【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

1993(平成5)年6月9日

2010年06月09日 | 情報一般
【写真で見るきょうは何の日】皇太子さまと雅子さま、ご成婚

 1993(平成5)年6月9日、皇太子さまと元外交官、雅子さまの「結婚の儀」が皇居で行われ、お2人はオープンカーで新居となる元赤坂の東宮仮御所までの4・2キロをパレード。沿道で祝福する19万人に、にこやかに手を振って応えられた。

 仮御所では、ご夫妻のお世話をすることになる東宮職職員らの祝賀を受けられた後、午後6時から夫婦の契りを固める「供膳(くぜん)の儀」が行われた。

 お祝いの夕食のあと、午後9時からは寝室に餅(もち)を供え子孫繁栄を祈る「三箇夜餅(みかよのもち)の儀」が行われ、ご結婚初日の儀式が終わった。

 一連の儀式は、翌日以降も続き、11日に両陛下の主催で皇太子ご夫妻をはじめ皇族方、天皇家と小和田家の親族らが出席する内宴が開かれた。

2010.06.09 ZAKZAK

政府内で会期延長不要論高まる

2010年06月09日 | ニュース政治
「ボロでないうちに選挙だ」政府内で会期延長不要論高まる

 菅直人政権が9日、本格始動したが、政府・与党内で夏の参院選日程を左右する今国会の会期延長不要論が勢いを増している。「脱小沢」路線をブチ上げた菅氏への支持率が6割前後と高いだけに、「キレやすい“イラ菅”首相の失言など、ボロがでないうちに選挙をした方がいい」(中堅)との判断だが…。

 会期延長がなければ「6月24日公示・7月11日投開票」、2週間程度の延長ならば「7月8日公示・25日投開票」が有力だが、世論調査で「脱小沢」にかじを切った菅氏への期待値が高く、政党支持率も急上昇。「熱気が冷めない『ご祝儀』相場のまま選挙戦に突入した方が有利」(民主中堅)というわけだ。

 「菅隠し」や「イラ菅封印」の意味合いもありそうだ。

 菅首相は8日の記者会見で、「取材を受けることによって、そのこと自体が影響して政権運営が行き詰まるような状況も感じられる」と記者団の取材機会を抑制する考えを示唆していたが、首相官邸は9日、内閣記者会に対し、菅首相が記者団と直接やりとりする「ぶら下がり取材」について、従来の1日2回から1回にしたいと申し入れた。

 鳩山由紀夫前首相が米軍普天間飛行場移設問題で発言が迷走し、世論の支持を失った反省に加え、菅氏が短気ですぐにキレる「イラ菅」と呼ばれるだけに、説明不足の批判を浴びても、参院選までは失言しかねない場面を減らそうという思惑だ。

 9日には菅氏側近の荒井聡国家戦略相の事務所費問題が急浮上したことも、会期延長不要論に拍車をかけそうだ。

 しかし、連立与党の国民新党が「一丁目一番地」と位置づける郵政改革法案の今国会成立を要求しており、成立には会期延長は不可欠。法案の扱いは、全国郵便局長会など盤石な郵政票の動向に直結しかねない。

 国民新党代表の亀井静香金融・郵政改革担当相(73)は9日午前、「支持率が上がったから、高いうちに選挙をやっちゃえと考える人は立候補しなければいい。(郵政改革法案は)今国会でやるに決まっている。だから連立を組んでいる」と強調し、会期延長不要論をけん制した。

 ただ、延長しても郵政改革法案の審議が難航するのは確実。民主党内の一部には廃案論も浮上しているが、「今国会で郵政改革法案を成立させなければ、社民党が離脱した『第2の普天間』になりかねない」(民主党関係者)との懸念も漏れる。

 一方、民主国対筋は「すぐに選挙に入った方がいいに決まっている。郵政法案に関する国民新党との今回の連立合意は、『成立を図る』から『成立を期す』にトーンダウンしている。成立をにおわせて、郵政関連団体を走らせるだけで十分だ」と指摘している。

2010.06.09 ZAKZAK

小沢氏「一兵卒として力尽くす」

2010年06月09日 | ニュース政治
小沢氏「一兵卒として力尽くす」 枝野幹事長と会談

 民主党の小沢一郎前幹事長は9日夕、事務引き継ぎのため国会内で枝野幸男幹事長と会談し、難航する参院選沖縄選挙区の候補者擁立などについて簡単に意見交換した。会談はわずか2分間で終了。小沢氏はこの後、記者団に「私自身は一兵卒として当面、参院選の勝利に少しでも役に立てるよう微力を尽くしたい」と執行部に協力する姿勢を強調。菅内閣にも「国民の信頼を回復して、良い結果を得られるよう心から期待している」とエールを送った。

 会談は“小沢支配”の象徴といわれ、小沢氏と、側近議員で固めた副幹事長の仕事場だった幹事長室で行われた。

 小沢氏が協力姿勢を示したのは、支持率回復で勢いに乗る菅執行部との対立は当面避けた方が得策との判断とみられる。小沢氏周辺には、参院選の結果次第では9月の党代表選に独自候補を擁立すべきだとの声もある。

