題で責任ある方策を掲げ、来る参院選で国民の審判を仰がねばならない。

 ◇「脱小沢」を徹底せよ

 「日本の行き詰まりを打破したい」。菅氏は国会での首相指名後の記者会見で難局にあたる決意を強調した。だが、人事、政策については総じて慎重な言い回しに終始した。

 今回、民主党代表選の焦点は、鳩山由紀夫前首相と共に役職から身を引いた小沢氏の影響力排除をどこまで示せるかにあった。菅氏の貫禄勝ちだったとはいえ、小沢氏と距離を置く姿勢を明確にしたうえで樽床伸二衆院環境委員長に圧勝した意味は大きい。最大勢力である小沢氏系グループがキングメーカーとなる構図は幻想だったとすら言える。

 とはいえ「脱小沢」の明確な指標は、党の要の幹事長人事だ。小沢氏と距離を置く枝野幸男前行政刷新担当相の起用を検討している模様だが、仮に小沢氏への配慮から見送るようでは政権の足元を見られよう。

 国会で首相に指名されたにもかかわらず、組閣を来週に先送りした対応も異例だ。体制構築にある程度の日数をかけることはやむを得ないが、危機管理上、本来は首相指名選挙も延ばすべきではなかったか。

 菅氏に求められるのはトップの言動への信頼を回復するリーダーシップの発揮である。市民運動からスタートし、さきがけなどを経て旧民主党結党に参画した菅氏は非2世議員で、自民党に所属した経歴も持たないという近年の首相にないユニークさを持つ。ここ数代、ひ弱で資質が問われたリーダーたちとは異質のしたたかさを期待したい。

 だからといって、国民の菅氏を見る目が決して温かいわけではあるまい。鳩山内閣の副総理としても存在感を発揮したとは言い難い。かつて厚相として「薬害エイズ」に切り込んだ改革者のイメージを取り戻すには、前政権の路線継承を強調するだけではいけない。政策や政権運営の見直しを果断に進めねばならない。

 組織票対策があらゆる政策課題に優先したかのような選挙至上主義を捨て、開かれた党運営に改めることが大切だ。「政治とカネ」の問題も真に政界の浄化を目指すのであれば小沢氏らが説明責任を果たすことはもちろん、企業・団体献金の全面禁止など結果を見せねばなるまい。

 「脱官僚」の政治主導が機能しなかった総括も必要だ。政治家と官僚の役割分担を整理し、意思決定をスムーズに行う仕組みを再構築すべきであり、菅氏が会見で官邸体制の再構築に言及したのは理解できる。鳩山内閣では首相が政務、小沢氏が党務を分担する仕組みが機能せず混乱した。政権交代と同時に廃止された党政調を復活させることも賛成だ。

 ◇責任ある公約示せ

 内外の政策課題でまず直面するのが政権崩壊の要因となった沖縄・普天間飛行場の移設問題である。菅氏は辺野古沖に移設する日米合意を踏襲し、沖縄の基地負担軽減に取り組む姿勢を示した。だが、沖縄県や名護市の同意が得られるめどは立っていない。その一方で、8月末に工法など具体案の策定を迫られる。

 仮に調整に失敗すれば普天間飛行場の固定化という最悪のシナリオを招きかねない。当面の危険除去の検討を急ぐことはもちろん、首相自ら早期に沖縄に行き、失われた信頼関係の構築を急がねばならない。

 財政も危機的状況にある。菅氏はこれまで消費増税積極論者だったが鳩山前首相の「消費税4年据え置き」との方針を果たして見直すのか。指針を示さなければ、責任ある政治とは言えまい。

 その意味で、重要なのが参院選で有権者に示す党の公約だ。さきの衆院選で掲げたマニフェストはバラマキ型の内容ですでに財源の骨格が破綻(はたん)している。誤りは率直に国民に謝罪したうえで、実現可能なプランを示さねばならない。

 参院選は本来、鳩山内閣の中間評価の場となるべきだった。菅氏が小沢氏と距離を置けばその分、9月に任期満了を迎える代表選のハードルは高くなる。参院選である程度の結果を示せなければ政権運営が立ち行かなくなる事態も十分にあり得る。そうなれば民主党の政権担当能力が今度こそ問われる。

 一方で、自民党など野党も戦略の練り直しを迫られる。逆風が吹く鳩山内閣の下での参院選突入を本音では期待していた向きもあった。だが首相交代を受け、単純な与党批判から一歩踏み込んだ政策論争が選挙戦で求められよう。

 鳩山前内閣の混乱と挫折を決して無駄にせず、教訓として生かすべきだ。それは、与野党が共通して国民に負う責務である。

2010年6月5日 毎日新聞 社説