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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

【坂の上の狭小住宅】apeak

2018-01-24 20:54:18 | 坂の上の狭小住宅
この1週間ずっと人前でお話しする日が続いていました。
やっと一日事務所で座ってられる日がきたので、詳細設計の打ち合わせが本格化する前に構造計算を済ませておきました。

構造計算を行うにあたり必要な図面は2枚。
スケッチ程度の平面図と立面図。

なんでこの枚数で足りるかというと、構造計算しながらデザインを考えるから。
一般的な流れは、デザインを考えてから構造計算をします。その場合は、図面の枚数はそれなりに必要です。そのデザイン通りに構造計算しないといけないんですから。
ネイティブディメンションズの場合は、構造計算しながらデザインを考えるので、そもそも図面の描きようがないんです。

また、構造のデザインと同時進行で耐震等級の確認も行います。(そりゃそうだ、構造計算なんだから)

と言っても耐震等級の計算自体はすぐに終わります。
理由は、プラン段階で耐力壁の配置を決めているから。
つまり、耐震等級の検討はプランの時点でほぼ終わっています。
構造計算は単なる確認作業でしかありません。

今回の検討でポイントになったことと言えば、あと1-2枚耐力壁を増やせば耐震等級3でしたが、それを辞めた事。
耐震等級2で進めることにしました。

熊本地震以来、住宅の性能は耐震等級3が必要と連日テレビやネットニュースで騒いでました。
確かに耐震等級は高い方が理想です。

なのになぜ耐震等級2にしたかというと、そっちの方がバランス良かったから。
そもそも、壁の1-2枚でバランス崩れるものなの?という素朴な疑問もあるはず。
理由は、窓が大きくて、ほぼワンルームなので、バランスのいい場所が超ピンポイントなんです。
一般的な間取りにはない苦労があるんです。実は。
そのコツを掴めているのは小さい家しか設計してないから。

よって、その経験を踏まえると

耐震等級3に近いバランスのいい耐震等級2とバランスがまぁまぁの耐震等級3だと、私はバランスの良い耐震等級2を選びます。

耐震等級3という言葉が先行している世間ですが、重要なのはバランスです。
以前も記事にしたことがありますが、構造計算は力技でクリアさせることができます。つまり、力ずくで耐震等級3にすることができます。

でも、軽自動車のシャシーに無理やりGT-Rのエンジン積んだって速くなりません。(速いだろうけど、まっすぐ進まないし停まれないでしょう)
F-1のエンジンなんて、過給機積んでるとは言え1600CCしかないですからね。

そのバランスを読み取れるのは設計者自身です。(または、計画段階からプロジェクトに参加している構造設計士)
つまり、プランニングとは部屋の帖数の組み合わせ以外にも、強さ、バランス、さらに温熱環境に関する事すべてを同時に考えることです。


と、こんな堅い話を熱くするつもりじゃなくて、
構造を考えていたら、なかなかいいテーマが思いつきました。
今回のデザインの柱ですね。

柱の位置や梁の位置をデザインすることで、取って付けただけのデザインとの違いが出ます。
すべてに理由あり。
今回もなかなか面白い構造になりました。

この発想を与えてくれた神様ありがとうございます。私は降りてくるのを手を合わせて、ひたすら待ってただけ。

そして、この建物のテーマを「apeak」としました。
理由は完成した時に伝えます。
来春予定ですが。








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