 小沢氏が公の場に姿を見せたのは、衆参両院で菅首相が選出された4日以来。党の新体制を決めた7日の両院議員総会も欠席したため、枝野氏が会談を求めていた。

2010/06/09 共同通信

金価格が最高値更新

2010年06月09日 | ニュース一般
金価格が最高値更新、リスク回避強まる

 [ロンドン 8日 ロイター] 8日の取引で金価格が上昇し、スポット取引市場で1オンス=1250ドルを上回り過去最高値を更新した。欧州経済の先行き懸念からリスク回避の動きが強まり、金価格は他の通貨建てでも上昇している。

 金スポット価格は一時1オンス=1251.20ドルに上昇。1515GMT現在は1246.80ドルで取引されている。前日終盤は1238.05ドルだった。

 金先物も上昇し、8月限は1254.50ドルと、過去最高値を更新した。その後は前日終盤比8.40ドル高の1249.20ドルで推移している。

 格付け会社のフィッチ・レーティングスが、英政府は公的債務の削減に向け厳しい課題を抱えているとの認識を示したことで、欧州経済の回復に対する懸念が高まった。

6月9日 ロイター

菅内閣発足 野党警戒感強める

2010年06月09日 | ニュース政治
[菅内閣発足]野党、警戒感強める…世論の支持高く

 野党は菅内閣の発足で夏の参院選の流れが民主党に一気に傾くことを警戒している。各種世論調査で菅直人首相への支持は軒並み高く、「菅氏くみしやすし」(自民党幹部)という当初の楽観論は吹き飛んだ。終盤国会で小沢一郎前幹事長の「政治とカネ」の問題を引き続き追及する構えだが、「小沢隠し」批判に頼る姿勢には、新内閣への攻め手を欠く苦悩が透ける。

 自民党の麻生太郎元首相は8日、東京都内で行われた同党参院選候補者の応援演説で「『あなたは静かにしてちゃいかん。堂々と説明すべきだ』と言ってはじめて、『小沢を抑えた』と言えるのではないか」と菅氏の「脱小沢」路線を批判。「本格的左翼政権が今日スタートする」とあおった。

 谷垣禎一総裁も7日、出張先の高松市で「左翼的な色彩の政権」と懸念を表明したが、8日の記者会見で「何が左翼的なのか」と問われ「漠然たる印象だ」と釈明。逆に「ためにする批判」という印象を強めてしまった。谷川秀善参院幹事長は会見で「上手に内閣を交代した。参院選を前に真剣に受け止めないと、えらいことになる」と述べ、焦りをにじませた。

 公明党の山口那津男代表は、菅内閣が鳩山内閣の閣僚の大半を引き継いだことを挙げ、「『ミニ鳩山内閣』と言わざるを得ない。脱小沢色を演出して表面を飾ったに過ぎない」と指摘。社民党の福島瑞穂党首も「事業仕分けで活躍した人たちが出てきた『事業仕分け内閣』だ。国民の生活を切らないようにきらりと目を光らせる」と陣容を批判した。みんなの党の渡辺喜美代表は「中身はまったく変わっていない。バラマキ路線は今後も継続する」と述べた。

 国会会期中に予算委員会が開催されるかどうかは野党の死活問題になっている。共産党の市田忠義書記局長は「幹事長や首相を辞めた人であっても、国会で真相を解明しないとクリーンとは言えない」と強調。たちあがれ日本 の園田博之幹事長は「予算委員会を開かないまま選挙に突入させてしまったら、野党がだらしないことになる。結束して会期延長させる」と語った。【中田卓二、岡崎大輔】

2010年06月08日 毎日新聞

アイルランドで日本を考える

2010年06月09日 | 新聞案内人
アイルランドで日本を考える

 5月、アイルランドに行った。2週間かけて車でゆっくりまわった。

 アイスランドの火山噴火による煙でヨーロッパの空港は閉鎖されひやっとしたが、二、三日前にやっとダブリン空港も再開したということであった。

 北海道くらいの大きさの島である。人口は450万。ほんとに、人より羊や馬の方を多く見た。レンタカーを駆ると実に雄大な景色である。山の中を行くと赤茶けた山肌に低い灌木が続く。緑なすゆるやかな牧草地帯もある。海辺はどこまでも石。モハーの断崖も息をのむ絶景だったし、世界遺産ジャイアントコーズウェイあたりも岩また岩である。

○「アラン」の世界

 そのむかし、ドキュメンタリーの名作といわれる「アラン」を見た。1934年制作、監督ロバート・フラハティ、アイルランド西岸沖のアラン島に住む素朴な半農半漁の生活を描いたものである。素朴ではすまない。自然と戦う厳しい生活といった方がいい。

 海は荒れ、魚の網は流され、人間までもが波にさらわれそうになる。男は岩を砕き、女は海藻を籠に背負って運び、岩の割れ目に海藻の床をつくってその上に種をまく。重労働だ。着ているものは手紡ぎ手織りの粗末なものだし、ランプに使う油を捕るために巨大なウバザメと二昼夜たたかう。

