【時事(爺)放論】岳道茶房

話題いろいろだがね~
気楽に立寄ってちょ~

11/9中日春秋

2010年11月09日 | コラム
11/9中日春秋

 面白い小説とは、物語の展開に読者を引き込み、急いで結末が知りたいと思わせるような作品だろう。ページを繰る手を止めさせない、英語でいえば、ページターナーだ。

 ところが、残るページが少なくなると逆に読む速度を落としたくなる本もある。退屈なのではない。その逆だ。素敵な物語であればあるほど、読者は読み終えたくないという気持ちに駆られる。読み続けることの愉楽を手放したくなくなるのだ。

 何かの完成、目標の達成、ゴールへの到着…。どれも、それを成し遂げたところに喜びがあるのは当然だろう。けれど、ゴールとは、ゴールに向かって進むプロセスが「終わる」ということでもある。

 目標達成で虚脱状態に襲われるバーンアウト(燃えつき)症候群は極端にしても、実は、結末でなく、過程にこそ喜びがある、ということは少なくない。<目的地に到着するより、希望を抱いて旅し続ける方がいい>とは以前にも紹介した英語の諺(ことわざ)だ。

 だから、中日ドラゴンズファンは喜んでいい。「リーグ優勝したうえで、日本一」の夢がかなわなかったおかげで、その夢を、まだ見続けられる。ロッテファンも、日本一になってしまったからって落胆することはない。そちらには「リーグ優勝したうえで…」の夢が、まだ残る。

 プロ野球シーズンもついに幕。読み終えずに済んだ物語の続きは、また来年だ。


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