宮崎アニメ時期はずれ遅報その1「もののけ姫」
映画や本など、関連情報を知らないと、タイトルから勘違いすることがあります

私の場合、長らく、「もののけ姫」は妖怪の出てくる怪奇冒険物語と思い込んでいました。
ドイツ・アマゾンのユーザー・コメントにあった「壮大な叙事詩」も大げさと思っていました。
ところが、幾つか宮崎アニメを見て、「もののけ姫」も見る気になり、ドイツ・アマゾンで購入

ドイツ版「もののけ姫」DVD2枚のスペシャルエディション

付録の絵葉書

その結果、ユーザー・コメントは大げさではなかったと納得。一部には描写が残酷という評もあるようですが、決して「写実の節度」を無視したものではありません。あるいはブラックユーモアとも受け取れます。自然と人間の共存という差し迫ったテーマでありながら、同時に神話の世界を思わせます。最も神話的なキャラクターはモロの君、シシ神、乙事主ではないかと思います。神話の世界はしばしばグロテスクですが、アニメという媒体だと、実写では不可能なことも映像化でき、しかも節度のあるリアリティが可能です。
コダマ(神話的キャラ)たちも、ススワタリ=まっくろくろすけ(民話的キャラ)と並ぶ名脇役






以前に文化団体が黒澤明の「影武者」と「乱」を大学で上映したとき、上映前の解説を頼まれました(いきなり、その場で


ドイツ・アマゾンで買った「日本アニメの巨匠宮崎駿」

アメリカの本で、残念ながら1999年初版のため「もののけ姫」までの紹介と分析。
Amazon.comで販売しています。そのページはこちら
「日本のディズニー」という言い方に対し、著者は「アニメ界の黒澤明」と評していますし、この比喩の方が的確だと思います。特に「もののけ姫」を見ていると黒澤明の「七人の侍」「乱」を思い出します。著者は「もののけ姫」を宮崎駿の「乱」と呼んでいますが、私はむしろ「七人の侍」に近いように思います。「七人」で最終的な勝利を収めるのが農民であるように、「もののけ」でも「世界を再建」できるのは、たたら場の民です。
「もののけ」の中で「乱」から「転用」したような場面が2つあります。斬られた自分の腕を持って驚愕する雑兵と不穏な雲の湧く青空。
黒澤の「乱」と「もののけ姫」で演出効果に使われている雲

以前にベランダから撮った「実写版」


ドイツの「もののけ姫」ファンサイトはこちら
ストーリーとキャラクター紹介、歴史的背景解説、フォーラム、チャットなど。画像やスクリーンセーバーがダウンロードできます(日本語のサイトが利用できないドイツのファンには便利)。

優しい育ての母モロの君がサンを見る慈愛に満ちたまなざしが印象的です。
シシ神の接吻?で、安らかに目を閉じる乙事主を見ると、ギリシャ神話のイアソンがアルゴ船の残骸の下敷きになる最期を連想します。
ドイツ・アマゾンのユーザー評だったかな・・・「ディズニー式の善玉・悪玉図式でなく、夫々の人物の立場が説得力をもって描かれ、物語を一層奥深いものとしている。」
前回の宮崎アニメ関連記事:宮崎効果
短い記事を旨としているのですが、このところ長くなりがち

短くするよう尽力いたしますので、ご勘弁を

あまりにも評判になるとへそ曲がりで敬遠
ここは機会を見つけてじっくり鑑賞するのも良いかも・・・。
黒澤明は好きなもので
上映前の解説 スッゴイ
ありがとう
私も、漸く去年の宮崎週間で初めて宮崎アニメを発見した駆け出し
まだ沢山見たわけではありませんが
「もののけ姫」は強烈に「黒澤調」です
こちらで、黒澤監督の自伝の独訳と、黒澤映画に関する英語の本を買っていたのに、ズーッと読まずに放ってありまして・・・
映画会で解説してから、後で、間違ったことを言わなかっただろうかと焦って黒澤本を読み出し、ちょうど心配な試験問題について後から恐る恐る答え合わせするみたいな感じ。まあ、間違ったことは言ってなかったようで安心し、又私が考えていたことと同じようなことを映画評論家が書いてたり・・・
去年は、こちらでも宮崎アニメの人気が高いのを知って又ビックリ