 そんな生活はもうないかと思っていたら、おなじように岩間に種をまく老人を見た。

 B&Bでのシャワーに飽きて温かい海藻風呂に入りにいくと、この海藻は一回一回取替える、そして砕いてオーガニック肥料にする、と書いてあって、いまも同じような事をしているのだな、とおもった。

 アイルランドはEUに加盟する共和国だが、アイルランド島の東北部はイギリス領北アイルランド。 IRA(アイルランド共和国軍)のテロなどがあったのはそう古い事ではないが、1997年の停戦以来は平穏がとりあえず維持されている。ボーダーらしきものはなかったけれど、入ったとたんにユーロが 使えず、ポンドの世界になって、水やビールも買うのに難儀した。

 城塞都市ロンドンデリーは歌で知っていた。城壁の外に1972年、イギリス軍の発砲で市民14人が死んだときの追悼碑がたっていた。ベルファストではたまたまオペラハウスの隣りのホテルで、スコティッシュバレーを観に行くと、「ロミオとジュリエット」の両家の紛争を英愛の諍いを想起させる演出だった。そのオペラハウスもテロにあって、ながらく封鎖されていたそうである。

○飢餓と移民

 アイルランドはEU 諸国の中では辺境である。1840年代のジャガイモの不作では餓死者が多出、移民はアメリカなどを目指した。国民は450万なのに世界中に8000万のアイリッシュがいるという。その子や孫でアメリカ大統領になったのがケネディやレーガン。オブライエン、オハラ、オコンナーなどはアイルランド系に多い姓で、やはりアイルランド移民のジョン・フォード監督は主演女優のモーリン・オハラとアイルランドのゲール語で話すのを楽しみにしていた。

 経済はひどい、と現地の人はいうが、車で走るとかわいらしい町が現れ、教会やお城を中心にショッピングモールがあり、ちゃんとしたレストランやホテルがある。夜になると地元の人たちがホテルのバーでギネスに代表されるエールを飲み、歌を歌い騒いで寝られない夜もあったが、すべてが大都市に集中しがちな日本より、健全な感じがした。イタリアへ行ってもそうだが、小さな町が自立して活気があり、すみずみまで血の通った感じがある。

 そしてダブリンのタクシー運転手が言ったとおり、アイルランドの田舎の人々はみな親切でフレンドリーで、ドアが開かないと何人も駆け寄って開けてくれるし、山中で車がパンクしたときも、通りすがりの人たちが心配してやって来て、連絡を取ってくれ、ことなきを得た。

 驚いたのは風景の中にコンクリートなど人工物のしめる割合がきわめて少ないことである。山岳部もガードレールなどない。つっこんでも芝生や灌木ならそれほど大事故にはなるまい。日本でよく見る醜いコンクリート擁壁もない。高圧鉄塔の林立もない(風力発電機は多く見た)。木の電柱は風景にとけ込んでいた。これはアイルランドに公共工事の予算がないためなのか?そうではないだろう。余分なものを作らないだけだろう。

○不必要なコンクリート

 京都府在住で日本の風景を残す活動をされて来たアレックス・カーさんは日経新聞5月17日付で 述べている。日本の公共工事はペースを緩めながらも続き「これ以上の環境破壊を防ぐという視点は欠けている」。

 「日本の公共事業の大きな問題点は、自然を不便で危ないものととらえ、自然を制圧する事が近代化、発展ととらえるところにあります。石が落ちると危険だと言って山をコンクリートで覆ったりするのがいい例です」。

 これは江戸時代から続く考えではなかろう。近代に入って土木産業で食う人が多くなり、それが官僚や天下りと結びついてこうした構造になってしまった。「かつて山紫水明といわれた国土がどうなっているか、その目で確かめてほしい」

 5月15日付読売新聞では片山善博慶大教授が鳥取県知事時代、県庁中枢の財政課や土木部を中心 に「誰のための公共事業なのか」と問うと「困っている建設業者のためだ」と悪気なく答える職員もいた、と証言している。

 アイルランドの風景の中に、そのような不必要なコンクリートはほとんどなかった。営々と人々が手で積み上げたストーンサークル、墓石、石垣や砦や蜂の巣と言われる住居はあったが、それらは手の温かさを伝える構造物であった。民主党は「コンクリートから人へ」という画期的な呼びかけを参院用マニフェストの原案から削ったが残念だ。新首相には復活を期待したい。

 政治的には、アイルランドはイギリス(イングランド)にさんざんいじめられてきた。1170年代にヘンリー2世の治下にはいり、1649-53年にはクロムウェルがアイルランドに侵攻、多数(あるいは万 単位)の犠牲者を出した。

 1690年ウィリアム3世と名誉革命で退位した前王ジェームス2世の内戦の舞台となったボイン川の戦場も見た。これらはカトリックとプロテスタントの宗教戦争の面も持っていた。しかしギリシア・ローマ文明とはことなるケルト文化の古層はいまもアイルランドに色濃く残っている。

 ダブリンのトリニティ・カレッジでうつくしい「ケルズの書」を見た時、イギリス=アイルランド関係に日本=沖縄関係の記憶がたぐりよせられた。古くからの独特の文化を残していること、辺境であり、抑圧されたからこそ生まれる文化というものもあるのではあるまいか。アイルランドではたとえば文学を見てもスウィフト、イエーツ、バーナード・ショウ、シング、ワイルド、ベケット、ジョイスまで、なんと豊かな水脈を保っていることか。

