認知症 あるいはそれに近い方が多い施設は ボランティアも行かない
それでも 音楽療法で 何かの良い方向が出ることを信じて通い続けた
毎月一回 欠かすことなく訪問していれば やがて心が通じて来ることを感じた
通い始めた頃 それは何をしていいのか分からない状況だった
テーブルに散在している方たちに対し 音楽を演奏しても集中はしていない
寝ていたり横を向いていたり スタッフも何もしない 出来ないで見ているだけ
もう4年を数える
施設の全体が難しいほど 逆に熱意は燃える
たまに見る利用者さんの肉親の方を見るに付け 笑顔を見せてあげたいと思う
かなりの高齢で 本来なら悠々暮らすか 孫やひ孫の顔を見て喜ぶ
永い人生で 戦争を挟んで 言葉にならない苦労を重ねてきた世代
介護の上に もしかしたら生きていることを疎まれているかもしれない
記憶が無くなるだけなら まだ良いが 食事 入浴 排泄などできない方も居る
せめて人として終焉を迎えるならば 尊厳を以て終わりたいと誰でも願う
自分の親に その姿を重ねたら 想いは強くなる
せめて ひと時でも 温かな風を感じたら 楽しいと感じたら
その上で 記憶の糸を掴むことが出来たら 何と言う喜びがあるだろうか
音楽が きっと何かの力を発揮して その想いを叶えてくれるだろう
昨日は そんな想いで見たら 初期よりかなりの進展を見せていた
あの歌っているよりも 御詠歌を聴いているような声も 歌になっている方が目立つ
うたごえを楽しむ かこは無理だったが 少しはそんな感じが出てきた
古くからの入所者さんも居て 改善の方向が見えない方でも表情が柔和になっている
平均は80歳を超えている方たちが 嬉しそうに私を見送る
楽しみにしている方が多いと スタッフにも聞いた
このスタッフも 最近は 真剣にサポートしてくれる
周りに立って 曲に手拍子で盛り上げてくれる
これに釣られて 手拍子をする方
周りの歌声に勇気付けられて 一緒に歌う方
相乗効果は高まる
器材などの持ち運び 歌詞の貼るのも積極的に手伝ってくれる
施設全体で 利用者さんに 楽しんでもらいたいと言う空気がある
ここまで来ると私も嬉しい
お一人づつ お顔を拝見しながら 伴奏をする
みんなの笑顔 施設での笑顔が こんなに嬉しいものだと幸せ感も出てくる
音楽 果てしない 音の霊 音霊に感謝の日々でもある
今日の誕生花 じんちょうげ
花言葉 不死 不滅
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