ボロボロだけど…勝てば“菅"軍7・11向け進撃開始
菅直人首相(63)率いる「奇兵隊」内閣が夏の政治決戦「7・11」参院選に向けて進軍を始めた。連立政権を組む国民新党が今国会の成立を強く求めていた郵政改革法案の成立先送りを決め、最大の懸案事項が決着したためだ。国民新党代表の亀井静香金融・郵政担当相(73)が引責辞任したが、高い支持率を誇る首相にとっては「勝てば“菅軍”」。これで参院選の日程が固まり、臨戦ムードが強まっている。
「(民主、国民新の)両党間における約束を破られた。履行させることができなかった責任をとって閣内から去る」
亀井氏は11日未明、党本部での緊急記者会見で、国民新党が「一丁目一番地」と位置づける郵政改革法案が今国会で成立できないことを理由に閣僚辞任を表明。ただ、連立政権からは離脱しない。
これを受け、菅内閣は同日午前の閣議で亀井氏の辞任を了承。亀井氏は閣議を欠席した。一時的な事務代理は仙谷由人官房長官が務め、正式な後任には、同党の自見庄三郎幹事長(64)が内定した。
郵政改革法案の今国会成立を求める国民新党に対し、民主党の思惑は違った。首相交代で党勢の「V字回復」に成功しただけに、16日までの会期の大幅延長を見送り、参院選は「6月24日公示・7月11日投開票」の日程で行うことだった。
民主党の狙いは「失点隠し」。今国会会期末の16日か、1日延長の17日に閉じる方針で、民主党が重要法案だとしていた郵政改革法案や労働者派遣法改正案、国家公務員法改正案などは廃案や継続審議になる。それでも「国会を早く閉じれば、ボロが出ないまま参院選に突入できる」(民主中堅)という算段だ。
一方、国民新党は11日未明、民主党と合意した確認書を発表。郵政改革法案について参院選後の臨時国会で最優先課題として成立を図ることをねじ込んだ。民主党に押し切られた格好だが、実はチャッカリと法案成立の担保をとっているのだ。
亀井氏の辞任表明も「郵政団体向けのパフォーマンス」との見方がある。永田町事情通は「そもそも連立政権にいなければ郵政改革法案の成立も見込めない。離脱が無理なら自ら腹を切ることで郵政票を食い止めようとする亀井流の演技だ」と指摘する。
一方、首相も亀井氏と必ずしも関係が良好というわけではなく、「うるさ型の亀井氏が去り、菅首相はやりやすくなった」(民主ベテラン議員)との声も。ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げをめぐり、亀井氏から電話を受けた菅氏が「(限度額の数字は)聞いてない」といえば、亀井氏は「あんた、耳が悪いんだよ」と応酬したバトルは記憶に新しい。
さらに、国会会期問題にめどが立ち、荒井聡国家戦略相の事務所費問題などの追及に手ぐすねを引いていた、野党の見せ場を封じ込めることにも成功したのだ。
自民党から「菅首相は逃げるようとしている」との批判が相次ぐ中、余裕の菅首相は出身地・長州(山口)への“お国入り”さえも検討しているという。
2010.06.11 ZAKKZAK
菅直人首相(63)率いる「奇兵隊」内閣が夏の政治決戦「7・11」参院選に向けて進軍を始めた。連立政権を組む国民新党が今国会の成立を強く求めていた郵政改革法案の成立先送りを決め、最大の懸案事項が決着したためだ。国民新党代表の亀井静香金融・郵政担当相(73)が引責辞任したが、高い支持率を誇る首相にとっては「勝てば“菅軍”」。これで参院選の日程が固まり、臨戦ムードが強まっている。
「(民主、国民新の)両党間における約束を破られた。履行させることができなかった責任をとって閣内から去る」
亀井氏は11日未明、党本部での緊急記者会見で、国民新党が「一丁目一番地」と位置づける郵政改革法案が今国会で成立できないことを理由に閣僚辞任を表明。ただ、連立政権からは離脱しない。
これを受け、菅内閣は同日午前の閣議で亀井氏の辞任を了承。亀井氏は閣議を欠席した。一時的な事務代理は仙谷由人官房長官が務め、正式な後任には、同党の自見庄三郎幹事長(64)が内定した。
郵政改革法案の今国会成立を求める国民新党に対し、民主党の思惑は違った。首相交代で党勢の「V字回復」に成功しただけに、16日までの会期の大幅延長を見送り、参院選は「6月24日公示・7月11日投開票」の日程で行うことだった。
民主党の狙いは「失点隠し」。今国会会期末の16日か、1日延長の17日に閉じる方針で、民主党が重要法案だとしていた郵政改革法案や労働者派遣法改正案、国家公務員法改正案などは廃案や継続審議になる。それでも「国会を早く閉じれば、ボロが出ないまま参院選に突入できる」(民主中堅)という算段だ。
一方、国民新党は11日未明、民主党と合意した確認書を発表。郵政改革法案について参院選後の臨時国会で最優先課題として成立を図ることをねじ込んだ。民主党に押し切られた格好だが、実はチャッカリと法案成立の担保をとっているのだ。
亀井氏の辞任表明も「郵政団体向けのパフォーマンス」との見方がある。永田町事情通は「そもそも連立政権にいなければ郵政改革法案の成立も見込めない。離脱が無理なら自ら腹を切ることで郵政票を食い止めようとする亀井流の演技だ」と指摘する。
一方、首相も亀井氏と必ずしも関係が良好というわけではなく、「うるさ型の亀井氏が去り、菅首相はやりやすくなった」(民主ベテラン議員)との声も。ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げをめぐり、亀井氏から電話を受けた菅氏が「(限度額の数字は)聞いてない」といえば、亀井氏は「あんた、耳が悪いんだよ」と応酬したバトルは記憶に新しい。
さらに、国会会期問題にめどが立ち、荒井聡国家戦略相の事務所費問題などの追及に手ぐすねを引いていた、野党の見せ場を封じ込めることにも成功したのだ。
自民党から「菅首相は逃げるようとしている」との批判が相次ぐ中、余裕の菅首相は出身地・長州(山口)への“お国入り”さえも検討しているという。
2010.06.11 ZAKKZAK