○安保について思う

 だからといって差別や抑圧を続けることはゆるされない。鳩山前首相ははじめて沖縄だけに基地 を押し付けている痛みを公式に問題にした首相だった。 沖縄から基地を減らす、あるいはなくす絶好のそして最後のチャンスだった。その言葉が、政治家としては木の葉を裏返すほどの力を持たなかったとしても、言ったことの重みは残る。アメリカの代弁者のように核抑止力の大事さをいい、世論をつくろうとするジャーナリストや学者よりよほど好感も持つ。

 核の傘とは、頼まないのに勝手にさしかけられた傘であり、在日米軍は日本を守るためではなく、アフガンやイラクに出撃するのに必要だからいるだけだとおもう。それは日本にとっては危険である。もう相合い傘での道行きはいやだ、と言ったっていい。憲法上、みずから攻撃しない国、二度も原爆を落とされた国に核兵器で攻撃してくる、なんて国はありえない。政局多事にふりまわされず、いまこそ国内で本質的な討論を重ね、独立国家として対等に安保について交渉できてはじめて「もはや戦後ではない」といえるのではないだろうか。そんなことを遥かアイルランドで考えていた。

2010年06月09日 新聞案内人
森 まゆみ 作家・編集者

ホンダに牙むく中国労務問題

2010年06月09日 | ニュース一般
ホンダに牙むく中国労務問題

部品工場のストライキで、ホンダの中国生産が止まった。賃金改善を求める従業員と会社側の交渉は暗礁に乗り上げる。労務問題が景気回復の牽引役である新興国に影を落とす。

 「生産への影響は恐らく軽微なんですが、心配しているのは賃上げがうちまで波及するかどうかですね」。中国でホンダと取引する、ある部品メーカーからはこんな声が漏れてきた。

 まさに青天の霹靂ーー。ホンダが全額出資する自動車用変速機の工場(広東省仏山市)の現地従業員が5月17日、賃金引き上げを求め、何の前触れもなくストライキに突入した。

 同工場はホンダが中国に持つ完成車組み立て拠点が使用する変速機の大半を供給する。ストによって部品工場は22日から全面的に操業停止。部品在庫が尽きた各地の組み立て工場も24日以降、操業中止を余儀なくされた。

 会社側は31日に、それ以前の初任給に比べ24%増となる1910元(約2万6000円)の額を提示したが、一部従業員と妥結できず、交渉は難航している。

 今や世界最大市場である中国の自動車生産は拡大の一途をたどる。ホンダも4月の現地生産は前年同月比28.7%増の5万8814台と、過去最高を記録した。そして相次ぎ増産計画を打ち出した矢先にストは発生した。

 「当面は在庫で賄える」(ホンダ)としているものの、ただでさえ供給能力が不足している中国で、1週間以上にわたる操業停止は手痛い。

 それにしても、テーマが賃金改善という一見単純な労使紛争で、なぜホンダはここまで手間取ったのか。

■全額出資が災い

 理由の1つには、不安定な労使関係があった。常識的に考えれば、ストライキは事前通達のうえで、労働組合による組織的な行動となる。ところが、同工場では日本のような組織化された労組も、厳密な集団労働協約もなかった。「あまりに突然だったことに加え、ストの中心人物を把握するために時間がかかった」(ホンダ関係者)という。

 また、中国の法制度もストを生む温床だ。中国の労働紛争に詳しい麗澤大学の梶田幸雄教授によると、元来、共産主義国の中国は憲法で労働者のストを原則禁止しているという。しかし、2008年に労働者の権利を保護する「労働契約法」が施行されると、労働争議は急増。2009年には60万件を突破した。加えて梶田教授は「政府の管理も甘くなっているのでは」と指摘する。

 さらに部品工場がホンダの全額出資であることも災いした。自動車メーカーが中国に工場を設立する際、完成車組み立ての場合は50%の出資比率を上限に、地場企業と合弁会社を設ける必要がある。しかし部品工場はその制限がない。

 日本貿易振興機構(JETRO)出身の経営コンサルタント九門崇氏は「合弁では、中国人にある程度運営を任せられるうえに、現場の従業員の考えも伝わってきやすいが、単独資本の場合は労使関係がぎくしゃくしやすい」と指摘する。現地人との間を取り持ち、仲介してくれるパートナーがいないからだ。

 今回は一時的な労働紛争とはいえ、他社への“延焼”の懸念も浮上してきた。既に中国では、韓国・現代自動車に部品を納めるメーカー工場で賃金改善を求めるストが発生したとの現地報道もある。今後、賃上げがホンダと取引する部品企業に及ぶ可能性もある。

 自動車業界内では「タイでも同様に賃上げを求める動きが出ている」との声も聞こえてきた。経済成長に伴い、新興国で賃金引き上げ要求が高まるのは必至。「人件費が安いから」という考えはいつまでも通用しない。

