11/9中日春秋
面白い小説とは、物語の展開に読者を引き込み、急いで結末が知りたいと思わせるような作品だろう。ページを繰る手を止めさせない、英語でいえば、ページターナーだ。
ところが、残るページが少なくなると逆に読む速度を落としたくなる本もある。退屈なのではない。その逆だ。素敵な物語であればあるほど、読者は読み終えたくないという気持ちに駆られる。読み続けることの愉楽を手放したくなくなるのだ。
何かの完成、目標の達成、ゴールへの到着…。どれも、それを成し遂げたところに喜びがあるのは当然だろう。けれど、ゴールとは、ゴールに向かって進むプロセスが「終わる」ということでもある。
目標達成で虚脱状態に襲われるバーンアウト(燃えつき)症候群は極端にしても、実は、結末でなく、過程にこそ喜びがある、ということは少なくない。<目的地に到着するより、希望を抱いて旅し続ける方がいい>とは以前にも紹介した英語の諺(ことわざ)だ。
だから、中日ドラゴンズファンは喜んでいい。「リーグ優勝したうえで、日本一」の夢がかなわなかったおかげで、その夢を、まだ見続けられる。ロッテファンも、日本一になってしまったからって落胆することはない。そちらには「リーグ優勝したうえで…」の夢が、まだ残る。
プロ野球シーズンもついに幕。読み終えずに済んだ物語の続きは、また来年だ。
面白い小説とは、物語の展開に読者を引き込み、急いで結末が知りたいと思わせるような作品だろう。ページを繰る手を止めさせない、英語でいえば、ページターナーだ。
ところが、残るページが少なくなると逆に読む速度を落としたくなる本もある。退屈なのではない。その逆だ。素敵な物語であればあるほど、読者は読み終えたくないという気持ちに駆られる。読み続けることの愉楽を手放したくなくなるのだ。
何かの完成、目標の達成、ゴールへの到着…。どれも、それを成し遂げたところに喜びがあるのは当然だろう。けれど、ゴールとは、ゴールに向かって進むプロセスが「終わる」ということでもある。
目標達成で虚脱状態に襲われるバーンアウト(燃えつき)症候群は極端にしても、実は、結末でなく、過程にこそ喜びがある、ということは少なくない。<目的地に到着するより、希望を抱いて旅し続ける方がいい>とは以前にも紹介した英語の諺(ことわざ)だ。
だから、中日ドラゴンズファンは喜んでいい。「リーグ優勝したうえで、日本一」の夢がかなわなかったおかげで、その夢を、まだ見続けられる。ロッテファンも、日本一になってしまったからって落胆することはない。そちらには「リーグ優勝したうえで…」の夢が、まだ残る。
プロ野球シーズンもついに幕。読み終えずに済んだ物語の続きは、また来年だ。