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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

【ministock-09(terrace)】タテヨコナナメ-小さい二世帯住宅-

2020-06-22 20:25:40 | ministock-09(terrace)
工事の方は、前回の断熱工事後、防風透湿シートを張って、2重の通気層工事に入っています。
通気層というのは、壁の中の中空層のことで、イマドキの建て物であれば外壁材は柱や壁に直には取り付けられていません。
「縦または横」に桟を入れて、壁から浮かして外壁材を付けるのが今流。

なぜかというと、壁の中に入った湿気を速やかに外に逃がすため。
外壁材は壁に直に張られていると、壁内部の湿気が外に出せないので中空層を作って、軒先や屋根から湿気が出ていくように作られています。

そして、先ほど私は桟を「縦または横」と書きましたが、ネイティブディメンションズでは、「縦も横」も入れています。

この中空層の空気の流れをより活発にするためなんですが、なぜ活発にしたいかというと、

実は壁の中からの湿気の排出はそれほどないと思っています。
理由は、がっちり室内側で防湿しているので。

私がこの中空層に期待しているのは、夏場の遮熱効果を高めるため。

一日中太陽にさらされている外壁材はとてつもなく高温になり、その輻射熱が壁を温め続けます。
その輻射熱を2重の通気層によって、効率的に外に出すのが最大の狙い。

夏のギラギラした日射は窓ガラスから入ってくると思われがちです。
もちろん窓からの侵入が一番多いんですけど、壁だって面積が多い分、負けじと沢山入ってきます。

だから負かして、エアコンの稼働率を少なくするという考え。

もう一つ。

単純に桟が2重になっているので、外壁材は柱や壁から随分と離れています。

こちらも再三ご説明している通り、がっつり防水対策をしていますが、万万が一雨水が侵入した場合でも、

水が届きにくい。

スゴク単純なことだけに、理由が分かりやすいですね。

ここ最近、縦なのか、横なのか、斜めなのかみたいなお話が多いですが、やっぱり理由はあるんです。


あー、そういえばミニストック-09では遂に

ありそうでなかったあれが登場します。

ラボ付き物件では、ラボ内が気密断熱完全無視のため、使い勝手の観点から玄関引戸をお勧めしています。

玄関引戸は便利だけど、気密断熱が取りにくいから性能を優先させるとご提案しにくいんです。
ところが、そもそも断熱気密を気にしなくていい空間を作れば、どんな玄関引戸を付けようが気にならなくなるという発想の逆転から生まれたアイディア。

そして、ミニストック-09は二世帯住宅のため、その引き戸が2か所付きます。
わざわざ木製の玄関引戸を2か所も付けるのに、そのラボに付ける明り取りの窓をアルミサッシにしますかっていう話に当然なるわけです。

よって、ごくごく自然な流れで窓も木製にしました。
しかも、製作します。

こんな感じで。

という事で、こちらも縦横どーなってるの。

上の枠が横勝ちで、下の枠は縦勝ちに。

水の切れを考えると自然とこの作りになるのですが、まだまだ終わらない。

じーっとよく見ると窓枠の下は

奥の方で段差を作って、手前は水勾配を作ってます。

これももちろん水対策で、水が登りにくくもあり、跳ね返すようにもなっているためのデザイン。
私はしれっと図面を描くだけですが、作るのは大工さん。

ほんと凄いと思う。

さぁ、これでもう、皆さんは明日からなんでここが縦なのか、横なのか気になって気になって仕方なくなってしまう事でしょう。

全てに理由があるんですよ。




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