 必要なのはトラブルを事前に防止する仕組みを整えたうえで、いかにその要求に対応するかだ。今回のホンダの騒動は新興国で事業拡大を急ぐ、すべての日本企業に警鐘を鳴らしている。

2010年6月8日 日経ビジネス 2010年6月7日号より

転換期に挑む覚悟で 菅新内閣スタート

2010年06月09日 | 社説
転換期に挑む覚悟で 菅新内閣スタート

 菅内閣が発足した。政権交代への期待を引き継いだ菅直人首相は歴史の転換期に政権を担う使命を自覚し、国民のための政策実現に果断に挑んでほしい。

 日本近代政治史上初めて、有権者が選挙で首相を交代させた昨年の衆院選。民主党政権に託されたのは、日本の社会、経済、政治を覆う閉塞(へいそく)感の打破だろう。

 鳩山由紀夫前首相から菅氏への首相交代でも、有権者の求めるものが変わるわけではない。

 前政権でも数々の処方箋(しょほうせん)が示されたが有効さは証明されていない。菅氏はまず、日本再生へどんな具体策を示すのかが問われる。

■第三の道は険しく

 菅氏は就任会見で「政治の役割は人々が不幸になる要素を少なくする『最小不幸社会』をつくることだ」と述べ、財政再建を新政権「最大の課題」と位置付けた。

 経済成長鈍化で税収が落ち込む中、どう財政を再建するのか。菅氏が掲げるのが「第三の道」だ。

 「第一の道」が公共事業中心の需要拡大策、「第二の道」が規制緩和など構造改革路線で、「第三の道」は、成長が期待できる介護、医療、観光、環境などに予算を重点投入することだという。

 これにより、雇用が増えて経済成長を実現し、社会保障も充実する。「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体として実現する」というのだ。

 第二の道で、「勝ち組」と「負け組」との格差が広がったことは否めない。その修正に政府の役割を重視するのは一つの手段だ。

 かつて英国保守党のサッチャー首相は市場原理重視の経済政策を進め、これに対抗するために労働党のブレア首相が掲げた政策が第三の道と呼ばれた歴史がある。

 菅氏が採ろうとする経済政策を第三の道と名付けたことから、自らの役割を歴史の中で位置付けようとする意気込みは感じ取れる。

■普天間も新視点で

 とはいえ、第三の道を行くにも国の借金は八百兆円を超える。税収の落ち込みで、本年度は国債発行が税収を上回る異例の予算だ。

 菅氏は会見で「財政を立て直すことが経済成長の必須条件だ」と述べた。そのためにも事業仕分けで明らかになった税金の無駄遣いをなくし、歳出構造を抜本的に見直すことが先決だ。

 第三の道が消費税率引き上げの免罪符になってはならない。

 鳩山前首相退陣理由の一つである米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)返還問題も、今年が日米安全保障条約改定から五十年に当たるのを機に、歴史の転換期という観点からとらえ直す必要がある。

 菅氏はオバマ米大統領との電話会談で「鳩山政権の下で形成された合意をしっかり踏まえることが引き継いだ私たちの責任だ」と、名護市辺野古に移設する日米合意を継承する考えを伝えた。

 しかし、在日米軍基地の約75%が集中する沖縄県民の基地負担は限界を超えており、抑止力論では県内移設受け入れを説得し切れない段階まできている。

 ここはやはり、政権交代の原点に返って、沖縄にこれ以上の基地負担を強いることは日米安全保障体制を弱体化させかねないと警鐘を鳴らし、普天間飛行場の国外・県外移設を追求すべきだ。

 日米間では同盟関係を「深化」させる作業が進んでいるが、軍事面の協力に限らず、環境や核軍縮、テロ対応、エネルギーなど地球規模の課題にも対応できるよう「進化」させる必要もある。同時に、米軍のプレゼンスを徐々に減らせるよう東アジアの緊張を緩和させる、緻密(ちみつ)で大胆な日本独自の外交努力も求められる。

 菅氏は今月下旬、カナダでの主要国首脳会議(サミット)出席時にオバマ氏と日米首脳会談を行うが、この初顔合わせが、菅政権下の日米関係を占う試金石となる。

 「政治とカネ」の問題をめぐり、新しい閣僚・党幹部からは、企業・団体献金から個人献金への転換宣言も聞かれる。

 自立した個人が自らの判断で、民主主義のコストとして政治家に浄財を提供するという理想を追求する姿勢には好感が持てる。

 企業・団体が献金で政治を動かす時代ではない。新政権発足を機に、企業・団体献金を禁止すべきだ。菅氏の指導力に期待する。

■国民のため果敢に

 菅氏は就任会見で、自らの政権を幕末の志士、高杉晋作にあやかって「奇兵隊内閣」と名付けた。

 奇兵隊には武士以外からも参加していたという。世襲議員でなく、市民運動家から首相に就いた軌跡を奇兵隊と重ねたのだろう。

 自民党政権時代から鳩山前首相まで世襲議員の首相が続き、菅氏の首相就任は、時代の変わり目を象徴しているようでもある。

 奇兵隊内閣には、勇猛果敢に戦ってもらいたい。が、それは国民のためでなくてはならない。

2010年6月9日 中日新聞 社説

6/9中日春秋

2010年06月09日 | コラム
6/9中日春秋

 一度は愛想をつかされた。だが“恋人”はもう一度、チャンスをくれるという。

 昨日、菅首相率いる新内閣が始動した民主党政権はいわば、そんな状況かと思う。世論調査結果を見れば、鳩山さんの時、地に落ちていた支持は、今度の人事刷新でかなり回復したようだ。

 まったく奇妙な話だが、われわれは、父か祖父に首相経験者を持たない首相を、ここ五代で初めて持つことになる。歴史的政権交代後の首相としては「二番手」の菅さんに、国民がなお新鮮味を感じるのは、政界サラブレッドでないという点も大きかろう。

 自身も、昨日の記者会見で「サラリーマンの息子」を強調していたからそれは承知のはず。せいぜい結果でも違いを出して、やっぱり二番手はセコハン(セカンドハンド)、即(すなわ)ち“中古”だったと国民を失望させることがないよう心してほしい。

 会見では、幸福の追求は個人の領域で政治が目指すべきは「最小不幸社会」の実現だなどと信条を縷々(るる)語った菅さん。期待の膨らむ内容だったが、国民への最初のメッセージとあってか、安全運転の印象も強かった。

 まあ、思いが強く言葉の走った前任者の轍(わだち)がまだくっきりなのだから今は仕方がないか。多分、中森明菜さんのかつてのヒット曲『セカンド・ラブ』のような心境なんだろう。♪恋も二度目なら 少しは上手に 愛のメッセージ 伝えたい…。

中国工場スト拡大

2010年06月09日 | ニュース一般
中国工場スト拡大 台湾系工場で警官隊と衝突

 【上海=河崎真澄】中国の江蘇省昆山市にある台湾系機械部品工場で7日、賃金制度の見直しなどを求めてストを行った従業員ら約2千人と警官隊数百人が衝突し、従業員約50人が負傷した。8日、香港紙などが伝えた。同市には台湾系企業が3千社あまり進出している。当局では近隣工場への波及や同市に隣接する上海市で開催中の上海万博への影響を懸念し、ストが起きた工場の周辺に1千人以上の警官隊を投入して警戒にあたっている。

 従業員の自殺が相次いだ広東省深●(土へんに川)市の台湾系大手電子機器メーカー、富士康で半年間に2倍の賃上げが決まったことなどが影響したとみられる。同時に、中台関係をめぐる政治力の“逆転現象”が起きているとの見方から、台湾系企業の中国人従業員や労組が、低賃金労働を変えさせる機会ととらえている可能性がある。

 ストが起きた台湾系工場は、米国に本社を置く台湾系のKOKが1993年に設立した書元機械。従業員側は手当て支給などを要求、生産ラインはほぼストップ状態にある。

 また、香港からの報道によると、広東省仏山市でホンダの中国国内の完成車工場向けに部品を供給している地場資本のメーカー、豊富汽配の工場で、従業員ら約250人が7日からストに入った。

 さらに、同省恵州市の韓国系電子機器工場でも従業員約2千人が7日からスト。多数の従業員が周辺の道路を封鎖、警官隊とにらみ合っているという。深●市の台湾系電子機器メーカー、美律電子でも6日から7日にかけて数千人のストが発生した。湖北省随州市では紡績工場で大量解雇に対する抗議行動が起きたという。

 中国では年内にも、「同一労働、同一賃金」といった計画経済時代への逆戻りのような賃金体系を経営側に求める「賃金法」が成立するとの見通しもある。

 これを見越して、労組側がストを巻き起こしたとの指摘もあり、「事態がエスカレートすれば、ベトナムなどへの工場移転も検討せざるを得ない」(日系機械メーカー幹部)と懸念する声が出始めている。

6月8日 産経新聞

菅内閣「基本方針」 官僚との連携打ち出す

2010年06月09日 | ニュース政治
菅内閣「基本方針」、官僚との連携打ち出す

 菅内閣は8日夜、首相官邸で初閣議を開き、政権運営の「基本方針」を決めた。

 「脱・官僚依存」を掲げた鳩山政権で、官僚との連携の悪さが指摘されたことを踏まえ、官僚との連携を打ち出した。

 方針は5項目で、〈1〉政権交代の原点に立ち返り、信頼回復に邁進(まいしん)する〈2〉経済・財政・社会保障の一体的立て直しに取り組む〈3〉各閣僚は省益にとらわれず、一体となって取り組む〈4〉行政の無駄遣いを根絶し、行政の透明化を推進する〈5〉政務三役と官僚は、緊密に意思疎通を図り、一体となって真の政治主導による政策運営に取り組む――としている。

6月9日 読売新聞

菅内閣発足 国家戦略を明確に示す時だ

2010年06月09日 | 社説
菅内閣発足 国家戦略を明確に示す時だ

 迷走と失政を重ね、国民の期待を失望に変えた前内閣の轍(てつ)を踏んではなるまい。その政策と政治手法を大胆に転換する決断が求められる。

 菅内閣が8日、発足した。

 菅直人首相は記者会見で、経済運営について「経済、財政、社会保障を一体で強くしていく」と改めて強調した。外交面では「日米同盟を基軸とする原則は、しっかりと続ける」と明言した。

 ただ、こうした説明だけでは、菅首相がどういう日本を目指し、そのためにどんな具体策を講じるのかは明確でない。まず、骨太の国家戦略を明示してほしい。

 ◆首相官邸を機能させよ◆

 菅首相が閣僚・党役員人事を通じて、「小沢支配」排除の姿勢を打ち出したことは、民主党への支持を回復させ、「新しい政治」への期待を高めている。

 菅首相は野党時代、政府を追及する能力に定評があったが、鳩山内閣の国家戦略相や財務相としての実績は今ひとつだった。今後は首相として、着実に成果を上げなければ、世論の支持も長続きしないだろう。

 2007年以降、首相が毎年交代している。こんな不安定な状況では、財政再建や社会保障制度見直し、地方分権などの抜本改革は望めない。他国の首脳との信頼関係も築けず、国際社会における日本の存在感は一層低下しかねない。

 内閣の要の官房長官には、仙谷由人国家戦略相が起用された。

 前内閣は、「政治主導」を標榜(ひょうぼう)しながら、肝心の首相官邸が機能しなかった。鳩山前首相は指導力を発揮せず、平野前官房長官も総合調整役を果たせなかった。

 官僚も、「政治家から指示を受けるまで、自分からは動かない」という守りの姿勢に陥った。

 菅・仙谷コンビは、この反省を踏まえ、官僚機構を使いこなし、節目では首相官邸が決断を下す体制を構築する必要がある。

 与党との連携も重要だ。前政権では、内閣の方針が小沢一郎前幹事長に覆され、「政策決定の内閣一元化」は有名無実化した。

 それを改めるには、首相や仙谷長官と、枝野幹事長や、公務員制度改革相兼務の玄葉政調会長らとの緊密な調整が不可欠だ。

 当面なすべきは、参院選に向けて、昨年の衆院選の政権公約を大幅に修正することだ。政権公約は子ども手当、高速道路の無料化などバラマキ政策に満ちている。

 ◆税制で与野党協議を◆

 野党の自民党が消費税率の10%への引き上げを参院選公約に盛り込む方向なのに、政権党が次期衆院選まで税率を据え置くという無責任な対応で良いのか。

 菅首相は記者会見で、財政再建について「党派を超えた議論をする必要がある」と述べた。そう主張するなら、消費税率引き上げなど税制改革について、自民党との本格的な協議を目指すべきだ。

 岡田克也外相と北沢俊美防衛相は再任された。前首相の未熟な外交で傷ついた日米関係を立て直すには、米軍普天間飛行場問題を前進させることが欠かせない。

 地元・沖縄と地道に接触を重ね、基地負担軽減の早道は名護市辺野古に代替施設を建設する日米合意であることを、粘り強く説得しなければならない。

 前内閣では、与党・社民党の存在が外交・安全保障政策の足かせとなった。社民党の離脱を機に、新内閣は、日米同盟の強化や自衛隊の海外活動の拡充に取り組むべきだ。この分野では自民党との連携もあり得よう。

 財務相には野田佳彦副大臣が昇格し、直嶋正行経済産業相は再任された。日本の財政に対する市場の視線は厳しさを増し、国際競争力には陰りが見える。両経済閣僚には、危機を乗り切る明確な処方箋(せん)作りが期待される。

 疑問なのは、荒井聰国家戦略相が経済財政、消費者、食品安全担当を兼務することだ。民主党の目玉であるはずの国家指針の策定を軽視しているのではないか。

 行政刷新相への蓮舫参院議員の起用は参院選対策の色彩が濃い。事業仕分けの政治パフォーマンスの感覚では、独立行政法人や公益法人の改革は進むまい。

 ◆小沢氏には説明責任◆

 国民新党の亀井静香金融相は再任された。参院の与党議席は過半数ぎりぎりで、菅首相は、郵政改革法案の扱いなどで、国民新党の意向を無視できない状況にある。

 だが、前政権のように、少数政党に政府・民主党が振り回され続ける事態は避けるべきだろう。

 新政権が「政治とカネ」の問題にどうけじめをつけるかも注目される。菅首相と枝野幹事長は、小沢氏の幹事長辞任で「一定のけじめ」をつけたと語ったが、一般国民の認識とは乖離(かいり)がある。

 小沢氏は、少なくとも衆院政治倫理審査会に出席し、自らの疑惑について説明する責任がある。

2010年6月9日 読売新聞 社説

6/9産経抄

2010年06月09日 | コラム
6/9産経抄

 日露戦争時の外務大臣、小村寿太郎は29歳で判事から転じた外務官僚だった。しかし最初の10年ほどは翻訳局という地味な職場におり、目立たなかった。駐清国の公使館参事官に抜擢(ばってき)したのは当時の外相、陸奥宗光だが、任命をめぐる逸話がある。

 小村は米国に留学した欧米通だった。陸奥は「気の毒だが、しばらく北京で辛抱してくれ」と告げたという。だが小村は「喜んで北京に行きます」と答える。「欧米のことは座していても解りますが、清国のことは万事不可解なので研究したい」と述べ、陸奥をうならせた。

 その言葉通り、日清戦争直前の北京に乗り込んだ小村は、徹底的に清の国情を分析する。「日清開戦やむなし」の結論に達すると、こんどは彼我の戦力の比較に没頭した。7年後、駐露公使となったときも日露戦争を戦うことになるロシアを冷徹に見続けた。

 それから1世紀以上たち、新たな駐中国大使に伊藤忠商事元社長の丹羽宇一郎氏の起用が固まったという。異例の民間人起用だ。むろん丹羽氏自身の人柄には定評がある。中国政府と太いパイプを持つといわれる。だがそれで中国大使に最適任とは決して言えまい。

 中国は今、経済成長を背景に目に余るほど海洋覇権を求め、日本にとって脅威となっている。それだけに大使に求められるのは、中国と仲良くすることだけではない。小村がそうしたように、厳しい目で中国の意図を見定め、日本のとるべき道を探ることだからだ。

 気になるのは「脱小沢」以外新味の少ない菅新政権が、大使人事を政権浮揚の具にしようとしているように思えることだ。鳩山政権も普天間飛行場という安全保障問題をそうしようとして失敗した。小村の時代の厳しさに学ぶべきである。

脂肪溶かすたんぱく質発見 東京大

2010年06月09日 | ニュース一般
脂肪溶かすたんぱく質発見=抗肥満薬の候補に-東京大

 脂肪細胞内で中性脂肪の塊を溶かすたんぱく質を、東京大の宮崎徹教授らの共同研究グループが発見し、9日付の米科学誌セル・メタボリズムに発表した。副作用の少ない新たな抗肥満薬の候補になるとしている。

 このたんぱく質は「AIM」と呼ばれ、動脈硬化への関与などが知られているが、作用メカニズムは分かっていなかった。

 研究グループは、AIMをつくれないようにしたマウスが太りやすいことに着目。脂肪細胞で詳しく作用を調べたところ、AIMが細胞内に取り込まれ、中性脂肪の主成分である脂肪酸の合成を阻害することが分かった。この結果、余分に蓄積されていた中性脂肪の塊が溶け、脂肪細胞が縮小した。

 AIMのないマウスは脂肪細胞が大きく、通常のマウスより体重が1.5~2倍重い肥満状態だったが、AIMを注射するとやせた。

 宮崎教授は「もともと生体内にあるたんぱく質で、脂肪細胞にのみ作用するため、多くの抗肥満薬にみられる中枢神経系の副作用は認められない」としている。

2010/06/09 時事通信

菅内閣に注文する 財政再建の道筋示せ

2010年06月09日 | 社説
菅内閣に注文する 財政再建の道筋示せ

 菅直人内閣が発足した。ときを置かず早速、参院選を迎える。前政権末期に比べ支持率は急回復したが、気の抜けない厳しい船出である。

 就任後の会見で菅首相は「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体として実現する」と表明した。率直に言って、鳩山政権が残したものは「弱い経済、弱い財政、弱い社会保障」だった。どれも持続可能性に疑問符がついている。

 それを踏まえての決意表明と受け止めたい。だが、「一体」とはいうものの、まず「強い財政」に着手すべきであろう。すべての基礎だ。

 「コンクリートから人へ」そして「直接家計を温める」という民主党の経済政策は政治に清新の気を吹き込んだ。それによって経済格差を緩和し消費を喚起する。非効率な官僚組織の関与も排除する。ねらいはよかったが、結局のところ、財源不足で行き詰まってしまった。

 歳出削減やムダの見直しは広言したほどの財源を生まなかった。もちろん、歳出削減は常に必要だが、それだけでは予算が組めなくなっている。「強い社会保障」つまり持続可能な年金や健康保険、介護を実現する上でも、安定した財源が必要である。増税が避けがたいことを民主党も学んだと思う。

 自民党は参院選で「消費税率を当面10%とする」と公約する方針だ。民主党も中期的な財政再建計画を参院選前に明確に打ち出すべきだ。これは日本経済の今後を左右する課題である。政争と切り離し与野党協議で合意をさぐってもらいたい。

 そして「強い経済」。民主党は子ども手当などで家計を温め、税金で医療や介護の雇用を増やせば「強い経済」が実現できると考えているようだが、そうした需要サイドのテコ入れには限界がある。

 日本企業は国内で設備投資をしなくなった。生産設備だけでなく研究開発拠点まで海外に移しつつある。鳩山政権は産業界からは「反ビジネス」の政権とみなされ、その動きを加速した面がある。

 新政権は民間経済の活力を引き出すよう努めてほしい。国民新党との「今国会での郵政改革法案成立」の合意は逆コースだ。民間が自力で達成できる潜在成長率が年々低下していることにもっと危機感をもつべきだ。これは日本がジリ貧国家になっていることを示す。需要サイドとともに供給サイド=企業のビジネス環境の改善にも目配りが必要なのだ。規制緩和を大胆に進めよう。法人税など企業負担の見直しも検討課題だ。

 新規まき直し。「強い日本」の再現に期待したい。

2010年6月9日 毎日新聞 社説